「地方自治情報化推進フェア2018」イベントレポート①

去る10月23日(火)、24日(水)の両日、東京ビッグサイトで「地方自治情報化推進フェア2018」が開催された。会場には、全国各地から地方行政に関わる組織や団体が、情報収集や課題解決のヒントを求めて訪れ、会場は活気にあふれていた。ここでは、ウイングアーク1stが、来場者にどのような情報を発信したのかについて見ていきたい。

政府の「デジタル・ガバメント」への取り組み

政府は今、さらなるIT化で府省庁の壁を越えた取り組みを模索するとともに、中央と地方のデータの連係、サービスの融合を図り、これまでの「電子政府」から「デジタル・ガバメント」へとシフトしようとしている。ここで必要なポイントは、地方行政といかに足並みをそろえるかである。政府は積極的に地方自治体にコミットし、その推進力を上げようとしている。

象徴といえるのが2016年に施行された「官民データ活用推進基本法」であり、「EBPM」(エビデンス・ベースト・ポリシー・メイキング。証拠に基づく政策立案)である。それを核としながら、申請など行政サービスのデジタル化、移転や介護、相続の手続きワンストップ化、行政保有データの100%オープン化による官民協調型課題解決など、多岐にわたる取り組みへと広がりを見せ始めている。

だが、理想像と現実のギャップはいまだ大きい。それを埋めるため、有識者や豊富な実務経験を持つプロフェッショナルによるセミナー、また、真正面から改革に取り組む自治体からの報告、そして、有効なソリューションを持つベンダーからのプレゼンテーションをそろえ、全国の自治体に情報を提供したのが、今回の「地方自治情報化推進フェア2018」だ。ウイングアーク1stも、そうした地方行政のデジタル化をエンパワーするソリューションを提案し、多くの来場者のニーズに応えた。

ウイングアークの自治体向け3つのソリューション

ウイングアーク1stのブースでは、全体を「AI-OCR」「EBPM」「データ活用基盤」の3つに分け、それぞれの機能を分かりやすくパネルで説明するとともに、デモを行った。それぞれの提案を一つずつ見ていきたい。

1:AI-OCR 紙書類のデータ化

まず「AI-OCR 紙書類のデータ化」のエリアでは、3種類のOCRエンジンによって手書き文字やアンケートの丸囲みも認識、あらかじめ設定しておいたフィールドの情報をデータ化して業務システムに格納するソリューション「SPA」を取り上げた。戸籍関係書類の申請、納税証明、国民健康保険関連の申請、各種委任状の処理など、自治体の実際の業務フローがSPAによって、どのように変わるのかを分かりやすくパネルで示しながら、同時にデモが体験でき、来場者の関心に応えていた。別室で行われたプレゼンテーションで興味を持った来場者がブースを訪れ、デモを体験する様子もうかがえた。

2:EBPM 行政のイマを見える化

次にブース中央では「EBPM 行政のイマを見える化」の展示とデモを行った。BIツールを超えたダッシュボードとして優れた性能がさまざまな公共機関や事業会社から高い評価を得ているMotionBoardを紹介した。MotionBoardは人口動態や行政評価、財務情報や経済、観光といった自治体の実態を示す各種の指標をグラフィカルに可視化し、そこから得た気づきによって地域のニーズや課題に応える施策を仮説・立証するなど、まさにEBPMに直結するアクションを、行政が保有するデータから導き出すことができる。実際に福岡県内の自治体で構築されているMotionBoardをベースとした地方創生支援システムの事例を説明した資料なども配布された。

3:データ活用基盤

残るスペースでは、「データ活用基盤」としてウイングアーク1stが提供する集計・分析プラットフォーム「Dr.Sum 5.0」によるデータの効率的活用を紹介した。予算・税・財務・福祉などといった行政に関わる事務系データや、民間由来のものを含めた域内の医療や交通、観光などに関わるIoTデータ、ソーシャルデータを集計・分析、定期的なレポーティングが可能になる。これによって異常値の迅速な検知や、着目したデータのドリルダウンによって、深いインサイトを得ることができる。また、データを迅速に関係者へ共有、しかもリテラシーを問わないインターフェイスで容易に活用できるため、すでに6,100以上の一般事業会社や地方自治体が利用する実績は見逃せない。

このように、これまで活用しきれなかったデータをデジタル化し、スピーディーに活用することによって、地域の課題が解決につながり、生活者のよりよいくらしの実現につながることを、ウイングアーク1stのソリューションが示したイベントとなった。

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