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支払通知書とは?役割や作成方法、電子化のメリットを解説

帳票の基礎知識作成日:2022.09.25 更新日:2024.02.09

企業間の取引のなかで、発注者が受注者に対して支払通知書を発行することがあります。

しかし、支払通知書を発行することなく商取引が進められるケースもあるため、
「なぜ支払通知書を発行するの?」
「支払通知書の記載項目や書き方は?」
「支払通知書の保存期間や保存方法に決まりはある?」
といった疑問をお持ちの方もいらっしゃるのではないでしょうか。

この記事では、支払通知書の意味や必要性といった基礎知識から、記載項目や書き方などの作成時のポイント、支払通知書の保存に関するルールを解説します。
支払通知書を電子化するメリットや事例もご紹介しているので、ぜひ参考にしてみてください。

【経理担当必見】帳票の役割と電子化のポイント

・どの帳票がどの場面で必要なのか整理したい
・紙ベースで処理している帳票を電子化して、業務を効率化したい
こんな課題を抱える経理担当者の方へ、経理部門が関わることの多い帳票の役割と、電子化する際のメリットやポイントをわかりやすく解説します。

支払通知書の基礎知識

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まずは基礎知識として、支払通知書の意味や必要性、混同しがちな請求書との違いについて確認していきましょう。

支払通知書とは?

支払通知書は、発注者から受注者に対して発行し、すでに支払が確定している取引について「記載した内容で支払いを行います」という旨を通知するための文書です。

通常、商品やサービスの納品・検収が完了したタイミング、つまり請求書を受け取る前のタイミングで発注者が発行します。

支払通知書は請求書と同等の効力があるとされていますが、法的に発行が義務付けられている文書ではありません。

支払通知書の必要性・役割

法的に発行の義務はないものの、支払通知書には以下のような役割があり、社内ルールとして支払通知書を発行している企業も少なくありません。

  • 取引内容や金額に関するトラブル防止
  • 経理業務の効率化
  • 請求書発行の省略

支払通知書の必要性・役割について詳しく確認していきましょう。

支払いに関するトラブル防止

支払通知書が果たす役割のひとつとして、支払いに関するトラブル防止を挙げることができます。

支払通知書を発行することで、受注者側・発注者側の双方で取引内容や金額を確認することができ、認識の齟齬によるトラブルを防ぐことが可能です。

請求・支払業務の円滑化

支払通知書には、経理業務の効率化という役割もあります。

受注側は、取引内容と金額を事前に支払通知書で確認することにより、請求書発行時のミスを防ぐことができます。

請求書の記載ミスなどによる差し戻しや再発行などの手間を回避できるため、発注者・受注者双方の請求・支払業務の円滑化につながります。

請求書発行の省略

支払通知書を発行することで、請求書発行を省略するケースもあります。

支払通知書には、請求書と同様に取引内容や金額といった内容が記載されます。そのため、発注者側・受注者側の双方で合意している場合、受注側からの請求書発行を省略することが可能です。

請求書や支払明細書との違い

支払通知書と混同しやすい文書として、請求書や支払明細書が挙げられます。

支払通知書と請求書の違い

先述したように、支払通知書を発行することで請求書の発行を省略することができるため、支払通知書と請求書を混同してしまうケースがあります。

支払通知書の発行者は発注側であり、支払い内容について受注側に通知するための文書です。

一方、請求書の発行者は受注側であり、商品・サービスの対価を発注側に請求するための文書です。

このように、支払通知書と請求書は発行者の立場と発行の目的が異なるため、混同してしまわないよう注意しましょう。

支払通知書と支払明細書の違い

支払通知書とよく似た文書に支払明細書があり、どちらも支払い内容に関する書類です。

明確な定義があるわけではありませんが、支払通知書は主に企業間取引で用いられるのに対し、支払明細書はクレジットカードの利用明細書や給与明細書、交通費精算の明細書など、企業間取引以外の場面でもしばしば用いられます。

支払通知書の記載項目と書き方

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支払通知書は法的に発行が義務付けられた文書ではないため、インターネット上で公開されているテンプレートを使用したり、独自に作成したフォーマットを使用しても問題ありません。

ただし、一般的に必要とされている記載項目が存在します。

次は、支払通知書の主な記載項目と書き方のポイントを確認していきましょう。

文書のタイトル

「何の文書か」が一目見て伝わるように、書面の上部中央などにタイトルとして「支払通知書」と記載します。

支払先(受注者)の情報

「誰宛ての支払通知書なのか」が伝わるよう、支払先(受注者)の会社名や氏名を記載します。
会社名や氏名は省略せずに正式名称で記載し、会社であれば「御中」、氏名であれば「様」と敬称をつけましょう。

支払元(発注者)の情報

「誰が発行した支払通知書なのか」を明確にするため、支払元(発注者)の情報を記載します。
会社名はもちろんですが、部署や担当者名のほか、住所や電話番号などの連絡先情報もあわせて記載しておきましょう。

発行年月日

支払通知書の発行年月日を記載します。
あくまでも文書を作成した日付ですので、取引年月日や支払予定日などと混同しないよう注意しましょう。

支払通知金額

支払通知金額として、支払予定の総合計金額を明記しましょう。

取引年月日

支払い対象の取引が発生した年月日を記載します。
複数の取引がある場合には、それぞれ取引年月日を記載する必要があります。

取引内容・単価・消費税額

支払いの対象となる取引内容(商品・サービス名など)と、取引ごとに単価と消費税額を記載します。

備考欄

注意点や連絡事項がある場合は備考欄に記載します。

小計

小計として、単価の合計額と消費税の合計額をそれぞれ記載します。

総合計金額

単価と消費税を合計した総合計金額を記載します。

インボイス制度開始による支払通知書への影響とは?

2023年10月に開始したインボイス制度(適格請求書等保存方式)では、インボイス(適格請求書)の要件を満たす形で支払通知書を発行・保存することで、仕入税額控除を受けることが可能です。

インボイスの要件を満たすには、以下の記載事項が必要です。

(1)書類の交付を受ける事業者の氏名または名称
(2)取引年月日
(3)取引内容(軽減税率の対象品目である場合はその旨)
(4)税率ごとに合計した対価の額および適用税率
(5)税率ごとに区分した消費税額等
(6)適格請求書発行事業者の氏名または名称、および登録番号

インボイスの記載項目については以下の記事で詳しく解説しているので、あわせてご確認ください。

支払通知書の保存期間・保存方法

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支払通知書は取引の事実を証明するための証憑類に該当するため、発行・受領後も適切に管理する必要があります。

次は、支払通知書の保存期間や保存方法について確認していきましょう。

支払通知書の保存期間

法人の場合、支払通知書は原則として7年間の保存が義務付けられています。ただし、欠損金の繰越がある事業年度に関しては10年間の保存が必要にあるため注意が必要です。

個人事業主の場合、青色・白色申告問わず支払通知書を5年間保存する必要があります。

これらの保存期間は支払通知書を発行・受領した日から起算するのではなく、確定申告の提出期限の翌日が起算日となる点に注意しましょう。

支払通知書の保存方法

支払通知書は、紙媒体での保存が原則とされています。

しかし、電子帳簿保存法の要件を満たすことにより、電子データとして保存することも可能です。

電子帳簿保存法とは、一定の要件を満たす場合に限り国税関係帳簿書類の電子保存を認める法律のこと。

2022年1月の改正により保存要件が大幅に緩和されたことで、以前よりも電子化に着手しやすくなっています。

電子帳簿保存法の内容や対応のポイントについて詳しく知りたい方は、以下の記事もあわせてお読みください。

支払通知書を電子化するメリット

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ペーパーレス化やDX推進の動きが活発化している昨今、支払通知書などの文書の電子化に着手する企業は増えつつあります。

次は、支払通知書を電子化する主なメリットとして、以下の4点をご紹介します。

  • 支払関連業務の効率化
  • 文書管理の負担軽減
  • コスト削減
  • テレワークへの対応

それぞれ詳しく確認していきましょう。

支払関連業務の効率化

支払通知書を電子化することで、支払関連の業務効率化につなげることが可能です。

紙ベースで支払通知書を運用している場合、発行のたびに印刷する手間がかかり、手渡しによる回覧や押印、郵送準備も必要になります。

また、支払通知書の内容が注文書や請求書などの関連書類と合致しているか確認するため、目視による確認作業なども発生します。

一方、電子化した支払通知書であれば、PC上で発行から取引先への送付まで完結することができ、郵送のようなタイムラグもありません。

また、支払通知書の記載内容をテキストデータとして扱うことができるため、目視による確認や手動での入力作業の負担も軽減することができるでしょう。

文書管理の負担軽減

支払通知書を電子化するメリットとして、文書管理の負担軽減にもつながります。

紙ベースの支払通知書は、取引先や発行日ごとに手作業で仕分けを行い、保管場所に格納する必要があります。

また、過去の支払通知書を確認する際、大量の書類のなかから該当の支払通知書を探し出すのは非常に大変です。

一方、電子化した支払通知書であれば、手作業による仕分けや保管場所への格納作業が不要で、PC上で作業が完結します。

また、ファイル名などで検索することで、必要に応じて速やかに参照・出力することができるでしょう。

コスト削減

支払通知書の電子化により、コスト削減の効果も期待できます。

紙ベースで支払通知書を運用している場合、紙代やインク代といった印刷コストのほか、取引先への郵送コストも発生します。また、支払通知書を保管するためのスペースや、キャビネットやファイルなどの備品も必要になるでしょう。

電子化した支払通知書であれば、印刷コストや郵送コストが不要で、物理的な保管スペースや備品も必要ありません。

また、先述した業務効率化や管理負担軽減の効果により、人的コストの削減にもつなげることができるでしょう。

テレワークへの対応

支払通知書の電子化は、テレワークへの対応にも有効です。

支払通知書を紙で運用していると、印刷や押印、郵送準備など、在宅では作業を完結できないケースが多々あります。

一方、支払通知書を電子化していれば、発行から取引先への送付、保管といった一連の業務をPC上で完結することができます。

オフィスに縛られることなく業務を遂行できるため、テレワークの導入や定着にも効果が期待できるでしょう。

支払通知書の電子化を実現するソリューションは?

支払通知書を電子化することで多くのメリットが期待できるとお伝えしましたが、具体的にどのように電子化すればよいか迷ってしまう方も多いのではないでしょうか。

次は、支払通知書の電子化を実現するソリューションとして、ウイングアーク1stが提供する電子帳票プラットフォーム「invoiceAgent」の特徴をご紹介します。

「invoiceAgent」はJIIMA認証を取得しており、電子帳簿保存法の法的要件を満たしつつ文書の電子化を実現することが可能です。

電子文書を一元管理「invoiceAgent 文書管理」

「invoiceAgent 文書管理」は、支払通知書はもちろん、データ化したさまざまな文書の一元管理を実現するソリューションです。

「invoiceAgent AI OCR」や他システムで出力・作成した文書データをまとめて取り込み、自動で仕分け保存を行います。

「invoiceAgent 文書管理」には高度な検索機能が備わっているため、保存している文書を速やかに参照・出力することが可能です。

さらに、文書の保存期間に応じた自動削除機能や証跡管理機能により、セキュリティ・ガバナンスの強化にも効果を発揮します。

支払通知書のデータ化なら「invoiceAgent AI OCR」

「invoiceAgent AI OCR」は、紙文書のデータ化を実現するソリューションで、紙で保存している支払通知書を高い精度でデータ化します。

「invoiceAgent AI OCR」には、5つのOCR(光学的文字認識)エンジンが搭載されているほか、文書の歪みや傾きを自動で補正する機能が備わっています。

読み取り項目に応じて適切なOCRエンジンを使い分けたり、1つの読み取り項目に対して複数のOCRエンジン処理を行うことが可能です。

支払通知書のWeb配信「invoiceAgent 電子取引」

「invoiceAgent 電子取引」は、企業間取引文書の送受信を実現するソリューションです。

PDF化した支払通知書などの文書データを専用のWebサイトにアップロードするだけでWeb配信することが可能で、取引先から発行される帳票データもWebサイト上で受け取れます。

郵送サービスも利用可能なので、書面でのやり取りを希望する取引先に対しては郵送、電子データでのやり取りを希望する取引先にはWeb配信、といった具合に紙・Webのハイブリッド運用を実現可能です。

「invoiceAgent」を活用した支払通知書の電子化事例

最後に、「invoiceAgent」を活用して支払通知書の電子化やWeb配信を実現した企業事例をご紹介します。

支払通知書などの請求書付属書類をWeb配信(伊藤忠商事)

伊藤忠商事株式会社は、「invoiceAgent」を活用して支払通知書などの社外向け帳票をWeb配信する仕組みを構築しています。

「invoiceAgent」の導入以前、同社では約600課ある営業部門の担当者が紙ベースで請求業務を行っていました。

しかし、新型コロナウイルス感染症の流行により在宅勤務に移行した際、紙ベースの請求業務のために出社せざるを得ない状況が発生してしまいます。

そこで、請求関連の社外向け帳票をWeb配信する仕組みを構築するため、「invoiceAgent」の導入を決定。

導入決定から2ヶ月後には支払通知書や納品書、検収書などを、その4ヶ月後には請求書をWeb配信する仕組みを構築し、導入決定から約半年というスピードで本格運用を開始しています。社外向け帳票をWeb配信する仕組みが整ったことで、在宅勤務での請求業務が可能となりました。

▼事例詳細はこちら
伊藤忠商事株式会社のinvoiceAgent導入事例をもっと見る

支払通知書の電子化とWeb配信を実現(三井住友ファイナンス&リース)

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三井住友ファイナンス&リース株式会社は、請求・支払業務のデジタルシフトに「invoiceAgent」を活用しています。

「invoiceAgent」導入以前、同社では支払通知書や請求書を印刷して郵送していましたが、毎月発生する印刷・発送のコストが大きく、郵送によるタイムラグも課題となっていました。さらに、新型コロナウイルス感染症が流行したことでリモートワークが加速しつつあるなか、出社しなければならない要因として請求・支払業務における印刷・郵送業務が残っていました。

こうした課題を解消するため、同社は「invoiceAgent」の導入を決定。

まずは30社を対象に支払通知書を電子化し、現在は1200件の取引先に支払通知書・請求書をWeb配信しています。

支払通知書・請求書の電子化によりリモートワークの推進とコスト削減を実現した同社では、SDGs経営の一環として今後も帳票の電子化を推進していく考えです。

▼事例詳細はこちら
三井住友ファイナンス&リースのinvoiceAgent導入事例をもっと見る

「デジタル経営」を見据えた経理業務の改革を実現(西武ホールディングス)

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グループ全体で「デジタル経営」を推進する株式会社西武ホールディングスは、「invoiceAgent」を活用して「デジタル経営」を見据えた経理業務の改革を実現しました。

ERPパッケージ「Biz∫」を導入するなど、2019年から会計システムの刷新に取り組んできた同社ですが、当時は電子帳簿保存法の対応ハードルが高く、取引先から受領する請求書の電子保存については見送りとなっていました。
そうしたなか、コロナ禍に突入してテレワークの必要性が高まったことと、2022年1月の電子帳簿保存法改正が決まったことも重なり、受領する請求書の電子化にも着手することを決定。

「Biz∫」と組み合わせて利用できるソリューションを検討した結果、請求書や支払通知書などのあらゆる企業間取引文書の電子化とオンライン配信・受領を実現でき、取引に紐づく文書の一元管理や電子帳簿保存法・インボイス制度にも対応できる点を評価し、「invoiceAgent」の導入に至りました。
導入の過程ではオンボーディングプログラムを利用し、取引先に支払通知書を配信する際の自動アップロード機能の活用方法などについてレクチャーを受け、疑問や不安を解消したうえで実運用を迎えました。
現在、グループ23社で「invoiceAgent」を利用しており、最終的にはグループ40社への展開を想定するなど、グループ全体のデジタル経営推進に「invoiceAgent」を役立てています。

▼事例詳細はこちら
株式会社西武ホールディングスのinvoiceAgent導入事例をもっと見る

まとめ

今回は、支払通知書の基礎知識や保存期間、電子化するメリット・事例をご紹介しました。

支払通知書は発行が義務付けられている文書ではないものの、トラブルを防止して円滑に取引を進めるために重要な役割を果たします。

そして、支払通知書を電子化することで、企業にとって多くのメリットが期待できます。

支払通知書を紙ベースで運用している企業は、今回ご紹介した情報も参考に支払通知書の電子化に着手してみてはいかがでしょうか。

【経理担当必見】帳票の役割と電子化のポイント

・どの帳票がどの場面で必要なのか整理したい
・紙ベースで処理している帳票を電子化して、業務を効率化したい
こんな課題を抱える経理担当者の方へ、経理部門が関わることの多い帳票の役割と、電子化する際のメリットやポイントをわかりやすく解説します。

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