帳票ナビ

EDIとは?メリット・デメリットや電子帳簿保存法との関係について解説

法対応作成日:2023.05.31 更新日:2024.03.02

業務のデジタル化やペーパーレス化の一環として、企業間取引における文書の電子化を進める企業が増えてきています。
そして、企業間取引を電子化する方法のひとつが「EDI」です。

しかし、
「そもそもEDIとは?」
「EDI取引のメリット・デメリットは?」
「EDI取引も電子帳簿保存法の対象?」
といった疑問をお持ちの方もいらっしゃるのではないでしょうか。

この記事では、EDIの意味や特徴、電子帳簿保存法との関係をわかりやすく解説します。
また、企業間取引の電子化を実現するEDI以外のソリューションも紹介しているので、ぜひ参考にしてみてください。

5ステップ!改正電帳法対応ガイドブック【完全版】

電子帳簿保存法の改正により要件が緩和された一方で、企業として適切な対応をするためには押さえるべきポイントがあります。
・どのような流れで対応を進めればいいのだろう…
・自社にはどんなシステムが合うのだろうか…
とお悩みの方へ、電子帳簿保存法対応のための5つのステップをご紹介します。

EDIとは?

EDIとは、「Electronic Data Interchange」の頭文字をとった言葉で、日本語では「電子データ交換」と訳すことができます。
企業間取引では、請求書や発注書などの書類をやり取りしますが、EDIを用いることで企業間取引で発生する書類のやり取りを電子的に完結することができます。

EDIを用いた取引は、通信方法やフォーマットなどを企業間で取り決める必要があり、大きく以下の3種類に分けることができます。

  • 個別EDI…通信方法や識別コード、フォーマットなどを取引先ごとに設定するタイプ
  • 標準EDI…第三者機関によって標準化された規格を用いるタイプ
  • 業界VAN…標準EDIの一種で、特定の業界に特化した規格を用いるタイプ

また、近年はインターネット回線とWebブラウザで取引を行う「Web EDI」も普及しつつあります。
Web EDIは専用の通信環境やシステムを必要としないため利用しやすい一方、規格が標準化されていないため取引先ごとに細かな設定を行う必要があります。

EDI取引のメリット・デメリット

2302_edi_02.jpg

次は、EDI取引のメリット・デメリットについて確認していきましょう。

EDI取引のメリット

EDI取引のメリットとして、業務効率化や正確性向上を挙げることができます。

紙ベースの企業間取引では、書面の印刷や押印、発送までに多くの手作業が発生します。
EDI取引であれば、システム上で書類データの授受が完結するため効率的に取引を進めることができるでしょう。

また、EDIシステムと基幹システムを連携することで、入力作業を自動化することができ、手入力によるミスを防止することが可能です。
さらに、紙の取引からEDI取引への移行が進めば、書面の印刷費や郵送費などのコスト削減にもつなげることができるでしょう。

EDI取引のデメリット

EDI取引を行うには、取引先の企業もEDIを導入していなければなりません

そのため、取引先の多くがEDIを導入していない場合、EDI取引の利点を享受する機会が少なく、導入コストに見合った成果を得られない可能性があります。
また、取引先の多くがEDIを導入している場合でも、通信方法やルールの整備などを行う必要があり、導入・運用に際して多くの工数を要してしまう恐れがあります。

EDI取引と電子帳簿保存法の関係

2302_edi_03.jpg

EDI取引を語るうえで避けて通れないテーマが、「電子帳簿保存法」です。
電子帳簿保存法とは、紙媒体での保存が原則とされている国税関係帳簿書類の一部または全部について、電子データ(電磁的記録)での保存を認める法律です。

電子帳簿保存法には、「電子帳簿・電子書類」「スキャナ保存」「電子取引」という3つの保存区分があり、EDI取引は「電子取引」に該当します。
つまり、EDI取引で授受した取引情報をデータのまま保存するためには、電子帳簿保存法の電子取引要件を満たす必要があります。

EDI取引で満たすべき電子帳簿保存法の要件

電子帳簿保存法に対応するには、大きく以下2つの要件を満たす必要があります。

  • 真実性の確保
  • 可視性の確保

EDI取引における「真実性の確保」としては、以下4つのうちいずれかの処置を施す必要があります。

(1)タイムスタンプが付された後、取引情報の授受を行う
(2)取引情報の授受後、速やかに(又はその業務の処理に係る通常の期間を経過した後、速やかに)タイムスタンプを付す
(3)記録事項の訂正・削除を行った場合に、これらの事実及び内容を確認できるシステム又は記録事項の訂正・削除を行えないシステムで取引情報の授受及び保存を行う
(4)正当な理由がない訂正・削除の防止に関する事務処理規程を定め、その規定に沿った運用を行う
(引用元:電子帳簿保存法が改正されました(令和3年12月改訂)|国税庁

また、EDI取引における「可視性の確保」としては、以下3点を満たす必要があります。

・保存場所に、電子計算機(パソコン等)、プログラム、ディスプレイ、プリンタ及びこれらの操作マニュアルを備え付け、画面・書面に整然とした形式及び明瞭な状態で速やかに出力できるようにしておくこと
・電子計算機処理システムの概要書を備え付けること
・検索機能を確保すること
(引用元:電子帳簿保存法が改正されました(令和3年12月改訂)|国税庁

具体的には、EDI取引における電子帳簿保存法への対応方針は以下の3パターンに大別されます。

  1. EDIシステム上で対応
  2. EDIシステム上からCSV出力し、自社DB上で長期保存
  3. EDIシステム上のデータを取引ごとに帳票出力し、文書管理ツール上などで対応

対応方針の決定に際しては、取引先別にEDIシステム上で真実性・可視性の要件を満たすことができるか、EDIシステム上で7年以上の長期保存ができるか、という点を考慮する必要があります。

なお、長期保存の観点から「2.EDIシステム上からCSV出力し、自社DB上で長期保存」という対応方針を採用するケースが主流となっています。
その場合、真実性の要件は事務処理規程の策定・運用で対応し、可視性の要件、とりわけ検索性の確保については自社DB上で対応するパターンが一般的です。

以下の記事では電子帳簿保存法の対応方法について詳しく紹介しているので、あわせてお読みください。

「紙の保存に代える措置」が廃止

EDIシステムで授受した取引情報は、電子データのまま保存する必要があります。
従来、EDIなどで授受した電子取引のデータは、印刷して紙媒体として保存する「紙の保存に代える措置」が認められていました。
しかし、2022年1月以降は「紙の保存に代える措置」が廃止となっており、EDIなどの電子取引で授受した取引情報は電子データのまま保存することが原則となりました。

ただし、2023年12月31日までは宥恕措置が適用され、以下の条件を満たす場合には書面による保存が認められます。

  • やむを得ない事情があると所轄税務署長が認める場合
  • 取引情報を書面に出力して保存し、税務調査等の際に提示または提出できる状態にしている場合

さらに、2024年1月からは猶予措置が適用予定となっており、以下すべての要件を満たす場合には書面保存が認められます。

  • 保存要件を満たして保存が難しい相当の理由があること、所轄の税務署に相当の理由があると認められること
  • 税務調査時に要求されたデータのダウンロードの求めに応じること
  • 税務調査時に要求された書面の提示または提出の求めに応じられること

とはいえ、これらはあくまで宥恕措置および猶予措置であり、EDIで授受した電子取引情報は電子データのまま保存することが原則だと覚えておきましょう。

企業間取引の電子化と電帳法対応を実現する「invoiceAgent」

2302_edi_04.jpg

ここまでは、EDI取引について紹介してきましたが、企業間取引を電子化するにはEDI以外の方法も存在します。

次は、企業間取引の電子化と電子帳簿保存法対応を実現する具体的なソリューションとして、ウイングアーク1stが提供する「invoiceAgent 電子取引(インボイスエージェント 電子取引)」をご紹介します。

企業間取引における帳票の送受信を電子化

「invoiceAgent 電子取引」は、企業間取引文書の送受信を電子化する電子取引ソリューションです。

PDFファイルをアップロードするだけで帳票をWeb配信することができ、取引先が発行する帳票も「invoiceAgent 電子取引」を介して受け取ることができます。
また、PDF出力する前のCSVファイルを所定のフォルダにアップロードすることで、自動的にPDFファイルに変換することも可能です。
取引先で専用のシステムやツールを導入する必要がなく、既存の帳票フォーマットを変更する必要もないため、紙ベースの企業間取引からスムーズに電子取引へと切り替えることができるでしょう。

電子帳簿保存法に対応する「JIIMA認証」サービス

電子取引のためのシステム選びでは、「JIIMA認証」の有無が重要なポイントとなります。
「JIIMA認証」とは、公益社団法人 日本文書情報マネジメント協会による認証制度で、電子帳簿保存法の法的要件を満たすソフトウェアに対して認証が与えられます。
JIIMA認証を取得している製品は、JIIMAの公式サイトや国税庁のWebサイトで確認可能です。

「invoiceAgent 電子取引」は、JIIMA認証を取得している電子取引ソリューションであり、帳票を送る側も受け取る側も電子帳簿保存法に対応することができます。

インボイス制度に対応する機能も充実

電子取引に対応して、請求書のやり取りを電子化したいと考えるのであれば、インボイス制度への対応可否も重要です。
2023年10月のインボイス制度開始以降、消費税の仕入税額控除を受けるには適格請求書(通称:インボイス)の保存が必要になります。
「invoiceAgent 電子取引」は、デジタルインボイス(電子化した適格請求書)の標準規格である「Peppol」経由のデータ送受に対応しているほか、受領した適格請求書のデータ化や適格請求書発行事業者の登録確認も行うことができます。
そのため、「invoiceAgent 電子取引」の導入はインボイス制度対応という面でも有効だと言えるでしょう。

Webと郵送のハイブリッド運用を実現可能

紙ベースの取引から電子取引へと切り替える際、すべての取引先が電子取引への移行を受け入れてくれるとは限りません。
紙ベースでのやり取りを希望する取引先に対しては、電子取引への移行を強要するのではなく、郵送での対応を継続するなどの配慮が必要です。

「invoiceAgent 電子取引」は、オプションの郵送サービスを利用することができます。
電子取引と同様、PDFファイルを「invoiceAgent 電子取引」にアップロードするだけで、対象書類の入稿・封入封緘・郵送まで実行します。
そのため、帳票データのWeb配信と書面による郵送、どちらにも対応するハイブリッド運用を実現可能です。

「invoiceAgent」で企業間取引を電子化した事例

case_ctc.png

最後に、「invoiceAgent」で企業間取引の電子化を実現した事例を紹介します。

CTC(伊藤忠テクノソリューションズ)グループのバックオフィス業務などを受託するCTCビジネスエキスパート株式会社は、発注業務におけるペーパーレス化を図り「invoiceAgent」を導入しました。

CTCグループにおける調達の多くは、CTCビジネスエキスパート株式会社を通じて仕入先各社へと発注する体制となっています。
一部の仕入先についてはEDIで電子的に発注を行うケースもあるものの、大部分の仕入先への発注業務では書面の仕分けや封入封緘、郵送というアナログ作業が発生していました。
そのため、発注担当者はコロナ禍でも出社する必要があり、BCP対策の観点でも課題視されていました。

そこで同社は、リモートワーク実現やBCP対策、発注手段の一本化を目的に、「invoiceAgent」の導入を決定。
導入決定から3ヶ月で運用を開始し、注文書のWeb配信開始から2年経過した時点で、約700社の仕入先が登録を完了。
現在、注文書をWeb配信している件数は、平常時では月間3,000件、年度末のピーク時は月間6,000件に達します。
また、当初想定していたリモートワーク対応とBCP対策を実現したほか、下請法の遵守徹底にもつながるなど、大きな効果を実感しています。

▼事例詳細はこちら
CTCビジネスエキスパート株式会社のinvoiceAgent導入事例をもっと見る

まとめ

今回は、EDI取引の概要やメリット・デメリット、電子帳簿保存法との関係について解説してきました。

EDIシステムを導入することで、企業間取引の効率化やガバナンスの強化といった効果を見込める一方で、取引先もEDIに対応している必要があるなど、一定のハードルがあるのも事実です。

また、EDI取引は電子帳簿保存法の電子取引に該当するため、要件を満たす運用体制の整備が求められます。

取引先の負担に配慮しつつ、取引の電子化と電子帳簿保存法への対応を進めたいのであれば、今回ご紹介した「invoiceAgent」の導入も選択肢に加えてみてはいかがでしょうか。

5ステップ!改正電帳法対応ガイドブック【完全版】

電子帳簿保存法の改正により要件が緩和された一方で、企業として適切な対応をするためには押さえるべきポイントがあります。
・どのような流れで対応を進めればいいのだろう…
・自社にはどんなシステムが合うのだろうか…
とお悩みの方へ、電子帳簿保存法対応のための5つのステップをご紹介します。

  • 電子帳票ナビ
  • EDIとは?メリット・デメリットや電子帳簿保存法との関係について解説

あわせて読む

帳票の電子化に役立つ資料を
無料でダウンロードできます

このページのトップへ