導入事例

CTCビジネスエキスパート株式会社

CTCビジネスエキスパート株式会社

SIerの発注業務におけるペーパーレス化
月間6,000件以上の注文書のWeb配信でリモートワークとBCP対策を実現

CTCビジネスエキスパート株式会社
業種

情報・通信

伊藤忠テクノソリューションズ株式会社(以下、CTC)のグループ会社の財務、経理、受発注に関連するバックオフィス業務、物流センターの運用管理業務を受託しているCTCビジネスエキスパート株式会社(以下、CTCBE)は、CTCグループ内外の仕入先企業への発注業務におけるペーパーレス化を目的にウイングアークの「invoiceAgent 電子取引※」を導入し、紙の注文書発行と郵送による発注プロセスを電子化した。それにより発注業務を効率化、さらにリモートワークとBCP対策も実現している。

※2022年6月より「invoiceAgent TransPrint」は「invoiceAgent 電子取引」に名称を変更しました。

導入背景

CTCグループでは社内のビジネスプロセス改革の一環として、社内・社外の取引文書のペーパーレス化を推進してきた。特に発注業務では、紙の注文書を発行して郵送する運用のため、業務効率化が課題となっていた。さらにコロナ禍では、リモートワークの実現とBCP対策が求められていた。

課題
  • 紙の注文書を担当者が封入封緘し郵送する必要があり、リモートワークが実施できなかった
  • 出社を前提とした業務のためBCP対策の観点で課題だった
  • コロナ禍でメールでの注文書送付を希望する仕入先が増え、対応工数が増加していた
解決策導入ポイント
  • invoiceAgent 電子取引で注文書を電子化しWeb配信に切り替え
  • 既存の業務フローに大きな影響を与えず発注業務をペーパーレス化
  • 社内外への事前周知とプロジェクト関係者の協力によってスムーズな運用開始
効果
  • ピーク時には月間6,000件以上の注文書の仕分け作業が不要になり、対応工数を削減
  • 3ヶ月の短期間で運用を開始でき、迅速にリモートワークとBCP対策を実現
  • 郵送によるタイムラグの解消と確実な受領確認によって下請法の遵守徹底にも効果

全社的なビジネスプロセスの見直しがコロナ禍で加速


 CTCはマルチベンダーのシステムインテグレーターであり、顧客が求めるITシステムを実現するためにサーバーやネットワーク機器のほか、保守や開発といった役務提供サービスなど、さまざまな調達を行っている。CTCでは、各種ドキュメントの電子化によるペーパーレス化に取り組んできた。社内向けの対応はコロナ禍以前から進められ、ワークフローや証憑管理ツールが導入されている。


 一方、社外向けの取り組みについては、コロナ禍を機に電子署名ツールの導入など電子化に着手している。


 CTCにおける調達の多くは、グループ会社であるCTCBEを通じて、仕入先各社へ発注する体制となっている。CTCからの発注依頼に基づいて基幹システムで発注処理を行うと注文書が紙に印刷され、それを仕分けて封筒に入れて仕入先各社へ郵送する。一部の仕入先についてはEDIで電子的に発注を行うケースもあるが、大部分の発注については郵送のためアナログの作業が必要だ。そのため発注担当者は、コロナ禍でも毎日出社する必要があった。また、本社一極集中の業務体制となっており、オフィス閉鎖時の発注業務継続が困難なことも課題に挙げられていた。


 さらに、発注処理の工数増加も課題だった。特にコロナ禍では、郵送ではなくメール等で注文書を送ってほしいという要望が社内外から多く寄せられ、個別対応やメール誤送信防止のダブルチェックが負担になっていた。


 こうした状況を受けて始まった取り組みについて、CTCBEの商品管理部で購買発注の業務効率化を推進する宮野 寛久氏は次のように説明する。


 「リモートワーク実現、BCP対策、発注手段の一本化を目的に、注文書を電子化してWeb配信することが決まりました。これは発注部署だけではなく、全社BPRの取り組みという位置付けで始まったプロジェクトです」


商品管理部 宮野 寛久 氏

invoiceAgent 電子取引で注文書の電子化と自動送付を実現


 そこでCTCBEでは、2020年6月から7月にかけて国内および海外の複数のクラウドサービスを比較した。そして「既存システムや業務への影響が少ない」「電子帳簿保存法の保存要件に対応している」「外部との連携機能がある」という3つのポイントを評価し、最終的にウイングアークのinvoiceAgent 電子取引を採用した。


 「数あるツールの中でも特に、シンプルで使いやすい点を評価しました。既存の帳票をそのまま利用でき、業務フローを大きく変えることがない点もメリットでした。また、電子帳簿保存法の保存要件への対応については、タイムスタンプが記録されるため仕入先にもメリットがあり、登録をお願いする際には良い反応をいただきました。外部サービスとの連携機能がある点も魅力的でした。次のフェーズでAI-OCRとRPAを連携させる施策を検討しています」(宮野氏)


 invoiceAgent 電子取引の導入後は、基幹システムで発注処理を行うところまでは変わらないが、注文書が紙に印刷されるのではなく、PDFファイルが生成され自動でinvoiceAgent への仕分けとアップロードが行われる。同時に仕入先には通知メールが届き、案内に従ってログインするとタイムスタンプ付きの注文書PDFをダウンロードできる。


 同社がもともと導入していた基幹システムは、ERP(SAP)とウイングアークの帳票サーバー「SVF」だった。今回の対応では、SVFで生成される注文書のファイル名にERPで管理する仕入先コードを付与し、監視フォルダに格納するようにした。


 invoiceAgent 電子取引は、一定時間ごとにインターネット経由で監視フォルダの中身を一括でクラウドに移し、配信処理を行う仕組みを持つ。監視フォルダを常にチェックさせて即時配信することも可能だが、同社では注文書の手直しが必要になった場合に備えて、30分おきにチェックする設定にしている。


invoiceAgentを活用した発注業務のシステムフロー

 「発注担当者の目線から見ると、はじめに基幹システムで発注ボタンさえ押してしまえば、あとは自動で注文書が配信されるので、弊社では『自動発注』と呼んでいます。非常にシンプルかつ手離れが良く、使いやすい構成になっています」(宮野氏)


ツール決定からわずか3ヶ月で運用を開始


 ツールが決定した2020年8月上旬から運用開始までは3ヶ月間で、その間に評価版のライセンスでPoC(概念実証)を行って使い心地を実際に試しながら、同時に基幹システムの改修も行っていった。


 プロジェクト体制は、宮野氏らCTCBEの商品管理部が業務要件を取りまとめ、システム構築をCTCの情報システム室が担当した。また、商品管理部内にもプロジェクトチームを立ち上げ、発注の実務を行う3つのチームが通常業務と並行して要件の検討等を進めていった。


 商品管理部では、社内外への事前周知にも注力し、3つの方法により入念に実施した。


 まずは、CTCの標準発注方法をWeb配信に一本化すること、協力が必要であることを記した社内通達を、全社員向けに掲載した。対象となる仕入先は段階的に増やしていく方針であったため、そのタイミングに合わせて合計3回の通達を出した。


 第2に、イントラ上のMicrosoft SharePointに特設サイトを公開し、関連資料を掲載した。また、invoiceAgent 電子取引に未登録の仕入先との取引が発生した際には、基幹システムがこのサイトへ誘導する仕組みを作った。


 第3に、トップダウンでの周知を実施した。CTCの各事業グループの統括部署を通じて、営業取引部署への周知を要請した。


 一方、仕入先への登録案内では、ウイングアークが提供するひな形を元にレターやマニュアルといったドキュメントを用意。下請法対象の企業については、電子取引承諾書に関する文書を追加で作成した。これを1,000社超の仕入先にメールで送付するとともに、メールアドレス登録の要請を行った。ちょうどCTCBEの繁忙期と重なることから、案内の送付や問い合わせ対応、そしてシステムのセットアップについてはCTCグループのCTCファーストコンタクトに業務委託することで対応した。


 「3ヶ月でサービスインできたのはクラウドならではありますが、ウイングアークからの強力なバックアップがあったことが大きかったです。技術面だけでなく業務運用面での踏み込んだ提案をいただけたので、スムーズにサービスインできたのだと思います」(宮野氏)


 


月間6,000件以上の注文書配信が自動化されリモートワークとBCP対策も実現


 注文書のWeb配信開始から約2年が経過し、さまざまな導入効果が得られている。


 定性効果については当初の狙い通り、作業が効率化され、リモートワークとBCP対策が実現している。また、当初は想定していなかった下請法の遵守徹底にも効果が出ている。注文書の到達までのタイムラグがなくなり、Web上の記録で確実な受領確認が行えるようになったためだ。特に作業や開発に関する発注では、注文書が届くまで作業を開始してもらえないため、タイムラグがなくなったことは魅力的だと宮野氏は話す。


 定量効果については、約700社の仕入先が登録を完了。配信件数は平常時で月間約3,000件、年度末のピークでは月間6,000件以上に上る。これだけの量を送っていても、特に問題は起きていない。


請求書の受領から支払い処理までの自動化も検討


 今後は海外仕入先へのWeb配信やRPAを活用した業務自動化の対応を予定している。


 「まずは、海外の仕入先へのWeb配信を開始したいと考えています。invoiceAgent 電子取引は英語に未対応でしたが、現在は多言語に対応しています。ただ、個人情報保護に関する海外の法規制をクリアする必要があり、各所に確認を取っている段階です。


 また、invoiceAgentの仕様に当てはまらないイレギュラーな発注への対応として、RPAの活用を進めています。


 そして、注文請書と請求書の受け取りを電子化する計画も進行中です。現在、AI-OCRとRPAを連携させたツールの開発に取り組んでおり、電子帳簿保存法に対応するためシステムと連携させる予定です。さらには受領した請求書を元に、支払い処理まで一度に自動化することも考えています。まさにinvoiceAgent 電子取引を起点としたデジタル化を進めている状況です」(宮野氏)


 CTCBEは、引き続き業務改善を進めていき、ペーパーレス化にとどまらないCTCグループのDXを加速させていくはずだ。


※2022年6月より「invoiceAgent TransPrint」は「invoiceAgent 電子取引」に名称を変更しました。


Company Profile

CTCビジネスエキスパート株式会社

設立:2017年11月1日
所在地:東京都港区
事業内容:CTCグループ会社からの職能業務(財務、経理、商品管理関連)の受託
URL:https://ctcbe.ctc-g.co.jp/

商品管理部 宮野 寛久 氏

導入製品

取引帳票の送受信から管理まで、すべて一括で行えるクラウド型の電子取引ソリューションです。

 
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