導入事例

ダイキン工業株式会社

ダイキン工業株式会社

SAPを起点に帳票の作成から保存・配信までをシームレスに実現
グローバルを見据えた統一基盤化への挑戦

世界170ヶ国以上でビジネスを展開するダイキン工業。同社化学事業部では、2018年に業務の標準化・シンプル化を目的とした「グローバル統一基盤プロジェクト」を発足し、帳票作成から配信までをシームレスに実現する帳票システム基盤として「SVF」「invoiceAgent 文書管理」「invoiceAgent 電子取引」を採用。グローバルを見据えた帳票のデジタル化・一元管理に役立てている。

導入背景

ダイキン工業 化学事業部は日本、アジア、欧州、北米に拠点を構え、海外売上高比率は73%にものぼる。そこで日本が旗振り役となり、2018年に化学事業部における業務の標準化、シンプル化を目的とした「グローバル統一基盤プロジェクト」を発足させ、グローバル各社を束ねる一元管理に着手した。

課題
  • リアルタイムに事業部全体の業績が把握できず、タイムリーな経営判断ができなかった
  • 取引計上基準などのグローバルルール取引計上基準などが曖昧なため数字の精度が低く、横並びで管理するための修正工数がかかっていた
  • 業務の属人化により、効率化を追求しきれていなかった
  • グローバルで見ると、関係会社同士で重複した作業を実施していた(会社間の取引・成績書などのインプット、EHS法規の調査など)
  • 同じようなシステムを各社それぞれに構築・維持していた
解決策導入ポイント
  • 共通化が可能なグローバル周辺の帳票システムをウイングアーク1st製品で一元化
  • 帳票の作成にSVF、帳票の保存にinvoiceAgent 文書管理、帳票の配信にinvoiceAgent 電子取引を採用して「業務の簡素化・標準化」「システムによるシームレス化・効率化」「情報の高度化」を推進
効果
  • 一気通貫の帳票ソリューションで基幹システムから帳票配信までをシームレスに展開
  • 自動化により業務効率化、ヒューマンエラー防止、ガバナンス強化を実現

日本が旗振り役となる、グローバル統一基盤プロジェクト


 DX成功の鍵を握る業務効率化。デジタルツールやクラウドを活用しながら効率化に励む一方、各方面で独自ルールの適用や、オペレーションが属人化しているなど課題は多い。世界を股にかけるダイキン工業でも、この難題解決に果敢に取り組んでいた。同社の化学事業部では2018年から「グローバル統一基盤プロジェクト」に着手。化学事業部は日本、アジア、欧州、北米に拠点を構え、海外売上高比率は73%にものぼる。それだけに日本が旗振り役となり、グローバル各社を束ねる一元管理が求められていた。


 化学事業部 製造企画部 プロジェクトマネージャーの中井 和弘氏は、プロジェクトの狙いを「市場変化、顧客変化、法制度変更などに柔軟に対応し、適宜適切なアクションを判断、実行できるレベルにグローバル管理スピード、精度を向上させること。この課題解決に向け、『業務の簡素化・標準化』『システムによるシームレス化・効率化』『情報の高度化』の3本柱を掲げました」と話す。


 特に、帳票の作成、保存、配信などは日々繰り返されるノンコア業務の典型だが、いまだに人力でカバーする企業も多い。そこに費やす工数が劇的に削減されたら、それこそ業務効率化に直結する。 


ダイキン工業 化学事業部 製造企画部 中井 和弘 氏

基幹系システムのみならず、個別開発の周辺システムもサイロ化


 今回のプロジェクトでは、問題の根本を探る「なぜなぜ分析」によって徹底的に課題を洗い出すことから始めた。例えば、“リアルタイムに事業部トータルの業績が把握できていないため、タイムリーな経営判断ができない”“グローバルルール(取引計上基準など)が曖昧なため数字の精度が低く、横並びで管理するための修正工数がかかっている”“業務の属人化により、個々人の能力や良心に任せられているため効率化を追求しきれていない”などの課題を、膨大なイシューリスト(課題一覧表)として作成。そこから見えてきた現状について、中井氏は「管理スピードや精度の課題もさることながら、情報の分散による業務非効率化、業務の属人化による将来的なリスク、手作業による工数増加やミス・不正などのリスク、保守作業の多重化といった課題が浮かび上がってきました」と説明する。


 課題解決に向けて掲げたのが、先述した「業務の簡素化・標準化」「システムによるシームレス化・効率化」「情報の高度化」の3本柱だった。これにより、プロセス標準によるリスク低減、データ収集から分析活用へのシフト、工数削減、ガバナンス強化、保守作業によるコスト削減などを“あるべき姿”に設定。まずはシステム面の改革に乗り出した。 


「グローバル統一基盤プロジェクト」実現に向けた現状の課題とあるべき姿

 前述の通り、化学事業部は世界各地に拠点があり、SAP、非SAP、スクラッチなど各地域で利用する基幹系システムが異なる。現在はそれらのデータをグローバル集約システムによって統合しているものの、収集時にコード変換が必須で、Excelによる集約工数が重荷だ。仮に同じSAPであってもデータ元やデータメッシュの加工に非常に手間がかかるといった問題もある。さらに基幹系以外の周辺システムも個別開発によってサイロ化し、数々の無駄が生まれているという。


 これらを解決するために、各地域で利用しているシステムをSAPによる「統一基盤」として再構築。共通化可能な周辺システムは「グローバル周辺」として標準化するグローバル連携の道筋を定めた。そのうえで従来のグローバル集約システムをデータレイクとして中間に置き、統一基盤とグローバル周辺を一気通貫で連結させる。 


シームレスな帳票ソリューションで業務効率化、ヒューマンエラー防止、内部統制強化を実現


 統一されていない周辺システムは、グローバルの帳票業務にも影響を及ぼしていた。中井氏は「各社バラバラのシステムのため同じ目的の帳票のレイアウトが異なっており、グローバル企業としてはいただけないと考えました」と振り返る。



 そこで帳票システムの抜本的な見直しを実施。その結果、ウイングアーク1stが提供する総合帳票基盤ソリューションの「SVF」、電子帳票プラットフォームの「invoiceAgent 文書管理」「invoiceAgent 電子取引」をグローバル周辺の帳票システムとして採用した。SVFは帳票の作成、invoiceAgent 文書管理は帳票の保存、invoiceAgent 電子取引は帳票の配信で活用している。


 採用にあたっては、帳票機能に求める業務要件を細かく抽出してSAP標準の帳票機能と比較検討した。作成については「プリンターの選定が不要でグローバルで使用可能、レイアウト調整の容易さ、PDF化の容易さ」、保存については「帳票の作成から保存までがシームレスにできること、検索の容易さ、外部から入手した帳票の保存、タイムスタンプの付与」、配信については「相手先別の配信、検索の容易さ、配信先で一定期間保存可能、配信時の通知、相手先からの入手」を要件としてまとめた。


 「比較したところ、作成、保存、配信すべてにおいてウイングアーク1stのほうが優れていました。例えばSAP標準ではレイアウトの調整をSEに依頼する必要があったり、指定プリンターしか使えなかったりしますが、SVFは帳票設計ツールの『SVFX-Designer』で簡単にレイアウト変更ができ、プリンターも自由に選べます。invoiceAgent 文書管理はSVFとの組み合わせでシームレスに保存でき、検索キーを付与しなくても全文検索が可能です。配信では顧客がクラウドから帳票を入手できるようになったため、当社からのメール添付ミスや顧客の見落としが激減しました」(中井氏)


 全体の流れはこうだ。まずSAPからCSVファイルを書き出し、連携したSVFがPDFを作成。PDFはBridgeサービスというウイングアーク1stの独自機能によってオンプレミス版のinvoiceAgent 文書管理に保存される。ここに保存された帳票はアクセス権限がある社員が自由に閲覧・確認ができる。ここまでがイントラネット内のフローとなる。


 そこから顧客への送信も自動化しているのがポイントだ。オンプレミス版のinvoiceAgent 文書管理に保存された帳票は文書をセキュアに共有するフェデレーション機能によってクラウド版のinvoiceAgent 文書管理にコピー。顧客はinvoiceAgent 電子取引にログインすることでクラウドから帳票をダウンロードでき、配信フォルダの詳細のみがメールで通知される。


 「我々にとって、クラウド上で帳票を保管し続けることはセキュリティ上の懸念材料でした。そのためオンプレミスで保管することを前提に運用し、クラウドはあくまでも配信のみに活用しています。invoiceAgent 文書管理のフェデレーション機能によって双方の環境を分断することで、強固なセキュリティ面を担保できるようにしています」(中井氏) 


SAPを起点にしたシームレスな帳票の作成、保存、配信のイメージ(送信時)

 本ソリューションは日本が先行して2022年12月から運用を開始した。社内からは「帳票に検索キーを付与する必要がなくなり、全文検索できるので利便性が高まった。どこにいても閲覧・確認ができるのもありがたい」との声が寄せられ、顧客にも「メールで個別に帳票が添付されるよりも、クラウドから取り出すほうが良い」とポジティブに受け止められた。


 「SAPにCSVを作成するところから配信までがシームレスに展開できるようになり、人の手が介在しないことで業務効率化、ヒューマンエラー防止、内部統制の強化を実現できたのは大きな収穫です。また、従来は納品後に個別メール送信や納品物に同梱していた帳票類が出荷時に届くので、社外からも利便性が向上したとの反応をいただいています」(中井氏) 


対応帳票の種類を増やし、グローバルでの帳票デジタル化を加速させたい


 SAPの統一基盤は日本では稼働済みであり、2023〜2024年にかけてグローバルでも稼働する計画を立てている。もちろんグローバル周辺のSVFinvoiceAgentについても同様で、中井氏は「各地のインフラ、言語、セキュリティなども確認しながら展開・構築していきます」と展望を語る。


 一方、invoiceAgentによる電子帳票の受信が目下の課題だ。送信に関しては自動化を実現したが、クラウドとオンプレミスをまたいで社外から帳票を取得するフローに関してはセキュリティポリシーの面からもさらなる検討を重ねていく。


 「クラウドで受信ができることは確認済みですので、セキュリティや統制などを考慮した上で、受信したPDFファイルをシームレスに自社システム側に取り込むことができれば、電子帳簿保存法についての対応もより加速するはずです」(中井氏)


 中井氏が指摘するように、2024年1月に迫った改正電子帳簿保存法の施行にあわせて帳票電子化のニーズは増えていくに違いない。事実、invoiceAgent 文書管理は公益社団法人日本文書情報マネジメント協会から「電帳法スキャナ保存ソフト法的要件認証」「電子書類ソフト法的要件認証」「電子取引ソフト法的要件認証」を取得しており、タイムスタンプ付与、高度な検索機能、証跡管理など、対応するための法的要件を十分に満たしている。


 現在のところ、本ソリューションで取り扱う帳票の種類は限られているが、他にも対象を拡大するべく、例えば紙ベースのまま運用してきた購買依頼の仕様書をinvoiceAgent経由でSAPから参照するオペレーションのテストも進んでいる。「社内からも早く他の帳票のデジタル化を進めてほしいとの要望がたくさん来ています。今後もウイングアーク1stと連携を取りながら加速させたいですね」と中井氏。グローバル企業が取り組む“本気の帳票DX”は、まだまだ進化を続けそうだ。 


Company Profile

ダイキン工業株式会社

設立:1934年
所在地:大阪市北区
事業内容:空調・冷凍機、化学、油機、特機、電子システム
URL:https://www.daikin.co.jp/

化学事業部 製造企画部 中井 和弘氏

導入製品

市場シェアNo.1の導入実績。SVFは抜群の安定稼働率を誇る帳票の総合運用ソフトウェアです。帳票開発、運用、印刷、PDF出力、セキュリティなど帳票に関する様々なソリューションを提供します。

取引帳票の送受信から管理まで、すべて一括で行えるクラウド型の電子取引ソリューションです。

あらゆる帳票の仕分けから保管、検索、他システムとの連携も可能な文書管理ソリューションです。

 
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