株式会社ウエノフードテクノ
AS/400基幹データの活用を促進
ペーパーレス&帳票デジタル化と、データドリブン経営にむけた基盤作りに挑む
株式会社ウエノフードテクノ(以下、ウエノフードテクノ)は、基幹システムであるAS/400(IBM i)とinvoiceAgentの連携により、取引先との各種紙帳票のペーパーレス&デジタル化に取り組んでいる。さらに今回、新たな取り組みとしてデータ活用基盤Dr.SumとBIダッシュボードMotionBoardを導入し、データドリブン経営に向けた基盤作りに確かな手ごたえを感じている。
導入背景
基幹システムにAS/400を利用する同社は、注文書や請求書などの帳票が紙出力のため発送手続きの社内工数の負荷が高く、かねてよりペーパーレス化を検討していた。さらに、AS/400からデータを取り出すまでに労力がかかり、月次会議用の資料取りまとめ工数負荷が高くなっていた。加えて社内のデータ利活用が思うように進まないという課題も抱えていた。
- 課題
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- コロナ禍で出社が難しくなり、取引先への注文書、請求書などの発送業務が滞る
- 基幹システムからデータを抽出、加工しての月次の会議資料作成に多大な工数がかかる
- 販売・損益などの実績管理やシミュレーションを全社で行えるようにしたい
- 解決策導入ポイント
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- invoiceAgentによる各種帳票の取引先へのWeb配信を実現
- Dr.Sum+MotionBoardで基幹システムのデータ活用性を向上
- 基幹システムAS/400(IBM i)との連携性および導入実績の豊富さが採用の決め手に
- 効果
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- 取引帳票をWeb配信することでペーパーレス化、業務効率向上と郵送コスト、残業時間の削減
- 基幹システムからのデータの抽出および会議資料作成工数の削減
- 社内のデータ活用とDX推進に向けての基盤作りに確かな手ごたえ
フェーズ1:取引先への紙帳票の発行業務における負荷をinvoiceAgentで軽減
ウエノフードテクノは1918年の創業以来、経営理念にある「創意工夫」の精神をもとに、食品添加物並びに製造環境の衛生管理に必要なエタノール製剤、洗浄除菌剤などの製造販売をしている。微生物制御技術において「トータルサニテーション」をキーワードに、食の安全・食品ロス削減に貢献してきた。
食品衛生法の改正により業界に義務付けられたHACCP、その記録管理の効率化を支援するSaaSツール「ハレコード」の提供開始や、JFS-A/B規格の監査会社登録、コンサルティングなども行っている。「食にプラス+」というミッションを基に、微生物制御技術をさらに進化させ、デジタル社会にも対応し、新たな視点とサービスで食に関わる新たな価値を創造し続けることで、食品ロス削減及び豊かな社会への貢献を目指している。
同社は、2021年、invoiceAgent 電子取引を導入。当時の課題および導入の経緯について、総合企画部 ITマネージャ 次長の米田 和繁氏は次のように語る。
「当社は基幹システムであるAS/400(IBM i)から、各種取引帳票のスプールファイルを、プリンターを介して紙出力し、注文書はFAX、請求書は郵送で取引先に送付していました。しかし、コロナ禍で出社が難しい状況となったことを機に、懸案であったペーパーレス化を実現するべくWeb配信への移行を検討しました。相手先があることなので不安もありましたが、当時はコロナ禍で取引先も同じような状況であったため、理解が得られやすかったように思います。invoiceAgentの選定に際しては、長年お付き合いのあるシステムベンダーの第一コンピュータリソースからの推薦もあり、AS/400との連携性が高いこと、導入実績も豊富であることを評価し、採用を決定しました。」
invoiceAgentの導入成果について、生産本部 生産統括部 購買課 課長の林 実氏と営業本部 営業管理部 業務課 課長の松田 芳寛氏は、次のように語る。
「発注書のWeb配信によるペーパーレス化が実現し、出力やFAX送信、帳票の保管など、業務工数を大きく削減できました。基幹システムから帳票を発行するフローや書面の見た目も大きく変えることなく、プリンターで出力、FAXで送付していたところがプリンター出力と同工程でWeb配信でき、変化点も少ないため、業務担当者もすぐに使いこなせました。」(林氏)
「当部では全国の拠点で毎日、納品伝票が500から1,000枚、さらに毎月20日と月末のタイミングで請求書の発行業務があります。従来はそれらの紙帳票を取引先ごとに封入、封かんして郵便局の締め時間までに発送せねばならず、毎日1人あたり30分から1時間ほど費やしていました。invoiceAgent導入後は、それらの作業負荷に加えて、郵送コストや取引先からの伝票がいつ届くのかといった問い合わせ対応も減り、残業時間も削減できています。」(松田氏)
フェーズ2:基幹システムAS/400とDr.Sum・MotionBoardの連携により社内データ活用を促進
DXを推進する同社が次に取り組んだのが、販売や損益に関する社内データの活用促進だ。同社は2023年、基幹システムであるAS/400から必要となる情報を蓄積するデータ基盤としてDr.Sumを、数値の見える化とレポーティングを担うBIダッシュボードとしてMotionBoardの活用を決定する。
取締役(総合企画部・品質保証部担当) 総合企画部長の荒井 祥氏は、従前の課題を次のように話す。
「当部は毎月の経営会議に向けて、基幹システムから CSV形式でExcelにデータを出力、加工して資料を作成、それを購買や営業などの各部門に送付して数値を入力してもらい、報告資料に取りまとめています。当社は標準原価制度を用いており、特に近年は原材料の高騰や為替の変動もあってより細かく実績数値を注視する必要があるのですが、このとりまとめ作業に毎月かなりの工数がかかっており、効率化したいという思いはずっとありました。」
こうした課題解決にDr.SumおよびMotionBoardを選定した経緯について、米田氏はこう明かす。
「各部門も資料の作成より数値の分析の方に重きを置きたいですし、社長からも会議資料をもっと簡素化せよとの指示もあり、本格的な検討を開始しました。ウイングアークのカンファレンスイベント「UpdataNOW」に参加して両ツール共にAS/400との連携性が高いことを知り、当社がお付き合いのあるシステムベンダーも連携構築経験が豊富であることが、選定の決め手となりました。AS/400は現場部門が必要なデータを取り出しにくい面がありますので、自分たちで Excelインターフェイス上にデータを出力できるDr.Sumと、各現場部門のレポーティング、データの見える化ツールとしてMotionBoardが有効と判断しました。各部門では基幹システムから抽出したデータに現場の数値を加えることも多いため、Excelインターフェイスオプションでデータを入力、分析、更新もできるMotionBoardは、当社のニーズに合致します。」
構築は2023年3月からスタート。AS/400のテーブルイメージが独特であることや、文字コードの兼ね合いでソートの順序が変わるといった難しさもあったが、システムベンダーの豊富な知見とウイングアークとの連携によって乗り越え、予定通り2024年6月に完了。秋からの本番運用を目指し、現在はテスト運用が開始されている。
現時点での導入の手応えについて、各氏は次のように語る。
「これまで行ってきたレポートの取りまとめが、MotionBoardでより楽に行える手ごたえを感じました。」(林氏)
「企画部署では基幹系から吐き出したデータにさまざまな数値を加えて、毎月定型ではないレポートを作成しますので、その工数をどうすれば効率化できるか、試行錯誤を重ねています。」(荒井氏)
「前述の通り当社の基幹システムであるAS/400は、各現場部門が必要なデータを取り出しにくいことでこれまで長く苦労してきましたが、今回のDr.SumとMotionBoardの導入により、必要なデータを必要な時に取り出せて、会議資料の作成工数を大幅に削減できます。さらに、月次での会議の場だけでなく日々の業務の中でも、これまでなかなか容易には実行できなかった販売や損益のシミュレーションなど、データをさらに利活用する文化が醸成される期待があります。」(米田氏)
今後:デジタル化による業務効率化とデータ活用の全社展開でDXのさらなる加速を
こうして取引帳票のデジタル化を実現、社内データ活用の基盤作りにも確かな手ごたえを得た同社は今後、さらなるDXの加速に取り組む構えだ。
「取引帳票のWeb配信については今後、invoiceAgentと他アプリケーションを連携させることで、取引先に当社が発行した帳票をクラウドサービス上で受け渡す仕組みを検討したいと考えています。基幹データの活用については、当社は製造メーカーですので、販売計画を基に工場側で作成した生産計画に沿って購買課で原材料を発注、というサイクルがあります。現状では会議を踏まえて毎月のように手入力で生産計画を練り直していますので、今回導入したDr.SumとMotionBoardの仕組みを工場側にも波及させて業務を効率化、よりタイムリーなデータを全社で活用し、DXを推進していきたいと考えています。将来的には基幹システムのリプレイスも視野に入れていますので、引き続きウイングアークのソリューション提供に期待しています。」(米田氏)
Company Profile
株式会社ウエノフードテクノ
設立:2016年
所在地:東京都千代田区(東京本社)、大阪市中央区(大阪本社)
事業内容: トータルサニテーション事業(食品添加物、食品衛生化資材等の製造販売・研究開発、食品衛生コンサルティング、微生物検査、WEBサービスの提供)、糖アルコール製品の販売・研究開発
URL:https://www.ueno-food.co.jp/
導入製品
invoiceAgent 電子取引
取引帳票の送受信から管理まで、すべて一括で行えるクラウド型の電子取引ソリューションです。
Dr.Sum Cloud
企業のデータ活用を加速させるデータ分析基盤。10億件のデータを1秒台で集計するデータベースエンジンと、専門知識を必要としないExcel・Webブラウザのインターフェイスで、見たいレポートを瞬時に取得します。
MotionBoard Cloud
ビジネスのあらゆるデータを可視化するクラウド型BIダッシュボードサービス。データを必要なカタチで、シンプルに可視化します。