藤田金屬株式会社
2千数百社の取引先に対する、月間約2万通に及ぶ請求書、納品書の発送をWeb配信へ移行
投資額回収を上回るコスト削減で年間約1,700万円の効果
- 業種
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サービス
藤田金屬株式会社(以下、藤田金屬)は、これまで紙ベースで発行し郵送していた請求書・納品書の電子化およびWeb配信に着手した。ウイングアークのクラウドサービス型総合帳票基盤ソリューション「SVF Cloud」、および電子帳票プラットフォームの「invoiceAgent 文書管理」「invoiceAgent 電子取引」を導入し、大幅な業務効率化とコスト削減を達成するとともに、電子帳簿保存法への完全対応に向けた土台を築いた。
導入背景
藤田金屬では中期経営計画における「業務の改革と品質の向上」を実現するため、さまざまな取り組みを進めてきた。その中で今回着手したのが、請求書・納品書の電子化とWeb配信である。その目的は、紙ベースの帳票の印刷・郵送・保管にかかる作業負担とコストの削減、そして将来的な電子帳簿保存法への完全対応であった。
- 課題
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- AS/400との関係で帳票出力に利用しているドットプリンター運用を廃止したい
- 紙で印刷・郵送していた請求書、納品書などを電子化し、担当者の業務負荷やコスト削減をしたい
- 将来的な電子帳簿保存法への完全対応に向けて、社内帳票の電子化が求められていた
- 解決策導入ポイント
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- SVF Cloudの採用で、請求書、納品書をはじめとした社内帳票をPDF出力に切り替え、柔軟な電子化を推進
- invoiceAgentの活用により、請求書・納品書のWeb配信と電帳法の要件を満たした文書保管を両立実現
- オンボーディングプログラムを活用し、早期立ち上げ運用開始を実現
- 効果
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- 最大で半日以上かかっていた請求書、納品書、ロス買取明細書、加工報告書の発行、郵送が不要になり、担当者の作業負担が大幅に抑制できた
- 取引先への帳票類のWeb配信を実現し、投資額回収を上回るコスト削減で年間約1,700万円の効果を挙げた
- 帳票の電子化に伴って社内業務の標準化が進んだほか、ガバナンス強化も実現した
月間約2,000通の請求書、2万通の納品書の電子化とWeb配信に着手
1892年に創業し、新潟県新潟市に本社を構える藤田金屬は、ステンレス・特殊鋼、薄板、厚板、建設建材など、あらゆる鋼材の加工、販売、レンタルを網羅する鉄の総合商社だ。同社では、2022年4月から2025年3月までを対象とする中期経営計画において、「Re:BUiLD『これまでの最適』から『これからの最適』へ」をスローガンに掲げ、ビジネスや業務の革新に取り組んでいる。「このスローガンには、創業以来、当社が積み重ねてきた強みを生かしながらも、時代の変化を見据えた新しい価値を創出していく、という想いが込められています」と強調するのは、執行役員 管理本部 本部長を務める小笠原 竜一氏だ。
この中期経営計画の基本戦略の1つに挙げられているのが「業務の改革と品質の向上」であり、その実現に必要不可欠だったのが、IT・デジタル化の推進である。藤田金屬は、これまでオンプレミスで運用してきた基幹系システムやグループウェアをクラウド化するなど、時代の趨勢を見据えながらIT基盤を進化させるとともに、業務改革にも取り組んできた。
こうしたIT活用による業務改革の一環として新たに着手したのが、帳票の電子化、および請求書・納品書のWeb配信である。「当社の取引先は、大企業から中堅・中小企業まで約2千数百社に達しており、ドットプリンターと複写紙の連続帳票を使用して月間2,000通を超える請求書、約2万通もの納品書を作成していました。さらに手作業による切り離しや仕分け・封緘・郵送、さらには保管・廃棄といった煩雑な業務も発生しており、これらを電子化すれば、作業工数やコストを大幅に削減できると見込んでいました」と、小笠原氏は説明する。
「以前から請求だけでなく、仕入れや支払いなど、多岐にわたる業務のワークフローを電子化し、コストを削減し業務を効率化したいと考えていました。そうした中、2023年10月からインボイス制度が始まったこと、電子帳簿保存法の改正に伴い2024年1月から電子取引データの保存が完全義務化されるといったタイミングもあり、まずは当社の主導によって取引先に協力を働きかけられる請求書・納品書のWeb配信、および帳票の電子化から着手することにしたのです」(小笠原氏)
電子帳簿保存法への完全対応も見据え、
ウイングアークの総合帳票基盤と電子帳票プラットフォームを選択
帳票の電子化、および請求書・納品書のWeb配信を実現するにあたり、藤田金屬は複数のソリューションを比較検討した。その結果、最終的に採用されたソリューションが、ウイングアークのクラウド帳票サービス「SVF Cloud」、および企業間で流通する帳票類を保管・配信する電子帳票プラットフォームの「invoiceAgent 文書管理」「invoiceAgent 電子取引」だ。
これらのソリューション群の組み合わせを選択した大きな理由には、invoiceAgent 電子取引が大量の請求書・納品書配信に耐えうる高い処理能力があったこと、invoiceAgent 文書管理により電子帳簿保存法やインボイス制度に対応した文書の管理・保存が行えることだった。加えて、請求書・納品書の電子化だけでなく、今後、さまざまな社内帳票を電子帳簿保存法に対応させていくにあたり、SVF Cloudであれば、帳票の電子化に向けた柔軟な帳票設計や運用が行えることも採用の理由となった。「ウイングアークの一連のソリューションを導入すれば、請求書・納品書のWeb配信が完了した後に、電子帳簿保存法への完全対応に向けた準備にもスムーズに対応できるという思いがありました」と小笠原氏は振り返る。
導入前の不安を解消し、スムーズな構築を後押しした「オンボーディングプログラム」
2023年4月から請求書・納品書の電子化、およびWeb配信に向けた設計、導入作業が開始された。ウイングアークによるサポートのもと、導入作業は順調に進められ、同年9月には先行配信が、10月には本番運用を遂げている。
このようなスムーズな導入を後押ししたのが、ウイングアークによる利活用・定着支援サービス「オンボーディングプログラム」だ。同サービスは、専任のカスタマーサクセスマネージャー(CSM)が、導入後の目標設定からシステムの初期構築、ビジネスの成果創出までを支援することで、導入企業がウイングアークのソリューションを理解し、継続的に活用してもらうようにするためのものだ。いわば、CSMが「家庭教師」とも言える存在となり、導入企業の担当者が自ら設計・運用が行えるようサポートする伴走型サービスである。
情報システムチーム 課長役の小林 明宏氏は、「外部のシステムを利用するのが初めてだったこともあり当初はSVF CloudやinvoiceAgentについて、設定どころか使われている用語も分からず、どのようにして導入を進めていけばよいのかと不安を抱えていましたが、CSMの方から一段一段、階段を上がっていくように親切丁寧に製品知識や設定方法を教えてもらえたこと、具体的な絵(構成図、業務フロー)を描いて説明いただけたことで理解を深められ、スムーズに導入作業を進めることができました。各現場部門に対してもその絵を活用し説明することができました。最初に抱えていた不安が払しょくされ、導入作業終了時には『楽しかった』とまで思えるようになったのは、まさにオンボーディングサービスのおかげです」と評価する。
なお、請求書・納品書のWeb配信の実施には、発行元となる各事業部との調整にも尽力したという。「これまで事業部ごとに帳票のフォーマットや業務フローが異なっており、システムも個別最適化されていました。しかし、請求書・納品書の電子化、およびWeb配信に伴い、業務フローも含めた標準化に踏み切りました。その際、現場部門と情報システム部との間でニーズのすり合わせや調整を行ってもらうために経理部門の担当者をメンバーに招き入れ、プロジェクトが円滑に進められるよう社内体制の構築にも注力しました」(小笠原氏)
半日以上かかっていた請求書発行・送付業務がゼロに
年間1,700万円以上のコスト削減も実現
請求書、納品書に加え、ロス買取明細書、加工報告書といった4帳票のWeb配信の本番運用を迎え、現時点では月間でおよそ2万帳票のWeb配信を実現している。また、現場部門である事業部からの要望に応え、年内追加で2帳票のWeb配信を計画している。
また、今回構築されたシステムは、基幹系システムからデータがSVF Cloudに受け渡され、あらかじめ設計されたフォーマットに則ってPDF化された後、invoiceAgentを通じて配信、管理される仕組みとなっている。なお、全国21ヶ所の営業所それぞれで2名以上の担当者、および本社担当者を含めた約70名がinvoiceAgentのユーザーとなり、請求書・納品書の確認を行っているという。
SVF Cloud、およびinvoiceAgentを活用した電子帳票化、およびWeb配信により、藤田金屬は数多くのメリットが得られているという。
その1つが、現場担当者の業務効率化だ。「毎月20日、および月末の締め日には大量の帳票印刷だけでなく、手作業による切り離しや仕分け・封緘・郵送といった作業が全国の21ヶ所の営業所で発生しており、その作業には大規模店の場合約半日を要していました。しかし、今回の帳票電子化、Web配信に移行したことで、それらの作業が不要となり、現場の担当者からはとても喜ばれています」と小林氏は話す。
投資コストの早期回収も特筆すべき効果だという。「電子帳票化のランニングコストは約1,000万円ですが、これまでかかっていた帳票の印刷から郵送・保管・廃棄、および人件費を含めると、約1,700万円の削減となっており、十分にコスト回収ができています。今後、帳票の電子化を推し進めることで、さらなるコスト削減が実現できると期待しています」と、小笠原氏は語る。
このほかにも、invoiceAgent 文書管理により、ガバナンスも強化できている。「これまでは、請求書・納品書の控えを取引先ごとにファイリングして保管していましたが、どうしても人手による作業であるため、抜け漏れなどが生じていました。しかし、今回の電子化により、そうした帳票の欠落も解消されるようになります。また監査には、これまで紙の帳票を一枚一枚めくって確認するなどの作業が発生していましたが、電子化に伴って検索性が向上したことで、監査業務の効率化も図ることができると期待しています」と小笠原氏は話す。PDF化された電子帳票の保管には、保管先フォルダを用途別に細かく分類したいという要望も寄せられていたが、invoiceAgent 文書管理の検索機能を使えば、簡単で手早く必要な帳票を見つけ出すことができるので、詳細なフォルダ分けは不要なほどだ。
9割以上の取引先が切り替えに賛同、取引先の業務効率化にも貢献
電子帳簿保存法の対応に向け、さらなる帳票の電子化も推進
今回の請求書・納品書のWeb配信は取引先からも好意を持って迎えられている。二千数百社の取引先のうち、9割以上の取引先に対してWeb配信が行われている。「納品書は取引した次の日には、請求書は締め日の翌日にはダウンロードできます。さらに請求書についてはCSVデータの形式でもお渡ししています」(小林氏)「取引先の担当者の方に、保管の容易性をはじめ、受け渡しに関する時間の短縮化など、電子化によるメリットを説明したことで、当初想定した以上にWeb配信を受け入れていただきました。今回の取り組みは、取引先企業の業務効率化にも貢献できたのではないかと考えています」と、経理部 経理 財務チーム 遠藤 慎二氏は話す。
SVF Cloud、およびinvoiceAgent 文書管理、invoiceAgent電子取引の導入により、多方面にわたる業務効率化を実現した藤田金屬。これからもウイングアークのソリューションを基軸として、他の社内帳票の電子化も推し進め、さらなる業務変革に取り組んでいく。
最後に小笠原氏は、次のようにウイングアークに対する期待と要望を語った。
「電子帳簿保存法によるメリットを利用者が享受できるようになるためには、現在のPDFなどによるやりとりだけでなく、取引先が相互に利用可能なデータを用いて、それを自社のシステムに取り込み、業務に活用できるような仕組みが必要であると考えています。そのためには、共通のデータフォーマットの策定と普及が不可欠です。ウイングアークには民間企業の立場から、他事業者とのさらなる連携を期待しています」(小笠原氏)
Company Profile
藤田金屬株式会社
創業:1892年
本社所在地:〒950-8588 新潟市中央区八千代1丁目7番20号
事業内容:各種鋼材の販売・加工、土木・建築用重量・軽量仮設材のレンタル、各種設計・施工
URL: https://www.fujita-kz.com/
導入製品
invoiceAgent 電子取引
取引帳票の送受信から管理まで、すべて一括で行えるクラウド型の電子取引ソリューションです。
invoiceAgent 文書管理
あらゆる帳票の仕分けから保管、検索、他システムとの連携も可能な文書管理ソリューションです。
SVF Cloud
SVF Cloudは日本固有の複雑な帳票フォームの設計と、PDFやExcelなどの美しい出力をクラウドで実現。