
大量の帳票作成とデータの加工がシステム部門にとって大きな負担に
神東塗料株式会社(以下、神東塗料)は、各種工業用から建築用、道路用、さらには防食用まで多様な製品を手掛け、特に環境対応型塗料の分野では「水の神東」と呼ばれる水系塗料の開発力を武器に、業界をけん引してきた。近年はメーカーの現地生産ニーズに応えるべく海外展開にも注力し、順調に事業を伸ばしている。従来からあるタイ、台湾などの拠点に続いて、2014年秋にはインドネシア工場が完成する予定だ。
同社では、かねてからデータ活用に精力的に取り組んできた。具体的には営業の売上情報や生産情報など、システム部門が約600種類の紙ベースの帳票を作成して全社配布。また、Excelファイルで営業スタッフへのデータ提供も実施してきた。
しかし、大量の帳票作成に必要なシステム部門の労力は決して小さくない。また、社員の要望に応えるうちにExcelファイル数も増加し、データ提供のコントロールが困難な状況となった。
企画・経理室(情報システム)課長の津田 政治氏は、「従来使っていた独自の集計ツールは、システム部門以外のスタッフがデータ集計や加工を行うのが困難でした。そのため、データ提供にあたり我々の介在が必須となり、その結果、データのスピーディな提供が困難で、我々も作業に追われていたのです」と打ち明ける。
基幹業務「MC Frame」の親和性の高さや使い勝手などを高く評価しDr.Sumを採用
状況を打開する契機となったのが、2009年から開始された基幹システムの刷新プロジェクトである。25年前に構築された基幹システムを、業務変革に対応し競争力に打ち勝つシステム、さらに業務の停止を防いで継続的な安定運用を可能とするシステムの構築を目指した。基幹システム刷新プロジェクトを推進する中で、調査の上パッケージソフトを選定する方針を固め、10社以上の製品の中から採用されたのが、生産管理・原価管理アプリケーション「MCFrame」(開発元:東洋ビジネスエンジニアリング株式会社)だ。予算管理などのデータも含めた集計・分析には、「MCFrame」と親和性が高い「Dr.Sum EA」を採用した。
津田氏が採用の決め手に挙げるのが、「ユーザー部門での使い易さ」「処理の高速さ」「導入コスト」の3点である。
現場レベルで誰もが社内データを扱えるBIツールとして、Dr.Sum EAのことは知っていました。その上で、システム刷新プロジェクトのパートナーである株式会社日立ソリューションズから提案を受け、マスターデータとトランザクションデータを一つのデータとして扱え、分かりやすいインターフェイスで的確なデータ抽出が可能な点を評価したのです」(津田氏)
神東塗料では2010年4月にDr.Sum EAの採用を正式決定。2010年12月から導入に着手し、約4ヶ月後の2011年4月から本番稼働を開始した。新分析システムでは、受注や出荷、売上請求などの販売管理データや、生産管理データ、原価管理データが夜間バッチによりMCFrameから日次でDr.Sum EAサーバーに取り込まれている。その件数は売り上げと仕入れに限っても月あたり数万に上るという。
2013年度の全社での集計回数は7万回に到達
神東塗料では、分析システムの早期の利用拡大に向け、社内での利用定着に配慮した。
企画・経理室(情報システム)課長の窪田 雅明氏は、「新分析システムの利用を促すために、簡易マニュアルを使った社内講習を繰り返し実施しました。また、従来利用頻度の高かった帳票に似せた集計形式になるように、ビューや集計定義を作成し稼働に備えました」と振り返る。
確実な計画とステップを踏み、Dr.Sum EAを活用した集計・分析システムの利用は稼働直後から軌道に乗っている。営業部門に加えて生産部門や物流部門、検査部門などにも利用は広がり、2013年度における総集計回数は7万回、定義の雛形ファイル数も60に達するほどだ。
神東塗料の情報活用機運は着実に高められている。窪田氏は、その効果を次のように語る。
「検査部門では、各種製品の検査データを製造ロットごとに管理し、各検査項目の値の推移を見ています。以前は、データの管理部署へ問い合わせていたため時間を要していましたが、現在はタイムリーに検査データが取り出せるため、次へのアクションが早く取れるようになりました」
また、営業部門のスタッフにとっては、予算と実績を確認する「予実管理」の必須ツールとなっている。また、煩雑な作業が必要だった倉庫における在庫管理の徹底にも活用されるなど、業務効率化に直結する新たな使い方も行われ始めた。
「紙ベースの帳票より各種集計作業を短期化でき、よりきめ細かな意思決定に貢献しています。そのためのデータ提供に我々の手が煩わされることは今ではありません」(窪田氏)
タブレット端末との連携などさらに深掘りできるデータ活用を指向
一方で、Dr.Sum EAの副次的な効果といえるのが、社内でのデータの透明性が高められたことだ。役職によるアクセス制限はあるものの、全国に展開する拠点や販売会社のデータは基本的に全社員に公開されている。
「以前は、違う部門や地域のデータを一社員が把握することは困難でしたが、例えば営業部門がお客様からのクレームに対して製品の検査データを取得し確認する、といったことも可能になりました。同一の社内データを基にした意思疎通の円滑化も実現しています」(窪田氏)
「これまでは、紙ベースで行ってきたことを誰もがDr.Sum EAで確実にできるようにすることに注力してきました。今後は次のステップとして、営業部門のタブレット端末との連携など深掘りできるデータ活用や、あまりデータ活用が進んでいない生産部門などでの活用に力を入れる予定です」(津田氏)
システム刷新を機に、データ分析基盤の礎を実現した神東塗料。今後もタブレット導入などにより、現場のデータ活用を進めていく予定だ。






