導入事例

富士ゼロックス株式会社

「営業担当者が欲しいデータを」
チャレンジすることで生まれた独自の営業BI

導入製品
業種
機械・電気機器
投稿日
2019.11.13

事業構造の転換を急速に進める富士ゼロックス。各システムに分散していた情報を一元化し、MotionBoard と Dr.Sum によって「営業 BI 」として展開することを実現した。社内のさまざまな情報をまとめて営業資源として活用することは、多くの企業が取り組んでいるテーマのひとつ。一方でコストやリソースなどの負担が重く、なかなか踏み出せない、構築したものの活用し切れていない、などの悩みは多い。同社の導入事例は、このような悩みを抱える企業にとって参考になるポイントが多そうだ。

導入背景
営業・取引・保守・企業情報などの各種情報が社内で分散しており、BI導入による一本化の動きはあったが、コスト面などで進まなかった。また、必要な情報を入手してお客様を知りプランニングするための営業担当者のデスクワークが増大。自分が処理できない情報をスタッフが支援するなど、間接工数も増加していた。

課題
  • 取引情報の電子化が進み、営業担当者のデータの見方・スキルのばらつきが営業プランニングの活動に影響を与える懸念が出てきた
  • ビジネス領域の拡大(マルチベンダー・マルチプロダクト化)によって、ばらばらに管理していたデータ(形式や項目など)をまとめる必要が出てきた
  • 営業担当者が使える・理解できる・活用できるデータへの変換が急務に
解決策導入ポイント
  • フェーズを2つに分けて段階的に導入
  • 第1フェーズは顧客情報を整備してプッシュ型データ配信
  • 第2フェーズは3つのキーワードでプル型配信を戦略的に推進
  • 「プロトタイプアプローチ」「営業と一体化したコンテンツ開発」「シンプルインターフェイス」
効果
  • 営業生産性の改善、営業担当者の顧客対面時間の増加
  • 現場で使える「営業BI」を活用した施策の展開
  • DB活用による、営業担当者のデスクワーク業務の効率化
  • 全国ベースでの情報(販売先や売れ筋商材)分析による本部戦略立案の実現

営業自らが活用するBIに位置付けを変えることで、各社内システムの営業基礎情報を横断集計できる統合DBの構築も実現。営業担当者がそのまま使えるレポート形式で情報提供することで、「お客様を知るための情報の幅と品質を向上」させ、時間を短縮することができた。


「営業に展開できるコンテンツ系BI」として


 現場が使えるBIツールを導入したい―― 口にするのは簡単だが、現実は相当難しい。SFA(営業支援システム)やERP(基幹システム)、CRM(顧客管理システム)などに分散されているデータを一元化・可視化し、意思決定のスピードと精度を高めるBIツール。その機能と効果が広範囲であるがゆえに、逆に導入と運用のハードルが高くなっているようだ。 

 たとえば、トップダウンで導入を決めたケース。BIツールの恩恵に預かるのは一部のマネジメント層などに限定されると、コストに見合うリターン(メリット)が期待できないのである。

BIツールを一部のマネジメント層に限らず、営業現場で営業全員がプランニングツールとして使える、営業の武器になり、その効果が営業の増力化につながる、それが今回構築した弊社独自の『営業BI』です。営業生産性向上などのメリットが広範囲で期待できるので導入に踏み切ることができました」。

 同社でMotionBoardDr.Sumの導入をとりまとめた、営業計画部 営業企画室 営業情報戦略グループの伊橋 仁 グループ長はこのように説明した。つまり、「営業のためのBI」として位置づけを明確にすることで、より大きな費用対効果が期待できることがわかり、案件化できたわけである。

 富士ゼロックスというと複合機のイメージが強いが、現在は事業構造の転換を進めている。オフィスプロダクト&プリンター事業の売上高構成比は約57%、残りはソリューションやプロダクションサービス事業などが担っている。独自のAI技術やIoTを活用して「お客様の生産性向上や競争力強化を支援、さらには経営課題の解決に貢献するソリューション&サービスを提供する」としている。

 同社が構築した「営業BI」の位置づけと狙いはこうだ。営業の増力化と工数省力化を加速させるために、(1)戦略展開の徹底(2)プロセスの標準化(3)データの一元化をおこない、「お客様のことを徹底的に知ることで、お客様の課題を明らかにすることが狙いです」(伊橋氏)。そして、営業BI導入にあたって2つのフェーズを設定した。


営業担当者が“使える”と評価したコンテンツとは?


 第1フェーズは、顧客データの整備を主眼としたプッシュ型の情報配信。2018年にスタートしている。その際に洗い出した潜在的な同社の課題の背景は大きく2つあった。1つめは「取引情報の電子化」。紙の展開情報がデータに変わったことで、取得できる情報量やデータ集計・分析の速さ、持ち運びの利便性などが大幅に向上した一方、営業担当者ごとのデータの見方やハンドリングスキルにばらつきがあることに問題を感じていた。

 2つめは「自社のビジネス領域の拡大」である。マルチベンダーでの商品提供が進み、顧客との取引範囲が大幅に拡大している。マルチベンダー・マルチプロダクト化である。しかし、商材によっては管理している社内システムが別になっており、取得データの形式や項目に違いがあった。

 これらの問題を解決するために、第1フェーズでは各種の営業情報を標準レポート形式に落としこみ、RPARobotic Process Automation)を活用して担当営業者ごとに個別集計して配信している。ここでは、極力自動化を進めることが成功のカギとなっている。

 第1フェーズはいわばBIツール導入の基本といえる。富士ゼロックスならではの取り組みはプル型配信の第2フェーズに凝縮されている。20193月から本格的に動き出した。

 「第2フェーズのキーワードは3つあります。1つは『プロトタイプアプローチ』で、100点満点での導入を目指さず、まずリリースしてユーザーの生の声をタイムリーに回収しながらアップデートすることを基本としました。2つめが『営業と一体化したコンテンツ開発』。ユーザーが望むコンテンツから、開発過程でシステムが実現できるコンテンツに置き換わることがないように注意しました。3つめがBIを感じさせない『シンプルインターフェイス』です」と伊橋氏。

 ここで注目すべきは、2つめの「営業と一体化したコンテンツ開発」だろう。その活動をいくつかのわかりやすい例を挙げて説明してくれた。その一例がパイプライン管理のグラフ描画に見て取れる。たとえば、月次の目標と見込みレベルに応じた案件数の棒グラフ。シンプルなグラフなら、SFAのウイザード使って瞬時に描画できる。しかし、営業担当者からは、これでは使えないとの声も。「見たいのは月初やあるタイミングと現状の差異であって、どんな案件がどのように違っているのか、どう変わってきたのかという明細がないと意味がない」(伊橋氏)。


想像を超えていたMotionBoardの処理能力


 営業経験のある伊橋氏は、このような評価になるのはある程度想像できたという。「わかってはいたのですが、差異を細かく把握できる“ウォーターフォールチャート”は描画できないと思っていました。日次単位で数百万件の商談をいちから洗い直して、対象元と対象先の差分をすべて確認・演算・描画する必要があるからです。その差分を分析して個々の組織単位や営業担当者ごとに日次進捗を見せるのは、ロジックも処理能力も難しいだろうと」。

 営業担当者が望むグラフはできないので、システムで可能なグラフで・・・これでは、これまでと変わらない。何とか実現できないだろうか。さまざまな試行錯誤の末に光明を見出した。「それは、MotionBoardの想像以上の処理能力でした。3億以上のレコードがあるのに処理速度が速く、素早くグラフ描画ができる。これには正直驚きました」と伊橋氏は語る。

 営業と一体化したコンテンツを開発するだけでなく、難しいとされる領域にチャレンジしてみること。これが「現場が使えるBIツール」を実現する大きなポイントといえそうだ。

 3つめのキーワード「シンプルインターフェイス」も興味深い。伊橋氏は「展開にあたり、新しいアプリの操作方法を取得させるのは容易ではありません。スマートフォンのコンテンツはマニュアルがなくても直感で使えますよね。営業BIもそのようにしたかった」と説明する。具体的には、裏(システム)ではBIが動いているが、表(ユーザーインターフェイス)では単純なウェブ検索のような形で提供した。

 その代表例が「アラート情報」と「お客様別取引情報」だ。「アラート情報」は、顧客ごとの契約状況・提案状況などを一覧にするとともにスコア化している。解約懸念につながる一定以上のスコアの場合に、SFAやメールで営業担当者にアラートを送信する仕組み。これが最も頻繁に使われている機能だという。

 「お客様別取引情報」は顧客の持株会社や関連会社、支店・支社など、営業担当者ごとに自分が見たい縦横の顧客情報を選んで取得できるもの。そのレポート形式を標準化して、営業が最も活用するExcelで出力することが可能だ。紙への出力が容易なので営業現場で重宝されている。



社内データの一元化も実現導入・活用プロセスが参考に


 構築後の社内展開にあたっては、全国の拠点を回ったオンサイトトレーニングと、スカイプを活用したオンライントレーニングの両面で対応した。

 「プロトタイプアプローチを採用したので、社員からの声をきっちり吸い上げる仕組みを用意しました。デモでは『直感的でいい』という声が多く、例のウォーターフォールチャートにはデモの最中に感嘆の声が出るほど。実際の利用状況を見ても、営業BIは他のシステムに比べて利用率が高くなっています」(展開トレーニングを担当した営業計画部 営業企画室 営業情報戦略グループの栗林 靖弘氏)。

 営業BIの構築は副次的な効果ももたらした。オール富士ゼロックスの社内データを「情報活用基盤」として一元化することに成功したのだ。

 「社内の業務データを集め・活用するプロジェクトは数年前からありましたが、そのためのシステム構築・管理などには大きなコストがかかります。費用対効果が見えづらかったのですが、今回営業BIという成功事例が、その動きを一気に加速したと感じています。また、低コストでデータシェアリングが可能なクラウド技術の進歩がプラットフォームの構築を後押ししてくれました」。

 こう説明するのは、情報活用基盤の構築に携わった富士ゼロックス情報システムのサービス技術統括部 サービス基盤技術部の関 真莉奈氏だ。さらなる自動化・スリム化でコスト抑制を進めて、営業BIの知名度が全社的に上がったことで今後増えてくるであろう要望・希望に対応していく予定だ。

 伊橋氏は営業BI構築で感じたMotionBoardDr.Sumの特徴として以下の4点を挙げている。

(1)2~3億レコードに対する集計処理の速さ(想定では1憶レコード未満だった)

(2)ユーザーインターフェイス構築へのこだわり(BIツールの操作を極力削除してウェブ検索ツールへ)

(3)Excelとの親和性・連携の良さ(データ書き出しとExcel機能との役割分担)

(4)バンドルETLではなく、“使える”ETLである

 BIシステムは一般的に、企業の業績管理やダッシュボードなどで使われるツールだ。しかし、同社では営業情報を活用するためのツールとして導入し、効果を上げつつある。富士ゼロックスでは、MotionBoardDr.Sumを活用することで、情報が営業力を強化するための資産となった。その導入と活用のプロセスは、さまざまな企業でも参考になる部分が多そうだ。同社では今後、この経験を同じような課題を抱えているお客様に対する新しい価値提供に結びつけたいと考えている。

 


Company Profile

富士ゼロックス株式会社

設立 :1962年2月20日
所在地 :東京都港区
事業内容 :各種情報機器の販売とシステム・サービスの提供
URL :https://www.fujixerox.co.jp/

オフィスプロダクト&プリンター事業、ソリューションやプロダクションサービス事業を展開。独自のAI技術やIoTを活用して顧客の生産性向上や競争力強化を支援、さらには経営課題の解決に貢献するソリューション&サービスを提供する。

写真左から
営業計画部 営業企画室 営業情報戦略グループ
グループ長 伊橋 仁 氏
田上 淳 氏
栗林 靖弘 氏

富士ゼロックス情報システム サービス技術統括部 サービス基盤技術部
海津 朱那 氏
関 真莉奈 氏
松坂 瀬奈 氏
マネジャー 水野 大作 氏

導入製品

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