導入事例

京都電子工業株式会社

京都電子工業株式会社

年間3,000枚作成する図面管理の電子保管・運用で
現場が納得して活用できる効率的な業務システムを実現

京都電子工業株式会社
業種

製造

1961年の創業以来、分析計測機器の専門メーカーとして業界をリードしてきた京都電子工業株式会社(以下、京都電子工業)は、図面管理・活用業務の効率化を目的としてウイングアークの「invoiceAgent 文書管理」を導入し、クラウド化とAPI連携でシステム環境のアップデートを実現した。導入にあたっては現場のメンバーも参画し、アプリケーションの運用を現場で自ら行える体制を構築。社内におけるDX推進のモデルケースとなっている。

導入背景

全社的にDXを推進するなかで、業務システムのクラウド化を検討。製造・保守工程で重要な役割を担う図面管理システムが外部連携していなかったため、使い勝手の面で課題を抱えていた。また、トレンドの変化に合わせて図面の量が増え、管理がしやすく検索性が高い新しいシステムを必要としていた。

課題
  • 従来の図面管理システムに拡張性や他システムとの連携機能が十分ではなかった
  • 図面を活用する際は、印刷しデータを持ち運ぶためにセキュリティ面でリスクがあった
解決策導入ポイント
  • クラウド上での図面の保存や閲覧ができる仕組みを導入
  • Web APIを通じた連携機能を強化しシステムの拡張性を確保した
  • 現場が自ら製品選定・運用に携わり、業務に最適な設定やデータ移動を実現できた
効果
  • 図面とマニュアル類の管理をデジタル化できる環境を実現
  • いつでも、どこでもWeb上で図面を確認できる環境づくりができた
  • 新システムの設定を現場担当者自身が行うことでITスキルの向上につながった

コロナ禍において出社・印刷などの手間なく
図面管理ができる体制づくりを模索


京都電子工業は、分析機器、熱機器、環境機器等を開発する1961年創業の老舗メーカーだ。「『を心に、ひとづくり、ものづくり!!」という社是の下で時代のニーズにあった多種多様な分析・計測機器を生み出してきた。現在は大学の研究室や廃棄物処理場、さらにスポーツや教育の現場などで京都電子工業の工業製品が活用されている。 


 京都電子工業は従来自社製品を設計・製造する際に使う図面やマニュアルの管理をスタンドアローン型の文書管理システムで行っていた技術部門が作成・編集した計測機器の図面やマニュアルは同システムに保存されるとともに、紙に印刷してファイリングし社内で物理的にも管理する実際に使う場面では製造の現場で紙に印刷された図面を見ながら作業したり、保守段階でカスタマーサポートを担当する社員が導入先の製品を修理する際に必要な分の資料を持っていったりしていたという  


 ただしそうしたスタイルは印刷や持参の手間など制約が多く、コロナ禍を契機に様々な不具合が顕在化してきたと管理本部 情報システム部 部長の田中 敏行氏は明かす 


 「コロナの流行で場所を選ばずに働ける環境整備が必要となりましたいちいち会社に帰ってこなければならなかったり、上司が不在で承認がもらえなかったりするようなアナログな環境が社内で問題視されるようになったのです全社的なDX(デジタルトランスフォーメーション)推進の機運が高まり、我々情報システム部ではITインフラ面での解決策として文書管理システムのクラウド化を検討するようになりました(田中氏)


管理本部 情報システム部 部長 田中 敏行 氏

API連携で簡単に図面が活用できる環境づくりへ


 情報システム部の視点からDXを考えた際にもうひとつ重要な要素としてシステム同士のAPI連携が必須であったと田中氏は語る旧来の図面管理システムは外部連携ができなかったため、データをほかのシステムから呼び出せなかった。社員がシームレスにデータへアクセスできず、業務効率の面で課題となっていたのだ 


 「異なったアプリケーション間をお互いのインターフェース機能を使って連携させることもできますが、直接連携してしまうと、それぞれの仕様変更等により後々問題が出てくることがあります。そのため、あえて自社で迅速な適用ができるシステムを間に構築し、すべてのアプリケーションを介在させて連携を強めておくべきだと考えました。(田中氏) 


 また、近年は製品開発サイクルが早まり、図面管理の高度化が求められてもいる。製品を継続的に製造する過程では部品の生産中止や海外向けの製品がEUの法律(RoHS指令)の変更で想定していた部品が使えなくなるといった事態が頻繁に生じている。その都度部品の変更に伴う図面の改定が発生するため、製品の関連書類は増え続けており、どの図面を基に作ったのかを管理する必要があるのださらに、流通のトレンドとして少量多品種で開発することが当たり前になっているため、図面作成のサイクルも早まっている 


 「図面やマニュアルの数が増えて管理・保管が複雑化していたためAPI連携で図面の検索性の向上や関連する図面を誰もが開けるようにする必要がありましたそこでオープンアーキテクチャーでAPI連携に標準対応しているクラウド型システムに乗り換えることを決めました」(田中氏) 


欲しい図面が呼び出せる高度な検索の仕組みを実装


 図面管理システムを選定するのにあたってはそれらの要件を踏まえ、既存ベンダーの新製品を含めて3社のクラウドサービスを比較。その中から京都電子工業はウイングアークのinvoiceAgent 文書管理を採用した。主たる選定の理由として管理本部 情報システム部 情報システム課 課長の吉田 智幸氏は、標準実装されているWeb APIの高い検索性営業担当者の対応力既存の基幹システムとの連携――という3点を挙げる。 


 「Web APIは、図面を検索する際にAPIで単に図面を開くだけでなく、利用者側で文書やフォルダへ独自に属性を追加できるカスタムプロパティ機能をキーとして、欲しい文書を呼び出せる利便性を高く評価しました。選定段階でウイングアークの営業担当者さんの説明もわかりやすく、少し技術的な要素を質問しても明確に答えが返ってきて当初から確度が高い情報を得られたことも大きかったです(吉田氏) 


 また、京都電子工業では15年来NTTデータ関西の製造系ERPBIZXIM製番(導入時はSCAW製番)を活用しており、同製品とのシームレスなAPI連携が可能だというNTTデータ関西側からの後押しも決め手になった。「BIZXIM製番内で管理している各製品ロットがどの図面を使用しているかをリンクしておけば、現場は何も意識せずにその時の図面にアクセスすることができるようになります。それまで検索にかかっていた作業工程を大幅に短縮できると考えました(吉田氏) 


管理本部 情報システム部 情報システム課 課長 吉田 智幸 氏

現場部門の社員が選定に携わることで
社員のITスキル向上を後押し


 製品の選定に当たっては、現場部門の担当者も同席した。理由は、京都電子工業がDXを推進する目的が単にデジタル環境をアップデートさせることだけでなく、社是にもある人作りを重視していたからだ 


 「アプリケーションを導入する際には、現場も一緒になってノウハウを勉強してもらい、本当に自分たちが使いやすいシステムを選んでもらうようにしましたDX推進に当たって情報システム部が行うべきことは、現場のデジタル活用を進められる環境整備です。今回も我々が参加したのは製品選定までで、導入後のデータ移行やフォルダの振り分け設定、運用ルールの策定などは、図面管理に携わるメンバーが自ら行いました」(吉田氏)  


 実際に製品選定に参加し、導入の際に設定などを担当した技術開発本部 開発部 技術開発課 係長の新堀 陽平氏は、invoiceAgent 文書管理を活用するにあたってシステムの勉強や設定、データ移行の作業をするうちに、これをやれば自分たちが楽になる未来が想像できましたと製品を評価する。 


 京都電子工業は海外向け製品も販売しているため1年間に1,500から3,000種類の図面を作成・更新する。ここ10年間だけでも6万6000種類の図面やマニュアルがあるため、稼働の準備ではまず、そうした膨大な資料をinvoiceAgent 文書管理システムに移動させる必要があったツール変更に合わせたデータの移行やコンバートはAPI連携でスムーズに実現できたため、システムの実用性を検証することにもつながったという。  


 「クラウドシステムに移行できたことで社内外を問わずデータの共有がしやすい環境を整えることができました。今までは紙やUSBメモリーで共有していたので紛失したり、システム障害でデータがダウンロードできなくなったりするリスクがありました。クラウド化でモバイルPCやタブレットがあればどこでも図面を見ることができるようになり、紙を極力なくすことができます資料を戻すためだけに帰社することもなくなります(新堀氏) 


技術開発本部 係長 新堀 陽平 氏

他部門にも利用が広がり200ライセンスを活用


 京都電子工業においてinvoiceAgent 文書管理は現在、新堀氏が所属する技術開発課だけでなく、生産部門、購買部門、修理部門などでも利用されており、契約数は200ライセンスにのぼる。実際に図面が入っているフォルダは図面を編集する技術部門にだけアクセス権を付与し、それ以外のユーザーには独自のリンク機能で最新バージョンだけを参照できるように工夫している。それにより、間違ってデータを変更したり、消したりしてしまう事故をなくせています」と吉田氏は話す 


 今後も京都電子工業では、invoiceAgent 文書管理の活用範囲を広げていく計画だ。「将来的には営業部門にも拡張し、書類を持ち歩く負担をなくせればと思っています。また、図面の管理だけではなく技術関連の文書の保管領域としても活用してより一層のペーパーレス化につなげたいです」と、吉田氏は方針を語る 


  田中氏はウイングアークのサポート体制を評価し、今後のinvoiceAgent 文書管理のさらなる進化に期待を寄せる。  


 「ウイングアークは、問い合わせやサポートの対応も素早く、営業も問題解決に向けてバックアップしてくれる体制が整っていて感謝していますこれからさまざまな機能の実装が進んでいくというお話を伺っていますので、期待しています(田中氏)  


 こうして、京都電子工業はinvoiceAgent 文書管理の導入で時代に合わせたものづくりと人づくりができる環境を手に入れた。今後もさらなるDXの推進に取り組み、より働きやすく、効率的な業務環境の構築を目指す。変化が激しいものづくりの現場で、常に改善を目指す京都電子工業の姿勢は、DX推進で悩む多くの企業にとって学ぶべき成功例となるに違いない。 


図面やマニュアル類をクラウド化して手間なく書類管理ができる環境を実現

Company Profile

京都電子工業株式会社

設立:1961年7月3日
所在地:京都府京都市
事業内容:研究用分析計、環境用分析計、医用分析計の製造販売
URL:https://www.kem.kyoto/

写真左から:
技術開発本部 係長 新堀 陽平 氏
管理本部 情報システム部 部長 田中 敏行 氏
管理本部 情報システム部 情報システム課 課長 吉田 智幸 氏

導入製品

あらゆる帳票の仕分けから保管、検索、他システムとの連携も可能な文書管理ソリューションです。

 
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