導入事例

ポリプラスチックス株式会社

ポリプラスチックス株式会社

invoiceAgentを活用しSalesforceでの改正電帳法対応ワークフローを構築
業務のペーパーレス化で経理部門のテレワークが可能に

ポリプラスチックス株式会社
業種

製造

ポリプラスチックス株式会社(以下、ポリプラスチックス)は、改正電帳法をきっかけに、単に法律で定められた取引関係書類の電子保存の仕組みをつくるだけでなく、ペーパーレスやリモートワークの実現に向けたワークフロー自体の変革の必要性を感じていた。そこで、すでに導入していたSalesforceを基軸に社内業務に合ったソリューションを比較検討した結果invoiceAgent for Salesforce Adapterを採用し、改正電帳法への対応、および経理業務のペーパーレス化を実現。経費申請に関する業務工数を削減するとともに、テレワークを実現できる環境を整えた。

導入背景

全社的にグループウェアを含めたITシステムのリプレースを進めていくなか、経理業務では並行して改正電帳法への対応が求められていた。また経理部門では、コロナ禍においてもテレワークが実践できていなかったため、単に当該業務を電子化するだけではなく、支払い申請業務に関わる各部門のビジネスプロセス変革を伴う対応が求められていた。

課題
  • 業務プロセスの関係上、経理部門ではテレワークの実施が困難だった
  • 経理部門と一般経費申請にかかわる部門のワークフローをデジタル上に移行させる必要があった
  • 業務改善を伴う形での電帳法対応をどうするか
解決策導入ポイント
  • 社内導入していたSalesforceのワークフロー製品(Salesforce Flow)を活用して業務をデジタル化
  • Salesforceと連携するinvoiceAgent Adapter for Salesforceで電帳法対応の業務プロセスを確立
効果
  • 一般経費申請に関する業務工数を削減
  • 経理部門で一人当たり週に1日以上のテレワーク体制を確保
  • 関係証憑類の検索性の向上
  • 保管書類の紛失を撲滅

社内のDX推進活動と経理部門の電帳法対応を同時進行


 ポリプラスチックスは、機械部品、電子部品などで使用される高性能エンジニアリングプラスチック(エンプラ)製品の製造・販売を展開する老舗メーカーである。日本を代表するエンプラ専業メーカーとして、国内のみならず世界でも高い市場シェアを獲得している。


 同社では3年前にICT部門を強化。Salesforce製品を導入して、サポート切れとなるITシステムのマイグレーションを開始した。コロナ禍に突入した2年前からは、全社的なDX推進活動として、さまざまなシステム・データベース(DB)で管理していた販売・在庫等の情報を原則Salesforceに一元化するプロジェクトが進められている。


 DX推進活動では各部門から代表者が集まって、旧来のシステム構成やDB項目の洗い出し、移行先の検討を実施。その中で経理領域では、2022年1月施行の改正電帳法対応という要件が加わり、SalesforceにDB環境を寄せる以外にも、別途取引書類の電子保存対応とそれに伴う新たなワークフローを構築する必要があった。経理部の代表としてDX推進活動に参加し、改正電帳法対応推進にあたっての旗振り役である経理部 課長 苅谷 昌昭氏は、当時の状況を次のように振り返る。


 「元々電帳法が施行された初期から帳簿関係は電子保存対応を進めていましたが、それ以外の取引関係書類は未着手だったため、法律の改正が明らかになる前から部内の業務改善に向けた自発的な取り組みとして調査をしていました。その過程で法令が改正されて保存要件が緩和されることが明らかになり、本格的な対応に着手したのです。その際、単に法律で定められた取引関係書類を電子保存する仕組みをつくるだけでなく、コロナ禍に対応した働き方に合わせるために、ペーパーレスやリモートワークの実現に向け、ワークフロー自体を変える必要性も感じていました」(苅谷氏)


一般経費支払い業務の課題を洗い出して改善を提案


 そこで苅谷氏は、まず請求書ベースで行っている一般経費支払い業務の見直しを行った。同社では当該業務を、
①まず各部門でそれぞれが申請する請求書を基幹システムに入力することで、入力のエビデンスとなる「支払予定報告書(モニター票)」を発行。
②次に申請者がモニター票と元の請求書をセットで経理部に提出。
③モニター票には固有の番号が振られてあり、経理部では基幹システムにモニター票の番号を入力して請求書の内容が合っているかを確認し、了承をすると支払いが始まる、
という手順で行っていた。


 「このプロセスは全て、紙ベースで行われていました。経理部に請求書を出す際には部門ごとに上長の承認が必要で、経理部に来てからも担当者と上長の承認が必要でした。もちろん全て捺印付きです。そのようなフローだったので、支払いに時間もかかるし、途中で紙が紛失するリスクも生じました。当然、リモートワークには対応できていませんでした」(苅谷氏)


 苅谷氏は、電帳法改正の内容や対応方法についてさまざまなシステムベンダーに問い合わせて法令の理解に努めるとともに、社内では既存の請求・支払い業務に費やしている作業時間やコストについてヒアリングを実施。それを踏まえて改正電帳法の要件を満たした電子化されたワークフローを考案し、社内に業務プロセス改善の提案を行った。


 「当初はスキャニングの手間がかかったり、業務フローが変わったりすることへの抵抗感が強かったのですが、こちらで代案を提示したり、改善しなければならない意味を説明したりして説得しました」(苅谷氏)


業務フローを考案するプロセスからウイングアークが支援


 改正電帳法対応のためのシステムを構築するにあたり、ワークフロー部分については元々Salesforceを導入していたことから、デフォルトで搭載されている「Salesforce Flow」を使って構築することにした。ただその他の要件として、文書管理システムの部分では、データ入力先となる基幹システムがまだ電帳法に対応していなかったために、今後の改修の可能性を考えてSaaS型での導入が必須であった。そして複数のベンダーを比較・熟考し、やり取りを重ねるなかでしっくりと来たのが、ウイングアークであったと苅谷氏は言う。


 「JIIMA認証を取得しているシステムは、極論すると大きな差はなかったのですが、ウイングアークは対応がとても的確でした。我々が描いていた見直し後の姿に対して、営業と技術の担当者からシステムを理解した上で具体的な提案があり、うまくいかない部分も代替案をしてもらえたのです。またちょうどSalesforceとの親和性が高いinvoiceAgent Adapter for Salesforce(以下、invoiceAgent)がリリースされたタイミングでもあったので、電帳法対応周りの仕組みにはウイングアーク製品を採用することにしました」(苅谷氏)


 ポリプラスチックスでは製品の選定に1年程度要したが、その間に製品選定と社内ワークフローを電子化するための検討を同時並行で進め、業務分析をして現状のワークフローをどのように変えたらリモートワークができるのか、改正電帳法の要件を満たすためにはどのような管理が必要かを一つひとつ決めていった。その段階からウイングアークが協力し、問題点と改善点を示したフロー図にビフォー・アフターの形で落とし込み、システム要件を可視化。申請する各部門でも業務の手間がかからないように、invoiceAgentを活用したWebベースの電帳法対応ワークフローを考案。2021年10月に正式に契約を結んで開発を開始し、約半年で開発を完了した。


 「契約の前段階でそこまで詰めて話をすることができ、適切なワークフローをつくることができました。その過程で、改正電帳法の要件を満たすためのinvoiceAgentやSalesforceの画面サンプルもつくっています。実際のシステム開発はパートナーのSI会社にお願いしましたが、事前にそこまでしっかり決められたことで、要件を伝える際に齟齬も生じず、スピード感をもって開発を進められました」(苅谷氏)


データ入力からSalesforceに連携し承認するまでのフローを電子化


 電子化された新しい一般経費支払い処理のワークフローでは、まず各部門で請求書情報を基幹システムに入力すると、支払伝票にひも付いたPDFのモニター票が作成される。次にモニター票を指定のフォルダに保存すると、自動的にinvoiceAgentによりレコード化されて格納される。さらに、invoiceAgentがモニター票に付与されている番号を基にOCRでレコードとして読み取り、キーとなる伝票番号ごとにフォルダを作ってファイルを保存、そこにモニター票を移動・格納する。そこからURLが発行されてSalesforceと連携し、その際に取引先や金額といったレコード情報も併せて連携して付与される。


 SalesforceではinvoiceAgent内に格納された文書URLが記載されているため、経理部門や各案件の担当者はキーとなる伝票番号をもとにinvoiceAgent内の帳票を確認しながら承認作業や確認作業を行うことができる。モニター票以外の書類を格納したい場合は、文書URLをクリックすることですぐにフォルダに入れることも可能だ。新しい文書が格納された場合はinvoiceAgentがタイムスタンプを付与するため、電帳法の要件である「真実性」も担保している。


 レコード情報には取引先や金額など、後で検索するときに使うデータは自動的に転記されているが、それ以外にモニター票についていないような情報、例えば電帳法では60日以内にスキャン保存していないものはスキャンデータとして認められないなどのルールがあるため、レコードで読み込めない必要情報は、申請者に追記してもらい抜け漏れがないようにしている。


 invoiceAgentの操作性に関して苅谷氏は、「書類の検索はSalesforce側で行なっていますが、invoiceAgent側での動作に関してもサクサク動いてくれて、まったく問題ありません」と評価する。


購買取引業務に関する電帳法対応ワークフローも計画


 同システムは、メンテナンスと試行運用期間を経て2022年4月から本格稼働を開始した。改正電帳法への対応も含めた成果としては、月に約1千件の一般経費取引の請求プロセスを電子化し、証憑類をペーパーレス化したことによる業務工数の削減、検索性の向上を達成するとともに、ワークフローをブラウザベースのクラウド型にしたことによって、8月から経理部門で最低週に1回のリモートワークが可能になった。


 「テレワークが一般化した昨今でも、多くの会社で経理部は出社が原則という状況が多いのではないでしょうか。そうしたなかで経理部が、週1回テレワークができるようになったことは、大きな成果であると考えています。引き続き一般経費以外の領域、例えば購買取引の領域についてもinvoiceAgentを活用した新しい電帳法対応の業務プロセスをつくっていきたいと考えているので、ウイングアークにはこれまでどおり適切なサポートを期待しています」(苅谷氏)


invoiceAgentとSalesforceの連携

Company Profile

ポリプラスチックス株式会社

設立:1964年5月
所在地:東京都港区
事業内容:各種ポリマー及びプラスチック等の製造販売
URL:https://www.polyplastics-global.com/jp/

導入製品

取引帳票の送受信から管理まで、すべて一括で行えるクラウド型の電子取引ソリューションです。

 
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