駿河精機株式会社
国内・海外顧客向けの帳票発行業務をSVFで改善
Salesforceと連携して柔軟なワークフローを実現
- 業種
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製造
駿河精機株式会社(以下、駿河精機)は、販売管理システムの刷新に併せて、SVF Cloud for Salesforce(以下、SVF Cloud) を活用し、自社ブランド製品の販売関連業務を効率化した。従来からの業務フローを見直しデータ入力の自動化を進め、紙ベースの業務からの脱却と合わせたオペレーションプロセスの改善に踏み出した。特に、帳票発行業務は大幅に見直し、帳票のレイアウトや内容を開発ベンダーや情報システム部門に依頼することなく適宜必要なタイミングで修正可能とさせ、顧客に請求書や納品書などを送る際に生じる緊急性の高い帳票修正を柔軟に対応できる環境を実現した。
導入背景
見積・受注から債権管理までを担う自社開発の販売システムが、運用を進める中で保守面、効率面、管理面などでさまざまな問題を抱えてきた。さらに、グループ内で業務のデジタル化が進む中で、販売関係の業務プロセス改善と合わせた販売システムの刷新が求められていた。
- 課題
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- 事業拡大する中で、販売システムの機能追加を重ねる一方、開発者も入れ替わりシステムがブラックボックス化。サーバー自体の老朽化も進んでいた。
- 顧客からデータで受け取った注文情報を、紙に印刷してから目視チェックを重ねたうえで販売管理システムに手入力するなど非効率な状態であった。
- 日々生じるFAX等の帳票類の原紙を保管していたため、保管や検索作業に時間やスペース、コストをかけていた。
- 帳票レイアウトに変更がある場合は都度情報システム部門への依頼が発生し、タイムリーな対応ができなかった。
- 解決策導入ポイント
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- Salesforce上で稼働する販売管理システムであるGLOVIAOM上に販売系システムを集約して業務をトランスフォーメーション
- Salesforceと連携するクラウド型アプリを活用
- データ連携(OCR取込含む)により手入力、目視確認等の人的作業負荷を軽減
- SVF Cloudによる帳票発行業務を効率化
- OCRを利用して入力業務を効率化
- 効果
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- 保守にかかる手間・コストを削減
- データ連携により手入力や目視確認といった人的作業負荷を軽減
- 帳票レイアウト修正にかかる時間を短縮するとともに、紙管理をデジタル化することによりコストも削減
- インボイス制度にも対応できる帳票に
紙ベースだった受注センター業務のデジタル化が急務に
1964年創業の金型部品やFA、光学機器メーカーである駿河精機。同社は2005年にミスミグループと経営統合し、現在はミスミグループがカタログ販売する産業用機器、電気・電子部品の生産を行うほか、独自ブランドのOST(Optical & Scientific Technology)製品として、光学計測機器・精密位置決め製品を製造・販売している。工業製品や部品の組立・加工・検査における位置調整に不可欠な「位置決めステージ」は国内トップのシェアを誇り、海外からの受注も多い。
同社は、ミスミグループのモットーである“確実短納期”で顧客に製品を提供するために、生産領域においてはCPS(サイバーフィジカルシステム)を推進し、工場間で生じる情報をデジタルでつなぎ、生産プロセスの最適化を図っている。
一方、見積りや注文を受ける販売領域では、顧客からは注文情報などをデータで入手しているが、その内容を印刷し手入力をするなど、旧来のアナログ的なやり方が残っていた。
「我々の受注業務のプロセスは、まず顧客から注文がFAXやメールで届き、販売システムへ手入力します。入力された情報は、販売システムから生産管理システムへ連携する仕組みになっています。この販売管理システムにデータを入力する入口の段階で、せっかくお客様から頂いたデータ情報を、わざわざ紙に置き換えて、手入力するというデジタル化に逆らったアナログ式業務でした。生産領域で進むデジタル化に対し販売領域の改善が後手に回っており、受注業務プロセスの見直しと販売システムの刷新が急務な状況でした。また、このような運用面だけでなく、保守面、管理面でも問題が重なっていました」と、受注センターのグループリーダーである吉川 洋生氏は明かす。
SalesforceとSVF Cloudで販売系システムを刷新
そこで駿河精機では、2022年10月に販売側の見積、受注、債権管理の各システムをクラウドのSalesforceプラットフォームに集約。その際に、システム構築を担当したSIerであるテラスカイの推薦で、帳票と文書を管理するための連携アプリとしてウイングアーク1stのSVF Cloudを採用することになり、受注センターにおける業務プロセスと帳票発行の仕組みの刷新に乗り出した。
それまで受注の段階ではメール添付で送られてきた帳票は全て印刷し、FAX受信したものも紙を見ながらデータを手入力し、ひと月経過すると帳票類はまとめて段ボールに保管していた。また、見積書の顧客への送付は、システム内で作成した見積書を印刷してから社印や担当者印を押印し、その後スキャンしてPDF変換しメールで返信するなど、非常に手間がかかっていた。
「注文データを取り込む際にはデータ入力の手間がかかり、必要なデータや書類を探したりする際にも時間がかかっていました。毎月段ボールを何箱も倉庫に保管するのも大変でした。また、従来のシステムでは、お客様に見積書や納期確認書などの取引書類はテンプレートを簡単にカスタマイズができない仕様でした。そのため、帳票内に消費税の改訂についてのご案内やキャンペーン情報などコメントを添える必要がある際は、その都度情報システム部門に依頼をして文言を入れてもらわなければなりませんでした。たった数文字のコメントを書きこむだけなのに、社内依頼する手間や時間がものすごくかかっていました。」と、受注センターで国内業務を担当する星川 美保 氏は当時の状況を語る。
帳票運用のプロセス改善により手間のない帳票処理を実現
これらの状況を打破するために新たに構築した仕組みでは、まず顧客から依頼が入ってくる段階では、FAXで送られてくる帳票は排出せず自動PDF化された文書を自社サーバーに転送して保管、メールに添付で送られてくるPDFの帳票とあわせてデジタルで保存した。そのうえで必要な情報を印刷することなくOCR変換も使いながらSalesforceに入力する。EDI連携している顧客や関連会社からの発注は、そのままCSV形式でSalesforceに取り込めるようにもした。また、請求書などの帳票は、Salesforceの見積・受注データより、ボタン一つでSVF Cloudのイメージ画面に遷移されその時点で内容の確認が出来、コメントもユーザーで任意で入力し、イメージ画面よりワンクリックでPDF出力が出来るようにした。入力業務、帳票発行業務の効率は大幅にアップした。
「従来は見積・受注情報と請求情報は別々のシステムで管理されており、それぞれで帳票の出力を行っていました。その為データの整合性がとれておらず、帳票に使用する項目名やレイアウトも統一感がありませんでした。今回Salesforceで一括管理された見積・受注、請求情報は、SVF Cloudを介して全ての帳票出力が可能となり、見栄え含めて大きく改善されました。また、発送する帳票のカスタマイズが発生する場合も受注センター内で対応できるようになり、社内での押印もSalesforce上でワークフローが電子化されたことで、承認待ちの時間や紙からPDFに変換するプロセスが省け、お客様に帳票を提出したい際にすぐ発送できるようになりました」(星川氏)
SVFで国内・海外向けの帳票類を集約・再設計
業務プロセスの効率化と併せて、これまで運用していた帳票類の見直しも行った。今回、受注センターで国内・海外向けに発行してきた帳票を洗い出して、SVF Cloudで新たな帳票を作成した。国内向けでは、大きく6種類あった帳票を「見積書」「納期確認書」「都度請求書」「一括請求書」の4種類に集約。またその際には、2023年10月から始まるインボイス制度に向けた項目修正を併せて実施している。
海外向けでは、8種類の帳票を「Quotation(見積書)」「Order Confirmation(注文確認書)」「Proforma invoice(仮送り状)」「Invoice(通関用の送り状)」「Packing List(包装明細書)」「Shipping Instruction(船積依頼書)」の6種類に集約した。国内外の合計10種類の帳票カテゴリーの中にはさらに複数パターンの関連帳票類があり、合計15種類の帳票が用意されている。
「これまで使用してきた帳票を整理し種類を減らすことができました。今まで当たり前にやってきていたことも、時代とともに不要となっていたことに気づいていなかったと反省しています。今回のシステム導入は自分たちの考えや業務を見直す良い機会になりました。」と、海外業務を担当する赤池 美江子 氏は話す。
また赤池氏は、「海外の輸出業務にあたっては、お客様の国や地域、取り扱っている製品によって、取引書類の記載項目が異なります。このような事にも対応するため、従来は販売システムから注文情報を一旦Excelに変換し、Excel上で必要な項目を追記し、帳票としての体裁を整えなければならないシーンが多々ありました。ですが、今回はSVF Cloudで必要なデータを簡単に帳票にレイアウトすることが可能になったので、このような対応も大きく改善されました」と、導入成果について語る。
帳票作成にあたってのSVF Cloudの操作性について星川氏は、「慣れるまではアプリで使用する用語の理解も含めて苦労しましたが、最終的には今の業務に見合った形に帳票をデザインすることができました。私の美的センスも問われるかも知れませんが、今後の運用を考えると目の前の景色が明るくなったように感じます!」と語る。赤池氏は、「Salesforce側での項目変更に伴って発生する帳票の修正も自分たちで処理できています。本当に楽になったと実感しています」と運用段階でのメリットを述べる。
今回Salesforceとウイングアーク1stの組み合わせた新たなシステムを導入したことで、受注センターでは煩雑なオペレーションが整理され、業務効率は大幅に改善したという。今後は、さらなる業務効率化に向けてinvoiceAgentを有効活用し、電子文書管理の仕組みの構築を模索するとのこと。
「今回初めてウイングアーク1stの製品を使ってみたのですが、Salesforce以外の違うシステムとの組み合わせで、文書管理をもっと合理化できそうだと感じています。また、SVF Cloudの帳票部分についても改善を進め、顧客対応力を向上させ顧客満足度を高めていき、結果、事業拡大に貢献できる仕組みを築いていきたいと思います。」と、吉川氏はウイングアーク1st製品を活用したさらなる業務効率化に意気込みを見せる。
Company Profile
駿河精機株式会社
設立:1964年5月
所在地:静岡県静岡市
事業内容:電気、電子、通信及び産業用機械、装置の開発・製造及び販売、映像及び光学機器の開発・製造及び販売、産業機械用部品の開発・製造及び販売
URL:https://jpn.surugaseiki.com/
導入製品
SVF Cloud for Salesforce
SVF Cloudは日本固有の複雑な帳票フォームの設計と、PDFやExcelなどの美しい出力をクラウドで実現。