導入事例

株式会社壱番屋

株式会社壱番屋

560名のフランチャイズオーナー向けに改正電帳法対応の請求書送付基盤を構築
DX推進の一環として、ガバナンスを意識したさらなる文書管理の高度化を視野に

株式会社壱番屋
業種

サービス

「カレーハウスCoCo壱番屋」を全国で運営する株式会社壱番屋(以下、壱番屋)は、「invoiceAgent 電子取引」を活用し、フランチャイズ先に送付する請求書の改正電子帳簿保存法(電帳法)対応を実施。オーナー数560※、店舗数1200超というフランチャイズ先に対して、短期間での円滑なサービス導入・稼働を実現した。

※2022年6月より「invoiceAgent TransPrint」は「invoiceAgent 電子取引」に名称を変更しました。
※オーナー数は2023年2月末現在の数字となります。

導入背景

壱番屋では、フランチャイズ先が店舗運営を行うにあたり、本部から食材や備品類を購入している。導入以前は本部が基幹システムから出力した請求書をPDF化し、フランチャイズオーナーに対してメール添付で送信していた。電帳法の改正が決まり、本部の方針としてフランチャイズオーナー側の電子取引のデータ保存要件まで考慮に入れた上で急遽2022年1月までにシステム対応を行うこととなった。すべてをスクラッチ開発では間に合わないと判断したため、短期間で導入できるようクラウドサービスの活用を検討した。

課題
  • 改正電帳法に対応するにあたり、施行の予定日までに短期間で対応する必要があった
  • 対応が必要なフランチャイズオーナー数が560名と多かった
  • 社内システムをスクラッチ開発しており外部サービスを活用した経験が少なかった
解決策導入ポイント
  • 完全なスクラッチ開発ではなく既存のクラウドサービスの併用で早期導入を実現
  • invoiceAgentの「Bridgeサービス」の自動仕分け機能で560件の自動仕分けに対応
効果
  • フランチャイズ向け請求書送付業務の改正電帳法への対応を短期間かつ円滑に実現
  • 基幹システムとのデータ連携を含めてフローが自動化された形での本格運用を実現
  • さらなる電帳法対応範囲の拡大を視野に、今後の基盤が整った

壱番屋長期ビジョンを踏まえデジタル活用を加速


 壱番屋は、全国と海外に展開する「カレーハウスCoCo壱番屋」の店舗運営及びフランチャイズ展開をはじめ、東海三県での「パスタ・デ・ココ」、カレーパンとスパイスパンの専門店「SPICE UP! COCOICHI BAKERY」などの飲食事業を展開。2年前には経営方針として、10年先を見据えた「壱番屋長期ビジョン2030」を策定し、事業の拡大に加え、「わくわくで未来をつくる」をスローガンにやりがいあふれる職場づくりや労働生産性向上に取り組んでいる。


 デジタル活用領域では、長期ビジョンの方向性に合わせて2年前にDX推進部を発足。RPAなどを活用した業務の自動化をはじめ、これまで社内システムをフルスクラッチで開発してきた中で、部署最適化しているシステムの整理統合を開始した。その際、汎用パッケージやクラウドサービスを活用しつつ、システムのアジリティを高めていくという方向性を打ち出している。取り組み状況について、壱番屋 DX推進部 課長の中山 良一氏は、「新たにERP刷新プロジェクトが開始され、その他にも新しいパッケージやサービス導入の検討が加速しています」と語る。


DX推進部 課長 中山 良一氏

改正電帳法への対応方針決定から構築までの猶予期間が3ヶ月弱


 その先駆けとなったのが、ウイングアーク1stのinvoiceAgent 電子取引を活用した電帳法対応のプロジェクトであった。壱番屋では、本社本部の運営する直営店と、オーナーが経営するフランチャイズという2系統でサービスを展開しており、システム活用についても別建てとなっている。


 その中で、本部の経理部門とIT部門で2022年1月からの電帳法改正にどう対応していくかを議論していた過程で、事前の段階ではフランチャイズ側の電帳法対応はオーナー自身が対応する方針だったが、改正電帳法要件が明らかになるにつれて、本部本社からフランチャイズオーナーに送る請求書は壱番屋側で電帳法対応したほうが良いというスタンスとなり、急遽2021年10月にシステム対応検討を開始することになった。


 「従来請求書は、フランチャイズオーナーからの発注を受けた後、月次で基幹システムからデータを出力して請求書をPDF発行し、付随書類となるExcelファイルと共にメールに添付して送っていました。そこから新たに電子取引のデータ保存要件に対応する形で、かつフランチャイズ側に負担を掛けない形で新しいやり取りを行う必要性が生じたのです」(中山氏)


 ただし、翌年1月に施行という時間がない中で、従来のようにすべてをフルスクラッチで対応することは現実的ではなかった。そこで、壱番屋の基幹システム開発を担当しているSCSK株式会社(以下、SCSK)に相談したところ、invoiceAgent 電子取引を活用したシステム対応を提案された。


 「当時、社内システムのほとんどが自社に合わせたスクラッチ開発でしたが、invoiceAgentは『これなら使える』いう感じの簡単な操作性でした。他社の製品も検討しましたが、基幹システムとのデータ連携や構築に時間がかかりそうでした。そこで20年来のお付き合いがあるSCSKと、同社が勧めてくれたウイングアークにお願いすることにしました。SCSKは既に他社に対してinvoiceAgent 電子取引の導入を支援していたので安心感がありました」(中山氏)


検討開始からわずか4ヶ月で請求書電子配信基盤の運用を開始


 「検討開始は10月中旬で11月に発注、その後2ヶ月で仕様を固め、1ヶ月で構築いただきました。宥恕期間の発表もありましたが、あくまで2023年12月31日までの経過措置であり予定通りプロジェクトを進めました」(中山氏)


 560名というフランチャイズオーナーに対し、どのように基幹システムから出力した請求書を滞りなく月次処理のタイミングで自動配信するか、検討開始から実運用までを僅か4ヶ月程度という短期間で実現出来たポイントとして最も大きかったのはinvoiceAgentの基本機能である「Bridgeサービス」の活用だった。「Bridgeサービス」は、スケジュールを設定して定期的にアーカイブしたり、アーカイブされた文書の保存先を自動的に振り分けたりするためのLoader機能を提供する。


 壱番屋では「食材購入に関する請求書」「食材購入に関する請求書明細」「備品類請求書明細」の3種類の請求書を発行しており、うち「食材購入に関する請求書明細」についてはオーナーからの要望でPDFのほかエクセル形式でもデータ提供することから、合計4帳票を560名のオーナーごとに配信する必要がある。「基幹システムからファイルを出力する際、invoiceAgentにうまく振り分けられるようにファイル名にオーナーコードと請求年月の数字、帳票種別の情報を付与しました。Bridgeサービスの利用については、オーナーコードを処理定義とし、オーナーごとの請求書フォルダに振り分けるように工夫しました。PDF形式の請求書は基幹システムから出力し、Bridgeサービスを利用してinvoiceAgentにアップロード後にタイムスタンプを自動付与しています」(DX推進部 主任 平岡 宥二氏)


 また同サービスの仕組みについて平岡氏は、「ファイアウォールの設定を変更せずにイントラのデータをinvoiceAgentのクラウドサーバーに上げることができたので、とても便利でした」と評価する。


DX推進部 主任 平岡 宥二氏

 更に、560名のフランチャイズオーナーに配信通知をする必要があることから、通知先登録も課題であったが、「CSVデータを用意し一括アップロードすることができたことが便利でした」(平岡氏)



フランチャイズオーナーからの問い合わせやトラブルもなく順調に稼働


 もう一つの課題が、新たな電子請求書サービスの運用変更に当たってのフランチャイズオーナーへの配慮である。


 「invoiceAgentの使い方自体は至ってシンプルなのですが、オーナー様としては今までメールを待っていれば請求書が届いたのが、月に1度アップロードされる請求書を自分で取りに行く必要があるため、手順が少し煩雑になった印象を与えてしまいます。その部分を解決する必要がありました」(中山氏)


 そこでオーナーが新しい仕組みを理解しやすいように、配信メールの文面やユーザー登録に関して工夫をしながら運用開始に向けて下準備を進めていった。


 それらの活動により、基幹システムとのデータ連携を含めてフローが自動化された形での本格運用を実現している。また社内に対してもinvoiceAgent 電子取引の運用や操作手順書を用意して、現在は請求書発行業務を担当している部署に運用を引き継ぎ、従来と体感的に変わらないオペレーションの下で安定運用を実現している。


 「短期間での対応になったにもかかわらず、運用開始にあたって大きなトラブルや、その後の操作に関する問い合わせもほとんどなく、スムーズでした」(平岡氏)


 現在は前述の通りinvoiceAgent 電子契約上で、食材購入に関する請求書と備品類の請求書、さらに付帯書類として請求書の明細を送付している状況だが、今後も壱番屋ではinvoiceAgentを活用した文書管理の高度化を視野に入れ、DX推進の一環として取り組みを進めていくという。


 「今後電帳法の範囲が広がったり、タイムスタンプを付与したりという対応が求められたときにも、そのまま今の運用の中に入れていけるので、自然と活用は広がっていくと思っています。ほかにも、経理部門で会計システムから出力される総勘定元帳や補助元帳、仕入元帳などの帳簿類についても更なる電帳法対応を検討しており、インボイス制度対応にあたっての帳票レイアウトや運用の変更対応に関してもinvoiceAgentをはじめとするウイングアークの製品が使えそうなので、今後のサービス展開に期待しています」(中山氏)


Company Profile

株式会社壱番屋

設立:1982年7月
所在地:愛知県一宮市
事業内容:カレー専門店「カレーハウス CoCo壱番屋」の店舗運営及びフランチャイズ展開、その他の飲食事業など
URL: https://www.ichibanya.co.jp/comp/

写真左より
DX推進部 課長 中山 良一氏
DX推進部 主任 平岡 宥二氏

導入製品

取引帳票の送受信から管理まで、すべて一括で行えるクラウド型の電子取引ソリューションです。

 
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