属人化していたデータを一元管理し、素早く共有することで、現場での作業をもっとスムーズに
エフビーエスは、前田建設グループの一員としてビル管理事業と建築事業を展開している。各種設備の点検、清掃、警備などのビルメンテナンス業務にワンストップで対応するとともに、建物価値の保全・向上を目的に長期修繕計画の策定や建物劣化診断を実施。また、全国の自治体から発注を受けて公共施設の建物包括管理を行う、官民連携事業にも取り組んでいる。ビル管理部門と建築部門をあわせ持つことで、維持管理だけではなく、小修繕から大規模改修工事を含めた建物に関わるあらゆるニーズに対応できることは同社の大きな強みだ。
ビル管理事業を担うストックソリューション部長の手塚 良隆氏は、以前の業務の課題を次のように話す。
「ビル管理の現場は全国数百ヶ所におよび、業務の内容は多種多様で、それぞれ点検や修繕を行うべき時期も異なります。従来そうした業務やお客様に関するデータは物件担当者だけが持っていて、共有が難しかった。そうした属人化が大きな課題でした。また、作業予定や進捗の管理、予算と実績の管理などにも多大な労力がかかっていました」(手塚氏)。

2023年夏当時、ビル管理の物件担当チームは8つあり、各チーム長が月一度の予実会議のために売上実績や見込みなどの資料をExcelで作成し提出していた。しかし、データ入力に手間がかかるだけでなく、提出されたデータを集計し全体像を把握するためには、そこからさらに時間と労力を要していた。
「建設業の2024年問題」によってさらなる業務効率化と働き方改革が求められる中、データ管理の属人化解消やスピーディーな予実管理による効率的な営業活動を実現するため、データを一元管理し素早く共有する手段が求められていた。
現場のニーズと声をしっかりと受け止め、進んで使ってもらえるダッシュボードを作成
2020年ごろから、前田建設グループではDXによる業務と経営の変革を進めていた。エフビーエスでもDX推進室を立ち上げ、様々な業務システムの導入によるDXを推進していった。
その一環として、2024年10月に新会計システムを導入する計画を立てていたが、そのデータを可視化するためのツールとしてMotionBoardを導入することが検討された。
導入を先導したDX推進室長 兼 経営管理室副室長の佐藤 武史氏は「まずは様々なデータを『見える化』することが目的でした。業務システムは、活用してもらわなければ意味がありません。MotionBoardの最大の特徴は、ユーザーに進んで使ってもらえるように、自分たちで一から工夫して作り上げられる点でした」と話す。
そして2023年9月、MotionBoardが導入された。導入検討の過程で、MotionBoardによってできることはストックソリューション部の課題解決に有効だということがわかり、手塚氏と佐藤氏が話し合いながら、ビル管理業務のためのダッシュボードを作り上げていった。
「現場でどのようなデータが求められているのかを見ながら、一つの機能をつくる。リリースしたら、現場の反応を見て改良し、同時に別の機能もつくるという『アジャイル』方式で進めていきました」(佐藤氏)。

まずは予実管理を行うダッシュボードを作成し、売上や利益などの管理を容易にできるようにした。次に、作業の予定と作業後の報告などもこのシステム内で素早く共有・管理できるようにした。
また、エフビーエスが受託している物件情報を地図上に表示することで、担当者の予定や、各物件における作業の状況なども素早く確認することが可能になった。
DX推進室 主任の石川 健斗氏は「従来の業務システムでは、使用するにあたり、そのシステムができることをまずはすべて理解する必要があり、使い方を習得するまでに時間がかかっていました。さらに、システムのもつ機能の範囲でしか活用することができませんでした。しかし、MotionBoardは構築の自由度が高いため、こういうものが見たいというユーザーの要望を吸収し、システムに反映することができます」と話す。

官民連携事業推進室副室長 兼 DX推進室副室長 兼 経営管理室課長の福田 洸一氏は「自由に構築できるということは、現場を理解している社内メンバーが、ニーズに合致したダッシュボードを作成・提供することができるということです。開発者・ユーザーの双方が、触っていて楽しいツールになると感じています」と語った。

予実管理業務が格段に効率化し、より迅速な指示が可能に。
地図機能を活用することで文字を超えた気づきを得られるように
MotionBoard導入により予実管理の業務が大幅に効率化した。従来、各チーム長が個別にエクセルへデータ入力していた作業や、それを集計する作業がなくなり、会計システムのデータをダッシュボードに反映できるようになった。
「これまでは、提出されたデータを集計し、内容を把握するために約1週間かかっていましたが、今では1時間以内で完了するようになりました。案件の受注確度も表示されるため、期末の業績見込みが現在どのくらい立っているのかもトップ画面で確認できます。変化している点、注力すべきポイントなども即座にわかるため、素早く的確な指示を行うことができるようになりました」(手塚氏)。
MotionBoardには入力機能があるため、ビル管理の作業予定や作業後の報告も直接ダッシュボードに入力することができる。複数のシステムを立ち上げることなく、素早く情報共有することができるようになった。また、スマートフォン用アプリ、MotionBoard Cloud Mobileを使うことで、外出時でも必要なデータにアクセスできるようになったため、いっそう作業効率が向上した。

さらに、各ビルの担当者や作業状況を地図上に表示させることで、新たな気づきが得られるようになった。
「たとえば、近接するビルを別々のチームが担当しているなど、文字だけではわからなかったことに気づけるようになりました。近隣の現場を一つのチームにまとめて担当してもらうことで、効率的に業務を行うことができます。業務効率が向上したことで、別の作業に時間を割けるようになったなど、働き方改革にもつながっています」(手塚氏)。

また、メンバーの有資格情報や、顧客から預かった鍵の管理機能も開発し、業務にかかわるあらゆるデータを一元化している。
全国の自治体が有する公共施設の管理を行う包括管理事業では、作業予定や建物情報などを、MotionBoardを用いて自治体職員と共有し、より円滑なプロジェクトの進行に役立てるなど、幅広い業務活用が進んでいる。
誰もが迷うことなく使えるUIを追求し、現場が本当に求めているものを提供する
MotionBoard導入からわずか半年足らずで、なぜこれほど活用が進み、様々な効果が生じているのだろうか?
佐藤氏は第一の理由として、徹底的にUIにこだわったことだと話す。
「これまで様々な業務システムを導入してきましたが、操作が複雑なことで入力が面倒になり、使われなくなった例を数多く見てきました。そのため、マニュアルなどを見なくても直感的に使いこなせることを目指して、工夫を凝らした開発を進めました。たとえば、その機能が何をするものか一目でわかるようなアイコンを配置することや、マウスオーバーによって画面メニューを表示させることで、クリックを不要とするなどです。参考にしたのがスマホゲームの操作性。あらゆるユーザーが迷うことなく、自然に使いこなせることを心がけました。使ってもらえなければ自分の負けという思いでダッシュボードを作成しましたが、それができたのも自分の思い通りに一から作り上げられるMotionBoardだからこそだと思っています」(佐藤氏)。
佐藤氏は、第二の理由として、開発メンバーが現場の業務を深く理解していることを挙げる。自身も以前はビル管理業務に従事していたことから、現場の課題とは何か、何が必要とされているかを同じ目線で把握することができた。それを踏まえて開発を進めることで、ニーズに合った機能を提供することができる。
構築にあたっては、疑問やトラブルが生じた際の問題解決能力も大切だ。佐藤氏は、情報収集や疑問点の解決のためにTECH BLOG(https://navi.wingarc.com/)などを参照し、自力で解決できない問題に関してはウイングアーク1stのサポートを積極的に活用することで開発を進めていった。
全社に活用を広げることで、気づきを新しい価値やビジネスへとつなげていく
2024年4月段階で、MotionBoardを主に活用しているのはDX推進室とストックソリューション部。今後は、建築部門であるエンジニアリング部や、営業部門であるマーケティング部、東北、大阪、九州の各支店など、全社に導入を進めていく予定だ。
手塚氏は「MotionBoardが全社に普及することで、本社と支店で別々に担当しているお客様に対して、営業窓口一本化による効率的なアプローチが可能になるなど、新たな取り組みを進められると思います。住所という文字情報だけでは気づけなかったことや、物理的距離によって分断されていた情報が、システムを介して共有されることで、新しい価値の創出にも繋がっていくと思います。また、エンジニアリング部と連携して工事管理を効率化したり、マーケティング部と協力して新しいお客様を開拓したりするなど、相乗効果が生まれることを期待しています」と話す。
石川氏は、用途ごとに様々なシステムを立ち上げて、逐一IDとパスワードを入力していた従来の利用方法から脱却し、幅広い機能を持ったMotionBoardによる一本化で、全社の作業効率を向上させたいと語る。
福田氏は、MotionBoardが普及することで、ITスキルやデータ活用のリテラシーが向上し、データに基づき行動する文化が全社に浸透していくことに期待している。
佐藤氏は、多様な気づきを生み出すことが、MotionBoard活用による最大の効果だと語る。
「自分が属する部門の仕事だけではなく、他部門の仕事内容や強みなどを知ることができれば、そこから新たな気づきが生まれます。部門間で協力すれば、現在の業務をより効率化できるだけでなく、新しいビジネスチャンスや事業を生み出すヒントが得られます。また、2024年10月に稼働する新会計システムのデータも即座にMotionBoardに反映させることで、経営判断に必要なデータを迅速・且つ正確に、経営層や各支店へ提供することができます」(佐藤氏)。
今後も、エフビーエスはMotionBoardの活用によって、業務効率化と働き方改革、データに基づく経営を強力に推し進めていく。





