横浜冷凍株式会社
月間約5万枚もの請求書をペーパーレス化
環境負荷軽減を実現し、郵送のコストと時間外労働も削減
- 業種
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倉庫・物流
冷蔵倉庫事業と食品販売事業で食の安定供給を担う横浜冷凍株式会社(以下、横浜冷凍)では、ウイングアークの総合帳票基盤ソリューション「SVF」、電子帳票プラットフォーム「invoiceAgent 文書管理」、「invoiceAgent 電子取引」を導入し、月間約5万枚の請求書についてペーパーレス化を実現し、働き方改革にもつなげている。今後は、さらなるペーパーレス化に向けて、対象領域の拡張を推進している。
導入背景
文書管理ツールが統一されておらず、事業所における業務効率や操作方法の習得に課題があった。また、SDGs推進や働き方改革の観点から、紙で大量に発行している対外帳票について、電子配信を実現することによりペーパーレス化を進めたいと考えていた。
- 課題
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- 文書管理ツールが点在し、それぞれのIDとパスワードを記憶しておくことや、操作への慣れが必要だったため、従業員の負担が大きかった
- SDGsの観点でペーパーレス化を推進したかった
- 請求書をいち早く送付するために時間外労働が必要だった
- 解決策導入ポイント
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- invoiceAgent 文書管理で文書管理ツールを統合し一元管理
- invoiceAgent 電子取引で郵送していた帳票をペーパーレス化
- 効果
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- 文書管理ツールの統合によって従業員の負担を軽減
- 請求書の約7割、月間約5万枚のペーパーレス化を実現し、郵送にかかっていたコストを削減
- ペーパーレス化によって請求書郵送作業のための時間外労働を大幅に削減
70年以上にわたり日本の食を支えてきた横浜冷凍
日本が戦後の食料難に見舞われていた1948年、たんぱく源となる水産物を全国に届けるために創業した横浜冷凍。以来70年以上にわたり、「食の安定供給」を目指して冷蔵倉庫事業と食品販売事業の両輪で成長を続けてきた。
同社は早くから環境経営に力を注ぎ、自然環境にやさしい物流システムの構築や、太陽光発電の導入、フロンを使用しない自然冷媒の積極的な採用などに取り組んできた。また近年は人的資本経営も実践しており、企業の源泉である「人」への投資も積極的に行っている。
横浜冷凍 総合企画部 係長 大西 宏幸氏は、「ITの活用により省力化・自動化を推進することで、人への負荷の軽減と生産性・収益性の向上を両立し、より働きやすい職場環境となるように務めています」と話す。
同社は国内に80拠点(冷蔵倉庫事業53、食品販売事業21、通関事業6)を構え、冷蔵倉庫の収容能力は業界トップクラスを誇る。倉庫を利用する顧客は、漁港や農産地の生産者、仲卸業者、食品原材料の輸入業者、食品メーカー、コンビニエンスストアや外食チェーンなど多岐にわたり、事業規模もさまざまだ。取引に伴って作成される書類も膨大で、国内事業の各部門が発行する請求書は月間75,000枚を超える。また、倉庫業を営む上で欠かせない在庫報告書や在庫証明書、通関や食品販売に関連する書類なども大量に発行している。
こうした帳票類は各種基幹システムから出力されていたが、一元化を目指して約20年前にウイングアークの総合帳票基盤「SVF」を導入し、現在では基幹システムのほぼ全ての帳票がSVF経由で出力されている。
文書管理ツールを統合し業務効率化と電帳法対応を実現
一方で、文書管理についてはツールが統一されておらず、点在している状態だったと大西氏は振り返る。
「各事業所では複数のシステムを使って業務を行います。それぞれのシステムが個別に文書管理の仕組みを持っていると、全ての使い方を覚えなければならず、またシステム毎にログインIDとパスワードが異なるので混乱したり忘れたりすることもあります。慣れていないと、求めている帳票がどのツールで保管されているのかも分かりません」
こうした現場の負担を解消するために、同社は文書管理ツールの統合に着手。SVFと連携しやすく、電子帳簿保存法にも対応できることから、ウイングアークの「invoiceAgent 文書管理(オンプレミス版)」を採用した。投資判断を行う経営層と業務手順が変わる現場に丁寧な説明を行った上で、ツールの切り替えやデータ移行作業を実施し、6ヶ月あまりの時間をかけて文書管理の統合を実現した。
「ツールの切り替えも大変でしたが、業務手順の変更やその前提となる規程の変更も伴うため、システム部門だけでは成し遂げられません。各部門に対して、負荷軽減につながることなど取り組みの意義を説明しながら、協力を得て進めていきました。従来のさまざまな文書管理ツールで利用していた機能は、いずれもinvoiceAgent 文書管理が備えていたため不自由はなく、使うのに慣れた後は非常に好評です」(大西氏)
対外帳票のペーパーレス化を目指しinvoiceAgent 電子取引を採用
大西氏は文書管理ツールの統合を検討していた際に、世の中でペーパーレス化の機運が高まっていることを踏まえ、電子配信の実現によるSDGsの加速を視野に入れていた。そして、invoiceAgent 文書管理の導入が成功に終わったことを受け、電子配信システムの導入に着手した。
文書管理ツール統合時の経験から、今回も事前のコミュニケーションが重要になると考えた大西氏は、経営層と現場では電子配信システムに求める目的が異なることに着目し、それぞれに対する準備と説明を惜しまなかった。
経営層はペーパーレスによるSDGsの促進、人的資源の効率化・省力化、会社全体のコスト最適化といった全社視点での数値を優先したDX推進を求めているはずだと予測した。
「コスト試算を行い、導入計画書を提出しました。また、導入は段階的に実施する計画でしたので、DXが着実に進んでいることを実感できるように、成果を逐一報告するようにしました」(大西氏)
一方で現場は、業務の効率化・利便性向上、残業時間の削減、コスト削減といった自事業所の数値を優先すると考察した。
「システムを一番使うのは現場の方ですから、現場で使いやすいシステムにすることを重視しました。リリース後の業務が円滑に進むように、導入前にシステム利用講習会を行い、このときに事業所が求めている機能をヒアリングしておき、実装しました。特に重要なのは、導入後のアフターケアです。導入直後の現場は混乱するはずなので、それをいち早く察知して解決できる体制を作りました」(大西氏)
電子配信システムの選定では、名前がよく知られた複数の製品をリストアップし試用した結果、ウイングアークの「invoiceAgent 電子取引」を採用した。
「invoiceAgent 文書管理との連携を重視しました。ライセンスコストだけを見れば、比較的高価でしたが、それよりも帳票がスムーズに流れるメリットを優先しました」(大西氏)
準備期間には約4ヶ月を費やしたが、導入後に振り返ると、準備・説明に時間をかけたことが成功の大きな要因だったと大西氏は語っている。
予定通り開発期間3ヶ月で電子配信を実現
invoiceAgent 電子取引を導入し、まずは発行数が多く電子配信の効果が最も現れる請求書から開発に着手した。その中でもはじめに取り組んだのは、請求書と事業所数が最大の冷蔵倉庫事業部門だ。
作業は約3ヶ月を予定し、自社内で実施した。大西氏は「導入までの期間を決定して臨んだことも、プロジェクト成功の要因でした。導入の覚悟ができ、計画通りに進んでいるかを確認しやすいからです。また、ウイングアークが提供するオンボーディングプログラムを契約したのですが、支援上限が最大3ヶ月であり、“3ヶ月の開発期間で終わらせないと、困るかもしれない”という危機意識を持てたのもよかったと思います」と振り返る。
最も効果が見込まれる領域から着手した一方で、この取り組みは得意先も巻き込み、トラブル時に影響も大きくなりやすいという危惧もあったため、入念なテストを行うなど周到に準備を進めた上で、さらに勇気も必要だったと大西氏は明かす。その結果、予定通りの期間で開発を終え、2023年10月に冷蔵倉庫事業部門の請求書で電子配信を開始した。
電子配信開始後は、電子配信の取引先大勢に影響がないものの、個別の不具合や問い合わせが発生。invoiceAgentの設定微調整は約4ヶ月間続いた。
「準備期間にこのような状況を見越して、問い合わせ窓口を一本化していたことが功を奏しました。現場が問い合わせをしやすく、対応する側も問題収集を迅速にして解決と対応が即時で行えるからです。問い合わせがあったときには、解決に時間がかかりそうでもまずは早く返事をすることで、現場に安心感を与えるように意識しました」(大西氏)
同社では、この第1弾の修正期間と並行して食品販売事業部門、通関事業部門の開発を行い、逐次電子配信を開始した。修正期間で蓄積されたノウハウが生きたため、通関事業部門に関しては電子配信開始後の問い合わせがほとんど無かったという。
月間約5万枚のペーパーレス化を実現
働き方改革にもつながる
請求書の電子配信は、当然ながら受け取る得意先の意向を踏まえて実施しており、従来通りの郵送にも対応している。大西氏は60%以上が電子配信に置き換わるように願っていたが、ふたを開けてみると想定よりも反応はよかったと語る。
2024年4月末現在、冷蔵倉庫事業部門は請求書の73%を電子配信に切り替えて、月間約36,000枚の紙を削減。通関事業部門は68%で月間約900枚、食品販売事業部門は67%で月間約11,000枚のペーパーレス化を実現している。
その後も請求書の電子配信は増加。当初の意向調査では郵送を希望していた得意先から、「電子配信でも大丈夫」という連絡が来るようになり、8月時点で冷蔵倉庫事業部門は電子配信率が80%を超えているという。
ペーパーレス化によって、請求書の印刷、封入封緘作業、郵送が大幅に減少したため、経費削減効果はinvoiceAgentの導入やライセンスにかかるコストを大きく上回る。
「請求書は早く発送したいので、発行日が休日の場合でも発送作業が必要でした。会社としても働きやすい職場環境を目指していますので、ペーパーレス化よりも課題感が強かった休日の作業を解消できたことをうれしく思います。請求書発送作業の為に時間外労働していた社員からも喜ばれています」(大西氏)
請求書での手応えを受けて電子配信を他の帳票にも拡大中
電子配信の実現において、大西氏はウイングアークのサポートも重要だったと話す。
「忖度なしで100点満点だと思います。一番の理由はレスポンスの速さで、無茶を承知で相談したことにも、遅くても翌日には必ず回答がありました。オンボーディングプログラムは即時対応で、電話やWebミーティングも使いながら親身に教えていただき、そのおかげで3ヶ月の開発期間を守れたと感謝しています」
横浜冷凍は現在、社内からの強い要望を受けて、これまでFAXや郵送を利用していた在庫証明書と在庫報告書を電子配信に切り替える準備を進めているところだ。
「経営層はDX推進に強い意欲を示しており、また現場からも、請求書でできたのだから早く他の帳票も電子配信にしてほしいという声が上がっています」(大西氏)
Company Profile
横浜冷凍株式会社
設立:1948年
所在地:神奈川県横浜市
事業内容:冷蔵倉庫業、食品の加工・販売業、通関業
URL:https://www.yokorei.co.jp/
導入製品
invoiceAgent 文書管理
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invoiceAgent 電子取引
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SVF
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