導入事例

不二サッシ株式会社

不二サッシ株式会社

選定のポイントは「すべての電子取引書類の電子化」と「発行と受取の双方向に対応」すること
70超の部門・グループ会社でinvoiceAgentとAgileWorksを活用

アルミサッシの製造・加工技術を軸に、総合エンジニアリング企業として多様な事業を展開する不二サッシ株式会社(以下、不二サッシ)では、電子帳簿保存法(以下、電帳法)への対応を主目的としてウイングアークの電子帳票プラットフォーム「invoiceAgent 文書管理」を導入した。また、「invoiceAgent 電子取引」およびエイトレッド社のワークフローシステム「AgileWorks」を組み合わせることで、社内稟議や社外との取引を電子化し、業務効率化やコスト削減を推進し、サステナビリティの観点でも貢献している。

導入背景

社内の回付書類や取引先とやり取りする帳票類は基本的に紙であり、電帳法への対応が喫緊の課題となっていた。また、各部門が独自の体裁で請求書を発行している中で、インボイス制度に対応しなければならなかった。併せて、ペーパーレス化による業務効率化・コスト削減も目指したいと考えていた。

課題
  • 電帳法への対応が必要だった
  • インボイス制度への対応が必要だが、各部門が請求書などを独自の体裁で発行していたため、統一して管理するように改めたかった
  • 紙の書類を電子化し、業務効率化とコスト削減を図りたかった
解決策導入ポイント
  • invoiceAgentを導入して電帳法と取引の電子化に対応
  • AgileWorksと連携し、ワークフロー上の書類を自動でinvoiceAgentに保管
  • invoiceAgentに書類がデータとして保管されるため場所を選ばず書類を探せるようになり、保管コストも削減
  • 様々な書類(注文書・請求書、領収証、契約書、納品書、見積書など)を幅広く電子化が可能に
効果
  • 電帳法およびインボイス制度に対応
  • 70を超える部門・グループ会社でinvoiceAgentとAgileWorksを活用し、印刷・郵送にかかるコスト削減、業務効率化を実現
  • テレワークによる業務効率化が可能に
  • 電子化による業務効率化の意欲が全社に波及

サステナブルな社会実現への貢献を目指す総合エンジニアリング企業


 「窓から夢を」という経営理念のもと、ビルサッシ、カーテンウォールの製造を柱として成長してきた不二サッシは、アルミサッシの製造・加工技術を軸に、ビル建材事業、アルミ形材・加工品事業、リニューアル事業、環境エンジニアリング事業、物流事業、海外事業、新素材開発など、総合エンジニアリング企業として多様な事業を展開している。


 不二サッシ 経営管理部 経理部 部長 松本 嘉子氏は「不二サッシグループは1930年の創業以来、90年以上にわたるものづくりの歴史の中で培った技術力と提案力で、多様化するニーズに対応し、さまざまなチャレンジに取り組んできました。現在はサステナビリティビジョン2050『サステナブルな社会実現への貢献 選ばれる企業グループへ』を掲げ、2030年の創立100周年だけでなく、その先の未来に向けて、これまで培ってきた経験や技術を生かすとともに、グループのあるべき姿を想定した長期ビジョンの達成に向けてチャレンジを続け、持続的成長を目指しています」と話す。


松本 嘉子 氏

 同社が誇る技術力と提案力は、光建材事業からも見て取れる。不二サッシ 経営管理部 経理部 経理グループ長 金川 晃之氏は「独自開発した薄型LEDモジュールによる商品開発を進めています。当社が誇るアルミ素材とLEDの融合により、エクステリアでは都市や街並みの夜景観に貢献し、インテリアでは建材メーカーとしての視点から建築化照明に新たなスタイルを提案しています」と説明する。


金川 晃之 氏

 そんな同社では、サステナブルな事業基盤を築く上で、改正電帳法への対応が喫緊の課題となっていた。


 「コロナ禍で各部門において電子取引が増えたこともあり、文書を法令に則って保存できる環境を整備する必要がありました。また、インボイス制度の開始も迫っていたため、『二大法改正』への対応を主目的とするプロジェクトが発足したのです。さらにこれらの対応を契機に、社内の稟議書や取引先への発行書類の大部分が紙だった状況を見直し、『テレワークなどのワークスタイル変革への対応』、『ペーパーレスによるSDGsへの貢献』、『間接業務の効率化』などのテーマにも取り組みました。電帳法は国税庁所管であることから、税務に直接関与している経理部が、情報システム部門の支援を受けながら対応を進めました」(松本氏)


20以上の製品を調査してinvoiceAgentを採用



 プロジェクトではまず、取引関係書類の種類と量を把握するために社内調査を実施。見積書、注文書・請書、請求書といったどの企業でも扱う書類に加えて、物流事業で発行する出荷証明書、建設に関わる事業で発行する出来高通知書などがあり、取引関係書類全般を扱える仕組みが必要だった。

 出来高通知書とは、案件が長期間にわたる建設業の取引で発行される、中間支払を行う際の書類で、プロジェクトの進捗度合い(出来高)を査定し、両者合意のもと発行するため双方向でのやり取りが発生する。

 社内調査に続く製品選定では、松本氏がベンダー各社のウェブサイトから情報を収集していったという。

 「20以上の製品を調べましたが、重要な要件である『全ての取引関係書類を電子化できる』、『発行と受取の双方向に対応』を満たすツールとして、たどり着いたのはウイングアークの『invoiceAgent』でした。また、将来を見据えると、ウイングアークが文書管理や配信以外の統合情報基盤を提供していることも魅力です。さらに、将来的にはinvoiceAgentの機能である『私書箱』を提供することで、前向きに電子化を進めづらい個人事業主の取引先の業務効率向上に貢献できると考えました」(松本氏)

 また、同社ではワークフローツールの選定も進めた。取引先へ送付する前の承認や社印の押印といったプロセスの電子化は、コロナ禍を経て各部門からの切実な要望となっていたためだ。経理部としても、取引先から受け取った請求書などが全国各地の拠点から郵送されるまでに時間とコストを要し、会計システムの伝票と紙では突合作業もしづらい状況であったため、ワークフロー上で伝票と証憑を比較できるようにしたいと考えていた。

 そこで採用したのは株式会社エイトレッドの「AgileWorks」だった。ノーコードでinvoiceAgentと連携ができる「invoiceAgent Adapter for AgileWorks」が提供されているなど、invoiceAgentとの親和性の高さが理由で候補に上がったという。

 AgileWorksの機能については金川氏がこう説明する。

 「弊社では、各部門がExcelで作成し印刷したさまざまな体裁の請求書などの帳票がありました。電帳法とインボイス制度に対応するこの機会に、AgileWorksの機能で帳票を開発し、全社で統一することにしました。また、他の社内書類についても各事業部門で容易に開発できるため、ワークフロー化が進むのではないかと考えました。組織再編や人事異動への対応がスムーズに行えるメンテナンス性の良さもAgileWorksを選択した理由です」(金川氏)


70を超える部門・グループ会社でinvoiceAgentとAgileWorksを活用



 こうした選定プロセスを経てinvoiceAgentおよびAgileWorksを導入した不二サッシでは、電帳法とインボイス制度への対応、そしてワークフローの電子化と業務効率化を進めた。一例として支払請求書の処理は、以下の流れで行われるようになった。

<受信側>


  1. (各拠点)取引先から受け取った請求書をAgileWorksに登録し、承認者の決裁を得る。

  2. 最終承認が終わるとAgileWorksがGoogleドライブに請求書を出力し、それをinvoiceAgentが自動で取り込み保管する。
    ※Googleドライブが介在するのは、AgileWorksを経由しない書類が命名規則に従っているかをチェックするため

  3. (経理部)会計システムの伝票とAgileWorks上の請求書を突合する。


<配信側>


  1. 基幹システムより「仕入れ請求書・出来高通知書注文請書」を発行

  2. Googleドライブを経由しinvoiceAgentに連携

  3. invoiceAgentで振り分け・保管

  4. invoiceAgentでメールにて仕入先に書類を送付


 このような一連の仕組みを実現するには、ウイングアークのサポートも役立ったと両氏は振り返る。


各書類における電子化後の受領と配信の流れ


 「invoiceAgentとAgileWorksを連携してのオールインワンは導入前から理想としていた形であり、当社に寄り添って対応していただいたことに非常に満足しています」(金川氏)

 「特に取引企業と双方向でのやり取りがある出来高査定は、当時の標準的な機能で実装されていない中で相談したところ、実現方法を提案し開発までしていただけたことが、非常にありがたかったです」(松本氏)

 現在の利用ユーザーは、不二サッシ6支店のおおよそ30部門、グループ企業のライトメタル17部門、他グループ24社において管理者、承認者、利用者合計800名程度が対象となっている。

 電子取引は主に、請求書、出来高通知書で行われている。請求書の内訳は仕入請求書が月間2,500件程度で、今後AgileWorksとの連携による販売請求書の電子配信が本格稼働すれば、合計3,000件以上となる見込みだ。注文書・請書についても電子取引を目指していたが、電子契約へと切り替える都合上、検討中だという。

 一方で文書保管については、注文書・請書、領収証、契約書、納品書、見積書などが対象となっており、今後もペーパーレス化推進のため対象帳票を増やしていく予定だ。

 得られた効果について金川氏は、「ペーパーレス化による紙代と郵送代削減、郵送に係る業務およびワークフロー回付費用の低減ができています。また、各部門で形式などバラバラに作成されていた請求書の体裁を統一し、テレワークも推進できたため、これらによる効率化が図れました」と説明する。

また、経理部の観点では松本氏が「請求書を当社では10年間保存しています。保存の場所や整理の仕方が電子になることで、いつでもどこでも探せるようになり、保管にかかるコストが削減できました」と話す。

 ただ、このような成果はシステム導入だけで得られたわけではない。金川氏は全国の拠点を回り、社員に対しての周知を進めるなど、現場への定着活動を行っていた。

 「当時聞き慣れないインボイス制度とは?電子帳簿保存法とは?という説明から始めています。また、現状よりも業務負担が増えるのではないかという懸念の声も聞かれたため、意識改革が必要でした。まずは二大法改正に関する通達などを配信して理解を深めてもらいながら、関係会社や各支店の取引先を含めた説明会にて周知していきました。その活動を経てより丁寧な説明が必要であると考え、『社内ユーザー向け操作説明マニュアル』、『お客様ご利用ガイド』、『操作マニュアル(動画)』を整備したのです。それでもリリース後に想定外の問い合わせがありましたが、回答を『電子保存に関するQ&A』として公開したことで一気に収束に向かいました」(金川氏)


「この書類も電子化したい」という
現場からの声が寄せられるように



 松本氏は電子化の現状について「道なかば」と語る。

 「取引先の都合もあるため、まずは社内で回付する書類の電子化を中心に進めたいと考えています。将来的には、電子保存に苦慮されている取引先に対して、invoiceAgent 電子取引を推奨していけたらと考えています」(松本氏)

 だが、その道を着実に進んでいるのも事実だ。社内でのinvoiceAgentによる電子取引の拡大に向けては、組織体制の見直しも行われている。これまでは経理部中心で進めてきたが、現在はより大きな視点での生産性向上に向けた社内システム刷新プロジェクトが立ち上がり、連携しながら進めているところだ。

 今後の取り組みについて金川氏は、次のように期待と意欲を語る。

 「弊社でも人材不足への対応が急務ですので、電子化の運用拡大を進めていく予定です。社内のリテラシーがかなり変わってきたこともあり、他の書類も電子化したいという声も多く上がってきています。電子化が進むことで間接業務の効率化が進み、全体的な生産性向上につながるものと期待しています」(金川氏)

 最後に松本氏には、電子化による業務効率化を目指す経理の方々に対して、今回の経験に基づいたメッセージをいただいた。

 「昨今、経理DXという言葉が頻繁に飛び交っているように、経理業務は効率化が求められていると思いますが、紙を電子化するだけではかえって業務負荷が上がってしまうこともありますので、事業部門やシステム部門の協力なしでは進めることは難しいと思います。そのような際には、ウイングアークのようなベンダーのサポートを受けながら、スモールスタートで始めてみるとよいと思います」(松本氏)

 ウイングアークでは、今後も引き続き不二サッシの電子化拡大に向けて貢献していくとともに、DXを進める事業者に寄り添ったサポートを提供していく。


Company Profile

不二サッシ株式会社

創業:1930年
所在地:神奈川県川崎市
事業内容:ビル建材事業、アルミ形材・加工品事業、リニューアル事業、環境エンジニアリング事業、物流事業、海外事業、新素材開発など
URL:https://www.fujisash.co.jp/

(写真左より)
経営管理部 経理部 部長 松本 嘉子氏
経営管理部 経理部 経理グループ長 金川 晃之氏

導入製品

電子帳票の仕分けから保管、検索、他システムとの連携も可能な文書管理ソリューション。電子帳簿保存法に対応し、コスト削減、ガバナンス強化、ペーパーレス化を推進。

電子帳票の配信・受領を最適化する電子取引ソリューション。大規模な帳票配信やデジタルインボイスに対応。デジタル封筒を利用して取引先との帳票業務の効率化を実現。

 
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