導入事例

株式会社良品計画

株式会社良品計画

「MUJI passport」で、顧客とのコミュニケーションを活性化
顧客の行動データを地図上にプロットし、現場担当者による商圏分析を可能に

株式会社良品計画
業種

卸売・小売

「無印良品」の企画開発・製造から流通・販売を行う株式会社良品計画(以下、良品計画)は、リアル店舗の売上向上につながるデジタルマーケティング施策として、スマートフォンアプリ「MUJI passport」を展開。アプリから得られる顧客の行動データと店舗の位置を「MotionBoard Cloud」を利用し地図上で分析。エリアマネージャーや店舗開発担当者が商圏分析を行える分析環境を用意した。エリアや顧客の年代、性別などの切り口で利用状況の把握を地図上で示す、スピーディーな商圏分析を可能にした。

導入背景

MUJI passportのサービス開始以来、アプリから顧客の行動データを収集しているが、データを分析できる環境がなかった。そのためエリアマネージャーは担当エリアの商圏を感覚的にしか把握できておらず、店舗開発担当者も新規出店計画にデータが活用できていなかった。

課題
  • スマートフォン向けアプリ「MUJI passport」から収集された数千万件の顧客の行動データを、スピーディーに分析したい。
  • 分析の専門家ではないエリアマネージャーや店舗開発担当者が直感的に使える商圏分析の基盤を構築したい。
解決策導入ポイント
  • 顧客の行動データをスピーディーに地図上にプロットでき、直感的に操作できるインターフェイスを持っている。
  • クラウドを利用することで、サーバーの運用負荷がかからない。
効果
  • 一画面のダッシュボードの中にエリアマネージャーや店舗開発担当者が必要とする情報を揃えることができた。
  • MUJI passportのデータを使って、エリアマネージャーが自分の担当しているエリアの商圏を分析できるようになった。
  • 店舗開発担当者が新規出店の際に既存の店舗への影響を予測したり、オープン後に予測どおりか確認できるようになった。

MotionBoard Cloudを使って顧客の行動データを集計し、商圏分析に活用している。エリアマネージャーは担当エリアのマーケットサイズや特性などがより具体的に推定でき、店舗開発担当者は商圏分析を活用して出店計画を立てたり既存店舗への影響を予測できるようになった。


スマホ向けアプリ「MUJI passport」で実店舗への送客を増やす


 1980年に西友のプライベートブランドとして誕生した「無印良品」を展開している良品計画は、衣料品から家庭用品、食料品など日常生活全般にわたる約7,000品目ものオリジナル商品の企画開発・製造から流通・販売までを行う製造小売業だ。1989年に西友から独立すると、2年後にはロンドンと香港に出店するなど、会社設立当初から積極的なグローバル展開を行っている。現在、国内に約400店舗、海外に約300店舗をかまえ、数年のうちに海外の店舗数が国内を上回る見込みだ。


 こうした実店舗の運営に加え、オンラインストアの「無印良品ネットストア」やスマートフォン向けアプリ「MUJI passport」といったサービスを提供し、ネットとリアルをつなげるオムニチャネル戦略にも積極的に取り組んでいる。中でも2013年5月にスタートしたMUJI passportは現在530万人のユーザーを抱えるサービスに成長し、顧客とのコミュニケーション基盤としての活用が進み、2015年には中国や台湾でもMUJI passportのサービス展開が始まっている。


 良品計画のデジタルマーケティングを担当するWEB事業部は、「無印良品ネットストアの運営」「既存店舗への送客」「デジタルメディアを用いた顧客とのコミュニケーション」の3つを業務の柱としている。ネットストアの運営を行う一方で、良品計画の売り上げの9割を占める実店舗へ貢献することもWEB事業部の大きな役割となっているのだ。WEB事業部CMT(チーフ・マーケティング・テクノロジスト)の濱野 幸介氏は、「どうすれば実店舗への送客や売上拡大に貢献する施策が実現できるか試行錯誤を続けてきました。Webサイトやメールを利用したこれまでの施策では、効果が期間限定的であったり局所的になりがちという課題がありました。実店舗にダイレクトに貢献できるツールはどんなものか検討を重ねた結果、MUJI passportというアプリの開発に至りました」


地図上にプロットされた情報をもとに、
店舗開発担当者やエリアマネージャーが自ら商圏分析できるツール


 MUJI passportには、店舗やネットで買い物をしたり、店舗に来店した際にチェックインすることで、買い物に使えるマイルが付与されるというポイントカードとしての機能のほかに、店舗から発信した情報をアプリに表示するニュース機能や、現在地の近くにある店舗から商品を検索できる在庫検索・店舗検索機能がある。


 こうしたMUJI passportのサービスから収集される顧客の行動データを、良品計画では商圏分析に活用している。店舗で商品を買った顧客は、どんな行動をした結果、購買に至ったのか、アプリの位置情報を活用して地図上にプロットして分析していくことで、これまではエリアマネージャーが感覚的に把握していた商圏サイズや特性などがより具体的に推定できるようになる。また、新たな出店計画の参考にしたり、手薄なエリアへのプロモーションに利用したりするなど、MUJI passportのデータは店舗開発の担当者やエリアマネージャーにとって商圏分析のための貴重なデータとなる。


 「これまでも他のツールで商圏分析を行っていましたが、機能が多すぎて操作も難しく、データサイエンティスト向けのようなツールでした。店舗開発担当者やエリアマネージャーが日常的に使うには難しいツールだったのです。他にもGIS(Geographic Information System:地理情報システム)ベンダーが提供しているツールも検討しましたが、コストに難がありました」と濱野氏は振り返る。


 使う人にとって適切なツールでなければ、継続して利用してもらえない。「MUJI passportで収集されるデータは数千万件レベルにも上ります。それらをスピーディーに地図上にプロットできて、なおかつ直感的に操作できるインターフェイスを持っていることが重要でした。こうした要件や性能、コストのバランスを考えた結果たどり着いたのが、MotionBoard Cloudでした。クラウドを選んだのは、IT部員が限られているためサーバーの運用が委託できること、セキュリティ面での安心感があったからです」と濱野氏は言う。


 2015年6月に導入を決定し、エリアマネージャーや店舗開発担当者の要望やフィードバックを組み込みながらダッシュボードを自社開発した。


 「一つの画面で必要な情報をすべて見られるようにしています。現在はエリアマネージャーを中心に、興味のある店長に展開している状況ですが、さらに浸透していけば全店長に開放することも計画しています」(濱野氏)


 MotionBoard Cloudを使って、エリアマネージャーは、自分の担当しているエリアの店舗で購入している顧客はどこから集まっているのか、商圏が何キロあって、購入者の密度がどれくらいなのか、といったことを分析している。また、店舗開発担当者は、新規出店の際に他の既存の店舗にどれくらい影響があるかを分析するほか、オープン後に予測どおりに集客できているかを確認している。


 良品計画では現在、MotionBoard Cloudをはじめとして3つの分析ツールを使い分けている。あとの2つは、データサイエンティストが数億件レベルのデータを柔軟に分析するときのツールと商品部が開発した商品が意図どおりに売れているかを分析するためのツールだ。分析ツールには、“適材適所”が求められるという濱野氏の考えからだ。


 「どのツールを使うかではなく、誰がツールを使うのか、を考えることが重要なのです。使う人にとって適切なツールでないと、継続して利用してもらえません。データ分析の専門家ではないエリアマネージャーや店舗開発担当者にとっては、プルダウンから選んで選択するだけで直観的に使えるMotionBoard Cloudが最適なツールだったのです」


顧客の行動データの分析で「顧客時間」の拡大を目指す


 良品計画は、顧客の声を商品開発に活かすという取り組みを創業当時から継続して行ってきた。顧客とのコミュニケーションが企業文化の素地として根付いている同社にとって、MotionBoard Cloudによる顧客行動や商圏の可視化も違和感なく社内に受け入れられている。


 「MUJI passportをはじめとして、さまざまな方法でお客様とコミュニケーションをとっていくことで、購入時だけでなく、購入前や購入後も含めた『顧客時間』を拡大、無印良品のことを想起していただいている時間を長くすることが重要だと考えています。そのために、MUJI passportとMotionBoard Cloudを使った分析をさらに活用していきたいと考えています」


Company Profile

株式会社良品計画

設立 :1989年
所在地 :東京都豊島区
事業内容 :1980年に西友のプライベートブランドとして誕生し、1989年に良品計画として独立。「無印良品」の企画開発・製造から流通・販売までを行う製造小売業として、衣料品から家庭用品、食品など日常生活全般にわたる約7,000品目の商品を展開している。創業当時から積極的な海外展開を行い、生活者に配慮したものづくり・サービスによって世界に通用するグローバルプレーヤーを目指している。
URL :http://ryohin-keikaku.jp/

WEB事業部 CMT
濱野 幸介 氏

導入製品

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