
システムごとに個別実装されていた帳票ツールを共通基盤化する
世界23ヶ国105拠点に事業展開する住友理工株式会社(以下、住友理工)は、2016年1月に名古屋・名駅エリアにグローバル本社を新設。経営管理の高度化を進め、グローバル企業としてさらなる飛躍を遂げるため、経営体質の強化と事業の多角化を柱とした“Global Excellent Manufacturing Company”への変革を目指している。
このビジョンと歩調を合わせて取り組んでいるのが、情報システム基盤の統合だ。2011年よりITインフラの刷新に着手し、2012年に新設された自社データセンターでプライベートクラウド環境を稼働。基幹システムの再構築と移行を進めている。同社 情報システム部の部長を務める森永 聡氏は、「M&Aによって新たにグループに加わった企業も多いことから、セキュリティポリシーや内部統制を徹底し、連結ベースで事業運営を支えていく基盤をしっかり作り上げていく必要がありました」と、背景を語る。
「統合プリントシステム」も、その一環として構築されたものだ。同社 情報システム部 グローバルIT企画室の早川 浩司氏は、「これまでシステムごとに個別実装されていた帳票ツールを、データセンター内の仮想化された帳票サーバーに集約して共通基盤化します。これにより、各業務部門やグループ会社の大きな負担となっていた初期費用やオペレーションにまつわる手間を削減するとともに、ホスト帳票などの大量印刷にも容易に対応できる基盤を確立します」と語る。
900種におよぶ帳票フォームを移行既存の資産をそのまま流用
どの帳票ツールをグループ全体の共通基盤として活用していくか―。様々なエンタープライズ帳票ツールの比較検討を重ねた結果、住友理工が採用を決定したのがSVFである。住理工情報システム システム部 運用サービスグループの奥川 喜之氏は、このように語る。
「住友理工グループでは、今後の共通の業務システム開発基盤として『楽々Framework』(住友電工情報システム)を利用する方針を打ち出しています。この『楽々Framework』と高い親和性で連携できることが、SVF選定の決め手となりました」
具体的には、SVFのAPI・テキスト連携インターフェイス機能であるSVF Connect SUITE Standardを利用し、楽々Framework側からSVFのAPIをラッピングすることで、簡単なJavaプログラミングの設定によって連携を実現することができる。
また、従来からも多くのシステムの帳票ツールとして多くの業務現場でSVFが使われており、その実績を高く評価する一方で、既存の帳票フォーム資産をいかにスムーズに統合プリントシステムに継承していくかも重要な課題だった。
「注文書や納品書といった購買・販売系の伝票類のほか、管理系の生産実績や各種指示書など、グループ内には900種におよぶ帳票フォームが存在しています。今回の共通基盤化にあわせてSVFのバージョンアップを行いましたが、基本的にはコンバートツールを使ってこれらの資産をそのまま流用できます。帳票フォームをあらためて作り直さなければならないといった手間を回避できることも、SVFの採用に至った重要ポイントのひとつです」と早川氏は語る。
1ヶ月あたりPDF出力5万枚、ダイレクト印刷18万枚を出力
SVFをベースとする統合プリントシステムは、2015年7月に稼働を開始。すでにホストのダウンサイジングプロジェクトや部門基幹システムで利用され、「まったくトラブルなく安定した運用を続けています」と早川氏は語る。
そして、2016年度上期(4~9月)からは、既存システムからの帳票の移行や新規帳票システムの構築がいよいよ本格化する。
「既存システムからの移行分だけでも18システムの対応を予定しており、1ヶ月あたりPDF出力で約5万枚、ダイレクト印刷で約18万枚のリクエストを、統合プリントシステムで処理することになります」と奥川氏は語る。
こうした大量印刷に対応しつつ、今まで以上に高度なサービスレベルを実現するために、大きな役割を担っているのが、RDEだ。
「データセンターおよび各拠点で運用しているプリンター、スプール情報、ユーザー情報はRDEで一元管理・監視しており、工場内のプリンター異常などもサーバー側で印刷エラーとして検知することができ、対応までのスピードが向上しただけでなく、システム部門・現場作業員の運用負荷も低減できました」と早川氏は語る。
帳票印刷の従量課金を開始し、さらに電子文書化やグルーバル対応を目指す
同社では、2013年よりIT利用の見える化を目的に、プライベートクラウドのサーバー利用量など社内のITリソースを"ITサービスメニュー"としてメニュー化し、利用に応じた受益者へのコスト負担を推進している。
統合プリントシステムも統合化・標準化により様々な効率化を達成できた反面、業務部門における利用量に応じたコスト負担が必須であり、住友理工では統合プリントシステムについても、2016年度から従量課金を開始する考えだ。「部門ごとに帳票システムを個別に構築・運用していた頃に比べ、統合プリントシステムが稼働したことで初期費用やライセンス費はもちろん、ランニングコストも大幅に削減されています。このメリットを各業務部門に認識してもらうと同時に、ITサービス利用に対するコスト意識を高めてもらうためにも、帳票の印刷コストを“見える化”することは、大きな意義があると考えています。また、グループ会社に良質なITサービスを提供するとともに適切な対価を求めるのはグループ経営の基本であり、今後のグローバル展開を支えていくためにも、これは必須の施策なのです」と森永氏は語る。
さらに、その先にはグローバル・データウェアハウスを構築し、その中で帳票データも一元管理することで、さらなる業務効率化とスピードアップ、電子文書化対応、グローバル対応などを進めていくという構想も描いている。
「情報システム部門として経営に貢献するために解決を図っていくべき課題は、まだまだ山積しています。統合プリントシステムの構築では、構築初期の段階でソリューションサービスを活用。ウイングアークのコンサルタントに加わっていただき、発生した問題にレスポンスよく回答してくれたことで、プロジェクトを予定通りのスケジュールで進捗することができました。今後も多くの課題を乗り越えるため、引き続き手厚いサポートを期待しています」と早川氏は話す。
住友理工では、ウイングアークとのパートナーシップを強化しながら、統合プリントシステムをはじめとするITサービスのさらなる発展にチャレンジしていく考えだ。






