“BIだけでは足りない”浮き彫りになったDWHの必要性
保守履歴や運転実績をはじめとしたサービス関連のデータをはじめ、案件情報や収支含めたバックオフィスが持つ情報など、多様なデータを保管、分析することで、サービス最適化やバックオフィス業務の品質向上、意思決定の質を高めるデータドリブン経営など、データ利活用による企業活動の全体最適化を図るためのDX戦略を推進しているJFS。2000年に設立から進めてきた新規提供中心の体制から、運転データの活用などにより既存顧客への価値創造を強化する方針へとシフトしており、顧客視点でのES価値向上や経営視点での管理力向上、収益力拡大を大きな柱として、DX適用やICT進化、そして全社のリテラシー向上をミッションに事業を推進している。

なかでもデータ活用については、2023年に全社データ活用構想を策定。「データが正確に長期保管され、サービス・経営・業務処理といった各種領域のデータ活用が進むことで、予知保全・サービス最適化、データドリブン経営、業務全体最適化などの実現を進めています」とICT統括室長 城所 敏夫氏は説明する。実は、当初は他社のBIツールの導入したものの、根本的な課題に直面することに。データの分散や設備の多様性により、可視化の前段階である「データ収集」が極めて困難だったという。収集するマスタのデータ項目やフォーマットは多様であり、同じマスタでもシステムリプレイスなどによりデータ項目が変わるため、蓄積データの連続性が保てず、案件情報の長期保存やExcel中心の属人化した業務も懸案事項となっていたのだ。

クラウド環境でデータ分析基盤とダッシュボードをワンセットで活用できる
データ活用に向けた新たな環境整備に向けて、これまで手作業で行っていたデータ収集や蓄積が自動化できること、そしてExcelをインターフェースとして蓄積可能な保管データとして取り込める環境を希望した。また、従来のように自前でDBを構築して運用するよりも、性能や容量を気にせずに運用でき、最新技術への追従も容易なクラウド環境でサービス利用できるものが理想的だった。
そこで同社が選んだのが、ウイングアークのクラウド型データ分析基盤「Dr.Sum」とBIダッシュボード「MotionBoard」の組み合わせだった。「クラウド環境でデータ分析基盤とダッシュボードをワンセットで提供するソリューションは他にありませんでした。蓄積してすぐ活用できる点は、まさに当社が求めていたものです」と城所氏。現場に根強く残るExcel業務への対応として「SmallData Manager」が利用できる点も大きな魅力の1つだったという。
柔軟にAPI活用が可能なだけでなく、ローコードで必要な情報の可視化が容易な柔軟性の面でもウイングアークのソリューションを高く評価。結果として、Dr.SumとMotionBoardを新たなデータ活用基盤として採用することになったのだ。
API連携とExcelデータの統合で、データ収集を自動化
2024年11月に新基盤が本格稼働し、現在は既存BIツールからMotionBoardへの移行が進みつつある。技術企画室 リーダー 南部 秀樹氏は「従来は当社データベースから設備の運転データをCSV形式で出力し活用していましたが、今はDr.SumとMotionBoardの連携によりCSVを介する必要がなくなりました。データ連携が容易になったことで、移行時には分析項目の拡充も行っています」と説明する。

この新基盤は、現場の業務を変えつつある。エネマネ推進室 副室長 大須賀 崇氏は、「ダッシュボードを使って月間の実績と計画を比較し、予測や運転のチューニングに役立てています。また、太陽光発電による電気を送配電ネットワーク経由で送る自己託送の運用サービスでは、MotionBoardで分析したデータをもとに30分単位で予測値を立て実績値とのズレを補正しています。既存BIツールではスクラッチ開発が必要でしたが、新たな基盤では365日運用されるデータの自動取り込みと反映が容易になっています」と評価する。

経営管理の面では、複数部署からのデータ収集が容易になったという。「1つのプロジェクトに複数の部署が関わるため、中計策定においてはExcelで各部署からデータを吸い上げ、集計したものをまたExcelで確認していました。今はダッシュボード上で各部署の情報から寄せられた情報が画面上ですぐに確認できます。明細ごとに集計した値も確認できますし、過年度情報の推移や今後の計画や想定も含めて経年比較が容易になっています」と企画室 マネージャー 小熊 克典氏が語るように、全社的な意思決定の迅速化に寄与している。

構築において最大の成果は、データ連携の自動化による工数削減だ。kintoneで管理されている案件情報やサービス提供している各設備の運転データは、Dr.SumのAPI経由やバッチによるファイルの自動取込で簡単に自動連携が可能になった。「従来、週1回以上取り込んで加工していた手間から解放されました」とICT統括室 リーダー 佐藤 梓氏は力説する。既存サーバーの容量不足の不安も解消されるなど、クラウド化のメリットを強調する。

また、SmallData Managerを活用し、形式の異なるExcelデータもDr.Sumへ集約し、一元管理を実現。「SmallData Managerによってcsvとは異なるシートのフォーマットの形式の違いを吸収できるため、Dr.Sumと連携し、システム外のExcelも一元管理を実現できます」ICT統括室 シニアリーダー 山下 浩明氏も評価する。さらに、内製化していた案件の場所をマッピングした地図機能などもMotionBoardに統合。「ユーザー部門にとっての使いやすさを重視し、複数のツールに跨っていた機能を1つのダッシュボードに集約できました」と佐藤氏は手応えを語る。ダッシュボード開発しながら特性を学習できるウイングアークの伴走型サポートも高評価だ。

現場の知見とICTの技術が融合、データドリブン経営への進化
今後については、顧客へのサービス提案領域にもMotionBoardで得られた情報を活用してくことで、さらなる提案力強化につなげていきたいという。また、ダッシュボードの利用拡大に向けた施策にも取り組んでいきたいと意欲的だ。「AI機能の活用も視野に入れ、現場部門と共にダッシュボードの利用を拡大していきます」と城所氏は展望を語る。ICT統括室と現場が手を取り合う「共創モデル」を軸に、エネルギーのベストパートナーとして脱炭素社会の実現に向けた歩みを加速させていくと今後について語っていただいた。






