導入事例

大丸株式会社

大丸株式会社

自由度が低かった既存のデータ活用環境を刷新
全社員が柔軟に利用できるデータ分析基盤を構築

大丸株式会社
業種

卸売・小売

紙製品の卸を主力事業とする大丸株式会社(以下、大丸)にとって、販売や仕入れの実績を確認し、営業活動をテコ入れしたり、新たな事業計画を立てたりする上で、必要なデータをスピーディに検索・集計できるデータ活用環境が欠かせない。しかし、その肝心の基盤がパフォーマンス不足や老朽化などの問題で限界に達しつつあった。そこでウイングアークのDr.SumおよびDatalizer for Web、MotionBoardのBI製品群を導入し、データ活用環境を刷新。データ検索・クロス集計画面の開発生産性を従来の10倍以上に高めるとともに、将来予測のためのデータ分析基盤として発展させることも視野に入れている。

導入背景

データ検索・クロス集計画面を作る際に、まず必要なデータをデータウェアから抽出するためのSQL文を記述し、さらにその結果をWeb画面に表示するHTMLやJavaスクリプトを定義するといった手間がかかる。画面を1枚作るのにも、テストまで含めれば1~2時間を要していた。

課題
  • 既存のデータ活用環境は操作の自由度が低く、ユーザーごとの要件に対応した検索・集計ができなかった。抽出するデータによっては、長時間のレスポンスを要することも。
  • BIツールも導入していたが、ユーザーライセンスが50人分しか用意できておらず、全員には行きわたっていなかった。
解決策導入ポイント
  • 自由度の高いデータ検索・クロス集計画面をノンプログラミングで開発できる。
  • サーバーライセンスで導入し、ユーザーフリーで全社展開できる。
  • 国産ソフトウェアベンダーの製品であり、地元札幌で開発していることからも大きな親近感と安心感があった。
効果
  • データ検索・クロス集計画面の開発生産性が10倍以上に向上した。
  • 将来を予測するためのシステムへの発展が期待できる。

Datalizer for Webであれば、煩雑だったデータ検索・クロス集計画面の開発をノンプログラミングで実現できる。従来、1~2時間を要していた作業時間をわずか数分に短縮。開発生産性は10倍以上に向上した。

老朽化した既存のデータ活用環境は自由度が低く限界に達していた


 1892年に札幌で創業した大丸藤井と1937年に小樽で創業した日藤が2016年10月に合併し、新たなスタートを切った大丸は、北海道で抜群の知名度を誇る商社だ。もともと紙製品の卸を主力事業としてきたが、現在では包装資材、事務用品、情報機器、文具、日用雑貨、オフィス什器へと取扱商品・業界の範囲を広げ、積極的なビジネス展開を図っている。


 そうした中で重要度を増しているのがデータ活用の仕組みだ。大丸 情報センター JOIN課の課長を務める鎌田崇之氏は、「販売や仕入れの実績を確認し、営業活動をテコ入れしたり、新たな事業計画を立てたりする上で、必要なデータをスピーディに検索したり、集計したりできる基盤が欠かせません」と語る。


 しかし、その肝心のデータ活用環境が様々な観点で限界に達しつつあった。大丸は過去5年分の実績データを他社製データウェアハウスに蓄積。このデータウェアハウスからマスタ検索のほか部門別や商品群別、月別などの集計を行い、さらには営業担当者ごとの明細データにドリルダウンできるWebベースのデータ検索・クロス集計画面を約100パターン用意し、全社に公開していたが、操作の自由度が低く、ユーザーごとの要件に対応した検索・集計はできなかった。大丸 情報センター JOIN課 主事の亀田智史氏は、「抽出するデータによっては、長時間のレスポンスを要することもありました」と語る。


 これを補う他社製BIツールを導入していたが、大きな課題を抱えていた。「当社には約760人の社員がいますが、ユーザーライセンスが50人分しか用意できておらず、全員には行きわたりません。そもそも十数年前に導入したツールで、その間にブリオからハイペリオン、オラクルへと買収が繰り返されて、今はどこが責任をもっているのかもよくわからない状態です。これは外資系ソフトウェアによくあるリスクで、すでに2015年4月末の時点でプレミアサポートを終了し、最新OSのサポートもなくなり、このままではセキュリティの問題も生じてしまいます」と鎌田氏は明かす。


鎌田氏

既存資産を問題なく移行し、ユーザーにも慣れてもらえると判断


 データ活用環境を刷新すべく、大丸が2018年10月に新たな基盤として導入したのが、ウイングアークのDr.SumおよびDatalizer for Web、MotionBoardといったBI製品群だ。


 「当社では帳票ツールのSVFを使っていることもあり、ウイングアークのことは以前からよく知っています。国産のソフトウェアベンダーであり、しかもDr.Sumを札幌で開発していることからも大きな親近感と安心感がありました。また、一連のソリューションをサーバライセンスで導入し、ユーザーフリーで全社展開できることは、他社製のセルフサービスBIなどとは比べ物にならないコストメリットです」と鎌田氏は、その選定理由を語る。


 もっとも、実際の操作性を知らずして正式導入には踏み切れない。実は大丸は、今回の決定に至る約半年前からウイングアークからトライアル版の提供を受け、入念なPoC(概念実証)を行ってきた。「ウイングアークのコンサルタントは、既存のデータ検索やクロス集計の画面の一部を切り出して参考とし、Datalizer for WebとMotionBoardのデモ画面を作成してくれました。その完成度の高さと画面設計の柔軟さから、既存資産を問題なく移行し、ユーザーにもすぐに慣れてもらえると判断しました」と亀田氏は語る。


 実際、新しいデータ活用環境の構築は、既存のデータウェアハウスに蓄積された5年分のデータの移行および、約100パターンあるデータ検索・クロス集計画面の再構築から始まったが、この作業を情報センター JOIN課の亀田氏と大前晶都氏のわずか2名のメンバーで担当。正式導入から2019年3月までの半年に満たない短期間で、ほぼすべての作業を完了することができた。「既存のデータウェアハウスはデータを物理的に分けて管理したり、集計用のテーブルを用意したり、設計やチーニングに手間がかかりますが、Dr.Sumはフラットにデータを蓄積するだけです。こうしたDr.Sumの扱いやすさも短期間でデータ移行を終えることができた理由です」と亀田氏は語る。



今後のビジネス拡大につながる計画や戦略づくりに役立つ仕組みへ


 データ検索・クロス集計画面の再構築に大きく貢献したのが、Datalizer for Webだ。同社はこれまでデータ検索・クロス集計画面を作る際に、まず必要なデータをデータウェアから抽出するためのSQL文を記述し、さらにその結果をWeb画面に表示するHTMLやJavaスクリプトを定義するといった手間をかけていた。Datalizer for Webはこの煩雑な開発をノンプログラミングで実現する。「従来はデータ検索・クロス集計画面を1枚作るのにも、テストまで含めれば1~2時間を要していました。この作業がDatalizer for Webであればわずか数分で済みます。その意味でデータ検索・クロス集計画面の開発生産性は10倍以上に向上しました」と亀田氏は強調する。


 加えてユーザーの操作性も飛躍的に向上した。ユーザーは公開されたデータ検索・クロス集計画面を単に見るだけではなく、自分自身で項目を追加したり、逆に不要な項目を非表示にしたり、行と列を入れ替えたりなど、直感的にカスタマイズできる。「積極的にツールを使いこなしているパワーユーザーの間からは、『これならわざわざExcelにデータを移し替えて加工しなくても、欲しいレポートをその場で作ることができ、とても便利になった』という感想も寄せられています」と亀田氏は語る。


 もっとも、データ活用環境に向けた同社の取り組みはまだ緒に就いたばかりだ。「現在はまだデータ検索・クロス集計画面を再構築しただけで、本格的なデータ分析までは踏み出せていません。経営陣に新システムをプレゼンしたときも、『過去のデータを掘り起こしているだけでは意味がない。将来を予測し、今後のビジネス拡大につながる計画や戦略づくりに役立つ仕組みにしてほしい』という指示を受けました。その意味でも、MotionBoardを、今後どのように活用していくかが鍵になると考えています。また、より自由度の高い分析環境がほしいというユーザーに対して、新たにDatalizer for Excelを提供することも検討しています」と鎌田氏は語る。


 また、大前氏も「今後のMotionBoard活用にあたり、さまざまなダッシュボートを提供するだけでなく、身近なデータ入力のツールとしても使えそうだと考えています。これによりビジネス現場のユーザーから、より多様なデータを収集することが可能となります」というアイデアを示す。


 同社のデータ活用への取り組みは、いよいよ新しいステージに向かって動き始めた。


Company Profile

大丸株式会社

設立 :1892年
所在地 :北海道札幌市
事業内容 :洋紙、板紙、文具、事務用品、紙製品、情報機器、オフィス家具、インテリア、家庭雑貨、日用品、化成品、包装資材、FA機器などの販売及び店舗設備、環境設計
URL :http://www.daimaru-inc.com/

写真左から
情報センターJOIN課
課長 鎌田 崇之 氏
大前 晶都氏
主事 亀田 智史 氏

導入製品

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