紙製品の卸を主力事業とする大丸株式会社(以下、大丸)にとって、販売や仕入れの実績を確認し、営業活動をテコ入れしたり、新たな事業計画を立てたりする上で、必要なデータをスピーディに検索・集計できるデータ活用環境が欠かせない。しかし、その肝心の基盤がパフォーマンス不足や老朽化などの問題で限界に達しつつあった。そこでウイングアークのDr.SumおよびDatalizer for Web、MotionBoardのBI製品群を導入し、データ活用環境を刷新。データ検索・クロス集計画面の開発生産性を従来の10倍以上に高めるとともに、将来予測のためのデータ分析基盤として発展させることも視野に入れている。
もっとも、実際の操作性を知らずして正式導入には踏み切れない。実は大丸は、今回の決定に至る約半年前からウイングアークからトライアル版の提供を受け、入念なPoC(概念実証)を行ってきた。「ウイングアークのコンサルタントは、既存のデータ検索やクロス集計の画面の一部を切り出して参考とし、Datalizer for WebとMotionBoardのデモ画面を作成してくれました。その完成度の高さと画面設計の柔軟さから、既存資産を問題なく移行し、ユーザーにもすぐに慣れてもらえると判断しました」と亀田氏は語る。
データ検索・クロス集計画面の再構築に大きく貢献したのが、Datalizer for Webだ。同社はこれまでデータ検索・クロス集計画面を作る際に、まず必要なデータをデータウェアから抽出するためのSQL文を記述し、さらにその結果をWeb画面に表示するHTMLやJavaスクリプトを定義するといった手間をかけていた。Datalizer for Webはこの煩雑な開発をノンプログラミングで実現する。「従来はデータ検索・クロス集計画面を1枚作るのにも、テストまで含めれば1~2時間を要していました。この作業がDatalizer for Webであればわずか数分で済みます。その意味でデータ検索・クロス集計画面の開発生産性は10倍以上に向上しました」と亀田氏は強調する。
もっとも、データ活用環境に向けた同社の取り組みはまだ緒に就いたばかりだ。「現在はまだデータ検索・クロス集計画面を再構築しただけで、本格的なデータ分析までは踏み出せていません。経営陣に新システムをプレゼンしたときも、『過去のデータを掘り起こしているだけでは意味がない。将来を予測し、今後のビジネス拡大につながる計画や戦略づくりに役立つ仕組みにしてほしい』という指示を受けました。その意味でも、MotionBoardを、今後どのように活用していくかが鍵になると考えています。また、より自由度の高い分析環境がほしいというユーザーに対して、新たにDatalizer for Excelを提供することも検討しています」と鎌田氏は語る。