導入事例

株式会社SBI新生銀行

株式会社SBI新生銀行

営業現場に寄り添ったBI活用で、 組織全体のデータマネジメントスキル向上を狙う

株式会社SBI新生銀行
業種

金融・保険

テクノロジーとデータ活用を軸に革新的な金融商品やサービスを打ち出し続けてきたSBI新生銀行。行員一人ひとりがデータを多面的に分析し、データに裏打ちされた施策を素早く展開していくことを目的に、2019年にSalesforceのデータをリアルタイムで集計・可視化するMotionBoard Cloud for Salesforce(以下、MotionBoard)を導入した。今後は特定の部署や担当者に限らず、営業現場自らがデータを活用したアクションを起こしていけるよう、データ活用の定着化を急速に進めている。

※2023年1月4日より、株式会社新生銀行は株式会社SBI新生銀行へ社名を変更いたしました。

導入背景

課題
  • データ収集・分析に時間がかかり、施策のPDCAにタイムラグが発生していた
  • 従前のダッシュボードでは現場が必要とするUIを提供できず、活用が定着しなかった
  • 特定の部署や担当に依頼せずとも、現場でできるデータ活用を実現したかった
解決策導入ポイント
  • データの抽出・加工の作業が不要となり、リアルタイムに状況を把握することができる
  • グラフだけでなく、見慣れた集計表や明細一覧で表現できる
  • Salesforceとのシームレスな連携により、現場でもスムーズに利用できる
効果
  • リアルタイムで現状把握できるため、報告のための時間が減り建設的なディスカッションに使える時間が増えた
  • データ集計や加工にかかる作業が効率化され、施策のPDCAを早く回せるようになった
  • 営業現場で見られるデータの範囲が広がり、データを元にしたコミュニケーションが活性化した

営業現場が使いやすいBIツールを探し求めて


 2000年のスタート以来、メガバンクとも地域⾦融機関とも異なる独⾃のポジショニングで、デジタル技術やデータ活⽤を通じたサービスの⾼度化を図りながら、顧客へ提供する価値の最大化を目指すSBI新生銀行。約10年前にはオンプレミスでSASを導入し、複数名のデータアナリストが在籍する顧客分析チームを創設。大量の顧客データを蓄積・解析し、営業活動に活用する文化を築いてきた。


 しかし、このやり方では手作業になる部分が多く、データの処理にも膨大な時間を要してしまう。同様のことをAccessで行っていた頃に比べれば、格段に楽になったとはいえ、SASでもデータを収集〜分析〜活用〜検証するというPDCAを1回まわすのに4〜5ヶ月かかっていた。


 同行では2016年に開始したCRM基盤の更改を機に、Salesforceの各種ツールを導入することによりオンプレミスからクラウドへの移行を決定した。営業管理、案件管理、チャネル管理、コミュニケーション機能を集約・統合することで、1日の営業活動をその日のうちに反映しながら、スピード感のあるデータ活用の実現を狙ったのだ。 


 「フロントの営業がSalesforceに入力したデータをマーケターが分析できれば、今までデータ収集にかかっていた時間を圧縮して、すぐ次の行動に移せるようになる。いかにデータを残しやすく、共有しやすく、後で見やすいか。営業現場が使える”生きたデータ”にすることが最優先事項でした」と話すのは、リテール営業推進部 営業推進役 CRM担当の松永 美生氏だ。


リテール営業推進部 営業推進役 CRM担当 松永 美生 氏

SBI新生銀行がMotionBoardの導入に踏み切った理由とは


 Salesforceの導入以降、BIツールを利用してデータ活用を促進していたが、一般的なBIツールはグラフィカルな表現を得意とする一方で、営業現場が求めるExcelのような行数列の多い集計表の表現は苦手としており、結果、期待するレベルの活用は広がらなかった。


 そこで松永氏は、デモ体験で好印象を受けた「MotionBoard Cloud for Salesforce(以下、MotionBoard)」の導入を決めた。


 「MotionBoardは最初こそ慣れが必要だと感じたものの、現場が使い慣れている集計表での表現を得意としていることから、営業店のマネージャーや担当者も馴染みやすいだろうと判断しました。それに、MotionBoardのダッシュボードを見るときに、わざわざ別のアプリケーションを立ち上げてログインする必要がなく、Salesforceの中でタブを切り換えるだけでいいので、使う人の抵抗感も減らせると考えたのです」(松永氏)


 営業現場との相性の良さやSalesforceとの親和性の高さに加え、まずは少人数でスモールスタートできたこと・プログラミングなどの専門知識が不要で触れることが導入を後押しし、導入決定からわずか3ヶ月というスピード感で実装することができたという。


営業現場にデータ活用を根付かせたい


 現在、実際にMotionBoardのダッシュボード作成を担っているのが、リテール営業推進部 部長代理 CRM担当 鈴木 直樹氏だ。鈴木氏は、もともと営業出身で1年前に現在のポジションに着任した。もちろん、過去にBIツールを使ったことはない。


 そんな鈴木氏にMotionBoardの使い心地を聞いたところ、次のように回答した。


 「MotionBoardを触り始めて最初のうちは、自分が何を作りたいのか、頭の中を整理するために時間が必要だったのですが、手を動かし始めてからは、1週間ほどでダッシュボードを作成できるようになりました。BIツールを使うのはMotionBoardが初めてでしたが、データセットの作り方さえ理解できれば、データの出し方はとても簡単ですね」(鈴木氏)


 


リテール営業推進部 部長代理 CRM担当 鈴木 直樹 氏

 


 最初に鈴木氏が作成したのは、営業の販売状況・電話件数・接客件数を一覧にしたマネージャー向けの集計表だ。このように、異なるオブジェクトを1つの画面にまとめて表示できる柔軟性は、Salesforceの標準ダッシュボードや同一製品群のBIツールにはない、MotionBoardならではの利点だ。現場ユーザーが見たい軸でデータを切り出して閲覧できるような余地を残したことで、毎日見に来る営業担当やマネージャーも多い。「それぞれのデータをダウンロードしてExcelで加工する工程が不要となり、状況に合わせてスピード感のある対応ができるようになりました」と鈴木氏は評する。


 2019年9月の利用開始から約1年で公開したMotionBoardのダッシュボードの数は約20種、開発中のものもおよそ同数まで増えた。現在のMotionBoardの用途は、当初の目的であった営業担当者ごとの予実管理や営業評価項目といった営業現場の計表を共有するためだけではない。新型コロナウイルスが猛威を奮い始めてからは、状況に応じた対応を行うべく、お客様の来店状況や来店目的をリアルタイムで把握できるダッシュボードを追加作成したり、昨年末にローンチしたアプリのダウンロード状況を、担当者ごとに把握できるダッシュボードを追加作成したりするなど、MotionBoardの活用の幅は広がっている。


 今では、鈴木氏の所属するCRMチームのほかにも、コールセンターや電話相談を担当するチームなど、4つのチームがMotionBoardのダッシュボードを作成・閲覧している。活用の幅が広がるとともに、導入当初は1日あたり50人程度だったダッシュボードの閲覧ユーザー数も、約3倍にまで増えた。


 営業現場での行動も変わり始めた。以前は計表管理部署が必要と判断した一部のデータを取り出し、営業現場へ共有する仕組みを取っていた。そのため営業現場の目線と乖離がある切り出し方になってしまっていたり、部分的なデータのみ提供されていたため、「なぜその数値になっているのか?」などの、営業活動とデータのつながりが見えづらく、できあがりの数字だけの議論に終始することが多かった。しかしMotionBoardの導入により生きたデータを日々チェックできるようになったため、それを共通のコミュニケーションツールとして、マネージャーとスタッフが議論できる土壌になったという。


 MotionBoardを活用する立場である栄フィナンシャルセンター長の千葉達磨氏は、「無駄な報告が減り、建設的なディスカッションができるようになりました。データの切り取り方も本部にない発想が出てきているため、営業現場と営業本部との間のキャッチボールも加速度的に進んでいます」と評価する。


営業の予実管理表。見慣れた集計表形式で閲覧でき、画面上部で営業部や役割、支店名など、見たい軸で切り替えることができる(※本画面では、全てのデータ(営業部名、支店名、氏名、数値)にサンプルデータを使用しています)

アプリのダウンロード数や利用状況に関するダッシュボード。チャートをクリックすれば明細も閲覧可能(※本画面では、全てのデータ(営業部名、支店名、氏名、数値)にサンプルデータを使用しています)

データ活用の文化を組織全体に広げるために


 データ活用の定着に向けて鈴木氏が特にケアしたのが、現場のデータ入力の奨励だ。作成者と活用者が異なるため、どうしてもモチベーションのギャップは生まれるが、「誰に向けた、何に使うためのダッシュボードなのか」を地道に伝えることで、現場におけるデータ入力は徐々に定着しつつあるという。


 SBI新生銀行が目指すゴールは、管理部署をはさまずとも、現場が自らMotionBoardを使いこなし、データ活用のPDCAを回せるようになることだ。


 「現場でデータを見る習慣は根づきつつあるものの、ゴールに到達するまでには、あと1年はかかるだろう」と松永氏は見ている。「営業であれ、オペレーションであれ、どんな職種であっても、データを扱うスキルは、今後どの会社でも必要になるものです。行員一人ひとりのスキルの底上げを図りながら、SBI新生銀行をリニアにデータドリブンな企業にしていきたい」(松永氏)


 システムの堅牢性や安定性が求められる銀行において、クラウドサービスの利用が広がり始めたのはごく最近のことだ。そのためデータ集計を行うツールとしてExcelを採用し続けているところもまだ多い。


 しかし、銀行が取り扱うデータは膨大だ。店舗やエリア、推進商品など、多面的な切り口で実績を評価するほか、サービスの質を上げるために大量の顧客情報を分析する必要もある。これらの処理をすべて中央集権的に行うには、多くの人的コストがかかっているはずだ。


 SBI新生銀行は、Excelと同じような感覚でMotionBoardを使いこなす。「目的に応じて最適なツールを選択する」、そのシンプルな考え方こそが、SBI新生銀行のデータ活用を躍進させるのではないだろうか。


Company Profile

株式会社SBI新生銀行

設立:1952年
所在地:東京都中央区
事業内容:銀行業務
URL:https://www.shinseibank.com/

写真右より
リテール営業推進部 営業推進役 CRM担当
松永 美生 氏
リテール営業推進部 部長代理 CRM担当 
鈴木 直樹 氏

※部署名は取材当時のものです。

導入製品

Salesforceのデータを可視化するならMotionBoard

 
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