導入事例

島根県信用保証協会

島根県信用保証協会

MotionBoardで経営支援事業の効果検証業務を効率化
ローカルベンチマークのデータ分析・報告作業工数が半減

島根県信用保証協会
製品
業種

金融・保険

全国の信用保証協会では、信用補完制度の見直しに伴い、経営支援の効果的な実施に向けた検証が求められるようになり、経営支援に関するデータの集約・集計業務の効率化が本格的に必要となった。そこで、島根県信用保証協会は、これを実現すべくウイングアーク1stのMotionBoardを導入。BIの適用範囲を協会の事業全域に広げるとともに、各種取り組みの成果分析などでの活用も視野に入れている。

導入背景

全国の信用保証協会では、経営支援業務について以前より中小企業庁に対し成果把握の報告を行っていたが、そこに令和4年度からはローカルベンチマークを使用した成果把握報告も開始された。また、信用補完制度の見直しに伴い、経営支援の効果的な実施に向けた検証が求められるようになった。
このような中、島根県信用保証協会の報告作成担当者は、システム部門に報告に必要なデータの抽出作業を依頼し、それを基に報告内容ごとに1つ1つExcelでデータを集計し、報告を作成していたが、年々内容が増加し、複雑化していく報告に現場とシステム担当の双方に大きな負担がかかるようになっていた。

課題
  • データ活用や報告作成におけるプロセスが属人化
  • データの集計業務の作業時間・精度が担当者の技能によって左右されていた
  • データの集計業務に時間と手間がかかっていた
解決策導入ポイント
  • MotionBoardの導入により、データ活用業務の効率化を目指す
  • データ集計業務の自動化・標準化を推進
効果
  • 報告作成業務にかかっていた時間が従来の半分以下になった
  • 分析に必要な元データの抽出・加工を行っていたシステム部門の作業が大幅に短縮
  • データ分析、活用による業務高度化の基盤が構築できた

信用補完制度の見直しで、経営支援の効果的な実施に向けた検証が求められるように


 信用保証協会は、地場の中小企業・小規模事業者の金融円滑化のために設立された公的機関で全国に51協会が存在する。信用保証協会法に基づき信用保証業務及び回収業務を行っていたが、平成30年度の法改正により経営支援事業が新たに加わった。


 島根県信用保証協会では、平成18年から経営支援のための専門家派遣事業を独自に行っていたが、現在は、「結」という名称で経営支援事業を行っている。


専門的な知識と経験を有する専門家を派遣し、中小企業が抱えるさまざまな経営課題の解決を支援する

 経営支援が法に基づく事業となったことで、「結」を始めとする経営支援業務に国からの補助金が充てられて、以前よりリソースを投入できるようになったが、以前より行われた成果把握報告に加え、ローカルベンチマークを使用した成果把握の報告、そして、当該業務について「効果的な実施に向けた検証」(以降、「効果検証」)業務が新たに発生した。効果検証の進め方は年度ごとに定められており、中小企業庁からの通達で、令和元年度からは経営支援システムの整備・データ蓄積、令和2年度には令和3年度~5年度までの中期経営計画の策定、経営支援の定量的な効果検証の試行・準備などが定められている。「結」の運営全般を担当する業務統括部の森脇 理絵氏は、報告業務における課題について次のように話す。


 「ご支援先との面談数や「結」で専門家を派遣した数などを報告するため、MotionBoard導入前はシステム担当部署に依頼して必要なデータをExcelに落としてもらい、そこから報告内容に合わせたExcelシートを何枚も作り、報告を作成するという作業を四半期に一度実施していました。それだけでも大変でしたが、新たにご支援先に対する改善効果の検証を経年で比較して提示しなければならなくなり、業務の効率化を行う必然性が生じたのです」(森脇氏)


中小企業の経営改善、生産性向上に向けた効果検証の進め方

 一方で成果把握に必要なデータを準備するシステム部門でも、データ抽出と加工の作業が負担になっていたと、総務部 業務推進課長の角 めぐみ氏は明かす。


 「従来は依頼を受けると、Microsoft Accessで必要なデータをその都度Excelに落として加工した上で、データセットとして用意していました。これら一連の作業は人手に頼らざるを得ませんでした。データ抽出作業がたくさんある中で、作業自体に労力がかかるうえに、新たな分析の切り口が生じるとまたデータを用意し直さなければならなかったため、業務改善の必要性を感じていたのです。また、令和4年から新たな効果検証報告の作業が増えるということで、デジタルツールを活用するしかないと考えました」(角氏)


機能要件を唯一クリアしたMotionBoard


 効果検証の手法については明確な規定がなく、使う指標や数値の算出方法は各信用保証協会に任されている。そこで島根県信用保証協会では、経済産業省が策定した「ローカルベンチマーク(通称:ロカベン)」という指標を採用した。そのうえで同協会としての数値の抽出と比較の方法を検討し、システム部門主導のもとBIツールを選定。作業開始までの期限が決まっていた中で複数の製品を比較検討し、その中からMotionBoardを選択した。採用の決め手となったのは、事前に決めていた作業要件を満たすことができたことと、担当者の対応力・提案力だったと角氏は振り返る。


 「経営支援の成果把握、効果検証ができる点が採用の大きなポイントでした。各社にデモを見せてもらいましたが、当協会が求める『1対nでの比較』を満たす機能を持っているのはMotionBoardだけでした。提案の段階で我々の要求を汲み取って、当協会向けにカスタマイズしたダッシュボードのデモ画面を用意してくれたので、『結』や重点支援先別、業種別、支援回数の検証など、切り口さえ用意しておけばMotionBoardですぐに確認できるのではないかと、活用のイメージも沸きやすかったです。また、属人化された業務を標準化したいという考えがあったので、その意味でも直感的な操作で使えるMotionBoardは、当協会の要件を満たしていました」(角氏)


丸一日以上かかっていた作業が大幅に短縮


 開発したMotionBoardのダッシュボードを活用する際には、まずデータベースに支援先企業の財務データや支援実績のデータを投入。ダッシュボード画面上にはロカベンで示されている売上増加率や労働生産性、営業利益率などの集計項目が用意されており、それを全体や顧客ごと、項目ごとに実施年度や経年比較の形で見られる仕組みとなっている。それぞれの数値はグラフでも表示され、「結」をはじめ重点支援先や支援時間など、さまざまな切り口で絞り込んでデータを分析することもできる。



ボタン1つで経営支援に関するデータの可視化が可能

 開発は地場のSIパートナーに依頼し、令和4年7月から稼働を開始。8月に中小企業庁に提出しなければならない前年度の成果把握報告の作成は、当初の見込み通りMotionBoardを使って行うことができたという。それに伴って、集計業務が大幅に効率化されたと森脇氏は導入効果を語る。


 「MotionBoardの導入により、作業労力の削減と効率化が実現しました。作業時間については、ロカベンを使った効果検証は今年からの作業なので何とも言えませんが、工数的には従来の半分以下になっているのではないでしょうか」(森脇氏)


 またシステム部門でも、データプレパレーションの作業に関する負担が削減されたという。MotionBoardの運用担当である総務部 業務推進課 神柱茜氏は、「MotionBoardのデータベースにデータを入れておけばボタン1つでデータが抽出できるので、以前は丸一日以上かかっていた作業が大幅に短縮しました。他にも、人の手が入ることでデータが書き換わってしまったり、ミスが生じたりするというリスクが無くなったことも大きいですね」と語る。


 


事業運営の高度化も視野に多角的な分析の切り口を活用


 現在は2022年8月に行った成果把握の報告作業を通じて、改善点をピックアップして作成したダッシュボードのブラッシュアップを図っている。またシステム部門では、ダッシュボードの検証に加えて内製化を目指しているという。


 「まだ使い始めたばかりで思い通りに使いこなせない状態ではありますが、日々マニュアルとにらめっこしながら機能改善に取り組んでいます。ユーザー同士の交流ポータルやカスタマーサクセスサイトの活用を紹介してもらっているので、それらも参考にしつつ、これから新しい分析軸によるダッシュボード開発を進めていきたいと思います」(神柱氏)


 MotionBoard導入の最大の目的は、経営支援業務の成果把握、効果検証対応だったが、それ以外にも協会が実施している事業全般の高度化や、業務の標準化といった目的で活用することもあらかじめ視野に入れていたという。


 「MotionBoardの導入で、集計業務の効率化を達成し、今後も支援業務自体の高度化を目指していく予定です。投資対効果を出していくことも含めて、今後もウイングアーク1stの手厚いサポートを期待しています」(角氏)


 このように島根県信用保証協会では、MotionBoardを活用して業務効率化・自動化を進めており、その取り組みを支えるBIツールとしてMotionBoardが活用されていくことだろう。


Company Profile

島根県信用保証協会

設立:昭和24年3月
所在地:島根県松江市(本店)
事業内容:中小企業者向け信用保証業務、回収業務、経営支援業務
URL:https://www.shimane-cgc.or.jp/

導入製品

BIツールを超えたダッシュボード「MotionBoard」。様々なデータをリアルタイムに可視化。クラウドサービスは月額30,000円から

 
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