導入事例

京都信用金庫

京都信用金庫

本部と営業店の連携強化で月間約300時間の作業工数を削減
システム内製化によるDX推進で、現場での業務改革スピードをアップ

京都信用金庫
製品
業種

金融・保険

地域発展のために新しい時代のコミュニティ・バンクを目指している京都信用金庫。同庫では、ウイングアークのBIツール「MotionBoard」を使い、格付進捗管理や融資期限管理などを始めとする多くの業務システムを開発し、DXを推進している。これにより、本部と営業店で最新情報を共有しながら協働ができるようになり、作業の標準化やスピードアップにつながった。システム化により、本部のノウハウの継承にも役立っている。

導入背景

京都信用金庫では、かねてよりデータ活用を進めるべくBIツールの導入を検討していた。その中でMotionBoardに出会い、データの可視化だけでなくユーザー自身が直接データを更新できることに魅力を感じ導入を決定した。

課題
  • 現場から多数寄せられるシステム開発ニーズに対し、内製で対応することに手間と時間がかかっていた
  • 現場で簡単に欲しいデータを取り出せる仕組みを求めていた
  • 作業をシステム化することで業務の標準化と効率化を目指していた
解決策導入ポイント
  • ExcelやCSV形式で出力可能なMotionBoardを導入し、現場で欲しいデータを簡単にダウンロードできる環境を整備
  • 「格付進捗管理システム」「融資期限管理システム」などの複数の業務システムを短期間で開発
効果
  • 事務処理を「本部集中化」するために本支店でリアルタイムな情報共有を実現した
  • 本部・営業店の情報連携が進み業務プロセスが変わったことで、作業時間を大幅に削減でき、営業店では顧客対応の時間を増やせるようになった
  • 本部のベテラン職員のアドバイスやノウハウが、営業店の若手社員に伝達しやすくなった

システム部門の課題解決を目指してMotionBoardを導入


 京都府を中心に滋賀県、大阪府に92店舗(2021年3月末現在)を構え、コミュニティ・バンクとして「地域の絆づくり」に取り組んでいる京都信用金庫では、かねてよりデータ活用を進めるべくBIツールの導入を検討していた。これは、本部各部署の担当者が必要とするデータがあった際に、システム部門である事務統括部を介すことなく、担当者自身でデータを参照・活用できる仕組みを構築したいというニーズがあったからだ。そうすることで、担当者は必要な情報をスピーディに入手でき、事務統括部の負荷も軽減される。


 BIツールの検討に関わった事務統括部のシステム開発担当 藤井 幸氏は、ツール選定を進める中でMotionBoardに出会いウイングアークが主催するハンズオンセミナーに参加。そのときの印象を次のように振り返る。


「MotionBoardは単なる可視化ツールというだけでなく、ユーザーが直接データを更新できるという点に魅力を感じました。業務システムを簡単に開発できるツールとして、幅広く活用できるのではと思いました」(藤井氏)


 事務統括部には、業務部門から数多くのシステム開発への要請が寄せられる。それに対して、「作りたいけれど時間がかかる。時間をかけて作ってもすぐに陳腐化してしまう」というジレンマがあった。現場のニーズに即した業務システムを短期間で作れるMotionBoardは、事務統括部の課題を解決できるツールだったというわけだ。


約3ヶ月で「格付進捗管理システム」を開発、営業店の事務作業を軽減


 こうして2020年にMotionBoardを導入。事務統括部内で、その活用法を検討していた矢先に、緊急案件として業務部門から「格付進捗管理システム」を開発してほしいという要望が寄せられた。


 格付業務は、融資の際の指針の1つである「顧客格付」を決定する一連の業務で、決算書の受け取り、財務情報の登録依頼、格付申請、格付決裁内容確認、貸付極度設定の更新などのプロセスが発生する。


 この作業は、営業店担当者が、本部の「リモート事務チーフ」と呼ばれるベテラン社員の支援を受けながら進められるが、これまでは、各営業店が独自のフォーマットで記録、保管していたため、本部が迅速に確認することができなかった。作業の標準化、スピード化のためにシステム化が求められていたのだ。


 「この作業には、リモート事務チーフのノウハウを営業店担当者に学んでもらうという狙いもあります。そのためにも、本部と営業店の双方が登録でき、共同で作業を進められる仕組みが必要でした」と語るのは、リモート事務チーフの麻生 和博氏だ。


 格付進捗管理システムは、月初に向こう3ヶ月の間に格付期限が到来する顧客の一覧が表示され、個別の顧客名をクリックすると、現状での顧客の基本情報と進捗状況が提示されるというものだ。担当者は新たに進捗があると必要項目を直接入力するという仕組みになっている。


「格付進捗管理」ボード画面  ※サンプルデータを使用

 連絡事項や本部からのアドバイスなどを自由に記入できる欄を用意することで、麻生氏が言うノウハウの継承にも役立つようにしている。また、ユーザーの利便性を考え、MotionBoardのカスタム項目とアラート表示の機能を活用して、新しい決算データが登録されるとセルの色を変えるといった工夫も施した。


 格付進捗管理システムを構築したシステム開発担当の岡崎 智哉氏は、「BIツールによるシステム構築経験はゼロでしたが、社内でのサポートやウイングアークの手助けもあり、3ヶ月程度で完成できました」と振り返る。


 現在、格付進捗管理システムは全営業店で利用され、年間約4,000件の格付業務の進捗管理を本部と営業店で共有できるようになった。これによって、営業店の事務作業は大幅に低減され顧客対応の時間を増やすことができ、本部側も余裕をもって営業店をサポートできるようになっている。また、さらなる使いやすさの向上も計画している。


「融資期限管理システム」で、全店で約300時間の作業時間を削減


 次に開発に取り組んだのが「融資期限管理システム」だ。融資期限に関しては、これまで各営業店のベテラン職員である「事務チーフ」が、さまざまな帳票や社内のイントラサイトからデータを集めてExcelで管理していた。この作業も、各営業店のフォーマットで蓄積されている状況となっていたため、標準化と可視化のために一ヶ所で管理できる仕組みが求められていた。


 システム開発担当の平井 将吾氏は、「毎月各事務チーフが個別に集めていた情報を一ヶ所に集約し作業を軽減するとともに、経験の少ない営業店の職員も融資期限管理のノウハウを習得しやすくするという目標で開発を進めました。事業性貸付、カードローン、手貸といった9つの業務の融資期限に対して、該当するお客様の月ごとの情報が一覧できるようにしました」と話す。


 平井氏は、MotionBoardのメリットとして各項目のデータをExcel、もしくはCSV形式で簡単にダウンロードできることを挙げる。


 「担当者は、案件ごとの分析のために、各項目のデータをさまざまな切り口で加工したい、というニーズがあります。MotionBoardには、ダウンロード機能が標準で装備されているので、一般の担当者からも好評を得ています」


カードローンの期限管理を行うボード画面  ※サンプルデータを使用

 融資期限管理システムにより、営業店事務の平準化はもちろん、各店舗当たり月に3〜4時間程度の作業時間を短縮できた。全店にすれば、月間約300時間という効果となる。この時間を使って、顧客対応のスキルがもともと高い事務チーフが、各営業店で付加価値の高いサービスを提供できようになった。


数多くの業務システムを開発し、MotionBoardのさらなる活用を進める


 京都信用金庫の業務プロセスを変革した2つのシステムを紹介したが、これ以外にも、数多くの業務システムをMotionBoardで開発してきた。


その1つが、「Data Request Post」だ。これは、営業店職員が必要とするデータを事務統括部にリクエストすると、事務統括部がデータの抽出を行いMotionBoardに上げるというものだ。これには、現場の職員の知恵を全店で共有するという目的がある。


 同庫ではその他にも、「特定融資の不定期約定の管理システム」や「レーダーチャートを使用した個人のスキル管理システム」などいくつかのアイディアが生まれ、既に開発が進んでいる。


システム部門の開発生産性を高めることで、現場での業務改革のスピードアップを実現している京都信用金庫の取り組みは、DXの重要性が叫ばれる中で多くの企業の参考になるに違いない。


Company Profile

京都信用金庫

設立 :1923年9月
所在地:京都府京都市
事業内容:個人・法人向けの各種金融サービス
URL :https://www.kyoto-shinkin.co.jp/

事務統括部 リモート事務チーフ 麻生 和博 氏
事務統括部 システム開発担当 藤井 幸 氏
事務統括部 システム開発担当 平井 将吾 氏
事務統括部 システム開発担当 岡崎 智哉 氏

導入製品

BIツールを超えたダッシュボード「MotionBoard」。様々なデータをリアルタイムに可視化。クラウドサービスは月額30,000円から

 
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