
「ワークフローのデータ整備」を社内DXの基盤に
航空機用内装品メーカーである株式会社ジャムコ(以下、ジャムコ)。同社が展開するのは「航空機の内装品の製造」「航空機整備」「エンジン部品製造」という、航空機関連に完全特化した3つの事業。内装品の製造では、全世界の中大型航空機においてギャレー(飲食関連設備)で約40%、ラバトリー(化粧室)で約50%という高シェアを誇る。
ワークフローデータを活用するための「案件照会システム」を構築するにいたった背景に、“社内のDXプロジェクト”の存在があると話すのが、情報システム部 次長 情報企画グループ長 佐藤 和人氏だ。
「当社にはもともと、部署単位でさまざまな業務改善や効率化を行い、毎月進捗を報告する“Jリード”というプロジェクトがありました。その一環で2020年度より、社内業務のDX(デジタルトランスフォーメーション)を進めるプロジェクトが新たに立ち上がりました。その基盤プロジェクトとして位置付けたのが、ワークフローシステムの改善です」

日々の改善の積み重ねにとどまらない、抜本的な変革を意味するDX。同社のワークフローシステムは、その根底を支える役割を果たすという。同時に、新たな法的要件への対応も求められているという。
「当社の業務プロセスは、数十年間ほぼ変わっていないものが少なからずあります。そうした部分も含めたDX化を実現し、e-文書法など様々なデジタル要件に応えていくには、あらゆる業務に関わるワークフローのデータ整備が不可欠だと考えたのです」(佐藤氏)
同社は、日々の様々な業務で発生する申請と承認のフローを、イントラマートのワークフローシステムを通して行い、そのワークフローデータをサーバーに保存している。ワークフローに記載されるのは、購買データから経費精算、受注承認、品質管理データまで多岐に渡る
「実はワークフローシステムに関して、いくつか問題を感じていました。1つ目は検索性の問題です。社員は自分が携わった最近のワークフローしか検索できないため、他者のワークフローや過去データを参照することができず、知見の共有が制限されていました。結果的に、情報システム担当者が依頼を受けてデータを照会し、社員に共有するという手間のかかる運用となっていました。
2つ目は、見読性の担保です。システムのバージョンが上がるたびに、過去の古いワークフローデータも移行していかないと、内容が読めなくなってしまう問題がありました。
3つ目は、容量の問題です。サーバーにはワークフローデータが大量に蓄積されており、システムのパフォーマンスを低下させる要因となっていました。また、保存場所には有料のクラウドサービスを利用しているので、容量が増えるほどコストもかさみます。当然、マイグレーション(データ移行)する場合にも、大変な労力が生じてしまいます」(佐藤氏)
SVFとinvoiceAgent 文書管理を連携し、ワークフローの見読性を担保
そこで同プロジェクトで行ったのが「ワークフローデータのPDF化」だ。ワークフローをPDFにしてドキュメント管理ソリューション「invoiceAgent 文書管理」に格納することで、社員は自分が携わっていないものや過去のデータでも、自由に検索できるようになる。
また、PDF化しておけば、イントラマートのバージョンが上がっても、あるいはイントラマート以外のシステムであっても見読性が保たれる。加えて、保存の必要がない過去のワークフローデータを消去し、システムやクラウドの負荷を軽減できる。こうして、invoiceAgent 文書管理を活用した「案件照会システム」という考え方が生まれた。
もともと同社のシステムは、データ基盤ソリューション「Dr.Sum」や、帳票基盤ソリューション「SVF」、BIダッシュボード「MotionBoard」を使っていた。そこに今回、PDF化したワークフローデータを格納して階層管理するためのツールとして、新たにinvoiceAgent 文書管理を導入した形だ。
では、ワークフローのデータ活用ツールとして、なぜinvoiceAgent 文書管理を選んだのか。その背景にあるのが、SVFの存在だ。佐藤氏と共に今回の導入プロジェクトを担った、情報システム部 情報企画グループ 担当課長 中田 雅彦氏はこう振り返る。
「同じウイングアーク社の製品ということもあり、SVFとの親和性が高いことが、invoiceAgent 文書管理を選んだ理由の1つです。この案件照会システムの中で、SVFは重要な役割を担っています。というのも、当社は前述のようにワークフローが多岐に渡る業務で使われるため、記入内容が2〜3行ですむ場合もあれば、数百字にのぼる場合もあります。そして文字数が一定以上ある場合、ワークフローにスクロールバーが設けられ、スクロールしなければ全てを読めなくなるわけです」

つまり、ワークフローをそのままキャプチャーするだけでは見読性を担保できない。そこでSVFを利用することで「記入内容が何文字であろうと、ワークフローをPDF化できるようになり、ワークフローに添付された帳票や証憑書類もそのままPDF化できるようになった」(中田氏)というわけだ。
以上をふまえると、同社の案件照会システムとは、「ワークフローデータの可視化ツール」とも言い換えられる。Dr.Sumによってワークフロー内のデータの集計・分析を行い、SVFによってワークフローや帳票そのものをPDF化。それをinvoiceAgent 文書管理に格納し、ユーザー(社員)側はMotionBoard上のダッシュボードを通じて自由に、手軽に検索を行える。


中田氏は、他にもinvoiceAgent 文書管理を選んだ理由として「帳票のデータ化に際してAI OCR機能も標準装備している点、さらにはe-文書法や電子帳簿保存法に対応したタイムスタンプの付与ができることも決め手になりました」と話す。
このプロジェクトは、パートナーである三菱電機インフォメーションシステムズ(MDIS)、および三菱電機ITソリューションズ(MDSOL)と共同で、着実にシステム構築が進められていった。
そうした中、同社の案件照会システムでは、たとえばセンシティブな経理情報に関しては起票した部門の社員しか見られないようにするなど、アクセス権の部分を細かく作り込んで調整している。
今後は電子帳簿保存法とe-文書法を絡めた原本管理も
こうして導入された新システムの効果について、プロジェクトの実務を担当した情報システム部 業務システムグループ 担当課長 安田 和弘氏はこう話す。
「ワークフローや証票の原本確認は、invoiceAgent 文書管理に格納されている文書へのURLリンクを使い、MotionBoardで行えるようになりました。また、明細データについても、Dr.Sumと連携することで、同じようにMotionBoardから行えます。これにより、社員が求める形での案件検索が、容易にできるようになったと感じています。社員が各自で検索できるようになったことで、情報システム部による案件照会業務も削減できました」
「それと弊社には、全社員が1年に1つ以上、業務改善の提案をするルールがありますが、ワークフローだけでなくそうした提案書も検索できるようになり、社内の知見を共有できる体制が整いました」(安田氏)

加えて、監査業務の省力化も導入効果の一つに挙げられている。
「同社では、少なくない頻度で監査が行われます。特に大きいのは、年に2回あるJ-SOXの監査です。情報システム部は、監査のたびに過去のワークフローを探し出して照会する必要がありました。その作業が、案件照会システムの導入で、大幅に省力化されました。
一方で、保存の必要がないワークフローデータの消去はまだ行えておらず、システム全体のパフォーマンス向上やクラウドサービスのコスト削減、システムの維持メンテナンスの省力化に関しては、次のステップになります。消去が完了すれば、ワークフローデータは現状の1/4程度になる見込みです」(安田氏)
さらに安田氏は、今後の見通しとして「invoiceAgent 文書管理を案件照会だけに使うのはもったいないので、DXの推進やe-文書法への対応などにも使っていきたい」と話す。中長期的に、電子帳簿保存法とe-文書法を絡めた原本管理を、invoiceAgent 文書管理で行うことも視野に入れているという。
invoiceAgent 文書管理、SVF、Dr.Sum、MotionBoardを組み合わせ、効果的に活用することで、社内知見の共有と業務効率化の両方を実現したジャムコ。最後に佐藤氏が、ウイングアーク社の各製品を導入していることに関して、こう言及した。
「ウイングアークは、我々ユーザーの機能改善の要望に、真摯に対応してくれます。そこが他社にない魅力で、同社製品を選ぶ決め手の一つとなっています。今後のフィードバックの反映やアップデートにも、期待を寄せています」
※2022年6月より「SPA」および「SPA Cloud」は「invoiceAgent 文書管理」「invoiceAgent AI OCR」に名称を変更しました。
現在はSVF ArchiverおよびSVF Transactに名称変更しています。






