本審査のオペレーションを改善し、顧客の利便性を高めたい
「フェアである」ことを企業理念として、インターネット銀行として質の高い金融サービスを提供しているソニー銀行。主力事業の1つである住宅ローンサービスの質的向上を目指し、顧客への本審査の結果告知をより迅速にさせる取り組みをスタートさせた。
同社の住宅ローンサービスでは、仮審査での書類提出は不要だが、次の段階である本審査では各種の書類提出を求めている。事務統括部 業務推進課 マネージャーの清水 陽介氏は次のように話す。
「本審査において、書類を送付いただいてから結果をお知らせするまでおよそ3~5週間かかっていました。サービスを強化するという意味では、この時間をできるだけ短縮させたいと考えました。そこで業務フローを再確認したところ、書類を受け付け、管理し、内容を複数のスタッフで事前確認していくのに1~2週間要しており、ここがボトルネックとなっているのが分かりました」

こうした事前確認を含めた書類の管理に要する時間を短縮するだけで、最終的な審査結果の案内も早期化できる。そこで、書類の送付方法として従来の郵送、メール添付、FAXに、専用サイトへの「アップロード」という方法を加えることにした。
同時に、各経路で送られてくる書類を一元管理することにも着手した。これまでは、郵送で届く紙の書類はスキャニングして管理、メール添付やFAX経路のデータは別のシステムで管理と、統一されていない状況だった。そこに新たにアップロードの仕組みを構築するのは顧客利便性が向上する一方で、個々の経路で提出された書類を各システムで確認することになり、審査業務上の負荷が高くオペレーション部門に負担をかけてしまう。
「こうしたシステム操作の不便さ、煩雑さは以前から現場の声として上がっていました。当行も20年の歴史があり、文書管理システムを継ぎ足ししながら運用していたため、そうした煩雑さが生じていたのです。そこでアップロードという方法を新設するのを機に、すべての経路の書類を一元的に管理できる仕組みをつくろうと考えました」(清水氏)
さまざまな文書をSalesforceと連携して一元管理
さまざまなソリューションを検討する中で採用されたのが、文書活用ソリューション「invoiceAgent 文書管理」だった。採用理由の一つに、Salesforceの各サービスとの親和性が挙げられる。
ソニー銀行では、顧客管理にSalesforceの Experience CloudとService Cloudを活用している。invoiceAgent 文書管理はこれらのソリューションとシームレスに連携でき、その実績も豊富だった。「Salesforceの顧客情報と紐づけて書類管理ができるというのもオペレーション効率を上げる要因となります。Salesforceの画面さえ開いていれば各経路から送られてくるデータの管理をシームレスに行えるので、従来の課題をクリアできると考えました」と清水氏は話す。
こうして2020年9月頃から、invoiceAgent 文書管理の導入プロジェクトがスタートし、2021年5月には稼働開始した。各経路からくる文書は、次のようなプロセスでinvoiceAgent 文書管理へ格納される。
アップロードの場合は、ソニー銀行から顧客にExperience CloudのIDとパスワードをメールで送り、顧客は指定されたExperience Cloudへログインしファイルをアップロードする。顧客別のフォルダがinvoiceAgent 文書管理内で自動作成され、ファイルは人手を介さず自動的にinvoiceAgent 文書管理へ格納される。
郵送の場合には、ウイングアークのクラウド帳票サービス「SVF Cloud for Salesforce」を活用している。担当者は顧客情報をService Cloudで検索、SVF Cloud for Salesforceを使って顧客情報を持ったQRコード付きの表紙を出力し、郵送書類と表紙を合わせてスキャニングする。QRコードがあるため、顧客ごとのinvoiceAgent 文書管理フォルダへ自動的に格納することができる。これにより、人の手で格納する作業の時間と誤った先に格納するリスクを削減できている。
メール添付やPDF化した電子FAXの場合には、担当者がService Cloudから顧客を検索し、リンクするinvoiceAgent 文書管理内のフォルダにデータファイルをドロップして処理することができるため、直感的な操作が可能だ。

また、格納されたファイルの閲覧も容易だ。Service Cloudの顧客情報画面にファイルが格納されたinvoiceAgent 文書管理のフォルダへのリンクが表示されているため、担当者はService Cloud経由で顧客の書類を閲覧することができる。このように、Service Cloudを中心に顧客情報と文書管理が一元管理されていることで、オペレーションの負荷軽減につながっている。
膨大なファイルを数秒で検索、AI OCRを活用してさらなる業務効率化を目指す
invoiceAgent 文書管理には住宅ローン関連の書類だけでなく、他の顧客関連書類も一元管理することになり、過去20年分のデータを移行させることになったが稼働前に問題が発生した。膨大なデータを移行したため、顧客のフォルダが数百万単位となり、対象のフォルダをブラウザ上で表示するまでに14秒もかかってしまい、オペレーション部門のストレスとなっていた。こうした問題に、ウイングアークがすぐに対応し、フォルダ表示は4秒程度で検索できるように改善した。
「リリース当初は、このままでは実用できないという話になり、一度紙に印刷して保管する緊急の運用で対応しました。この状況に対しウイングアークがすぐに駆けつけて対応してくれました。ほかにも導入途中で小さな問題が起きましたが、ウイングアークがスピーディーにクリアしてくれました。過去のデータが格納できないとなると、新旧両方のシステムを併用する期間がある程度発生してしまいます。その期間がまったくなかったのは効率的でした」(清水氏)
また、書類チェック作業にもinvoiceAgent 文書管理の機能を活用している。アノテーションとプロパティという機能を使い、電子データを紙書類のように扱いながら効率的な作業を進めている。アノテーションは電子データとなった書類にハイライトやマーカーを付与する機能で、これを利用することで書類上特にチェックしておく必要がある項目を後に作業する担当者に伝えることができる。また、ファイルにチェック項目を作ることができるプロパティの機能を使って、複数の担当者が効率的に作業できるようにしている。プロパティ機能ではテキスト入力が可能なため、業務上利用しやすい管理番号等を追加することで、視認性や操作性を高めている。
ソニー銀行では、invoiceAgent 文書管理導入による効果を測定している最中だが、現状でもかなりの時間短縮が実現しているという感触を得ている。今後は、紙の書類のスキャン作業にAI OCRなどを活用することで、書類の識別や振り分けの部分を自動化させ、作業の時間短縮、オペレーション改革を進めていく計画だ。invoiceAgent 文書管理に格納するだけで、人による単純な作業を減らし、顧客とのやり取りに使う時間を増やすことで、さらなる顧客満足度の向上を目指している。
※2022年6月より「SPA」および「SPA Cloud」は「invoiceAgent 文書管理」「invoiceAgent AI OCR」に名称を変更しました。
現在はSVF ArchiverおよびSVF Transactに名称変更しています。






