導入事例

イーデザイン損害保険株式会社

イーデザイン損害保険株式会社

SalesforceからBoxまで帳票運用のワークフローを自動化
自動車保険の新ブランド「&e」のCX(お客さま体験)向上を実現

イーデザイン損害保険株式会社
業種

金融・保険

東京海上グループのダイレクト損保会社であるイーデザイン損害保険株式会社(以下、イーデザイン損保)は、2021年に自動車保険の新ブランド「&e(アンディー)」(以下、&e)をリリース。それに合わせてお客さまサポート、事故対応で活用するCRMの仕組みをSalesforceで構築し、帳票作成・出力部分に「SVF Cloud for Salesforce(以下、SVF Cloud)」を採用した。「2021年度 IT賞」で最高位の「IT最優秀賞」を受賞した同社のサービスは、Salesforceと社内基幹システム、外部サービスとの連携で帳票を自動生成する仕組みが構築されており、従来のコールセンター業務と比べて業務効率が大幅に改善され、創出された時間でCX(お客さま体験)向上に向けた新たな取組みを行っている。

導入背景

保険ビジネスのデジタルトランスフォーメーション(DX)を進める中で、新自動車保険&eを開発。それに合わせて新たなサポートサービスを開始するために、社内の業務プロセスも進化させる必要があった。特に従来の仕組みでは、手作業の多い帳票作成・管理業務が負担となっていた。

課題
  • クラウド上でSalesforceと連携する柔軟な帳票運用の仕組みが必要だった
  • 帳票数が多く、帳票作成も非効率であったため、帳票関連業務に相当の負荷が生じていた
  • 部門ごとに情報管理がばらばらで、部門間での情報連携が不十分であった
解決策導入ポイント
  • Salesforce Financial Services CloudとSVF Cloud for Salesforce、Boxを活用し、帳票の作成から管理、顧客や関係者との共有まで一気通貫で行える仕組みを開発
効果
  • &eにおける帳票作成業務をSVF Cloud for Salesforceに集約できた
  • 帳票業務を効率化したことで、以前より顧客サービスの向上を検討し実行する時間を取れるようになった
  • シームレスな部門間連携が可能となり、よりお客さまに寄り添った対応が可能となった

革新的な新自動車保険「&e」の発売に合わせて、CRMを刷新


 イーデザイン損保は、2009年に誕生したダイレクト自動車損保で、「リーズナブルな保険料」「充実のサービス」「安心の事故対応」というサービスによって、事故対応満足度は94.4%(2020年度同社調べ)という高い数値を誇っている。デジタル時代に突入した昨今、新たに“インシュアテック保険会社”への進化を標榜する中で、第一弾としてIoTセンサーと顧客のスマートフォンを活用した共創型自動車保険の&eを発売。デジタルの利便性を活用し、運転時の安全意識の向上や注意喚起による安全運転支援メニューの提供、自治体や企業と様々なデータ連携を通じた事故削減の取り組みなどによって事故率の低下を目指した、従来の自動車保険とは一線を画す画期的な商品として注目を集めている。


 &eはデジタル完結型自動車保険で、契約手続きをはじめ、補償内容に関する問い合わせから、事故時の連絡や保険金の受け取りまで、各種手続きがスマートフォンで完結する。契約申し込み、更新などをサポートするコールセンターや、事故に見舞われた契約者をサポートする事故の担当者が利用するシステムも、今回&eの発売に合わせてSalesforce Financial Services Cloudを採用し、新たにCRMの仕組みを構築した。&eのCRMシステムの開発を担当した同社 IT企画部 兼 事故対応サービス部 次長の楠目 祥平氏は、システムを開発した際のコンセプトについて次のように語る。


 「&eは、自動車保険・損害保険そのものを1から組み立て直し、『とっつきにくい』『複雑』という印象を与えていたサービスをシンプルにして分かりやすくし、お客さまに寄り添った商品にしたいというコンセプトで開発したものです。その中で、コールセンターで使うシステムも、お客さまのことをいかに理解して対応できるかを意識して開発しました」(楠目氏)


IT企画部 兼 事故対応サービス部 次長 楠目 祥平氏

“千手観音状態”だった帳票業務を改善


 そこで重要なポイントとして挙げられたのが、帳票運用の見直しであった。従来帳票を作成する際は、まずSalesforceや基幹システムにログインし、散在するデータを一つひとつ集め、人手で作成・印刷し、送付するという“千手観音状態”だったと楠目氏はいう。また、顧客に送った帳票の管理も部署ごとに行われ、見られる情報も別々で、情報共有が行われていないという課題も抱えていた。


 帳票システムの開発に現場の立場で参加した、お客さまサポート部を統括するオペレーションマネージャーの白石 浩樹氏は、当時の課題や&eに対応するコールセンターのシステム要件について次のように語る。


 「これまでは、お客さまご自身で完結できる手続きがそれほど多くありませんでした。お客さまがWeb上でできることを増やそうという考えの中で、帳票に関しても改善が必要だと感じていました。内部の処理でも、人が作業をしているので時間もかかり、年に数回はどうしてもミスが発生していました」(白石氏)


お客さまサポート部 オペレーションマネージャー 白石 浩樹氏

Salesforceや基幹系、BoxとAPI連携する「SVF Cloud」


 そこで同社は、新CRMシステムに組み込む帳票開発ツールとして、SVF Cloudを採用。Salesforce製品とAPIでシームレスに連携するSVF Cloudによって、クラウドのSalesforceと基幹システムのデータを集約して顧客・社外関係者向けの帳票をSVF Cloudの一つの画面で作成する仕組みを構築した。そしてSVF Cloudで作成した帳票はクラウドストレージサービスのBoxに保存され、社内および関係者間で共有できるようになっている。


SalesforceからBoxまで帳票運用のワークフローを自動化

 Boxとの連携を考えた背景には、事故対応業務の煩雑さがある。事故対応の際には、保険契約時の顧客対応と違って複数の関係者とのやり取りが発生する。そのため、より効率的な情報共有の仕組みが必要だったと、事故対応センターの立場から開発に参加した、事故対応サービス部 アソシエイト 波入 大輔氏は説明する。


 「事故対応の際には、事故の当事者(お客さま)、お相手(被害者)、事故受付部門、事故対応をする当社担当者、レッカーが必要であればレッカー部門、さらに外部の修理業者、病院、レンタカー会社とどんどん広がって最終的には4-5人の関係者と連携しながら解決していくことが多いです。その際に、お客さまに同じことを何度も聞く訳にはいかないので、一人が聞いた内容を次の担当者や関係者に伝える作業が発生しますが、その中で文書の作成や情報のやり取りを効率化する必要を感じていました」(波入氏)


事故対応サービス部 アソシエイト 波入 大輔氏

 帳票ソリューションを選択するにあたっては、SVF Cloud以外の製品は検討しなかったと楠目氏はいう。


 「社内でのオペレーションを考えると、Salesforceを活用していたこれまでの操作感を確保しつつ、既存のIT資源を活用して帳票管理の仕組みを作ることを構想していました。さらに、バックエンドの基幹システムやお客さまが手続きをするフロントのWebシステムからAPI連携でデータを取得して帳票を自動生成したり、格納されたテンプレートを使って帳票を作成したり、さらにその先でBoxと連携させることを考えたら、SVF Cloudしか選択肢はありませんでした」(楠目氏)


保険を申し込むとお客さまへお届けする帳票がワンストップでBoxに


 新CRMの導入によって、&eのコールセンターでは、現場で作成する帳票の種類が大幅に減少した。顧客がスマートフォンで契約申し込みをすると手続きのフローが自動で動き、社内の基幹システムと連携して保険証券や保険加入の証明書、領収書などをSVF Cloudで自動作成し、Boxに保存されるようになっている。


 導入に伴う成果として白石氏は、「社内のプロセスをシンプル・スムーズにすることで事務処理にかかる時間が減り、削減された時間を改善活動や、お客さまに寄り添うため必要なことを話し合う時間に充てることができるようになりました。SVF Cloudの差し込み機能によって帳票作成時間が短縮されましたし、今後サービスの拡張に伴って帳票も増えていくことが予想される中で、追加される業務プロセスをメンバーに共有しやすいとも感じています」と話す。


 事故サポートセンターでは、契約者以外にも業者や事故関係者向けに多くの書類を送付するため帳票数は約120種類と多く、メールや郵送をメインに一部FAXで送付する文書もあるが、それら全てをSVF Cloudで作成できる状況になっている。その際、「データがすぐに取り出せて共有でき、誰がいつ見た時でも確認が取れるようになりました。帳票を作成する際にも、担当者が自分で打ち込むところが極小化されているので、非常に使いやすいです」と波入氏は効果を語る。


 今後、同社の自動車保険は&eに集約していく方向であり、それに伴って&eのサービス内容も増え、作成する帳票の種類や枚数も増えていくことが見込まれている。そういった中で、&eを支えるCRMと帳票システムに対する期待も大きい。


 白石氏は、「最終的には人手で入力する部分がほぼなくなり、Boxにスムーズに格納できる仕組みに進化させたい」と話す。


 また波入氏は、「事故対応にあたっては、お客さまの置かれている状況やパーソナリティに合った文章が必要で、現在は担当者が適宜加筆しています。例えばテンプレートの中から、お客さまの状況に合わせて帳票を選択できる仕組みがSVF Cloudで用意されると、よりお客さまに寄り添った対応が可能になります」と、事故対応の現場ならではの視点で要望を投げかけてくれた。


 また楠目氏は、「今はサービスが始まったばかりなので、まずは安定的に利用できることを目指し、利用量もチェックしながら上手に使っていくことを考えています。初期導入段階で使うデータオブジェクトも絞っているので、ニーズを踏まえてもっと自由に使えるようにしていく計画です」と今後を展望する。


Company Profile

イーデザイン損害保険株式会社

設立:2009年
所在地:東京都新宿区
事業内容:2009年1月に設立されたダイレクト損害保険会社。2021年4月からは新中期経営計画がスタートし、新たなミッションとして、「事故時の安心だけでなく、事故のない世界そのものを、お客さまと共創する。」を定めた。保険(Insurance)とテクノロジー(Technology)を融合させた“インシュアテック保険会社”として、損害保険の新たな体験価値創造に取り組んでいる。
URL:https://www.edsp.co.jp/ https://www.e-design.net/

写真左より:
お客さまサポート部 オペレーションマネージャー 白石 浩樹氏
IT企画部 兼 事故対応サービス部 次長 楠目 祥平氏
オンライン参加:
事故対応サービス部 アソシエイト 波入 大輔氏

導入製品

SVF Cloudは日本固有の複雑な帳票フォームの設計と、PDFやExcelなどの美しい出力をクラウドで実現。

 
このページのトップへ