導入事例

スルガ銀行株式会社

スルガ銀行株式会社

継続的顧客管理を効率化するワークフローを構築
AI OCRの活用で年間5,000時間分の業務負担を削減

スルガ銀行株式会社
業種

金融・保険

スルガ銀行株式会社(以下、スルガ銀行)は、口座の不正利用や金融犯罪を抑止する「継続的顧客管理」の一環として、「お客さま情報確認書」をお客さまに郵送して回答を収集し、CRMシステムで管理するという取り組みを展開している。その受領した書類のデータ化業務の効率化に役立てられているのが、ウイングアークの「invoiceAgent AI OCR」だ。その活用によって年間5,000時間分の業務負担の削減効果を手にしている。

導入背景

マネー・ローンダリングなどへの対策として、日本のすべての銀行は「継続的顧客管理」の施策を展開しなければならなくなっている。スルガ銀行では、その施策遂行に伴う業務負担の増加を最小限に抑えるべく、お客さまが必要書類に手書きで記入した情報を効率的にデジタル化(データ化)する仕組みを構築した。

課題
  • 「お客さま情報確認書」に手書きで記入した情報をOCRで高精度にデジタル化する必要があった
  • OCRで読み取ったデータの確認・承認の効率的なワークフローの構築が必要とされた
解決策導入ポイント
  • invoiceAgent AI OCRの4つのOCRエンジンで多様な形式の手書き情報をデジタル化
  • invoiceAgent AI OCRによってデータの読み取りと結果確認、承認のワークフローを構築
効果
  • 手書き情報の処理について年間5,000時間分の業務負担の削減が見込めるようになった
  • 継続的顧客管理業務の効率化で人的リソースを当初想定の半分ほどに省人化できた

「継続的顧客管理」の強化で書類の手書き情報のデータ化が大きな課題に


 スルガ銀行は、静岡県・神奈川県を中心に国内118店舗を展開する地方銀行だ。近年では中期経営計画“Re:Start 2025”のもと、法人・個人に対して、それぞれのニーズや課題に適合したサービスの提案力を増し、「あってよかった、出会えてよかった、と思われる存在でありたい。」という企業理念の実現に尽力している。


 そうした同行が2021年から取り組む施策の一つが、お客さまの属性情報や口座の利用目的などに変更がないかどうかを定期点検する「継続的顧客管理」の徹底だ。これは、マネー・ローンダリングやテロ資金供与といった犯罪行為を抑止するための一策であり、日本のすべての銀行が取り組んでいる。


 その対策の一環として、スルガ銀行では「定期的なお客さま情報ご提供のお願い」を対象のお客さまに郵送したうえで回答を収集し、そのデータをCRMシステムで管理するという手法を採用している。回答の収集には、スマートフォンで回答してもらう方法と、「お客さま情報確認書」に手書きで回答を記入してもらい、返送してもらう方法の二通りを用意している。多くのお客さまはスマートフォンによる回答を選択しているが、手書きで回答を寄せる方も相当数いると、同行の業務管理本部 業務企画部 部長の安藤 正博氏は明かす。


 書類ではお客さまに回答を求める項目数は200以上とかなり多い。ゆえに、手書き回答をデータ化するプロセスをいかに効率化するかが大きな課題になったと安藤氏は振り返る。


 ちなみに、ここで言う「手書き回答をデータ化するプロセス」とは、手書き回答の内容を表計算ソフトに入力(転記)し、CRMシステムへの入力が可能な状態にするまでの作業を指している。その効率化が必要とされた背景について、安藤氏は次のような説明を加える。


 「継続的顧客管理に向けて、当行が1ヶ月で情報を確認すべきお客さまはおよそ2万人に上り、そのうち手書きで回答を寄せるお客さまの数は月平均で1,000名に達することが確実でした。一方で、継続的顧客管理の実務を担う業務管理本部内の組織(業務センター)は、多岐にわたる業務を担当しており、人的リソースにも限りがあります。そのため、継続的顧客管理の業務にそれほど多くの人員を割けないのが実情でした。ですので、手書き回答をデータ化するプロセスを可能なかぎり効率化することが不可欠だったといえます」


 この重要課題を解決するすべとして、同行が採用したのがウイングアークの「invoiceAgent AI OCR」である。


業務管理本部 業務企画部 部長 安藤 正博氏

実用性と機能の豊富さでinvoiceAgent AI OCRを選択


 invoiceAgent AI OCRを選定したのは、同行の業務企画部でマネージャーを務める中島 朋雄氏だ。情報システム部の所属経験を持つ同氏は、手書き回答のデータ化を効率的に行うためのソリューションとして、いくつかのAI OCR製品の導入を検討した。ところが、どの製品も手書き文字の認識精度が十分ではなく採用には至らなかったという。そんな中で同氏が出会ったのがinvoiceAgent AI OCRだ。


 「invoiceAgent AI OCRが優れていたのは、文書の向きが多少斜めになっていたり、歪んだりしている画像ファイルでも、ファイル内の文字をしっかりと認識できる点です。これならば運用の実務に十分耐えうると判断しました」(中島氏)


業務管理本部 業務企画部 マネージャー 中島 朋雄氏

 また、invoiceAgent AI OCRが4つのOCRエンジンを備え、さまざまな形式の手書き文字に対応できる点も高く評価したと中島氏は明かす。


 「当行の“お客さま情報確認書”では、回答の形式としてチェックボックスにチェックを入れるタイプのものや自由記述形式のものなどが混在しており、単一のOCRエンジンでは、すべての項目の回答を正しく認識することが困難です。それがinvoiceAgent AI OCRの場合、4つのOCRエンジンによって多様な形式の手書き回答を高精度で認識できます。このようなOCR製品は他に例を見ないといえるでしょう」(中島氏)


 さらにもう一つ、invoiceAgent AI OCRが承認フローを構築するための機能を備えていることも魅力的だったという。


 「手書き回答をデータ化するプロセスには、データ化を担当した以外の人員がデータの内容を確認し、上長がそれを承認するといったフローが含まれます。そうしたワークフローを構築するための機能を有している点は、invoiceAgent AI OCRの導入を決める大きな要因になりました」(中島氏)


お客さまからの手書き回答をinvoiceAgent AI OCRを活用して効率的にデジタル化

手書き回答のデータ化を劇的に効率化


 スルガ銀行では2021年5月にinvoiceAgent AI OCRの導入に向けた検討を開始し、7月から9月にかけてトライアルを実施して導入を決めた。のちの正式な契約手続きを経て12月に本番運用を始動させている。製品選定の段階から支援を行っていた日本テレネット株式会社の支えもあり、どの作業もスムーズに進み3ヶ月程度ですべてを完了させることができたという。


 また、invoiceAgent AI OCRは期待どおりのパフォーマンスを発揮し、継続的顧客管理業務の負担軽減に大いに貢献していると、安藤氏は評価する。


「invoiceAgent AI OCRの活用によって、手書き回答のデータ化に要する工数・時間を、手作業で行う場合の6分の1程度に圧縮できました。仮に、手書き回答が記載された“お客さま情報確認書”の月間処理件数が1,000件とすると、(手作業による処理に比べて)月間で420時間分、年間で5,000時間分の作業負担が軽減される計算になります」(安藤氏)


 また、こうした削減効果によって、手書き回答のデータ化に割り振る人的リソースも当初見込みの2分の1程度に抑えられていると、安藤氏は説明を加える。


 


invoiceAgentの適用業務の拡大も視野に


 invoiceAgent AI OCRの運用開始後、現場からの操作に関する質問やシステムトラブルの報告はなく、順調に稼働を続けている。その成果も踏まえ、同行では他分野の業務にもinvoiceAgentシリーズのサービスを適用する検討を進めている。


 例えば、拡張性が高いinvoiceAgentはAI OCR以外にも、文書ファイルを自動的に取り込んで内容に応じていくつかのフォルダに分けて保管し、所定の保管期間が過ぎた文書については自動で削除するといった文書管理の機能も提供している。この機能は融資関連書類などの管理に有用であり、そうした業務もinvoiceAgentで大幅に効率化できるのではないかと期待していると安藤氏は述べ、こう話を締めくくる。


 「invoiceAgentの機能と性能は、私たちの想像を超えるもので、期待以上の効果をすでにもたらしてくれています。これからも、さまざまな業務の省力化に貢献してくれることを望んでいます」


Company Profile

スルガ銀行株式会社

設立:1895年10月
本店所在地:静岡県沼津市
事業内容:静岡県と神奈川県を中心に国内118店舗を構えて事業を展開する地方銀行。19年11月に発表した中期経営計画の“Re:Start 2025”のもと、「あってよかった、出会えてよかった、と思われる存在でありたい。」という企業理念の実現に向けて、お客さまの視点に立ったサービスの提供に取り組んでいる。
URL :https://www.surugabank.co.jp

写真左から:
業務管理本部 業務企画部 部長 安藤 正博氏
業務管理本部 業務企画部 マネージャー 中島 朋雄氏

導入製品

活字・手書き文字を高精度に読み取りデータ化できる帳票データ化ソリューションです。

 
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