大和工業株式会社
データドリブン経営に向けた業績管理基盤を導入
作業効率化による攻めの時間創出にも貢献
- 業種
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製造
鉄鋼電炉メーカーとして世界の社会インフラを支えるモノづくりに取り組んでいる大和工業グループ(以降、大和工業)は、ウイングアークのデータマネジメントサービス「Dataring(データリング)」を活用し、グループの海外事業管理を担っている海外事業部で利用する業績管理基盤を構築した。現在、海外拠点からのデータ収集とダッシュボード機能の一部がトライアル稼働を開始。グループ7ヶ国8拠点の状況を迅速に把握できるシステム環境構築を進めている。2022年11月には本格稼働を開始し、さらなるデータ分析の高度化を目指す。
導入背景
海外事業部では海外拠点の業績管理業務において、事業ポートフォリオの高度化、良質化に資する、海外拠点に関するレポーティング体制の再構築が求められていた。それを実現する為には、まずはデータ収集やレポート作成に時間がかかっている現行作業の効率化を進める必要があった。
- 課題
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- 従来の報告フォーマットでは、各社の重要指標を一覧で把握するのが困難、レポートの視認性向上の面で改善の余地がある状態
- 海外拠点からの報告は、多種多様のExcelやWordが送られてくるため、取りまとめに多大な手間と時間がかかっていた
- 解決策導入ポイント
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- グループ全体での業績が分かりやすく把握できるように、レイアウトを工夫した経営ダッシュボード(業績管理画面)を構築
- 海外拠点から提供されるフォーマットは変えずに、グループ全体での業績管理に最適な形でデータを集約・可視化する仕組みを導入
- 効果
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- ※現在トライアル稼働につき、期待できる効果を記載
- 海外拠点の経営状況に係る重要指標、財務情報の可視化による経営判断の支援を実現
- 海外拠点から業績報告を行う海外駐在員と、レポートをまとめる本社担当者の業務効率化を実現
海外拠点の業績報告業務において
情報を迅速に伝えられる体制づくりを検討
大和工業は、鉄スクラップを原材料に鉄鋼製品を製造する電炉メーカー。「鉄で未来を 未来の鉄を」というミッションのもと、グローバルな鉄事業を通して、環境に優しいモノづくりの技術を追求し続け、国際社会の発展やサステナブルな社会の実現に貢献している。事業としては、H形鋼などの建築用鋼材や船舶用重工加工品、鉄道用分岐器などの製造・販売を行っている。
マザー工場である国内事業で培った技術・操業ノウハウを基盤に、約30年前から積極的に海外展開を進め、現在では経常利益の大部分が海外拠点からもたらされており、グループ成長の源泉は、その海外展開にあると言える。さらに今後も東南アジアでの事業拡大を中心とした海外事業戦略を進めていく中で、海外事業活動における経営判断の重要性も日々高まっている。
海外拠点の業績管理は、各拠点に本社から派遣した駐在員が月次で業績報告をまとめ、本社の海外事業部に送付する形で運用している。海外事業部の担当者は内容の精査・情報過不足の確認を行い、経営層が見やすい形にまとめた上で報告する。駐在員は毎月業績をレポートしているが、昨今レポートの量、質ともに国ごとにばらつきが生じている。こうした背景には事業が拡大するにつれて報告業務がどんどん複雑になってしまっていたことに原因があったと指摘するのは、当該業務を担当する大和工業 海外事業部 事業管理課 長棟 昭大 氏だ。
「海外拠点からの報告内容は、形式の統一化や標準化ができていない状況でした。その為、レポート作成者の負担だけでなく、結果的に読み手側にとっても海外拠点の情報を把握しづらいレポートになっていました。」
月次業務報告の流れは、まず駐在員がPLやBSなどの財務情報と、生産や在庫に関する操業情報を重要指標としてExcelに整理し、それを元に報告書をWordで作成していた。
「アナログな作業を繰り返して作成するため、レポート作成及び数値などの資料チェックには非常に時間がかかっていました。その結果、経営層にレポートが届くタイミングが遅くなることもあり、迅速な経営判断にさらに役立てていくためには、業務フローを改善することが必要な状況でした。」(長棟氏)
経営判断に資する業績管理の実現に向け
業績管理基盤の構築を検討へ
そこで海外事業部では、経営層へのタイムリーな報告と月次報告業務の効率化を目的として、データの収集・蓄積と集計・分析作業をシステム化できる業績管理基盤の構築に向けた検討を開始した。その際の要件としては、まず、経営層、管理職、関連部門等、幅広い社員が利用するダッシュボードは、より見やすく、分かりやすい形式で必要な情報を必要な人に届けられるような画面イメージを求めた。さらに、利用者はこれまで海外拠点の情報を拠点ごとに確認していたが、全拠点を一覧で把握でき、且つ表示期間も利用者が自由に選択できるなど利便性が向上する仕様にもこだわった。
次に現地駐在員の負担にならない形で必要なデータをシステムにアップロードできること。また、これらの仕組みの開発・運用をできるだけ自社で内製化できることも重要視していた。「現地の駐在員は多忙なため、システムを導入するための新たな業務負担をかけたくありませんでした。また、海外拠点ごとに現地パートナー企業の業務管理システムを利用している為、こちらから全社一斉に特定のやり方を求めることも難しかったのです。そんな中で、効率的で使いやすく今後幅広く活用できるようなサービスを探していました。」(長棟氏)
業績管理の業務課題を解決し、
自由度の高いデータ活用ができる「Dataring」を選定
そこで大和工業は、Excelからのデータ収集の仕組み、データベース、ダッシュボードまでを一気通貫で提供するウイングアークのデータマネジメントサービス「Dataring」を採用した。製品選定の経緯について長棟氏は、「元々グループ会社であるヤマトスチールで、ウイングアークの製品を利用しており、システムの使いやすさや保守サービス対応を高く評価していました。また新しいサービスの「Dataring」の提案内容も当社のニーズを満たしていたため、導入を決めました」と話す。
2021年11月に契約を結び、初期導入のシステム構築をウイングアークが実施。集約したデータをダッシュボード化するシステム作りをウイングアークのサポートのもと、長棟氏が主導した。そして今年8月から海外事業部内で月次速報に関するダッシュボードの試験稼働を開始している。
「これまでITインフラの整備はシステム部門に任せましたが、これから社内で内製していくためのノウハウを得るため、私がダッシュボードの構築作業を担当しました。その際にはなかなか作業が進まない時期もあったのですが、ウイングアークによる親身なサポート体制のもとで安心して開発を進めていくことができました」(長棟氏)
試験稼働の開始とともに、海外駐在員のデータ入力業務は従来の報告書作成元となるExcelデータをクラウドのDataringデータベースにアップロードし、ダッシュボードに補足コメントを追記することで完了する作業フローに改善した。また、ダッシュボードの画面上では「売上・利益」「生産量」「販売数量・単価」「在庫」と4つのグラフ情報にまとめられ、1年間の推移が表示される仕様にしている。
「ダッシュボード表示で重要視したのは、いかに必要な情報をわかりやすく見せるかです。今後は利用者が知りたい情報に気軽にアクセスできる機能などを実装していきたいです」(長棟氏)
本格稼働に向けた準備は順調に進展
今後のさらなるデータ利用の高度化も見据える
現在はExcelからデータベースにデータの取り込みをおこなう仕組みづくりが完了し、残りの分野のダッシュボード作成を進めるフェーズに入っている。今後は経営層などのチェックを経て、11月の本格稼働を目指す。開発を進めていくにあたって長棟氏は、後方支援をおこなってきたウイングアークの姿勢を高く評価する。
「これまでのサポートに非常に感謝しています。ウイングアークのBIコンサルティングサポートは、当社の課題と真摯に向き合い、寄り添った対応をしてくださったと感じています。この後もDataringが社内ユーザーに届くまでサポートいただくことを期待しています」(長棟氏)
現在のプロジェクトは、既存のレポーティング業務を新システムに移行することがゴールとなる。しかし、大和工業はその後の展開も重要と考え、社内での運用を定着させるとともにデータ活用をさらに高度化させる取り組みを計画している。
大和工業は「Dataring」の導入でこれまでは十分に活用できていなかったデータを扱える環境を手に入れつつある。今後もさらなるシステムの高度化に取り組み、より高度な経営判断ができるようになるに違いない。ビジネス環境の変化がより一層激しくなる中で、データドリブン経営の礎として業績管理基盤の構築を内製で進める大和工業の取り組みは、データ活用で悩む企業のモデルケースとなるはずだ。
Company Profile
大和工業株式会社
設立:1944年11月
所在地:兵庫県姫路市
事業内容:環境に優しい鉄事業を通して、世界のインフラを支えるグローバル鉄鋼メーカー。大和工業は持株会社で、国内ではヤマトスチール(株)、大和軌道製造(株)などの事業会社が鉄鋼製品を製造。海外では米国、タイ、ベトナム、韓国、バーレーン、サウジアラビアで合弁会社を運営。
URL:https://www.yamatokogyo.co.jp/yamato/yamato1/
導入製品
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