導入事例

住友不動産株式会社

住友不動産株式会社

グループ会社全体の改正電帳法への対応
受領する電子請求書の承認と保管における業務効率化を実現

住友不動産株式会社
業種

不動産

住友不動産株式会社(以下、住友不動産)は「invoiceAgent 文書管理」を活用し、改正電子帳簿保存法(電帳法)で求められる、取引先から受領する電子請求書の保存対応を実施。グループ従業員1万3千人を超える大組織の中で、本体の経理部門が主導して法律に準拠した業務プロセスの理解に基づくシステム選定および導入によって円滑な法対応を実現している。

導入背景

住友不動産では業態特性として紙での帳票のやりとりが多く、以前から社内でペーパーレス化推進の気運が高まっていた。その中で電帳法の改正が決まり、経理業務でのシステム対応が求められた。コロナ禍で紙ベースのやり取りが在宅勤務の妨げになっていたこともあり、電帳法に対応するだけではなく、請求書の受領から支払承認業務に関わるグループ会社を含めた各部門でのプロセス変革を伴う対応が求められていた。

課題
  • 紙による受領請求書の承認や保管の必要性から、在宅勤務での対応が困難であった
  • 会社としてのペーパーレス化という大きな目標の中で、電帳法に準拠した請求書受領の業務フロー構築を進める必要があった
  • グループ会社を含め、本社の経理部門主導で電帳法対応システムの検討~導入まで行う必要があった
解決策導入ポイント
  • グループ一体で運用でき、今後のペーパーレス化を見据えて活用できる「invoiceAgent 文書管理」を導入
  • 法対応に向けた事前準備と現場への周知・理解を徹底
  • システム導入の進め方や運用設計の検討においてウイングアークの利活用支援サービスを使ってスムーズにシステムを構築
効果
  • グループを含む全社的な改正電帳法への対応を短期間で実現した
  • 全国で事業展開するなかで、承認プロセスを電子化したことで業務スピードが向上した
  • 今後のペーパーレス化を加速させるための下地が整った

紙でのやりとりが多い不動産業界でペーパーレスを推進


 住友不動産は、430年以上の歴史を刻む住友グループの総合不動産会社で、コーポレートスローガンとして「信用と創造」を掲げ、オフィスビル賃貸事業を中心に分譲マンション、住宅リフォーム、注文住宅、不動産仲介および賃貸マンションやホテル、イベントホールの運営など幅広く事業を展開している。


 不動産業界はいまだ紙のやり取りが多い業界である。それに加えて同社では、事業規模の大きさから取引量が多く、業務効率化のためにペーパーレス化を進めなければならないという課題を抱えていた。「不動産業界は電子化があまり進んでおらず、契約書ひとつとっても紙が主流の業界です。そのため経理業務は紙媒体でのやりとりが非常に多く、請求書に関しても現状8〜9割が紙での受領となっています」と、住友不動産 財務部 経理課長の岩田 敦氏は明かす。


財務部 経理課長 岩田 敦 氏

 そこで同社では、社内の申請書類やオフィスビルのテナント宛に発行する請求書など、ビジネスプロセスの電子化を進めてきた。その過程で電帳法の改正が決まり、取引先から送られてくる請求書を改正電帳法の要件に則した形で電子保存するためのシステム対応を、本体の経理部門で計画することになった。当時の社内の状況について、導入プロジェクトを統括した岩田氏は次のように振り返る。


 「今回、電子請求書管理をシステム化した動機は法改正でしたが、それ以外にもコロナ禍で業務プロセスが紙ベースであるがゆえに経理部門の在宅勤務が進まないという問題も抱えていました。そのため、システム化を進めるにあたって単なる書類の電子保存だけでなく、請求書の受領から支払い承認までのワークフローを兼ね備え、将来的な伝票と確証のペーパーレス化に繋がる仕組みを検討しました」(岩田氏)


invoiceAgent 文書管理の導入事例の多さが決め手に


 まず岩田氏は、先行して伝票や確証の電子保存を進めていた住友グループの企業に法対応の情報収集やシステム対応についてヒアリングを行った。また住友不動産の社内、グループ会社の現場に対して、電子取引状況やどのような請求書を使っているかを調査した。


 そこで要件として洗い出されたのが、
 ①コスト(イニシャル・ランニング)
 ②保存容量
 ③クラウド化
 ④電帳法に対応するための法的要件を満たすJIIMA認証の取得
 ⑤承認ワークフローの有無
 ⑥導入実績
 ⑦情報漏洩対策
 ⑧グループ会社一体運用できるもの
 ⑨バックアップ体制
―という項目である。


 当初は同じ住友グループの他社様が使っていた製品を採用することを前提として動き始めたが、社内のシステム部門から紹介を受けた製品を含めて4製品を比較検討し、要件に照らし合わせて最終的にウイングアークの「invoiceAgent 文書管理」を選定した。選定理由について、岩田氏は次のように語る。


 「受領の請求書から電子保存を始めるという我々の方針に対し、規模的に見合っていたことに加えて、製品の機能としてAI OCR機能も搭載されており、それらを活用すれば将来的に他の業務効率化にもつなげられる点を評価しました。特に決め手となったのが、導入実績の豊富さです。複数パターンの導入事例が紹介されていたため、当社のケースにマッチしたシステム活用をイメージしやすかったことが大きかったです」(岩田氏)


 製品を選択し社内決裁が通ったタイミングで、税制改正大綱の発表により法施行に2年間の宥恕期間が置かれることが決まったが、元々ペーパーレス化の一環で取り組む方針であったためプロジェクトを続行し、2022年の1月から導入プロジェクトを開始した。


 「invoiceAgent 文書管理」の導入にあたっては、ウイングアークの利活用・定着化支援サービス「オンボーディングプログラム」を活用し、経理部門主導で導入を進めていった。元々は担当者にITの専門知識はなく、時短勤務であった中、Web上で1週間に1度のやり取りを重ねながら、約2ヶ月でシステムを完成させた。作業を担当した財務部 経理課 河野 美奈子氏は、システム構築に取り組んだ際の様子を次のように語る。


 「オンボーディングプログラムによって、ウイングアークの担当者から他社のケースや当社の実状に合った適切な提案を受けることができ、とても参考になりました。このサポート体制がなければ、とても短期間では成しえなかったと思います」(河野氏)


法対応の方針と情報を丁寧に現場と共有


 システム導入にあたってもう一つ工夫したポイントが、社内での進め方である。住友不動産では、グループ会社の経理業務は、本体の経理部門が業務委託を受けて行う形を取っており、全体の方針を本体が策定し、グループ会社の経理に連携している。このような形で社内のガバナンスとフローが確立されている中、今回の受取請求書の電子保存対応に関して、単に新しいシステムを導入するので業務フローが変わるという一方的な通達を行うのではなく、対応方針と情報を事前に共有するようにした。グループ各社の担当者に対して、まず電帳法の趣旨や法改正によってどのような対応が必要なのかを十分に説明し、その後システムの使い方を周知させるという形で導入を進めていった。


 システム構築と並行して現場の理解促進活動を行い、その後2022年8月からテスト運用を実施、10月から本格的な利用を開始した。運用開始にあたっては、請求書の受領方法によるシステム保存の要否をまとめた判定チャートや、マニュアルとなるチュートリアル動画を作成。その結果、操作面で問い合わせが集中することもなく、円滑に運用を開始できた。運用半年後には、それまでの質問をまとめたQ&Aを整備するなど、定着化のための施策も怠りなく実施している。


 「invoiceAgent 文書管理」を利用した具体的な業務フローは、まず請求書受領者が電帳法の検索要件で求められている取引年月日・取引先名・金額の組み合わせでファイル名を付ける。そのファイルを「invoiceAgent 文書管理」にアップロード、承認する上長に申請する。上長が請求書の内容確認と支払承認を行うと、承認日時の電子スタンプがPDFファイルに自動押印され、経理担当者が承認スタンプ入り請求書PDFを確証として電子保存するという流れになっている。「invoiceAgent 文書管理」に請求書を保存する際にファイル名から自動的に3項目のデータを文書の属性情報として連携されるため、電帳法で求められる文書の検索性も保たれた仕組みとなっている。


電子帳簿保存法に対応した電子データの受取請求書の保管と承認

電帳法対応をきっかけに、さらなるペーパーレス化へ


 現在グループ全体で約700ユーザーが利用し、年間約3万枚規模の請求書の電子保存に対応する見通しとなっている。決裁者からは、全国で事業展開する中で、紙ベースだった承認プロセスを電子化したことで押印の手間と承認待ちの時間が省け、業務スピードが向上したと評価を受けている。


 住友不動産では今回の電帳法対応を第一ステップとして、さらなるペーパーレス化を進めていく計画だ。「受取請求書以外にも、電子文書管理の対象範囲を増やしたいと考えています。AI OCRの活用や、ワークフロー連携の範囲を会計システムにまで広げることも検討中です。また取引先様に対しても、請求書をメール添付と原本の二重送付は不要だとお伝えするとともに、出来る限り電子で請求書を出していただけるように現場に周知しています」(岩田氏)。


 またウイングアークに対しては、今後のペーパーレス化への取り組みを進めるに際しても期待を寄せていると話す。「システムベンダーには質問をしてもなかなか回答が返ってこないことが多々ありますが、今回ウイングアークからは迅速に回答がもらえました。また、質問に対しても、我々の状況を理解した上でアドバイスや複数の選択肢の提案をしてくれたので、判断がしやすく短期間での構築につながりました。稼働後も“近い距離”を保ってもらって想定外の事象に対する質問にも快く対応していただいており、今後更なる有効活用を検討していく際にも期待が持てます」(河野氏)


 「我々経理部門だけでなく、基幹システムとのつなぎを担当する情報システム部門とのやり取りも含め、少しずつ将来的な話をさせてもらっています。今回のように他社のケースを紹介してもらいながら、我々の業務を効率化するための積極的な提案を期待しています」(岩田氏)


 今後も住友不動産はグループ一体となってペーパーレス化を推進していく。


Company Profile

住友不動産株式会社

設立:1949年12月
所在地:東京都新宿区
事業内容:ビルの開発・賃貸、マンション・戸建住宅の開発・分譲、宅地の造成・分譲、海外不動産の開発・分譲・賃貸、建築土木工事の請負・設計・監理、不動産の売買・仲介・鑑定など
URL:https://www.sumitomo-rd.co.jp/

財務部 経理課長 岩田 敦 氏

導入製品

あらゆる帳票の仕分けから保管、検索、他システムとの連携も可能な文書管理ソリューションです。

 
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