食を取り巻く環境変化の中で、いかに新たな活路を“素早く”見い出すか
辛子めんたいをはじめとする海産物の専門店として、原料の仕入れ・製造・販売まで一貫して手掛けるかば田食品。現在では、福岡・山口を中心に47の直営店舗を展開するとともに、九州の名産品を取り揃えた通販サイト「かば田めんたい倶楽部」にも注力している。大正10年、漬物店として創業以来、つねに素材にこだわるとともに、“漬ける技”を活かした独特の製法によって、地域のファンに愛されてきた。
しかし、少子高齢化の進展による市場の縮小、大手水産メーカーの市場参入、消費者の嗜好の多様化など、「食」を取り巻く環境は大きく変化している。かば田食品としても新たなビジネスのあり方を模索していく必要があった。
「地域密着にこだわってきた当社は、良くも悪くも勘と経験に頼った商売を行ってきました」と話すのは、かば田食品営業サポートの営業サポート長を務める穂積 智洋氏だ。長年にわたり培ってきた信頼や伝統の味といった自社の強みを活かしつつ、いかに新たな活路を見出していくか―。特に、お客様の中心層であるF1層(20~34歳の女性)への販売を拡大していくためには、BIによる客観的なデータ分析が欠かせないと穂積氏は考えていた。
「例えば、健康志向の高まりや生活シーンに応じた食材のアレンジなど、世の中のトレンドを示唆する総合的なデータを本社から各店舗へ提供することができれば、店舗スタッフの“勘や経験”がより活かされ、創意工夫をサポートできると考えていました」(穂積氏)
情報システム部門がなくとも業務ユーザーが基幹業務データを自律的に活用できるDr.Sum
まず穂積氏が取り組んだことは、各店舗と本社をネットワークでつなぐPOSシステムの導入だ。
「以前は店舗から本社への売り上げ報告は週2回FAXで行っており、あくまで速報値のため、間違いも多く、本来の売り上げの集計結果が出るまでにかなりのタイムラグが発生していました。当社の社長は『店舗は舞台。売り上げはお客様の拍手』とよく言っています。社長の最大の関心事である『店舗がお客様に支持されているか』、すなわち『店舗の売り上げが伸びているか』が迅速に集計できてこそのシステム強化だと考えていました。そこで、ネットワークレジの導入について検討し、社内のコンセンサスを得て導入に踏み切りました」(穂積氏)
しかし、単にデータを収集するだけでは当然のことながら活用にはつながらない。つまり、即時収集できるようになった実績データを必要なタイミングで必要な軸で集計するための仕組みが必要だった。そこで、九州地場のSIerであるエコー電子工業から提案を受けたツールが、Dr.Sum EAだ。
かば田食品では、ネットワークレジの導入を検討する以前から、基幹システムにおいて実績データを照会する機能が不十分であった。また、帳票追加や仕様変更を行うたびに、その都度プログラム改修作業を外部に業務委託する必要があり、機動性に欠けるという課題を抱えていた。
それらの課題に対してDr.Sum EAはネットワークレジで収集して基幹システムに蓄積されたデータを業務ユーザー自身が随時照会することを実現できるツールだった。
「基幹システムに蓄積されているデータを使ったプロトタイプをエコー電子工業に見せてもらい、Dr.Sum EAのユーザービリティの高さを実感しました。大企業と違って情報システム部門がなく、専任のスタッフもいない当社にとって、もともと備えている機能がどれだけ使いやすいレベルにあるかがツール選びの重要なポイントになります。そういう意味でDr.Sum EAは、われわれの課題に等身大で応えてくれるツールだと感じました」(穂積氏)
こうして2013年3月、かば田食品はDr.Sum EAの導入を決定した。
販売実績や時間帯別売り上げをリアルタイムに可視化
次に目指すのはデータ分析の裾野展開
エコー電子工業の支援により、ネットワークレジ~基幹システム~Dr.Sum EAをつないだ売り上げ分析環境の構築作業は約3ヶ月で完了。2013年7月に本格的に運用を開始した。
現時点でのユーザーは、営業サポート部門のスタッフを中心とする数名だが、「POSシステムから収集した多様なデータを、商品や地域、時間帯、客層など切り口を変えながら迅速に集計し、より細かい項目にドリルダウンしたり、明細データにドリルスルーしたりできるのは非常に使い勝手が良い」「基幹システムの現行照会機能をすべてDr.Sum EAでリプレースしてほしいという要望が挙がっている」と、評価は上々だ。
かば田食品が次に目指すのは、利用者層をエリアマネージャーや店長にまで拡大し、データに基づいた拡販企画やローコストな店舗オペレーションを実現することだ。
「今までは店長の熱意を根拠として販促企画が決定されることがありました。しかし『やってみてダメだった』という企画も散見されるようになり、店舗オペレーションの費用対効果を考える必要性が出てきました。しかし、本社主導でデータに基づいた指示をすべての店長に一律で実施することはせず、頭の中に『経験と勘』に基づいたBIエンジンを持っている40~50代のベテラン店長の意見は尊重しつつ、若手店長を中心に営業サポート部門が販促ツールを提供するなどの支援をしています。その支援を行ううえで、Dr.Sum EAは判断材料を素早く提供してくれています」(穂積氏)
「現在は、営業サポート部門がDr.Sum EAで分析した結果を店長に提供していますが、近い将来には各店舗にDr.Sum EAの利用環境を解放していきたいと考えています。そうすることで、店長自らがデータから気づきを得て、現場主導の拡販企画やローコストオペレーションを実現できると期待しています。当社の店長たちはデータやツールに振り回されない気骨を持っています。経験と勘にプラスして、データという新たな武器を手に入れた店長たちが当社の新たな力を生み出す源泉となると確信しています」と、穂積氏は熱く語る。
将来像:ビジネスモデルの転換を支えるデータ活用基盤へ
かば田食品では、ローコストオペレーションの一環として店舗販売からECへ売上比率をシフトしていく施策を実行中だ。その政策を支えるデータ活用基盤としてDr.Sum EAを利用できないかと、穂積氏は将来像を描いている。
また、既成概念をもとにした販売に固執していたのでは、将来的な成長には限りがある。例えば、ハウスキーピングサービスのように一見明太子と無関係のようなサービス商材を、明太子を買いに来たお客様に“かば田ブランド”として提案することによって、かば田らしい新たな付加価値を提供できるかもしれないと穂積氏は構想している。
「当社の社長は、たとえそれが若手の意見だとしても『やってみなはれ』の態度で接してくれ、自身の固定概念を押し付けることのない懐の深い経営者です。こうした新たなビジネスモデルやサービスにチャレンジし続ける、かば田のような企業にこそ、Dr.Sum EAのような現場部門が自由に思い思いにデータを活用できる基盤が必要だと考えています」(穂積氏)






