導入事例

大和ハウス工業株式会社

大和ハウス工業株式会社

本社およびグループ30社共通のデジタル帳票基盤を構築
“デジタル帳票の図書館”を描き、ペーパーレスとデータ活用を促進

大和ハウス工業はグループのITを担うメディアテックと共同プロジェクトを立ち上げ、ウイングアークの統合基盤ソリューション「SPAIS(スパイス)」を導入。本社およびグループ30社へわずか9ヶ月で共通のデジタル帳票基盤を構築し導入を完遂させた。これにより経理データのみならず、業務で発生する契約書などの電子データも保管されバックオフィスの業務効率化にも貢献。本稼働後も安定稼働を続けている。

導入背景

当初は電帳法対応ソリューションを検討したが、選定においては幅広い業務における紙帳票の電子化・保管を実現できることを重視。煩雑な建設業界の紙帳票文化を削減し、“電子データを活用して新たな価値創造につなげる”デジタル帳票基盤の構築を目指した。

課題
  • 紙の帳票を扱うシーンが多い建設業界の業務で高まる電子化のニーズ
  • 経理に限らず様々な業務において、書類の保管と必要な時にすぐに取り出せる環境整備が求められていた
  • DX戦略「バックオフィスのデジタル化」において、ペーパーレスとデータ活用が重要テーマに
解決策導入ポイント
  • DX戦略の一環としてデジタル帳票基盤の構築に着手。SPAISを9ヶ月の短期間で本社、グループ30社へ導入
  • 本社・グループ30社で利用するため、グループ会社の共通基盤に適した拡張性も考慮
  • 多彩なWeb API、業務システムから文書のアーカイブや属性情報の更新、統合権限管理などデジタル帳票基盤に求められる豊富かつ柔軟な機能が決め手に
効果
  • アクセス権限や条件検索により利便性とセキュリティの両方を実現
  • グループ各社はシステムの運用・保守から解放。運用・保守を担うメディアテックも統合管理により負荷軽減
  • 本社・グループ会社の帳票データの保管が進んでいる。今後は蓄積されたデータの活用を推進していく

幅広い業務における紙帳票の電子化・保管を実現するデジタル帳票基盤を構築


 ソリューション選定に向けて重視したのは、電帳法対応のみならず、幅広い業務における紙帳票の電子化・保管を実現できることだ。大和ハウス工業 経営管理本部 経理部 基幹業務SSC センター長 土井 貴之氏は、その真意を次のように説明する。


 「建設業界は、現場はもとよりお客様、取引先、自治体との関わりの中で、業務において紙の帳票を扱うシーンがまだ多くあります。経理に限らず、様々な業務において書類の保管と必要な時にすぐに取り出して利用できる環境整備は重要な課題です。電帳法対応では、金額、日付、取引先を紐付けて、電子データを保管します。これを応用し、例えば工事番号などと電子化した書類を紐付けることで、保管と検索の両方を実現できます。目指したのは、デジタル帳票基盤です。ポイントは、電子データは活用しやすく、新たな価値創造につながるという点です。またペーパーレス化は、出社を前提としない多様な働き方実現に向けた施策のひとつとなります」 


大和ハウス工業株式会社 経営管理本部 経理部 基幹業務SSC センター長 土井 貴之 氏

 2022年度に、大和ハウスグループはパーパス「生きる歓びを、未来の景色に」を公表。実現に向けて、社会の急速な変化に応えるべくDXにも積極的に取り組んでいる。同社のDX戦略は、DX部門と事業本部が進める「サプライチェーンのデジタル化」と、情報システム部門と業務部門が推進する「バックオフィスのデジタル化」の2本柱だ。バックオフィスのデジタル化では、ペーパーレスとデータ活用が重要なテーマとなる。デジタル帳票基盤の構築はその一環として位置づけられている。2022年、同社はグループのITを担うメディアテックとともに、デジタル帳票基盤の製品選定に入った。 


デジタル帳票基盤とは、企業間で飛び交う帳票をデジタル帳票化し、保管、配信、受領、社内システムへの連携までを提供することで、個々の企業特性に合わせながら帳票業務の全体最適を実現するシステムのこと

汎用性、拡張性、料金体系、API連携など
総合的観点からウイングアークの「SPAIS」を採用


 当初は、電帳法対応製品を検討していたという。「しかし、これをきっかけに、業務で発生する帳票を一元管理できるデジタル帳票基盤を構築できるのではないかという考えに至りました。メディアテックに相談すると、帳票分野を牽引するウイングアークの統合基盤ソリューション『SPAIS(スパイス)』を紹介されました」(土井氏)。  


 メディアテック IT営業部 次長 仁井 亮太氏は当時を振り返り、こう話す。「大和ハウス工業は、BIなどウイングアーク製品を導入しています。これまでの実績に基づく信頼関係から、SPAISの情報提供も受けていました。電帳法のすべての要件に対応できるだけでなく、SPAISが提供するWeb APIを使用し、業務システムから文書のアーカイブや属性情報の更新も行えます。また、統合権限管理などデジタル帳票基盤に求められる機能を備えていました」 


株式会社メディアテック IT営業部 次長 ITストラテジスト 仁井 亮太 氏

 製品選定段階では導入方針に大きな変化があった。本社で経理業務のシェアードサービスを提供していたこともあり、電帳法対応の仕組みをグループ30社で利用することになったのだ。SPAISはグループ会社の共通基盤に適していると土井氏は説明する。


 「拡張性は必要条件の1つでした。SPAISは、サーバーの台数を増やすスケールアウトで容易に拡張できます。実際に導入後1年間で、グループ全体の経費精算や領収書などの電子データが600万件溜まりました。10年後には6,000万件です。しかも、電子データが原本となるため削除もできません。また、長期保存に関してコスト最適化を図る選択肢があることもポイントとなりました」(土井氏)


 2023年10月のインボイス対応までに導入を完了する必要があった。グループ各社において、基幹システムは共有利用だったが、会計ソフトは各社様々な製品を使用していた。グループ会社ごとに連携するためのシステムを構築していては間に合わない。「SPAISが提供する豊富なWeb APIを利用し、各社の会計システムと連携することで納期が厳守できると思いました」(仁井氏)。


 料金体系も導入決定を後押しした。同社は、クラウドではなくオンプレミスでデジタル帳票基盤を構築。経理に限らず多くのグループ会社の従業員が利用できるようにするため、ユーザー数が料金に反映されないことが求められた。 


大和ハウスグループによるデジタル帳票基盤のイメージ

本社、グループ30社へ9ヶ月間で導入
柔軟な権限設定、Web APIが短期間構築のポイント


 2023年1月、同社は総合的観点から電帳法対応を含むデジタル帳票基盤としてSPAISの採用を決定。9ヶ月の短期間で本社、グループ30社へ導入するプロジェクトがスタートした。帳票も30種類に及ぶ。各社への導入は、難易度に分けて3つのステップで進められた。導入プロセスで時間をかけたのが権限設定だ。


 「事務所、部署、出張所など複数階層ある組織の中で、どの階層にどこまで権限を与えるかを設定しました。会社によって組織体系や階層が異なるので、打ち合わせを密に行いました。ある部門にしか閲覧できない権限を設定しながら、管理部門からは一気通貫ですべて見ることができるといった柔軟性により、各社の要望に応えつつもスピード感をもってプロジェクトを進めることができたと思っています。また、難しい権限設定の際には、グループ会社に説明する場に、ウイングアークの担当者にも同席してもらいました」(仁井氏)


 SPAISのWeb APIの情報は、プロジェクトスタート前から事前に提供を受けて確認していたと仁井氏は付け加える。「Web APIが充実していたので、連携ツールの開発もスムーズでした。基幹システムとの連携も問題なかったです。当社は権限設定、連携ツール開発を行い、ウイングアークが基盤を構築するといった役割分担とともに、密にコミュニケーションをとることで、短期間で規模の大きなプロジェクトをやりとげることができました」 


利便性とセキュリティの両方を実現
ウイングアークの業務目線の提案に期待


 2023年10月、本社、グループ30社に対するSPAIS導入はスケジュール通りに完了。本稼働後、安定稼働を続けている。利用者の評価について仁井氏は話す。「紙保管と比べて書類が見つけやすくなったという声は多いですね。基幹システムの要件による検索や、必要な検索条件だけを表示できるパーソナル検索などが便利だという話も聞いています。また、原則として保管データを削除できないことに加え、アクセス権限や条件検索により利便性とセキュリティの両方を実現できたことに対する評価も高いです」


 土井氏は「SPAISは“こういうことがしたい”という機能が備わっています。ウイングアークがユーザーの声を常に開発にフィードバックしているのだと思います」と付け加える。


 グループ会社の観点では運用面の導入効果も大きい。各社は電帳法対応システムの運用・保守から解放された。また、運用・保守を担うメディアテックも統合管理により負荷軽減が図れた。さらにウイングアークの支援のもと、メディアテックは人事情報や権限、パスワードなどをすべて連携させ、変更が反映される仕組みを開発。人事異動の際には、ルールに沿って自動的に権限が変更される。


 ウイングアークの提案力について土井氏は評価する。「ウイングアークから、電子データをやりとりするための国際規格Peppol(ペポル)の提案がありました。事業者が行う取引全体のデジタル化により、大和ハウスグループ経理担当者の業務効率化につながると考えています。これからもウイングアークの業務目線の提案に期待しています」。


 導入後1年が経過し、本社はもとよりグループ会社の業務部門から、契約書などの電子データがデジタル帳票基盤に保管され始めている。今後は、蓄積されたデータの活用がテーマだ。土井氏が思い描くのは、ラベル付きの電子帳票がカテゴリごとに保管・活用されるデジタル帳票の図書館だ。これまで紙帳票のため活用できず眠っていた情報も多い。大和ハウスグループの誰もが必要なときに電子データを活用し、現在の課題を解決し未来を切り拓いていく。 


Company Profile

大和ハウス工業株式会社

設立:1947年3月4日
本社所在地:大阪府大阪市北区梅田3丁目3番5号
主な事業内容:住宅事業・賃貸住宅事業・流通店舗事業・建築事業・マンション事業・環境エネルギー事業・海外事業
URL:https://www.daiwahouse.co.jp/

(写真左)大和ハウス工業株式会社 経営管理本部 経理部 基幹業務SSC センター長 土井 貴之 氏
(写真右)株式会社メディアテック IT営業部 次長 ITストラテジスト 仁井 亮太 氏

導入製品

ウイングアークが提供している各サーバー製品(SVF、RDE、invoiceAgent、Dr.Sum)への処理や、各サーバー製品が持っているアクセス管理も統合管理できる製品です。SPAISを導入することで、今まで各サーバー製品を管理するために業務アプリ側で個別に構築していた仕組みを省略化できます。業務アプリは、SPAISが提供するWeb APIを利用して文書(PDFファイル)や、帳票データ(CSVファイル)を処理を実行します。

企業間で流通する帳票を集約・配信・最適化する電子帳票プラットフォーム

市場シェアNo.1の導入実績。SVFは抜群の安定稼働率を誇る帳票の総合運用ソフトウェアです。帳票開発、運用、印刷、PDF出力、セキュリティなど帳票に関する様々なソリューションを提供します。

 
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