導入事例

伊藤忠商事株式会社

“商いの次世代化への変革を目指し基幹システムを刷新
紙帳票と電子帳票の2つの基盤を統合し新たな業務要件に対応

大手総合商社の伊藤忠商事株式会社(以下、伊藤忠商事)は、前倒しで達成した中期経営計画Brand-new Deal 2020で掲げる“商いの次世代化”への変革を支える基幹システムの刷新プロジェクトを推進している。その一環として2019年から取り組んでいるのが帳票基盤の再構築だ。これまで別々の基盤に分かれていた紙帳票と電子帳票をウイングアークのSPAとRDE、そしてそれらをシームレスに統合するSPAISを導入することで、長期間の運用に耐えられるシンプルで拡張性を持った基盤を実現。ペーパレス化と業務効率化による働き方改革を目指している。

導入背景
これまで利用してきた紙帳票システムと電子帳票システムが老朽化し、新たに発生する業務要件への対応ができなくなっていた。例えば、請求書等の紙帳票の控えを電子データで保存したいと思っても電子帳票システム用に別途帳票を作る必要があり、柔軟なシステム対応ができずペーパレス化を推進するうえでの課題であった。また、紙帳票と電子帳票の基盤が2つに分かれているためシステム維持や保守のコストが両方かかり、課題であった。

課題
  • 紙帳票の印刷を担うシステムと電子帳票システムが共に老朽化
  • 紙帳票と電子帳票の基盤が別々に運用されており業務効率化を阻害
解決策導入ポイント
  • 紙帳票をRDE、電子帳票をSPAで刷新
  • RDE/SPAをシームレスに統合するSPAISを利用することでアドオン開発を最小限に抑えつつ紙帳票と電子帳票を統合
効果
  • SPAIS上での電子帳票を活用した紙削減(請求書控え・残高確認帳票控え・CSV出力)
  • 明細情報の出力を電子化したことで残高確認業務を大幅に効率化
  • センターにおける集中印刷を廃止し、ユーザー自身が印刷を行うオンデマンド印刷へ転換の布石

紙帳票と電子帳票の2つの基盤を統合し、すべての帳票システムをパッケージで完結。

現有資産を有効活用しながら、長期利用に対応できる基幹システムを目指す


 1858年に創業し、日本を代表する大手総合商社である伊藤忠商事は、世界63ヶ国に約120の拠点を展開。繊維、機械、金属、エネルギー、化学品、食料、住生活、情報、金融の各分野における輸出入や三国間取引、事業投資など、幅広いビジネスを展開している。そうした伊藤忠商事では、中期経営計画Brand-new Deal 2020、のもと“商いの次世代化”というビジョンを掲げ、技術革新、人々の価値観と生活環境の変化を捉えつつ新技術を大胆に取り込み、総合商社の新たな形へと進化・変貌を遂げようとしている。


 この変革を支えるべく2015年に始動したのが、次世代基幹システム構築プロジェクトである。伊藤忠商事 IT企画部 全社システム室長の浦上 善一郎氏は、「旧来のシステムを取り巻く『リアルタイムでの損益把握が困難(夜間一括更新)』『営業からの新要件実装が困難・費用増(ユーザー負担増)』『システム仕様を理解している人材の高齢化(保守の属人化・ブラックボックス化)』『製品保守期限(EOSL)の到来(継続性懸念/2025年問題)』といった課題を経営リスクと認識し、次世代に向けて刷新することを決定しました。現有資産を有効に活用することを前提としつつ、将来にわたり長期利用に対応していくため、SAP S/4 HANAをベースとしたシステムへと2020年度までに段階移行を実現しています。」と、その成果を示す。


 伊藤忠商事の商売の基本である「か(稼ぐ)・け(削る)・ふ(防ぐ)」の徹底、働き方改革のさらなる推進、連結経営のさらなる深化を見据えた機能の拡充を、この次世代基幹システムを通じて実現していくとする。


伊藤忠商事 IT企画部 全社システム室長 浦上 善一郎 氏

紙帳票と電子帳票の2つの基盤を統合したい


 次世代基幹システム構築プロジェクトは、フェーズ1の「基盤刷新プロジェクト」とフェーズ2の「業務要件プロジェクト」の大きく2つのプロジェクトから成り、伊藤忠商事と伊藤忠テクノソリューションズ株式会社(以下、CTC)のもと、さまざまなパートナーと協業したマルチベンダー体制で進められた。


 フェーズ1では2018年5月にシステムのSAP S/4 HANA化を完了し、全社統合データ基盤をリリースした。これらを活用する形でフェーズ2では2020年度末までに、経理・財務・与信など複数の業務領域について、個別システムの再構築または業務要件を取り込んだ大規模改修を進めている。


 これと並行し、次世代基幹システム構築プロジェクトの一環として2019年から進めているのが帳票基盤の再構築である。伊藤忠商事 IT企画部 全社システム室の由村 友宏氏は、「これまで利用してきた紙帳票および電子帳票のシステムが共に老朽化し、ユーザー要望の実現、ペーパレス化等の時代の要請についてキャッチアップすることが非常に困難になっていました。また、紙帳票と電子帳票で基盤が分かれていることにアーキテクチャー上、課題があり、例えば紙の請求書を控えとして電子データで出力/保存したいと思っても電子帳票用に別途帳票データを作る必要があるなど、システム対応を困難にしていました。そのため、請求書の控えが必要なユーザーは、自分で印刷またはスキャンしていたようです。このような非効率な業務を改善すべく、電子帳票と紙帳票を最新ソリューションで統合したいと考えました」と語る。


伊藤忠商事 IT企画部 全社システム室 由村 友宏 氏

すべての帳票システムをパッケージで完結


 こうして伊藤忠商事とCTCは複数のベンダーにRFP(提案依頼書)を提示。各社から寄せられた提案内容を比較検討した結果、ウイングアークの文書データ活用ソリューション「SPA」と印刷管理ソリューション「RDE」、さらにこの2つの製品を統合管理する「SPA Integration Service(SPAIS)」の導入を決定した。


 選定にあたって重視したのは、旧来の基幹システムでも大きな経営リスクとなっていた「保守の属人化・ブラックボックス化」の回避である。CTC 流通第1本部 商社システム開発第3部部付の長沼 勇一氏は、「電子帳票と紙帳票のそれぞれの領域では競合する製品もありますが、SPAISに相当するソリューションが他社には存在しませんでした。別途SIサービスで対応すると提案してきたベンダーもありますが、それでは大量のアドオン開発が発生してしまい属人化を払拭できません。これに対してSPAISはインテグレーションサービスでありながら製品として提供されており、すべての帳票システムをパッケージで完結することができます。シンプルでなおかつ長期間の運用に耐えられる拡張性をもった帳票基盤を目指した、我々の要求に応えてくれたのがウイングアークでした」と語る。


 具体的なポイントとして挙げるのは、
「帳票に関するすべてのソリューションをSPAISで統合できる」
「SVF/SPA/RDEなどの各製品レベルでも圧倒的な実績がある」
「現在のSPAISに不足している機能についても、他社も利用可能な汎用的なものなら個別のカスタマイズではなく機能強化として製品に反映される」
という3点だ。


 「一言で帳票といっても、データの仕分けやソート、電子帳票閲覧や集中印刷など、個々の業務要件を満たすために必要となる機能は多岐にわたります。そのすべての機能について実績のあるソフトウェア群をシンプルに不足なく統合できるという確信を得て、SPAISを軸にSPAとRDEを選定しました」(由村氏)


 なお、伊藤忠商事が新しい帳票基盤の名称を「SPAIS」と名付けたことからも、SPAISに対する思い入れの深さを感じることができる。


 「帳票基盤構築プロジェクトへの関心を高めて認知度を向上するため、関係部署に対して新システムの名称・意味を公募しました。その結果、決選投票で選ばれたのがSPAISでした。意味としては“Supreme reporting Platform for All ITOCHU Systems”です。伊藤忠の各システムにとって最高の帳票プラットフォームでありたいという思いを込めています」(由村氏)


伊藤忠テクノソリューションズ 流通第1本部 商社システム開発第3部部付 長沼 勇一 氏

債権債務の明細情報をPDFやCSVで出力


 第1期の構築を終えた新帳票基盤が、実際にどのように運用されているのかをみていこう。


 まず電子帳票を担っているSPAは、経理部署や営業部署を含めすでに約2,300人のユーザーに利用されている。CTC 流通第1本部 商社システム開発第1部 基盤システム技術第3課の金岡 将史氏は、「主な用途は、請求書PDFや為替予約帳票、残高確認帳票の閲覧です。2020年度中に、会計帳票等100種類以上の帳票がSPAISに移行する予定で、ユーザー数と利用頻度はさらに拡大します。」と語る。


 実は旧来の帳票基盤では請求書などの帳票は紙でしか出力できなかった。また直接、センター印刷から営業課に配送されているため、管理部署が閲覧することはできず、具体的にどんな帳票が、何枚出力されているかも知る術はなかった。ペーパーレス化を進めるためには、帳票毎・営業課毎・送付先毎の印刷枚数を定量的に把握する必要があるが、その課題がSPAで解決されたのである。


 「他社の電子帳票のビュアーと比べ、SPAのユーザーインターフェースはモダンに洗練されており、検索機能も使いやすいとユーザーからも高い評価を得ています。」(金岡氏)


 「新帳票基盤では上位システムから送られてくる請求書データをもとに、紙の請求書と共にその控えもPDFで出力されます。これまでは紙の請求書をわざわざスキャンしてお客様に事前送付していたケースもありましたが、現在はそのような非効率な手間をかける必要はなくなりました」(長沼氏)


 加えて残高確認用の帳票をPDFやCSVで出力できるようになったのも大きなポイントだ。「特に海外現地法人向けの残高確認に関して、段ボール箱数箱分の膨大な量の紙を印刷していました。SPAISの活用法をユーザーと考え、残高確認に係る帳票は電子化(PDF、CSV)しました。これにより残高確認業務を大幅に効率化できました。印刷する紙の枚数も年間約20万枚から13万枚程度に削減できると見込んでいます」(由村氏)


伊藤忠テクノソリューションズ 流通第1本部 商社システム開発第1部 基盤システム技術第3課 金岡 将史 氏

最大のポイントは、印刷業務そのものの変革


 一方で紙帳票の運用を担っているRDEはどうだろうか。最大のポイントは印刷業務そのものの変革にあり、「ペーパーレス化、電子化の流れがあり、印刷に必要な帳票の枚数は確実に減少してきている。センター印刷を廃止し、各部門でユーザー自身が欲しいタイミングで印刷行うオンデマンド印刷への転換を目指していく。」と由村氏は語る。


 印刷枚数が減っているとはいえ、現在、伊藤忠商事では請求書や残高確認帳票、基幹システムや部門システムと連携した帳票など、主に外部送付を目的とした帳票を年間約150万枚印刷している。これを全面的にオンデマンド印刷に移行するとなれば通常では大きな混乱が予想される。そこで、SPAISのPDF機能/レビュー機能を活用した一層の紙削減や、オンデマンド印刷に適したUIの実装等を目指していく。


 さらにRDEは、用紙管理に費やしてきた工数も大きく削減した。「これまで請求書については請求印を赤色で印刷したプレプリント用紙を使用しており、盗難・紛失を防止するため用紙管理が必要でした。支社・支店の管理室では、請求書を発行するたびに専用用紙を施錠付きのキャビネットから取り出してプリンターにセットし、使用枚数をカウントして印刷。使用後は余った用紙をふたたびキャビネットに片付けて施錠するなど、煩雑な手間がかかっていたのです。RDEの導入を機にこの運用を見直し、普通用紙にモノクロで請求印を印刷する方式としました。用紙管理が不要になったことで効率的かつ柔軟な印刷運用が可能となりました。」(由村氏)


 このように新帳票基盤は業務での活用を広げつつ、現在も進化を続けている。「伊藤忠商事にとってさらなるペーパーレス化は必須であり、この取り組みは働き方変革を意識した現場視点の最適システムの実現にもつながっていくと考えています。SPAとRDE、それらをシームレスに統合するSPAISを導入することで新たな業務要件が出てきた場合でも対応できるよう将来の布石を打てたことは、非常に大きな意義があります」と浦上氏は語り、今後も伊藤忠商事とCTC、ウイングアークで強力なスクラムを組み、システムと業務の両面から新帳票基盤の構築プロジェクトを推進していく意向を示している。


伊藤忠商事の帳票基盤「SPAIS」ロゴ

Company Profile

伊藤忠商事株式会社

創業:1858年
所在地:東京都港区
事業内容:繊維、機械、金属、エネルギー、化学品、食料、住生活、情報、金融の各分野において国内、輸出入および三国間取引を行うほか、国内外における事業投資など幅広いビジネスを展開
URL :https://www.itochu.co.jp/

伊藤忠テクノソリューションズ株式会社
創立:1972年4月1日
所在地:東京都千代田区
事業内容:コンピュータ・ネットワークシステムの販売・保守、ソフトウェア受託開発、情報処理サービス、科学・工学系情報サービス、サポート、その他
URL :https://www.ctc-g.co.jp/

(左より)
伊藤忠商事株式会社
IT企画部 全社システム室長
浦上 善一郎 氏

伊藤忠商事株式会社
IT企画部 全社システム室
由村 友宏 氏

伊藤忠テクノソリューションズ株式会社
流通第1本部
商社システム開発第3部 部付
長沼 勇一 氏

伊藤忠テクノソリューションズ株式会社
流通第1本部
商社システム開発第1部 基盤システム技術第3課
金岡 将史 氏

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