作業手順書とは？
作業手順書とは、業務上必要な作業の手順が記された書類のことで、マニュアルやSOP（Standard Operating Procedures）と呼ばれることもあります。
製造業や建設業をはじめ、作業手順書はさまざまな業種・業界で活用されており、適切に策定・運用することで現場の業務をスムーズに進行することが可能になります。
たとえば、作業手順書を確認することで、作業者は適切な方法で安全に作業に取り組むことができます。また、作業者が代わったとしても、作業手順書に従って作業することで業務の品質を保つことが可能で、引き継ぎの円滑化にも効果的だと言えるでしょう。
ちなみに、作業手順書とよく似た文書として、作業指示書を挙げることができます。
どちらも作業に必要な情報をまとめた書類ですが、作業手順書は「どのように作業を進めるのか」にフォーカスを当てているのに対し、作業指示書は「いつ・どこで・何を・どれだけ行うのか」という情報伝達の役割が強いと言えます。
作業手順書を作成・運用するメリット
次に、作業手順書を作成・運用することのメリットについて詳しく見ていきましょう。
業務品質の安定
作業手順書を作成・運用することで、業務品質の安定につながります。
作業手順書などで業務の方法・流れが明確化されていない場合、いわゆる「属人化」に陥りやすく、担当者によって作業の進め方が変わってしまいます。そうすると、担当者によって成果物・納品物や業務自体のクオリティにバラつきが生じてしまう可能性が高まります。
一方、作業手順書を策定・運用することで「標準化」が進み、業務品質を一定水準に安定させることができるでしょう。
作業の効率化
作業手順書の作成・運用は、業務品質が安定するだけでなく、作業の効率化にも効果的です。
作業手順書があることで、経験やノウハウの有無に関わらず作業者は作業を進めることができ、判断ミスなどによる不要な手戻り・タイムロスを防ぐことができます。
また、作業手順書があることで、業務プロセスの課題やボトルネック工程を客観的に評価することができ、継続的に業務改善していくことが可能になります。
引き継ぎの円滑化
作業手順書があることで、引き継ぎの円滑化にも効果が期待できます。
人事異動や組織改編、新たなメンバーの参加など、業務の引き継ぎが発生する場面は多々あります。作業手順書のような明文化された資料がない場合、対面での引き継ぎが前提となるだけでなく、必要な情報に抜け漏れが生じてしまう可能性も高まります。
必要な情報がまとまった作業手順書があれば、1から引き継ぎ資料を作成する手間が軽減され、必要な情報を過不足なくスムーズに引き継ぐことができるでしょう。また、社内での引き継ぎのみならず、作業をアウトソーシングする際にも作業手順書を役立てることが可能です。
作業手順書の作成方法
次に、作業手順書を作成する流れを説明します。
- 対象作業の選定と情報の洗い出し
- 記載項目・構成の整理
- 作業手順の詳細を記入
- 関係者への共有とフィードバック
各ステップについて、詳しく確認していきましょう。
対象作業の選定と情報の洗い出し
まず、手順書を作成する対象作業を選定します。基本的には、実施する頻度が高く繰り返し行われる作業を対象に手順書を作成するのが効果的です。
対象作業が決まったら、作業に関する情報を洗い出します。情報の洗い出しを担当するのは、実際に作業を担当するメンバーや、現場作業をよく理解している監督者などが理想です。どのような工程が存在するのか、誰がどのように関わるのか、使用する設備やツールはあるのか、作業上の注意点など、対象作業の一連の流れを見直して情報を洗い出しましょう。
記載項目・構成の整理
情報の洗い出しが完了したら、作業手順書に記載する項目や構成を整理します。
洗い出した情報を基に、どの情報を記載するのか、そしてどれくらいの粒度で情報を記載するべきかを検討しましょう。
記載項目が細かくなるほど全体像が見えづらくなってしまう反面、大まかになりすぎると作業者の判断に依存する割合が大きくなってしまいます。
大項目・中項目・小項目といった具合に階層を分けて項目を整理することで、作業の全体像が伝わりやすく、なおかつ具体性のある手順書に仕上げることが可能です。
作業手順の詳細を記入
記載項目と構成が決まったら、作業手順の詳細を記入していきます。
最初のステップで洗い出した情報を基に作業手順を記入し、不足する情報があれば担当者にヒアリングしつつ、できるだけ詳細かつ具体的に手順を記載していきましょう。
また、知識や経験を問わず、誰でも作業手順を理解できるような内容にすることも大切です。難しい表現や専門用語の仕様はできるだけ避け、はじめて作業を担当する人にも伝わるような手順書を目指しましょう。
関係者への共有とフィードバック
作業手順書が完成したら、関係者に共有してフィードバックをもらいましょう。
実際に作業を担当しているメンバーによるチェックはもちろんですが、他部署などのメンバーにもチェックを依頼し、作業内容を理解できるかどうか意見をもらいましょう。
関係者からのフィードバックが集まったら、必要に応じて手順書を修正・更新します。また、作業手順書を作成したタイミングだけでなく、運用を開始した後も定期的に見直し・改修を行うことが大切です。
作業手順書の管理を効率化するソリューションは？
ここまでは、作業手順書の意味や役割、作成のポイントについて解説してきました。
次は、作業手順書の管理を効率化するソリューションとして、ウイングアークが提供するデジタル帳票基盤をご紹介します。
ウイングアークのデジタル帳票基盤は、「SVF Cloud」と「invoiceAgent」シリーズからなるソリューション群で、デジタル帳票の設計・出力から紙帳票のデータ化、法令に基づく一元管理や企業間での配信・受領まで一気通貫で実現します。
ここでは、デジタル帳票基盤を構成するソリューションのなかから、「SVF Cloud」と「invoiceAgent AI OCR」、「invoiceAgent 文書管理」の特徴をご紹介します。
デジタル帳票の設計・出力は「SVF Cloud」
「SVF Cloud（エスブイエフ クラウド）」は、作業手順書を含むあらゆる帳票の設計・出力を実現するソリューションです。
ノーコードで利用できる帳票設計ツールを搭載しており、既存の作業手順書を再現したり、新たな作業手順書を設計したりするのも簡単に行えます。また、各種システム・アプリケーションとのデータ連携・マッピングにより、効率的かつ正確な帳票作成が可能です。
さらに、作成した帳票はさまざまな形態で出力することができます。社内プリンターでの印刷はもちろん、PDFやExcelなどの電子ファイルとしての出力や、FAXやメールによる配信にも対応しているので、自社の業務プロセスに合わせて選択することが可能です。
紙帳票のデータ化なら「invoiceAgent AI OCR」
「invoiceAgent AI OCR（インボイスエージェント エーアイ オーシーアール）」は、紙で保存している作業手順書など、紙帳票のデータ化を実現するソリューションです。
高精度な4つのOCR／AI OCRエンジンを搭載しているので、読み取り帳票の種類や様式に合わせて最適なOCR／AI OCRエンジンによる処理を実行することが可能。また、1つの読み取り帳票に対して複数のOCR／AI OCRエンジンによる処理を実施し、結果を比較することもできます。
さらに、読み取り帳票の歪みや傾きを自動補正する機能も備えているので、認識率の低下を防ぎつつ効率的に紙帳票のデータ化を推進することができるでしょう。
帳票の一元管理なら「invoiceAgent 文書管理」
「invoiceAgent 文書管理（インボイスエージェント 文書管理）」は、作業手順書をふくむあらゆる帳票の一元管理を実現するソリューションです。
「SVF Cloud」や「invoiceAgent」で出力・データ化した帳票はもちろん、他システムで出力した帳票もまとめて取り込み、自動で仕分け・保存を実行。
保存したデータはさまざまな条件で検索することができ、必要に応じて速やかに参照することが可能です。
また、保存期間に応じた自動削除機能や、改ざんなどの不正防止・検知に役立つ証跡管理機能も搭載しているので、安全かつ効率的に文書を一元管理することができるでしょう。
製造業におけるウイングアーク製品の活用事例
記事内でもご説明した通り、作業手順書を利用する機会が多い業界として製造業を挙げることができます。
次は、製造業におけるデジタル帳票基盤の活用事例をご紹介します。
図面・マニュアル類の管理をデジタル化（京都電子工業）
分析計測機器の専門メーカーとして知られる京都電子工業株式会社は、「invoiceAgent 文書管理」を導入し、図面やマニュアル類の管理をデジタル化することに成功しました。
同社では従来、自社製品の設計・製造に利用する図面やマニュアルをスタンドアローン型の文書管理システムで保存していたほか、印刷・ファイリングして物理的にも保存していました。しかし、このような管理方法は印刷や持参の手間が多く、コロナ禍においては場所を選ばず働ける環境整備の妨げに。そうしたなか、全社的なDX推進の機運が高まったこともあり、同社は文書管理システムのクラウド化に着手することとなりました。
外部システムとの連携性などを重視して製品選定を行った結果、ウイングアークの「invoiceAgent 文書管理」の採用を決定。長年利用してきた製造系ERP「BIZXIM製番」とのシームレスな連携が可能な点もポイントとなりました。
導入後、図面やマニュアル類の管理をデジタル化できる環境が実現。現在、同社では技術開発本部や生産部門、購買部門、修理部門などで「invoiceAgent 文書管理」が利用されており、将来的には営業部門への展開も視野に入れています。
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京都電子工業株式会社のinvoiceAgent導入事例をもっと見る
全社的な文書アーカイブ基盤を構築（三菱マテリアルグループ）
非鉄金属メーカーの三菱マテリアルグループは、「SVF」と「invoiceAgent」の組み合わせにより、帳票作成から仕分け、保管、検索までの一元管理が可能な体制を整えました。
全社DXを推進する同社では、基幹業務変革の柱としてERP導入を掲げ、それと並行する形で周辺システムのモダナイゼーションにも着手。
製品選定の結果、既存システムとの連携性や導入実績、改正電帳法に対応している点などを評価し、「invoiceAgent」の導入を決定。とくに、同社では以前より「SVF」を導入・活用して製造指示書などの帳票をデジタル化していたこともあり、「SVF」とシームレスに連携可能な点は大きなポイントとなりました。
「SVF」と「invoiceAgent」の組み合わせにより、帳票作成から仕分け、保管、検索までの一元管理が可能になり、業務効率化を実現。すでにグローバルを含むグループ全体の標準帳票ツールとして定着している「SVF」のみならず、今後は「invoiceAgent」に関してもグループ全体を通じた導入が見込まれています。
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三菱マテリアル株式会社／三菱マテリアルＩＴソリューションズ株式会社のSVF・invoiceAgent導入事例をもっと見る
まとめ
今回は、作業手順書の意味や作成方法、運用を効率化するソリューションをご紹介しました。
作業手順書を適切に作成・運用することで、業務品質の安定化や作業効率化、引き継ぎの円滑化といったメリットが期待できます。そして、作業手順書の作成・運用を効率化するソリューションのひとつが、ウイングアークが提供する「SVF Cloud」や「invoiceAgent」です。作業手順書をはじめとした現場帳票の作成・運用を効率化したいと考えている方は、お気軽にウイングアークへとご相談ください。
