請求書の電子化とは?
請求書の電子化とは、請求書発行システムなどを用いて請求書を発行し、PDFなどの電子データとして取引先に送付することを指します。
電子化した請求書を指して、「電子請求書」や「Web請求書」、「電子インボイス」と呼ぶこともあります。
近年では請求書を電子化するクラウドサービスが数多く登場しており、請求書データをメールに添付して送付するタイプや、専用Webページからダウンロードしてもらうタイプなどがあります。
電子化した請求書は法的に有効?
請求書の電子化を検討しているものの、法的有効性について疑問をお持ちの方もいらっしゃるかもしれません。
結論から述べると、「e-文書法」や「電子帳簿保存法」で定められている要件を満たすことで、請求書を電子データとして送付・保存することが認められています。
次は、請求書の電子化に関連する法律について簡単に確認していきましょう。
e-文書法とは?
「e-文書法」とは、これまで紙媒体での保存が義務付けられていた文書・書類について、電子化したファイル(電磁的記録)で保存することを認める法律です。
会社法や商法、税法、証券取引法など、法令で保管が義務付けられている文書が対象であり、後述する電子帳簿保存法よりも対象文書が広範囲にわたります。
また、それぞれの文書の保管方法について規定する法律は、国土交通省や財務省、国税庁など複数の省庁が管轄しています。
電子帳簿保存法とは?
「電子帳簿保存法」は国税庁が管轄する法律であり、国税関係帳簿書類を電子化して保存することを認める法律です。
電子帳簿保存法の要件を満たすことで、
- 取引関係書類(請求書や納品書など)
- 決算関係書類(損益計算書や貸借対照表など)
- 国税関係帳簿(仕訳帳や総勘定元帳など)
- 電子取引の取引情報(領収書、請求書など)
などを電子データとして保存することが可能になります。
請求書を電子データとして保存する要件
請求書は国税関係書類(取引関係書類)や電子取引の取引情報に分類されるため、電子帳簿保存法の要件に対応することで電子保存することが可能になります。
【電子帳簿保存法に対応する保存要件】
- 真実性の確保(タイムスタンプの付与など)
- 可視性の確保(検索機能の確保など)
など
2021年改正(2022年1月開始)の電子帳簿保存法については、以下の記事で詳しく解説しています。
電子取引データの紙保存が原則不可に
電子帳簿保存法の2021年改正(2022年1月開始)により、電子取引データを印刷して紙で保存する「紙の保存に代える措置」が原則廃止となりました。
2023年12月31日までは宥恕措置、2024年1月からは猶予措置が設けられているものの、電子取引で授受した電子請求書はデータのまま保存することが基本となります。
そのため、電子データとして授受した請求書を印刷して保存している場合は、電子帳簿保存法に対応する運用体制を整えることをおすすめします。
2023年から開始されたインボイス制度とは?
請求書に関係する法律として、インボイス制度も挙げることができます。
インボイス制度とは、2023年10月から開始された消費税の仕入税額控除の方式で、正式名称を「適格請求書等保存方式」と言います。
インボイス制度開始後、請求書の受領側(買手)が仕入額控除を受けるためには、従来の「区分記載請求書」の記載事項に以下の項目を加えた「適格請求書」を保存する必要があります。
【インボイス制度で追加される記載事項】
- 登録番号
- 適用税率
- 税率ごとに区分した消費税額等
この適格請求書は、書面での交付に代えて、電子帳簿保存法に準じた電子データでの提供が認められています。
請求業務の効率化が急務に
インボイス制度の開始後、請求書に関わる業務は今まで以上に煩雑化すると考えられています。
たとえば従来の作業に加えて、登録番号の確認や照合作業、適格請求書とそれ以外の請求書の仕分け作業などが必要になります。
そして、インボイス制度開始後の請求業務の負担を軽減する手段として注目を集めているのが、デジタルインボイス(標準化・構造化された電子データの適格請求書)です。
デジタルインボイスに切り替えて作業の効率化・自動化を図ることで、インボイス制度開始後も円滑に業務を行うための基盤を整えることができます。
デジタルインボイスの普及は官民一体の重要課題
デジタルインボイスの普及・促進は、企業単位での取り組みではなく、国家全体の取り組みとなっています。
「社会的システム・デジタル化研究会」は、2020年に発表した「社会的システムのデジタル化による再構築に向けた提言」のなかで、インボイス制度の開始にあたり当初からデジタルインボイスを前提とした業務プロセスを構築すべきという考えを提示しています。
そして、デジタルインボイスの普及・促進に取り組む「デジタルインボイス推進協議会(EIPA)」は、日本におけるデジタルインボイスの標準仕様をPeppolに準拠することを発表し、日本版Peppolとも言える「JP PINT」を策定しました。さらに、デジタル庁は「デジタルインボイスの標準仕様の普及」を政策のひとつに掲げ、「JP PINT」の普及・定着を官民一体の重要プロジェクトとして位置づけています。
3社に1社がPeppolを用いた商取引に対応予定
次は、ウイングアーク1stが2023年12月に実施した調査を基に、国内企業におけるインボイス制度開始に向けた動向を見ていきましょう。
「インボイス制度への対応状況を教えてください」という質問に対し、82.2%が「すでに対応済み」と回答。
「対応に向けて、すでに具体的に動いている」と回答した11.2%と合わせると、9割強の企業がインボイス制度に対応済み、もしくは対応に向けた具体的な動きを見せていることが示されています。
また、「Peppoを用いた商取引に対応する予定ですか」という質問に対しては、18.0%が「すでに対応済み」、16.6%が「対応する予定である」と回答し、約3社に1社がPeppolに対応済み、もしくは対応を予定していることも報告されています。
- 調査名:インボイス制度に向けた企業間取引の電子化に関する(インボイス制度に対する)対策調査
- 調査対象:100億円以上の売上の企業に所属する請求書関連業務に携わる会社員
- 有効回答数:518名
※構成比は小数点以下第2位を四捨五入しているため、合計しても必ずしも100とはなりません。 - 調査期間:2023年12月1日〜同年12月6日
▼調査の詳細はこちら
大企業を中心としたインボイス制度対策状況を調査 | ウイングアーク1stコーポレートサイト
電子請求書のファイル形式や押印の要否
次は、請求書を電子化する場合のファイル形式や押印の必要性について確認していきましょう。
電子請求書のファイル形式は?
電子請求書のファイル形式はPDFが一般的です。
Excel(エクセル)やWord(ワード)などで作成した請求書をそのままのファイル形式で授受してしまうと、内容を容易に書き換えることができてしまいます。
PDFファイルであれば、ExcelやWordなどのファイル形式よりも情報の書き換えが困難なため、電子請求書に適したファイル形式とされているのです。
以下の記事では、請求書をPDF化する方法を解説しているのであわせてご確認ください。
電子請求書に押印は必要?
次は、電子請求書への押印の要否や方法について見ていきましょう。
電子請求書への押印は不要
そもそも請求書への押印は、法的に義務付けられているものではありません。
つまり、書面・電子データを問わず、印鑑を押さなくても請求書としての効力が損なわれることはないのです。
ただし、押印することによって文書の信頼性向上や改ざんなどの不正防止に一定の効果が期待できることから、請求書への押印を社内ルールとしている企業も多く存在します。
電子請求書に押印する方法は?
電子請求書に押印する場合、印鑑の代わりに電子印鑑を利用するのが一般的です。
電子印鑑とは、データ化した印鑑のことで、PDFなどの請求書データに印影を残すことができます。
電子印鑑には、印影をスキャンするなどして画像データ化したタイプのほか、画像データに識別情報が付与されたタイプがあります。
電子請求書を送付する方法
電子化した請求書は、主に2通りの方法で取引先へと送付することができます。
- メールに添付して送付する
- 電子請求書システムで配信する
それぞれの方法について、詳しく確認していきましょう。
メールに添付して送付
電子化した請求書を送付する方法のひとつが、メールに添付して送信する方法です。
Excel(エクセル)などで作成した請求書データをPDF形式で出力し、メールに添付して送信するだけです。
専用のシステムを導入する必要がなく、手軽に電子請求書を送付することができます。
ただし、電子帳簿保存法の電子取引要件に対応する体制を整備する必要があります。
たとえば、システムを導入せずに「真実性の担保」を満たすには、「訂正削除の防止に関する事務処理規程」を策定し、それに基づいた運用を徹底する必要があります。
また、「可視性の確保」を満たすために、請求書データに規則性のあるファイル名を付け、索引簿を別途用意するなど、速やかに請求書データを検索・参照できるような仕組みを整える必要があります。
このように、メールに添付する方法は手軽に電子請求書を送信できるものの、電子帳簿保存法の要件を満たす体制整備や運用の負担は大きいと言えるでしょう。
電子請求書システムで配信
もうひとつの方法が、電子請求書システム(電子取引システム)で請求書を送信する方法です。
先述した通り、システムを利用せずに請求書データをメールに添付して送信する方法は、電子帳簿保存法への対応ハードルが高いと言えます。
一方、電子請求書システムのなかには、電子帳簿保存法の法的要件を満たすソフトウェアの証である「JIIMA認証」を取得している製品があります。
JIIMA認証を取得している電子請求書システムであれば、複数項目の組み合わせに対応する検索機能や、タイムスタンプ機能、証跡管理機能などが備わっているため、電子帳簿保存法に対応する運用が可能です。
請求書の電子化による業務効率化を図りつつ、スムーズに電子帳簿保存法へと対応したい場合には、電子請求書システムの導入が有力な選択肢となるでしょう。
請求書を電子化するメリット
次は、請求書を発行する側と受領する側の立場から、請求書を電子化することのメリットをご紹介します。
請求書を発行(送付)する側のメリット
まずは、請求書を発行する企業のメリットを見てみましょう。
請求書を発行する側の主なメリットは以下の通りです。
- 請求書関連の業務効率化
- 在宅勤務などのテレワーク促進
- ペーパーレスによる印刷費・郵送費削減
- 帳票の受け取りもWebで完結
請求書関連の業務効率化
請求書を電子化することで、紙で行われていた請求書関連の業務を効率化することができます。
従来の請求書作成で行われていた定型作業を自動化することができ、請求書を再発行する場合や修正が必要になった場合にも、システム上で対応可能です。
また、過去に発行した電子請求書はデータとして保存されるため、必要に応じて速やかに検索・確認することができます。
在宅勤務などのテレワーク促進
請求書の電子化は、在宅勤務などのテレワーク促進にも有効です。
請求書関連の業務が紙で行われている場合、請求書の印刷や捺印のために出社しなければならず、テレワーク導入の妨げとなってしまうケースが少なくありません。
一方、請求書を電子化することで、オフィスなど場所を制限されることなく請求書発行・送付が可能になり、テレワーク中でも業務の停滞を防ぐことができます。
ペーパーレスによる印刷費・郵送費の削減
請求書の電子化により、ペーパーレスが促進されます。
従来の請求書発行業務では、Excelなどのソフトで作成した請求書を紙で出力し、捺印して取引先に郵送する必要があります。
請求書を電子化することで、紙代やインク代、設備代、郵送代などが不要になり、コスト削減につながります。
帳票の受け取りもWebで完結
導入するシステムによっては、Web上で請求書を発行できるだけでなく、取引先からの帳票もWebで受け取ることが可能になります。
請求書をはじめとした自社発行済みの帳票とあわせ、電子帳簿保存法への対応を進めることができます。
請求書を受領する側のメリット
請求書の電子化は、発行する側の企業だけでなく、受け取る側の企業にとってもメリットがあります。
電子請求書を受領する側の主なメリットは以下の通りです。
- 発行したその日に受領可能
- 返送の手間とコスト削減
- データ照合や基幹システムへ入力する工数が削減
発行したその日に受領可能
従来の紙ベースの請求書は、発行・郵送から到着までにタイムラグが発生してしまいます。また、届いた請求書は、オフィスに出社して確認しなければなりません。さらに、届いた請求書に誤りがあった場合には、再発行・再送を待つ必要があります。
電子請求書であれば、発行したその日に受領することができ、もしも記載事項に誤りがあった場合でも速やかに修正版を発行してもらうことができます。
返送の手間とコスト削減
取引先や取引内容によっては、請求書の発行前後に受領書や領収書を返送してもらうケースがあります。
受領書や領収書などの帳票も専用Webページにアップロードすることができるので、紙の文書を返送してもらう手間やコストを削減することができます。
データ照合や基幹システムへ入力する工数が削減
紙の請求書を受領した企業は、記載内容を目視で確認した上で基幹システム等に情報を入力する手間が発生します。
一方、電子請求書システムによっては、CSVデータ形式などで出力することができるものもあります。その場合、従来の目視による確認と手作業による入力工数を削減することが可能です。
また、過去に受領した請求書データの検索も容易なので、発注データとの照合も容易に行うことができます。
請求書を電子化するデメリット
発行側・受領側の双方にメリットがある請求書の電子化ですが、以下のようなデメリットも存在します。
- 導入・運用コストがかかる
- 紙の請求書を希望する取引先もある
導入・運用コストがかかる
請求書発行システムを導入して請求書を電子化する場合、導入時の初期費用のほか、月額で運用費用が発生します。
とは言え、ペーパーレスによるコスト削減、および紙の請求書発行にかかっていた人件費を節約できることを考慮すると、トータルではコスト削減につながるケースがほとんどです。
紙の請求書を希望する取引先もある
普及しつつある電子請求書ですが、取引先が受け入れに難色を示す可能性も考えられます。
そのため、電子請求書を受領する側にもメリットがあることを事前に理解してもらうことが大切です。
もちろん、取引先によっては電子請求書への対応が困難な場合もあるでしょう。そのような場合、無理強いするのではなく、引き続き紙の請求書を発行するなど、柔軟な対応が必要だと言えます。
請求書の電子化を進める際のポイント
請求書の電子化をスムーズに進めるためには、いくつかのポイントを押さえておく必要があります。
次は、請求書の電子化を進める際のポイントと、システム選びの際に注目すべきポイントを見ていきましょう。
事前に取引先へ周知する
請求書の電子化をスムーズに進めるためには、事前に取引先へ周知しておく必要があります。
事前に案内しておくことで、取引先が電子請求書に対応できるかどうかを把握でき、導入後の混乱を防ぐことができます。
案内の際は、請求書の電子化による取引先側のメリットもあわせて周知することで、受け入れてもらいやすくなります。
郵送での運用が残る場合に備える
上述の通り、請求書発行システムで電子化したとしても、一部の取引先が紙でのやり取りを希望するケースも考えられます。
そのような場合、電子請求書でやり取りする取引先と、従来通り紙の請求書でやり取りする取引先の両方に対応する必要があります。
このようなケースに対応するためにも、取引先によってWeb配信(メール配信)と郵送を仕分けできるようなシステムを選択するとよいでしょう。
電子帳簿保存法への対応
すでにお伝えしている通り、請求書を電子化する場合は電子帳簿保存法への対応が必須です。
専用のシステムを導入せずに請求書を電子化するのであれば、電子化に先駆けて運用に関する規程や体制を準備しましょう。
電子請求書システムを導入する場合は、先述した「JIIMA認証」の有無を確認することが重要です。
国税庁のWebページにもJIIMA認証を取得している製品一覧が掲載されているので、確認してみましょう。
現状の業務フローに対応できるかチェック
電子請求書システムを導入する際、請求書発行における現状の業務フローに対応できるか確認しておく必要があります。
たとえば、請求書を取引先に送付する前に、社内で担当者による内容確認および役職者による承認フローが存在するケースは少なくありません。
電子請求書システムが現状の業務フローに対応できない場合、運用における負担やミスが増加してしまう恐れがあります。
インボイス制度への対応も進める
請求書を電子化するのであれば、あわせてインボイス制度への対応も進めることをおすすめします。
先述したように、インボイス制度の開始後は今まで以上に請求業務が煩雑化すると考えられています。
煩雑化する請求業務の負担を軽減するためにも、インボイス制度を見据えた請求書の電子化を行うことが大切だと言えます。
具体的には、デジタルインボイスの標準仕様である「Peppol」経由のデータ送受信に対応可能なシステムがおすすめです。
ツールの散在には注意が必要
請求書の電子化にあたり、請求書データの送受信と保管・管理に別々のツールを用いることで業務効率が低下してしまうケースがあります。
ウイングアーク1stが行った調査によると、請求書などの電子帳票の保管・管理と受け取りで別々のツールを利用している人のうち90.8%が「業務効率が悪い」と実感しており、76.6%が情報漏洩リスクの高まりを懸念していることが明らかになりました。
この調査結果を踏まえると、請求書の電子化で業務効率化を図る上では、請求書データの保管・管理と送受信を同一のプラットフォームで行えるかどうかが重要なポイントとなるでしょう。
<調査概要>
- 調査名:企業間取引の電子化に関する実態調査
- 調査対象:100億円以上の売上の企業に所属する請求書関連業務に携わる会社員
- 有効回答数:531名
※構成比は小数点以下第2位を四捨五入しているため、合計しても必ずしも100とはなりません。 - 調査期間:2023年4月5日〜同年4月6日
▼調査の詳細はこちら
「企業間取引の電子化に関する実態調査」を実施 | ウイングアーク1stコーポレートサイト
請求書の電子化からデジタル化を目指すことが重要
ここまで、請求書の電子化について解説してきました。
請求書を電子化することで一定の業務効率化が見込めることをお伝えしましたが、さらなる効率化を図るにはデジタル化の取り組みが重要になります。
ここで言うデジタル化とは、単に紙の請求書を電子データとして扱うのではなく、請求書データを標準化・構造化することにより、システム間で連携して自動処理を行えるようにすることを意味します。
先述したPeppolに準拠したデジタルインボイスは、まさにデジタル化した適格請求書であり、ただ電子化しただけの請求書と比べて大きなメリットが存在します。
では、請求書のデジタル化を目指すべき理由について見ていきましょう。
業務最適化やDX推進に効果的
請求書をデジタル化することで、請求書に関連する業務はもちろん、それに前後する一連の業務まで効率化・自動化することが可能です。
たとえば、案件管理システムから請求データを呼び出してデジタル請求書を発行し、電子取引システムを介して取引先に配信し、電子帳簿保存法などの法令に準拠する形で文書管理システムに保存、といった仕組みを構築することができます。
また、システム間のデータ連携が容易になるという点でDXの推進にも効果的であり、RPAツールと連携して定型作業を自動化したり、BIツールと連携してデータを可視化したり、DX推進に大いに役立てることができるでしょう。
グローバルな取引にも対応
請求書のデジタル化により、グローバルな取引にも対応しやすくなります。
先述したPeppolに準拠したデジタルインボイスであれば、海外の企業であってもタイムラグなく請求書の授受が可能なだけでなく、規格の違いによるミスや負担増を避けることができ、よりスムーズに取引を行うことができるでしょう。
請求書のデジタル化なら「invoiceAgent 電子取引」
ここまでは、請求書を電子化するメリット・デメリットや、デジタル化に取り組む意義についてご紹介しました。
次は、請求書のデジタル化を実現するソリューションとして、ウイングアーク1stが提供する「invoiceAgent 電子取引(インボイスエージェント 電子取引)」をご紹介します。
現状の業務フローを大きく変えずに導入可能
請求書の電子化やデジタル化を検討しているものの、現状の業務フローや請求書フォーマットは変えたくないという企業は多いのではないでしょうか。
「invoiceAgent 電子取引」は、簡易承認フロー機能が付いているので、請求書発行における現状の業務フローを再現可能です。そのため、社内での確認・承認を得ずに、いきなり請求書が送付されてしまうといった事態を防ぐことができます。
また、既存の請求書レイアウトで作成されたPDFファイルをそのまま利用できるので、現場の混乱を防ぎつつスムーズに導入・運用することができます。
自動仕分けで工数削減と人的ミスの防止
「invoiceAgent 電子取引」は、請求書データが1ファイルにまとまっていても、自動で分割可能です。取引先ごとに請求書データを自動で仕分けできるので、手作業による仕分けが不要になります。
そのため、請求書発行から郵送までにかかっていた工数を大幅に削減することができ、手作業による人的ミスの防止にも効果が期待できます。
Web配信と郵送のハイブリッド運用に対応
先述の通り、すべての取引先の請求書を一気に電子化できないケースは少なくありません。
「invoiceAgent」では郵送サービスをご用意しているほか、請求書データの仕分け後に印刷用データに変換することもできます。
そのため、請求書をデジタル化する取引先と、紙で請求書を受け取りたい取引先の両方に対応するハイブリッド運用が可能です。
まずは一部の取引先から請求書のデジタル化に着手するなど、スモールスタートしたい企業にもおすすめです。
電子取引に紐づく文書の一元管理や法対応も可能
「invoiceAgent」は、JIIMA認証を取得しているソフトウェアです。
JIIMA認証とは、第三者機関であるJIIMA(公益社団法人日本文書情報マネジメント協会)による認証制度で、電子帳簿保存法の法的要件を満たすソフトウェアに付与され、国税庁のページにも一覧が掲載されています。
そのため、「invoiceAgent」では電子取引に紐づく文書の一元管理および電子帳簿保存法への対応が可能です。
インボイス制度への対応も可能
ウイングアーク1stは日本におけるPeppol の管理局であるデジタル庁より「Peppolサービスプロバイダー」として認定されています。
「invoiceAgent 電子取引」は、デジタルインボイスの標準仕様であるPeppol経由のデータ送受信に対応可能です。
さらに、受領した適格請求書のデータ化や適格請求書発行事業者の登録確認も行えるため、インボイス制度への対応準備という面でも役立てることができます。
デジタル帳票基盤を構築可能
「invoiceAgent 電子取引」に加え、ウイングアーク1stが提供するほかの「invoiceAgent」シリーズや「SVF Cloud」と連携することで、デジタル帳票基盤を構築することが可能です。
「SVF(エスブイエフ)」および「SVF Cloud(エスブイエフ クラウド)」は、システム連携をシームレスに叶えるデジタル帳票の作成・出力を実現するソリューション。既存・新規を問わずデジタル帳票を簡単に設計することができ、多彩な出力形態に対応しているので、自社の業務プロセスにあった帳票作成・出力が可能です。
「invoiceAgent AI OCR(インボイスエージェント エーアイ オーシーアール)」は、紙媒体で受領したり保存したりしている帳票をデータ化するソリューションです。高精度な5つのOCR/AI OCRエンジンと、認識率の低下を防ぐ自動補正機能により、効率的なデータ化を実現します。
さらに「invoiceAgent 文書管理(インボイスエージェント 文書管理)」は、デジタル帳票の一元管理を実現するソリューションです。デジタル帳票を自動で仕分け・保存し、電子帳簿保存法の検索要件にも対応します。保存した帳票は高度な検索機能で速やかに参照することができ、改ざんなどの不正防止・検知に役立つ証跡管理機能も備わっています。
これらのソリューションを組み合わせることで、請求書を含むデジタル帳票の出力や紙帳票のデータ化、法令に準拠した文書の一元管理を一気通貫で実現することができるでしょう。
「invoiceAgent」で請求業務の電子化を実現した事例
最後に、「invoiceAgent」で請求業務の電子化を実現した事例をご紹介します。
請求・支払業務のデジタルシフトを推進(三井住友ファイナンス&リース)
国内トップクラスの総合リース会社である三井住友ファイナンス&リース株式会社は、「invoiceAgent」の導入により請求・支払業務のデジタルシフトを推進しました。
同社では従来、リース契約者向けの請求業務と、メーカー・販売会社向けの支払業務を紙媒体で行っており、郵送によるタイムラグの発生や印刷・発送にかかるコストが課題となっていました。
また、コロナ禍に入りリモートワークの動きが広まるなか、請求書の発行・郵送業務のために出社しなければならない状況が発生していました。
そこで同社は、これらの課題を解消するためにシステム導入の検討を開始。
電子帳簿保存法やインボイス制度への対応を視野に入れつつ、金融機関としてのセキュリティ担保を考慮した結果、「invoiceAgent」の導入に至りました。
第一弾として支払通知書のWeb配信からスタートし、第二弾として請求書の一部を対象に電子化を推進。
今後、請求書に関しては約5万件の取引先への展開を目指しており、その他の対外帳票に適用範囲を広げると約40万社以上の取引先に展開する可能性も。
従来の発送業務委託費と郵送料金のコストを年間で最大1億円削減することを目標に、「invoiceAgent」による帳票の電子化を推進しています。
▼事例詳細はこちら
三井住友ファイナンス&リース株式会社のinvoiceAgent導入事例をもっと見る
受領する請求書の電子化で「デジタル経営」を推進(西武ホールディングス)
グループ全体で「デジタル経営」に取り組む株式会社西武ホールディングスは、「invoiceAgent」の導入により取引先から受領する請求書の電子化を実現しました。
同社では、2019年にNTTデータ・ビズインテグラルのERPパッケージ「Biz∫」を導入するなど、「デジタル経営」の一環として会計システムの刷新に取り組んできました。
しかし、2019年時点では電子帳簿保存法の要件ハードルが高く、受領する請求書の電子保存については先送りとなっていました。
そうしたなか、コロナ禍でテレワークの必要性が高まったことや、電子帳簿保存法の改正が決まったことも重なり、受領する請求書の電子化に舵を切ることとなりました。
すでに導入していた「Biz∫」との連携が可能で、企業間取引文書の電子化と配信・受領を実現できる点、そしてインボイス制度や電子帳簿保存法に対応できる点などを評価し「invoiceAgent」の導入に至りました。
現在、グループ23社で「invoiceAgent」が利用されており、最終的にはグループ40社への展開を想定するなど、グループ全体の「デジタル経営」推進に「invoiceAgent」が大いに役立てられています。
▼事例詳細はこちら
株式会社西武ホールディングスのinvoiceAgent導入事例をもっと見る
請求書のWeb配信で業務負担を軽減し、電帳法対応も推進(JFEスチール)
鉄鋼メーカーのJFEスチール株式会社は、「invoiceAgent」を導入して請求書をWeb配信する仕組みを構築し、電子帳簿保存法への対応を推進することに成功しました。
同社では、取引先への請求業務を紙ベースで運用しており、請求書の発送や問い合わせ対応等を人手で行っていました。
しかし、鉄鋼業界には「20日締め月末払い」という商習慣が残っており、請求書の郵送によるタイムラグが支払遅延のリスク要因となっていました。
また、新型コロナウイルス感染症の影響で出社制限が広まり、請求書をデータで受け取りたいという取引先からの需要が増加。
連続帳票で出力されるデータを取引先ごとに分割して、PDF化してメール送付する作業が大きな負担となっていました。
そこで同社は、請求書データをWeb配信する仕組みとして、「invoiceAgent」を導入。
従来よりも請求業務の負荷が軽減し、郵送によるタイムラグも解消するなど大きな効果を得ています。また、電子帳簿保存法への対応基盤が整ったことで、さらなる帳票のデジタル化に意欲を見せています。
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JFEスチール株式会社のinvoiceAgent導入事例をもっと見る
請求書発行の作業工数が半減し、在宅勤務も可能に(エムオーテックス)
「LanScopeシリーズ」などのソフトウェア開発・販売を手掛けるエムオーテックス株式会社は、「invoiceAgent」で請求書発行業務を紙から電子へと切り替えました。
同社では従来、Salesforceで出力したPDFの請求書を印刷し、担当スタッフが内容確認をして郵送していました。この請求書発行業務は担当者2人で40時間程度を要し、負担が大きいだけでなくミスが発生するリスクも問題となっていました。
さらに、コロナ禍となって在宅勤務へと移行するなか、PDFとメールによる請求書送付を試みたものの、紙による運用以上に確認工数がかかり、かえって負担が増加してしまいました。
これらの課題を解消するため、同社は「invoiceAgent」を導入して請求書をWeb配信する仕組みを構築しました。
紙ベースで行っていた印刷・封入・発送手続きがなくなったことで、40時間かかっていた工数が半減。
従来は出社して行っていた請求業務を在宅勤務でも行えるようになるなど、大きな効果を実感しています。
▼事例詳細はこちら
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請求書と関係書類の一括送付を実現(クリアコンサルティング)
税務申告書の作成をはじめとした多彩なサービスを提供している税理士法人クリアコンサルティングは、「invoiceAgent」で請求書と関係書類を一括送付する仕組みを実現しました。
同社では、会計システムに付随する機能で請求書発行業務を行っており、電子化にも対応していました。
しかし、税務顧問業務のほかに社会保険関係の手続きや給与計算などの業務を代行した場合、請求書に加えて請求明細を添付する必要があり、毎月150通から200通の封入封緘作業が発生していました。
この作業は担当者の負担が大きいだけでなく、属人化による業務停滞のリスクも懸念材料となっていました。
そこで同社は、既存の会計システムを継続利用しつつ、請求書と関連書類を電子配信できる体制を整えるために「invoiceAgent」を導入。
ワンクリックで150社以上に請求書と関連書類を送信できるようになり、作業の効率化と印刷・郵送コストの削減に成功。
また、作業内容の簡素化されたことでメインの担当者以外でも対応しやすい体制が整い、属人化の解消と担当者の心身の負担軽減に効果を実感しています。
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税理士法人クリアコンサルティングのinvoiceAgent導入事例をもっと見る
まとめ
今回は、近年普及しつつある請求書の電子化に焦点を当て、法的な有効性やメリット・デメリット、電子化を進めるポイントについてご紹介しました。
請求書の電子化は、業務効率化やコスト削減、さらにはテレワークをはじめとした柔軟な働き方に対応するうえでも重要です。また、より多くのメリットを享受するには、ただ電子化するのではなくデジタル化を目指すことが大切です。
今回ご紹介した情報も参考に、請求書の電子化、さらにはデジタル化に着手してみてはいかがでしょうか。
ウイングアーク1stが提供する電子取引プラットフォーム「invoiceAgent 電子取引」は、サービス内容をお試しいただける無償トライアルをご用意しています。
請求書のデジタル化を検討している企業担当者の方は、ぜひ無償トライアルをお試しください。