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デジタルインボイスとは?電子インボイスとの違いやメリット、対応方法を解説!

法対応作成日:2022.11.24 更新日:2024.02.09

2023年10月に開始したインボイス制度(適格請求書等保存方式)。
インボイス制度への対応や準備に取り組むなかで、「デジタルインボイス」というキーワードを耳にしたことがある方も多いのではないでしょうか。

一方で、
「デジタルインボイスとは?」
「デジタルインボイスと電子インボイスに違いはある?」

「デジタルインボイスのメリットは?」
「デジタルインボイスに対応する方法は?」
といった疑問をお持ちの方もいらっしゃるのではないでしょうか。

この記事では、注目度が増すデジタルインボイスに焦点を当て、その意味や注目の背景、導入のメリットをわかりやすく解説します。
紙の請求書からデジタルインボイスへと切り替えるためのソリューションや事例も紹介しているので、ぜひ参考にしてみてください。

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デジタルインボイスとは?

デジタルインボイス(digital invoice)を直訳すると「電子請求書」ですが、日本におけるデジタルインボイスとは「標準化され構造化された電子データの適格請求書」のことを指します

これは、インボイス制度における請求書の様式である「適格請求書」を「インボイス」と呼ぶことから、「デジタルインボイス」=「標準化され構造化された電子データの適格請求書」という認識が広まったためです。

デジタルインボイスの主な提供方法として、以下を挙げることができます。

  • 光ディスクなどの電磁的記録媒体による提供
  • EDI取引を通じた提供
  • 電子メールへのPDFファイル添付による提供
  • インターネット上のサイトを通じた提供

詳しくは後述しますが、デジタルインボイスには多くのメリットがあり、インボイス制度開始で負担が増す請求業務の効率化に有効な手段とされています。

デジタルインボイスと電子インボイスの違い

「デジタルインボイス」とは別に、電子化した適格請求書(あるいは請求書全般)を指して「電子インボイス」と呼ぶケースもあります。

明確な定義が存在するわけではありませんが、あえてデジタルインボイスと電子インボイスの違いを挙げるとするならば、「標準化され構造化されているか否か」によって使い分けるケースが多いようです。

デジタルインボイスと電子インボイスの違い
  • デジタルインボイス:「Peppol」などの規格に準拠し、標準化・構造化された電子データの適格請求書
  • 電子インボイス:電子データの適格請求書(あるいは請求書全般)

たとえば、エクセルなどを使って作成した適格請求書をPDFデータとして出力したものや、紙媒体で授受した適格請求書をスキャンしてデータ化したものは、電子インボイスに該当します。

一方、後述する「JP PINT」などの規格に準拠している場合、異なる事業者が発行したとしても適格請求書のデータが標準化・構造化されているため、デジタルインボイスに該当すると言えます。

デジタルインボイスが注目を集める理由

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デジタルインボイスが注目を集める理由として、大きく以下の3点を挙げることができます。

  • インボイス制度の導入
  • 電子帳簿保存法の改正
  • テレワークの普及

それぞれ詳しく確認していきましょう。

インボイス制度の導入

デジタルインボイスが注目される大きな要因として、2023年10月にインボイス制度(正式名称:適格請求書等保存方式)が始まったことで、請求業務の負担増加が懸念されている点が挙げられます。

インボイス制度とは、消費税の仕入税額控除に関する新しい制度のことで、「軽減税率制度への対応」と「益税の排除」を目的としています。
インボイス制度下では、請求書への記載事項の追加や、適格請求書発行事業者の登録番号の照合など、請求業務が今まで以上に煩雑化することが予想されています。

そして、インボイス制度における請求業務の負担軽減・効率化する手段として、デジタルインボイスを導入したり、導入を検討している企業が増えてきているのです。

インボイス制度の概要や変更点については以下の記事で詳しく解説しています。あわせてお読みください。

電子帳簿保存法の改正

2022年1月に行われた電子帳簿保存法の改正もまた、デジタルインボイスの注目度が高まった要因のひとつです。

電子帳簿保存法とは、請求書を含む国税関係帳簿書類の電子保存を認める法律のことで、1998年に制定されました。
電子帳簿保存法が制定された当初、電子保存するための要件は厳しく、数回にわたり要件緩和が行われたものの、書類の電子化が広く普及するまでには至りませんでした。

しかし、2022年1月の改正で大幅な要件緩和が実施され、今まで以上に国税関係帳簿書類の電子保存に着手しやすくなりました。

こうした背景もあり、帳票電子化の第一歩としてデジタルインボイスへの関心が高まってきています。

テレワークの普及

テレワークの急速な普及もまた、デジタルインボイスへの注目が集まる要因のひとつです。

2020年春の新型コロナウイルス感染症の世界的な流行により、多くの企業がテレワークへの移行を余儀なくされました。
しかし、請求書の印刷や押印、発送作業などのために従業員が出社せざるを得ないという企業は少なくありませんでした。

このような紙ベースの業務に起因するテレワーク導入・定着の障壁を解消するため、デジタルインボイスに注目する企業が増えつつあるのです。

「Peppol(ペポル)」とデジタルインボイスの関係

デジタルインボイスとの関連性が高いキーワードに「Peppol(ペポル)」があります。

「Peppol」とは、デジタルインボイスなどの電子文書をネットワーク上でやり取りするための規格であり、欧州各国を中心に世界30ヶ国以上で利用されています。

そして、日本においてもデジタルインボイスの標準仕様をPeppolに準拠する動きが出てきています。

Peppolに準拠した国内標準仕様「JP PINT」

デジタルインボイスの普及・促進を目指す「デジタルインボイス推進協議会(EIPA)※」は、日本におけるデジタルインボイスの標準仕様をPeppolに準拠することを発表し、日本標準仕様案として「JP PINT」を策定しています。
※2022年6月1日に「電子インボイス推進協議会」から「デジタルインボイス推進協議会」へと名称変更

その後、2023年7月に適格請求書(インボイス)に対応する「Peppol BIS Standard Invoice JP PINT Version 1.01」、仕入明細書に対応する「JP BIS Self Billing Invoice Version 1.0」、区分記載請求書に対応する「JP BIS Invoice for Non-tax Registered Businesses Version 1.0」がOpen PeppolのWebサイト上に公開されました。

また、日本社会のデジタル化を主導するデジタル庁は、日本版Peppol「JP PINT」の普及・定着を官民一体の重大プロジェクトと位置づけています。

Peppolサービスプロバイダーとは?

Peppolは「C1:売り手」「C2:アクセスポイント(売り手)」「C3:アクセスポイント(買い手)」「C4:買い手」という4コーナーモデルの構造となっており、アクセスポイントを介してデジタルインボイスなどのやり取りを行います。
そして、アクセスポイントを提供できるのが、Peppolサービスプロバイダーです。

日本国内でPeppolサービスプロバイダーとしてアクセスポイントを提供するには、デジタル庁による認証(国内企業向け)もしくは了承(国外で認証済みの企業向け)を得なければなりません。

日本における認定Peppol サービスプロバイダーはデジタル庁のWebサイトから確認することができ、2023年10月時点で、日本におけるPeppol サービスプロバイダーとして認定されているのは33社となっています。
(参照:JP PINT|デジタル庁

23.4%の企業がPeppolを用いた商取引に対応予定

ウイングアーク1stが2023年8月に実施した「インボイス制度に向けた企業間取引の電子化に関する対策調査」では、Peppolへの対応に関する調査結果が示されています。

「Peppolを用いた商取引に対応する予定ですか。」という質問に対し、「対応する予定である」という回答が23.4%に留まった一方、「わからない」という回答は45%にのぼりました。

この結果から、Peppolやデジタルインボイスに関する認知・理解はまだまだ十分だとは言えないでしょう。
しかし、後述するようにPeppolなどの規格に準拠したデジタルインボイスを採用することで数多くのメリットが期待できます。
今後、PeppolやJP PINT、デジタルインボイスに対する認知が広まるにつれて、Peppolに対応する企業は一層増えていくことでしょう。

<調査概要>

  • 調査名:インボイス制度に向けた企業間取引の電子化に関する(インボイス制度に対する)対策調査
  • 調査対象:100億円以上の売上の企業に所属する請求書関連業務に携わる会社員
  • 有効回答数:513名
    ※構成比は小数点以下第2位を四捨五入しているため、合計しても必ずしも100とはなりません。
  • 調査期間:2023年8月25日〜同年8月30日

▼調査の詳細はこちら
大企業を中心としたインボイス制度対策状況を調査 | ウイングアーク1stコーポレートサイト

デジタルインボイスのメリット

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紙媒体の請求書からデジタルインボイスに切り替えることで、以下のようなメリットが期待できます。

  • 請求業務の効率化
  • 取引の円滑化・迅速化
  • ペーパーレスによるコスト削減
  • セキュリティ・ガバナンスの強化
  • 働き方改革への対応

次は、デジタルインボイスのメリットについて詳しく確認していきましょう。

請求業務の効率化

デジタルインボイスに切り替えるメリットとして、請求業務の効率化を挙げることができます。

紙媒体の請求書では、書面の印刷や押印、発送準備といった手作業が発生してしまいます。
また、先述した通りインボイス制度の開始後は請求業務が複雑化し、負担が増加すると考えられています。

しかし、デジタルインボイスであれば、上記のような手作業が不要で、PCなどのデバイス上で作成から取引先への配信までを完結することができます。
また、請求情報をテキストデータとして扱うことができるので、入力作業の効率化やRPAツールとの連携による自動化も可能です。
そのため、紙ベースの請求業務よりも大幅に効率化することができ、インボイス制度開始の負担増加を抑えることができるでしょう。

取引の円滑化・迅速化

デジタルインボイスへの切り替えは、取引の円滑化・迅速化にもつながります。

紙の請求書の場合、発送から取引先の手元に到着するまでに数日間のタイムラグが発生してしまいます。
請求情報に誤りがあった場合には、修正して再送することになるため、さらに時間がかかってしまうでしょう。

デジタルインボイスであれば、発行したその日に取引先に配信することができ、もしも請求情報にミスがあっても速やかに修正して再配信することができます。
そのため、自社にとっても取引先にとってもスムーズな取引が可能になるでしょう。

ペーパーレスによるコスト削減

デジタルインボイスに切り替えることでペーパーレスが進み、コスト削減を実現することができます。

たとえば、デジタルインボイスであれば以下のようなコストを削減可能です。

  • 紙代やインク代といった印刷コスト
  • 郵送代や封筒代などの配送コスト
  • 保管場所の賃料や備品代などの保管コスト

また、先述した業務効率化の効果によって、請求業務の作業工数が削減され、人件費の節約につなげることもできるでしょう。

セキュリティ・ガバナンスの強化

デジタルインボイスへの切り替えは、セキュリティ・ガバナンスの強化という点でも有効です。

紙ベースで請求書を運用している場合、手作業による工程が多々発生してしまうため、人為的なミスが起こりやすくなります。
また、不正な持ち出しや改ざんといったリスクに対し、物理的なセキュリティ対策を施したり、運用ルールを徹底する必要があります。

一方、デジタルインボイスであれば、手作業よりも効率的に作成することができ、データ入力を自動化することも可能です。
また、システムログで証跡を残すことで、改ざんや削除を防止・検知することができます。

働き方改革への対応

デジタルインボイスへの切り替えは、働き方改革への対応という面でも有効です。

先述の通り、デジタルインボイスであればデバイス上で請求業務を進めることができるため、テレワークを実施するための基盤を整えることが可能です。

また、先述した請求業務の効率化によって作業工数が削減されれば、長時間労働の是正にもつなげることができます。

テレワーク促進や長時間労働の是正は働き方改革実現に向けた重要課題であり、デジタルインボイスへの切り替えは、働き方改革の取り組みとしても非常に有効だと言えるでしょう。

デジタルインボイスへの対応なら「invoiceAgent 電子取引」

デジタルインボイスにはさまざまなメリットがあることがわかりましたが、具体的にどうやって紙の請求書からデジタルインボイスに切り替えればよいかわからないという方もいらっしゃるのではないでしょうか。

次は、デジタルインボイスへの対応を実現する具体的なソリューションとして、「invoiceAgent 電子取引(インボイスエージェント電子取引)」をご紹介します。

「invoiceAgent 電子取引」は、デジタル庁認定のPeppolサービスプロバイダーであるウイングアーク1stが提供するソリューションで、請求書をはじめとした企業間取引文書の送受信を電子化します。

PDF化した適格請求書をプラットフォームにアップロードするだけで、デジタルインボイスとして配信することができます。
PDF化する前のCSVファイルを所定のフォルダにアップロードして、PDFデータに自動変換することも可能です。
取引先から発行される帳票データも「invoiceAgent」上で受け取ることができるので、ひとつのプラットフォームで複数の企業とのやり取りを完結することができます。

また、電子帳簿保存法の法的要件を満たしている証である「JIIMA認証」を取得しているほか、「Peppol」経由のデータ送受信にも対応可能です。
そのため、電子帳簿保存法とインボイス制度に対応しつつ、デジタルインボイスへの切り替えをスムーズに実現することができるでしょう。

「invoiceAgent 電子取引」の導入事例

最後に、「invoiceAgent 電子取引」を導入してデジタルインボイスを送受信する仕組みを構築した事例を紹介します。

インボイス制度への対応も視野(三井住友ファイナンス&リース)

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総合リース会社の三井住友ファイナンス&リース株式会社は、「invoiceAgent」を導入してデジタルインボイスを配信する仕組みを構築しました。

同社では従来、リース契約の顧客への請求業務と、メーカー・販売会社への支払業務を紙ベースで行っていました。

しかし、郵送によるタイムラグや、印刷・発送コストの負担が大きいといった課題があったほか、紙ベースの業務がリモートワーク中に出社しなければならない要因のひとつとなっていました。

これらの課題の解消、さらには電子帳簿保存法やインボイス制度への対応を視野に入れ、同社は「invoiceAgent」の導入を決定。

まずは支払通知書の電子配信から着手し、次に一部の取引先を対象に請求書の電子配信を開始しました。

これにより、リモートワークの推進とコスト削減を実現しただけでなく、取引先のペーパーレス化や業務効率化への貢献にもつながっています。

▼事例詳細はこちら
三井住友ファイナンス&リース株式会社のinvoiceAgent導入事例をもっと見る

電子帳簿保存法への対応に効果を発揮(JFEスチール)

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鉄鋼メーカーのJFEスチール株式会社は、「invoiceAgent」でデジタルインボイスの配信および電子帳簿保存法に対応するための基盤構築を実現しています。

同社では、複数の営業部から営業統括部に請求金額情報が集約され、紙ベースで請求書の発送や問い合わせ対応を行っていました。

しかし、コロナ禍でリモートワークが広まったことで、請求書のデータ送付を希望する取引先が増え、請求業務が煩雑化していました。

さらに、鉄鋼業界では「20日締め月末払い」という商習慣が残っており、請求業務の迅速化、および郵送によるタイムラグ解消も課題となっていました。

そこで同社は、「invoiceAgent」で請求業務の課題解消を図りました。

デジタルインボイスを配信する仕組みが整ったことで、請求業務の負荷軽減とスピードアップが実現。電子帳簿保存法に対応するための基盤も整い、帳票のさらなる電子化にも意欲を見せています。

▼事例詳細はこちら
JFEスチール株式会社のinvoiceAgent導入事例をもっと見る

まとめ

今回は、デジタルインボイスの概要や注目されている理由、メリットなどをご紹介しました。

紙の請求書からデジタルインボイスへと切り替えることで、請求業務の効率化をはじめとしたさまざまなメリットが期待できます。

また、インボイス制度が開始したことで煩雑化が懸念される経理業務の負荷を軽減するためにも、デジタルインボイスは有効だと言えます。

紙ベースの請求業務に課題を感じている企業や、インボイス制度開始に向けた準備を整えている企業は、今回ご紹介した「invoiceAgent 電子取引」の導入を検討してみてはいかがでしょうか。

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