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生産管理とは?目的や工程管理との違い、具体的な業務内容なども解説

作成日:2022.10.18 更新日:2024.03.29

生産管理とは、生産計画にもとづいて製造工程を適切に管理することです。

この記事では、企業の担当者向けに生産管理の目的や課題、適切な生産管理の方法について解説します。
現行の生産管理の改善方法や、生産管理において導入を検討したいシステムなども紹介しますので、ぜひ参考にしてください。

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生産管理とは

生産管理とは、生産計画にもとづく製造工程の管理のことを指します。

具体的には、生産管理における3つの要素であるQ(品質)、C(原価)、D(納期)の最適化を行うことです。

QQuality、つまり品質を保全すること。良い品質のものを作るのは製造の大前提です。

CCost、原価のことを指します。損失をできる限り少なく、原価を抑えて製造することを目指さなくてはなりません。

そしてDDelivery、納期です。期日に間に合うことはもちろん、早すぎないこと、製造しすぎないことも求められます。

QCDが生産管理として機能することで、顧客満足度が上がり、高い企業価値を維持できるでしょう。

生産管理と製造管理や工程管理との違い

生産管理と似た言葉に「製造管理」や「工程管理」などがあります。それぞれ、生産管理とはどのように違うのか説明します。

製造管理との違い

製造管理は生産管理の一部であり、生産管理のほうが広義の意味を持っていると解釈できます。

生産管理が製造そのものの過程だけではなく、製造に至るまでの費用、原価、製造後の納品等のすべてを管理することであるのに対し、製造管理は製造現場における、より細かな作業工程を管理することを意味する言葉です。

したがって生産管理は、製造管理とその前後も含めて全体を管理することであるという点に違いがあります。

工程管理との違い

工程管理もまた、生産管理のなかの一部分を示しています。

工程管理とは、納期内の工数に対する管理を対象としている言葉です。製品を製造するにあたって「いつまでに何をどれだけ製造するか」「製品を完成するために、いつ何をしたら良いか」について材料の段階から管理します。

生産管理でも工程を管理しています。しかし生産管理は、販売計画、材料の仕入、製品が売れた後の売上管理まで、広い工程が対象になります。

生産管理の目的

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生産管理の目的は、さきほど触れたQCDの実践にあります。

QCDの実践において重要なことは、納期、在庫、工程、原価の4つをコントロールしていくことです。

それぞれを最適化させることによって、QCDを安定的に調整していくことができるでしょう。

具体的に対応するべき業務について、次項で詳しく解説します。

生産管理の業務内容

ここでは生産管理の業務内容を一つずつ分解し、それぞれについて内容を解説します。

生産管理のプロセスを確認してみましょう。

生産計画

需要予測をもとに、生産に関わる情報の整理を行う工程です。

何を、いつまでに、どれだけ生産するかという、生産するべき製品および数量に関する計画立案が主たる業務となります。

また、自社の生産ラインの生産能力、仕入の可否、人員のやりくりといったことも生産計画の業務です。製品を作り過ぎないために、在庫数を調整する役割もあります。

調達・購買計画

調達・購買計画では、生産計画に沿って適切な調達計画を立案し、いつ、どれだけの資材を調達するかを決めていきます。

適切な購買計画は、過剰在庫によるキャッシュフローの悪化を回避するためにも重要です。

過剰な資材調達は無駄な在庫を抱える一方で、資材不足は製品の供給不足につながるため、適切な購買計画が大切です。

生産実施

生産実施にあたっては、調達・購買計画に基づいた資材の調達、生産計画に沿って生産を行うのが基本です。

ただし、顧客への個別対応、イレギュラーな生産依頼なども見越したうえで、余裕のある生産が要求される側面もあります。

生産実施は、生産管理部門が行う場合と、製造部門が行う場合があります。いずれのケースでも生産計画、調達・購買計画との連携が重要です。

生産統制

生産実施に際して適切なコントロールを行うことを、生産統制と呼びます。生産統制は、QCDを保つうえで必要なものです。

生産実施が遅れる事態になれば、販売機会の逸失や顧客からの信用の失墜などによって企業が損失を被る可能性が高いでしょう。

計画と実施にズレが生じているようであれば、早期の対応が必要です。

需要予測

需要予測とは、自社の製品が今後、いつ、どれくらい必要とされるのか、購入されるのかという将来の予測です。

需要予測を行うときは、過去の受注データはもちろん、季節の変化や競合他社の動きも参照し、さらに世の中の景気なども考慮します。

その後の計画すべてを左右する予測だけに正確性が求められるプロセスです。

品質管理

品質管理も、QCDを満たすうえで必要不可欠なものです。

品質管理は、調達した資材、部品、加工後の状態、完成品の状態など、製造過程の各所で細かい確認を行ないます。

製造過程の中で単発的に品質の確認ができれば良いわけではなく、品質が落ちることのないよう品質管理を継続して行うことも重要です。

工程管理

工程管理では、生産という一つの流れを構成している各工程を把握し、管理を行います。

工程管理で最も重要なのは、遅れが出ないようにすることです。

生産においては、ある工程の遅れが原因で最終的に全体が遅れるリスクがあります。工程ごとにリードタイムを設定し、1つの工程に遅れが出たとしても全体の工程に遅れが出ないような管理が求められます。

生産管理における課題

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生産管理を進める中で、何らかの課題によってスムーズに進まないこともあります。

生産管理における主な4つの課題を解説します。

製造ライン別の業務負荷を可視化しにくい

生産管理では、さまざまな製造ラインに可能な限り平均的に業務負荷を割り当て、実行しなくてはなりません。しかし、個々の製造ラインへの業務負荷は可視化しにくく、平均化も難しいでしょう。

特定の生産ライン、あるいは特定の作業班・作業員に業務負荷が偏ると、現場から不満が上がり業務がスムーズに進まない可能性もあります。実際の負荷とともに人の心理面をケアしなくてはならないことも、生産管理が難しいといわれる理由です。

臨機応変な対応が求められる

生産管理では、常に臨機応変な対応が求められます。たとえば予期せぬトラブルの発生は、現場ではむしろよくあることです。納期や受注量の変更、飛び込みの注文など、予定外の生産の要求に対応しなければなりません。通常通り生産していても、想定外の不良品が発生することもあります。

したがって、どのような状況下でも納期どおりの納品が可能になるよう、トラブルへの対応に関する計画も、事前に準備しておく必要があるでしょう。

部署間の調整において折衝力が必要となる

生産管理の担当者は、他部署との関わりにおいて板挟みになりやすい立場です。たとえば、営業が顧客から短納期での納品を求められ、生産管理に納期短縮を要望することがあります。ところが生産現場からは、短縮にも限界があるとして断られてしまうのです。

こうした状況に直面することが多いため、生産管理には折衝力が必要となります。社内の調整役として、どの部署にも気持ち良く仕事をしてもらえるようなスキルも求められるでしょう。

正確な需要予測が難しい

生産量や納期など、その後の予定のすべてを左右する需要予測ですが、正確に行うのは難しいことです。

需要予測が難しい理由には、市場の変化を予測するのが難しいことが挙げられます。需要予測に使用するデータや人材の確保が難しいのも理由のひとつです。

需要予測は生産する製品によって分析手法が異なるため、専門的な人材の確保が容易ではありません。また専門家であっても高精度な需要予測は難しいのです。

生産管理における課題の改善策

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生産管理における課題の改善策として、最も重要性が高いのはデータ活用です。

生産管理には、需要予測や生産量の見通しが必要となるため、データ活用が不可欠です。

データ活用の一つの手段として、生産管理システムの利用がありますが、その企業に合せてカスタマイズが発生することが一般的です。

生産管理システムは、需要の予測、在庫、原価など、生産に関わるさまざまなデータを一元管理することのできるシステムです。生産管理における課題を解決する機能を搭載しています。

生産管理システムとは

生産管理をより正確に行うことのできる生産管理システムとは、どのようなものなのか、具体的に解説します。

生産管理システムの主な機能

生産管理システムとは、生産管理における課題を解決する機能が搭載されたITシステムです。

たとえば、資材の調達を効率化する調達・購買管理システム、生産量を決める在庫管理システム、進捗に応じた工程の決定などを含む工程管理システムなどがあります。販売においては見積もり作成や売上、出荷管理システムがあります。

具体的な機能はシステムベンダーによって違う部分もありますが、生産管理システムを一つ導入すれば、生産管理に役立つ多彩な機能を利用できます。

生産管理システム導入におけるメリット

生産管理システムの導入におけるメリットは、生産に関するデータを一元管理できることです。

生産管理は一つのものを管理しているのではありません。原価、資材、見積もり、販売、顧客、品質といったものが絡み合っての管理です。その点、生産管理システムではデータ共有が簡単で、共有したデータを基に適切な生産管理が行えます。

生産管理システム導入におけるデメリット

生産管理システム導入におけるデメリットは、導入コストがかかることです。

導入時、システムベンダーに依頼する際に初期コストが発生します。さらに、継続してランニングコストがかかる場合もあるため、導入前の確認が必要です。

データを活用した生産管理を簡単にはじめるなら

データを活用した生産管理を簡単に始めるなら、まずは簡単に生産データの可視化ができるソリューション「MotionBoard」の導入を検討してみてください。

「MotionBoard」は、生産状況や製造ラインの設備稼働状況などが可視化できるダッシュボードを提供しています。

リアルタイムで現場状況を簡単に把握できるため、状況に応じて、最も効率性の高い生産が可能になるよう臨機応変な指示を出すことも可能です。

ダッシュボードは、たとえば下の図のような形で構成されます。生産現場の状況を感覚的につかめるよう工夫がなされており、ダッシュボードから各ポジションを選択することで、さらに詳細な稼働状況を開けるようになっています。

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ダッシュボードを活用して生産管理を実現した企業事例

工場の生産スケジュール管理や設備監を可視化(三島食品)

実際に「MotionBoard」を導入している三島食品株式会社では、生産状況や実績といった業務の内容だけでなく、生産スケジュール、工場内の温湿度、原材料の品質管理なども、ダッシュボードを利用して「見える化」しています。

感覚的な設備保全を脱し、データにもとづく正確な管理をおこなうことで、製品品質の向上につながりました。

▼三島食品株式会社の事例をもっとみる
工場の生産スケジュール管理や設備監視のリアルタイムな可視化を実現

製造ライン全体の設備状況をリアルタイムに可視化東洋製罐株式会社

東洋製罐株式会社では、製造ラインにおける複数の設備のデータを「MotionBoard」に取り込み、リアルタイムでライン全体の状況を可視化しています。

ラインの異常を素早く知らせる仕組みを構築したことで、少ない人数でも品質を保持しながら稼働できるようになりました。また、リアルタイムに可視化されることで、これまではベテラン担当者の暗黙知に頼っていたところが、若手の担当者でも適正な対処ができるようになり、より効率的で質の高い生産体制を構築しています。

▼東洋製罐株式会社の事例をもっとみる
製造ライン全体の設備状況をリアルタイムに可視化 「匠の技」を数値化し、より効率的で質の高い生産体制を構築

まとめ

生産管理を適切に行うことで、より効率的に、品質の良い製品を生産できるようになります。

一方で、管理工程をまとめなくてはならないため、生産管理は難易度が高いという課題もあるでしょう。

課題を解決するために欠かせないのが、データの活用です。データを活用し生産管理を行う一歩として、まずは生産状況や設備稼働状況などの可視化をおすすめします。

適切なデータの活用方法や導入すべきシステムは、製造するモノや過程によっても変わります。

まずは下記の資料を、生産管理におけるデータ活用の検討に役立ててください。

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