納品伝票とは?電子化が求められる理由
納品伝票とは?
納品伝票とは、取引先に商品などを納品する際に発行する伝票で、納品書とも呼ばれます。納品物の品名や数量、金額などの情報を記載するケースが一般的です。
納品伝票は発行が義務付けられている文書ではありませんが、発行することで検品作業や請求・支払処理などの後続業務に役立てることが可能です。とくに、物流業および関連事業者の間では納品伝票をもとに業務が進められることが多く、納品伝票の内容に沿って検品・押印を行うケースや、運送事業者への依頼や完了報告を行うケースが少なくありません。
納品伝票の電子化とは?
納品伝票の電子化とは、納品伝票をPDFファイルなどの電子データとして発行したり授受したりすることを指します。
近年、ペーパーレス化やDXの動きが活発化するなか、納品伝票に限らずビジネス文書の電子化が多くの企業で進められています。
また、先述の通り納品伝票を扱う機会が多い業界のひとつが物流業です。
近年、物流業を取り巻く環境は大きく変化しています。人手不足や長時間労働などが深刻化するなか、伝票処理の手間や紙運用の非効率性が課題視されるようになりました。
その解決策として注目されているのが、納品伝票の電子化=伝票レスの取り組みです。
法改正で進む「伝票レス」 : 物流関連2法との関係
物流関連2法とは「物流総合効率化法」および「貨物自動車運送事業法」の2つの法律を指す総称で、2024年4月に改正案が可決、5月に公布されました。
この改正により、荷待ち・荷役時間の削減が企業の努力義務から「義務」へと強化されました。
荷役時間を短縮するためには、現場での伝票確認・押印といったアナログ作業の削減=伝票レス化が不可欠です。電子化された納品情報を事前に共有することで、検品作業のスムーズ化やドライバーの待機時間削減が期待できます。
こうした背景からも、納品伝票の電子化は「コスト削減」だけでなく、法令対応・業務効率化の両面で強く推奨される取り組みとなっています。
納品伝票を電子化するメリット
次は、納品伝票の電子化が重要視される背景について確認していきましょう。
伝票発行・処理の効率化
納品伝票を電子化することで、発行・処理の効率化が期待できます。
紙ベースで納品伝票を運用している場合、情報の記入・入力や印刷、送付準備、仕分けや保存など、発行・処理に付随するさまざまな手作業が発生します。
納品伝票を電子化することで、発行側・受領側ともに作業を効率化することができ、各種システムとの連携により転記作業や仕分け作業、後続業務における帳票発行などの自動化も目指せるでしょう。
荷待ち・荷役作業時間の削減
納品伝票の電子化は、伝票を処理するバックオフィス部門だけでなく、物流現場における荷待ち・荷役作業時間の削減にも貢献します。
納品伝票を電子化すると、発行と同時に取引先に配信することが可能になります。そして、事前出荷情報の活用により、荷待ち・荷役といった待機時間や付帯業務の工数短縮につなげることが可能です。
荷待ち・荷役時間の削減は改正物流効率化法の重要KPIであることから、物流関連2法への対応という面でも有効だと言えるでしょう。
ペーパーレスによるコスト削減
納品伝票を電子化することで、コスト削減につなげることも可能です。
納品伝票を紙ベースで運用している場合、印刷コストや郵送コストのほか、控えを保管するためのファイル・キャビネットといった備品・設備代も発生します。また、人手による確認や仕分け、システムへの入力・転記といった作業にも多くの工数が割かれるため、人的コストも無視できません。
納品伝票を電子化することで、印刷や郵送、保管にかかっていたコストを削減することができ、業務効率化により人的コストも節約することができるでしょう。
物流現場における納品伝票電子化を実現する「invoiceAgent」
ウイングアークの「invoiceAgent(インボイスエージェント)」は、納品伝票の電子化を現場レベルで実現できるソリューションです。
中でも大きな強みは、物流情報標準ガイドラインに準拠した納品伝票のデータ化が可能な点にあります。「invoiceAgent」を活用することで、業界標準に則った形で、スムーズに伝票電子化へと移行することができます。
さらに、以下のような物流現場のニーズにも対応が可能です。
- 現行の納品伝票レイアウトをそのまま電子化できる柔軟性
- 伝票のスムーズな検索・参照が可能
- 納品伝票以外の帳票(受領書、作業指示書など)も一元的に扱える拡張性
これにより、紙伝票に依存していた業務から脱却し、伝票レス・ペーパーレスによる業務効率化と法令対応を両立することが可能になります。
物流現場のデジタル化が急務となる中、「invoiceAgent」は現場に即した形で伝票電子化を実現する、実践的なソリューションといえるでしょう。
さらなる業務変革を推進する、ウイングアークのデジタル帳票基盤
ウイングアークのデジタル帳票基盤は、「SVF Cloud(エスブイエフ クラウド)」と「invoiceAgent(インボイスエージェント)」で構成されるソリューション群で、デジタル帳票の設計・出力や紙帳票のデータ化、法令に基づく一元管理、企業間での配信・受領まで一気通貫で実現します。
納品伝票の設計・出力「SVF Cloud」
「SVF Cloud」は、納品伝票を含むあらゆる帳票の設計・出力を実現するソリューションです。
ノーコードで操作可能な帳票設計ツールを搭載しており、現行書式をそのまま再現したり、新たな帳票を設計したりすることが簡単に行えます。
また、物流業界においては、納品先ごとに納品伝票の仕様が異なるケースも少なくないでしょう。「SVF Cloud」であれば個社別レイアウトに対応できるので、現場や納品先の負担を抑えつつ導入することができます。
また、社内プリンターでの直接印刷や電子ファイルでの出力、メールやFAXでの配信などにも対応しているので、業務プロセスに合わせて出力形態を使い分けることが可能です。
紙伝票のデータ化なら「invoiceAgent AI OCR」
「invoiceAgent AI OCR」は、紙媒体の伝票などをデータ化するソリューションです。
特徴が異なる5つのOCR/AI OCRエンジンを搭載しており、読み取り伝票の種類や書式に応じて適切なOCR/AI OCRエンジンを選択することが可能。1つの読み取り文書に対して複数のOCR/AI OCRエンジンによる処理を実行し、結果を比較することもできます。
また、読み取り文書の歪みや傾きを自動補正する機能も備えているので、認識率の低下を防ぎつつ効率的にペーパーレス化を推進可能です。
伝票データの一元管理に「invoiceAgent 文書管理」
「invoiceAgent 文書管理」は、納品伝票などの帳票類を法令に準拠する形で一元管理できるソリューションです。
「SVF Cloud」や「invoiceAgent」で出力・データ化した帳票はもちろん、他システムで出力した帳票データもまとめて取り込み、指定したルールに則り自動で仕分け・保存を実行します。
保存した帳票データは、さまざまな条件で検索・参照することができ、電子帳簿保存法で求められる検索要件にも対応可能。過去の取引に関する社内外からの問い合わせ対応や監査対応の円滑化にも有効です。さらに、保存期間に応じた自動削除機能や、改ざんなどの不正防止・検知に有効な証跡管理機能を備えているので、安全かつ効率的に帳票を管理することができるでしょう。
企業間での配信・受領は「invoiceAgent 電子取引」
「invoiceAgent 電子取引」は、企業間における帳票データの配信・受領を実現するソリューションです。
PDF形式の帳票データをアップロードするだけでWeb配信することができ、取引先が発行する帳票も「invoiceAgent 電子取引」を介して受け取れます。また、複数の取引がまとまった連続帳票としてPDFファイルが出力される場合も、自動で分割して適切な取引先に配信可能です。
デジタルインボイスの規格である「Peppol」経由のデータ送信に対応しているほか、適格請求書発行事業者の登録確認も行えるので、インボイス制度への対応という面でも有用です。
納品伝票の電子化・デジタル化を推進した事例
最後に、納品伝票の電子化・デジタル化を推進した事例をご紹介します。
月500~1,000枚に上る納品伝票の発行業務を効率化(ウエノフードテクノ)
食品添加物や洗浄除菌剤などの製造販売を行う株式会社ウエノフードテクノは、「invoiceAgent」を導入して納品書を含む各種紙帳票のペーパーレス&デジタル化を推進しています。
同社では従来、基幹システム「AS/400」からプリンターを介して各種取引帳票を出力し、FAXや郵送などで取引先に送付していました。たとえば納品伝票においては、全国の拠点で毎日500から1,000枚ほどの発行業務があり、取引先ごとに封入封緘して発送する作業に1人あたり30分から1時間程度を要していました。
そうしたなか、コロナ禍で出社が難しい状況になったことをきっかけに、同社は取引帳票のWeb配信化を検討開始。最終的に、「AS/400」と連携性が高く、なおかつ導入実績も豊富な「invoiceAgent」の導入に至りました。
導入後、帳票のWeb配信によるペーパーレス化が実現し、業務工数の大幅削減を達成。各種取引帳票の発行業務の負担が軽減したほか、郵送コストや取引先からの問い合わせ対応、残業時間の削減にもつながっています。
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株式会社ウエノフードテクノのinvoiceAgent導入事例をもっと見る
伝票電子化により事前出荷情報の提供を実現(加工食品メーカー)
ある加工食品メーカーでは、これまで紙の納品伝票を使っていたため、物流拠点や取引先での確認作業に時間を要し、受入処理のリードタイムが長くなるという課題を抱えていました。特に、出荷情報と納品情報の突き合わせ作業に多くの工数が発生しており、業務負荷が高止まりしていたのです。
そこで、現状の伝票レイアウトはそのままに、納品書、受領書を物流情報標準ガイドラインに準拠した納品データとして電子化できる仕組みとして「invoiceAgent」を導入。これにより、発荷主から着荷主へ納品前に事前出荷情報(ASN)が送られるようになり、受入処理の迅速化や、誤配送・誤受領といったトラブルの削減につながりました。
さらに、伝票の電子化によって紙の印刷・仕分け・保管といった非効率な業務が不要となり、物流担当者の作業負荷を軽減。物流2024年問題や改正物流関連2法に対する具体的な対策としても効果を発揮しています。
まとめ
今回は、納品伝票の意味や電子化が求められる背景、デジタル化を実現するソリューションを紹介しました。
納品伝票の電子化は、人手不足が深刻化する物流業界において重要なテーマであり、物流関連2法への対応という面でも有効です。
そして、納品伝票などの帳票類のデジタル化を実現するソリューションが、記事内でご紹介した「invoiceAgent」をはじめとするウイングアークのデジタル帳票基盤です。
納品伝票の電子化や物流関連2法への対応を検討中の方は、ぜひウイングアークにご相談ください。