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インボイス制度に向けた対応方法や申請手順、おすすめのシステムを徹底解説

法対応作成日:2022.12.22 更新日:2024.02.09

2023年10月のインボイス制度開始に伴い、対応・準備を進めている企業も多いことでしょう。

しかし一方で、
「具体的に何を準備すればよいの?」
「インボイス(適格請求書)の発行事業者になるには?」
「インボイス制度に対応するシステムは?」
といった疑問をお持ちの方もいらっしゃるのではないでしょうか。

この記事では、インボイス制度における対応・準備の方法や、デジタルインボイスへの注目が高まっている理由、インボイス制度とデジタルインボイスへの対応を実現する具体的なソリューションについて解説します。

【インボイス制度】発行準備だけでは不十分!

インボイス制度の開始に向けて、適格請求書の発行準備は済んでいるという企業も多い一方で、受領や保存についての対応は進んでいますか?
この資料では、今すぐ取りかかるべき改正電帳法への対応や経理担当者の業務負担増といった課題への解決策をわかりやすくご紹介します!

インボイス制度の概要

まず、インボイス制度の概要について簡単に確認しておきましょう。

インボイス制度とは、消費税の仕入税額控除に関する新制度の通称で、正式名称は「適格請求書等保存方式」と言います。
軽減税率制度への対応と益税の排除を主目的に、2023年10月から開始となりました。

インボイス制度の開始による主な変更点として、以下を挙げることができます。

  • 登録事業者のみがインボイス(適格請求書)を発行可能
  • 請求書への記載事項が変更
  • 経理業務の負担が増加

など

まず、インボイス制度の開始後、インボイス(適格請求書)を発行できるのは税務署による登録を受けた課税事業者のみとなります。
また、請求書の記載内容にも変更が生じ、現行の区分記載請求書にいくつかの記載事項が追加されます。
さらに、請求書の記載事項や確認事項が増えることで、従来よりも経理業務の負担が増加すると予想されています。

インボイス制度の概要や目的については以下の記事で詳しく解説しているので、あわせてご確認ください。

発行事業者の登録申請方法

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先述の通り、インボイス(適格請求書)を発行できるのは、適格請求書発行事業者として登録を受けた事業者のみです。

登録を受けるためには、所轄税務署に「適格請求書発行事業者の登録申請書(以下、登録申請書)」を提出し、税務署による審査・登録を受ける必要があります。

登録申請書の提出方法は以下の3通りです。

  • 所轄税務署へ持参
  • 所轄税務署へ郵送
  • e-Taxによる電子提出

所轄税務署に持参もしくは郵送する場合、国税庁ホームページから登録申請書をダウンロードし、会社名や所在地、法人番号といった登記情報などの必要事項を記入して提出します。
e-Taxによる電子提出の場合、画面に表示される質問に回答していく問答形式となっているので、入力漏れの心配がありません。

登録申請書の提出後、税務署による審査が行われます。
無事に登録された場合、適格請求書発行事業者登録簿に登載され、法定事項が公表されるほか、登録通知書が交付されます。e-Taxで電子申請した場合は、登録通知書を電子データで受け取ることも可能です。

なお、適格請求書発行事業者の登録を受けることができるのは、課税事業者のみとなります。
免税事業者が適格請求書発行事業者の登録を受けるには、「消費税課税事業者選択届出書」を提出して課税事業者になることが原則です。

ただし、2023年10月1日から2029年9月30日までの日が属する課税期間中に登録を受ける場合、経過措置として登録日から課税事業者となることができます。この経過措置の適用を受ける場合、「消費税課税事業者選択届出書」を提出する必要はありません。

請求書の記載事項の変更点

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インボイス制度の開始後、請求書への記載事項に変更が生じるため、既存の請求書フォーマットを修正する必要があります。
インボイス(適格請求書)には以下の項目を記載する必要があり、太字部分が新たに追加される記載事項です。

(1)書類の交付を受ける事業者の氏名または名称
(2)取引年月日
(3)取引内容(軽減税率の対象品目である場合はその旨)
(4)税率ごとに合計した対価の額および適用税率
(5)税率ごとに区分した消費税額等
(6)適格請求書発行事業者の氏名または名称、および登録番号

では、変更部分についてもう少し詳しく確認していきましょう。

(4)税率ごとに合計した対価の額および適用税率

10%(標準税率)の対象品目と8%(軽減税率)の対象品目を区別して、それぞれ合計金額を記載する必要があります。
上記画像は、10%対象の品目の合計額(税抜)が40,000円、8%対象の品目の合計額が40,000円の場合の記載例となっています。

(5)税率ごとに区分した消費税額等

10%の対象品目と8%の対象品目を区別して、それぞれ消費税額を記載します。
上記画像の例では、10%対象の品目および8%対象の品目の合計額がそれぞれ40,000円となっていますから、各合計金額にそれぞれの税率を掛けて、10%対象の消費税額は4,000円、8%対象の消費税額は3,200円となります。

(6)適格請求書発行事業者の氏名または名称、および登録番号

インボイスには、適格請求書発行事業者として登録を受けた際に付与される「登録番号」を記載する必要があります。
登録番号は、法人番号を有する事業者の場合は「T+法人番号」、それ以外の事業者の場合は「T+13桁の数字」となり、上記画像の例では「T1234567890123」が登録番号に該当します。

なお登録番号は、税務署から交付される登録通知書で確認できるほか、国税庁の「適格請求書発行事業者公表サイト」でも確認可能です。

実際の請求・支払業務で必要になる対応

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次は、実際の請求・支払業務で必要になる対応を確認していきましょう。

請求書を発行する側の企業

請求書を発行する側(受注側)の企業は、適格請求書発行事業者の申請・登録を行う必要があります。

あわせて、インボイス(適格請求書)の要件を満たすフォーマットに変更を行います。先述した記載事項を参考に、フォーマットの変更を行いましょう。

さらに、インボイス制度では発行したインボイスの写しを7年間保存することが義務付けられます。発行したインボイスの写しは、書面で保存する方法のほか、電子帳簿保存法の要件を満たしたうえで電子保存することも可能です。

インボイスの運用方法を事前に明確化しておき、電子保存を選択する場合には電子帳簿保存法への対応もあわせて進めましょう。

請求書を受領する側の企業

次に、請求書を受領する側(発注側)の企業の対応を確認していきましょう。
まず、取引先が適格請求書発行事業者か否かを確認・把握する必要があります。
取引相手が適格請求書発行事業者か免税事業者かで納付する消費税額が変わるため、場合によっては取引先の見直しを検討する必要があります。

また、取引先からインボイスを受領したら、必要事項が記載されているか、登録番号に誤りがないかを確認する必要があります。

このほか、受領側の企業にもインボイスを7年間保存することが義務付けられています。
取引先から電子データとしてインボイスが発行された場合、電子データのまま保存するためには電子帳簿保存法への対応が必要になることを覚えておきましょう。

デジタルインボイスへの切り替えも要検討

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インボイス制度の開始が迫るなか、デジタルインボイス(電子請求書)への切り替えを図る企業が増加しつつあります。
次は、デジタルインボイスが注目を集める背景と、デジタルインボイスに切り替えることで得られるメリットについて確認していきましょう。

デジタルインボイスが注目を集める背景

「社会的システム・デジタル化研究会」は、2020年に公表した「社会的システムのデジタル化による再構築に向けた提言」のなかで、インボイス制度の開始にあたって当初からデジタルインボイスを前提とした業務プロセスを構築すべきという考えを示しています。

また、同研究会の下部組織である「デジタルインボイス推進協議会(EIPA)」は、デジタルインボイスの標準仕様として日本版Peppolと言える「JP PINT」を策定しており、デジタル庁も一体となってデジタルインボイスの普及を推進しています。

デジタルインボイスに切り替えるメリット

では、従来の紙の請求書からデジタルインボイスへと切り替えることで、どのようなメリットが期待できるのでしょうか。
デジタルインボイスの主なメリットとして、大きく以下の4点を挙げることができます。

  • 請求業務の効率化
  • 取引の円滑化・迅速化
  • テレワークへの促進
  • ペーパーレスによるコスト削減

デジタルインボイスは、紙ベースの請求業務で発生する印刷や押印、発送準備といった作業が不要になるため、請求業務を効率化することができます。
請求業務の煩雑化が想定されるインボイス制度の開始後に備え、デジタルインボイスへの切り替えで請求業務の効率化を図るのは有効な策だと言えるでしょう。

また、発行したデジタルインボイスは即座に取引先へと配信できるため取引の円滑化・迅速化につながるほか、請求に関する一連の作業がデバイス上で完結するためテレワークの促進にも有効です。
さらに、印刷費や配送費といったコストの削減はもちろん、請求業務にかかる工数が削減されることで人件費の節約にもつなげられるでしょう。

インボイス制度への対応とデジタルインボイスへの切り替えを実現する「invoiceAgent 電子取引」

インボイス制度開始後の請求業務を効率化するには、デジタルインボイスへの切り替えが有効だとお伝えしました。
次は、インボイス制度への対応とデジタルインボイス(電子請求書)への切り替えを実現する具体的なソリューションとして、ウイングアーク1stが提供する「invoiceAgent 電子取引(インボイスエージェント 電子取引)」をご紹介します。

「invoiceAgent 電子取引」は、PDF化した請求書データをアップロードするだけでデジタルインボイスの送受信を行える電子取引プラットフォームです。
電子帳簿保存法の法的要件を満たすJIIMA認証製品なので、送る側・受け取る側のどちらも電子帳簿保存法に対応することができます。

さらに、デジタルインボイスの標準仕様であるPeppol経由のデータ送受信のほか、受領したインボイス(適格請求書)のデータ化や登録番号確認にも対応予定となっているため、インボイス制度に向けた準備にも効果的です。

「invoiceAgent」で請求業務を電子化した企業事例

最後に、インボイス制度への対応を見据えて「invoiceAgent」を活用している企業事例をご紹介します。

インボイス制度を視野に「invoiceAgent」を導入(三井住友ファイナンス&リース)

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総合リース会社の三井住友ファイナンス&リース株式会社は、「invoiceAgent」を導入して請求・支払業務のデジタルシフトを実現しました。

同社では従来、リース契約における請求・支払業務を紙ベースで運用しており、印刷・発送にかかるコストや郵送によるタイムラグが課題となっていました。
また、コロナ禍に入り全社的にリモートワークが進められるなか、紙ベースの請求・支払業務のために出社しなければならない状況も発生していました。

これらの課題を解消するため、同社は請求・支払業務のデジタルシフトを決断。
金融機関としての厳格なセキュリティ担保、そして電子帳簿保存法やインボイス制度への対応も視野に入れ、「invoiceAgent」を導入するに至りました。
第一弾として支払通知書を、第二弾として請求書を電子配信に切り替えることで、リモートワークの推進とコスト削減を実現。

今後、一部の請求書については約5万件、その他帳票も含めると約40万件以上の取引先への展開を想定しており、発送業務委託費および郵便料金にかかっていたコストを最大年間1億円削減することを目標に掲げています。

▼事例詳細はこちら
三井住友ファイナンス&リース株式会社のinvoiceAgent導入事例をもっと見る

インボイス制度への対応が決め手で「invoiceAgent」を導入(西武ホールディングス)

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西武グループの持株会社である株式会社西武ホールディングスは、「invoiceAgent」の導入によって経理業務の改革を実現しています。

グループ全体で「デジタル経営」を推進している同社は、NTTデータ・ビズインテグラルのERPパッケージ「Biz∫」を導入するなど、2019年から会計システムの刷新に取り組んできました。
しかし、2019年時点では電子帳簿保存法への対応ハードルが高く、受領する請求書のペーパーレス化は先送りとなっていました。
そうしたなか、コロナ禍に突入したことでテレワークの必要性が高まり、請求書のペーパーレス化についても"待ったなし"の状況となりました。

そこで同社は、すでに導入している「Biz∫」との連携が可能で、企業間取引文書の電子化および送受信、さらにインボイス制度や電子帳簿保存法にも対応できる点を評価し、「invoiceAgent」の導入を決定しました。
「invoiceAgent」によって、取引先がPDF形式で発行した請求書をアップロードするだけで、スムーズに受領できる仕組みを実現。
現在はグループ内23社に「invoiceAgent」を展開し、最終的には40社への展開を想定するなど、グループ全体のデジタル経営推進に大いに役立てられています。

▼事例詳細はこちら
株式会社西武ホールディングスのinvoiceAgent導入事例をもっと見る

まとめ

今回は、インボイス制度開始に向けて、企業が取るべき対応・準備をご紹介しました。

インボイス制度の開始後、請求業務は今まで以上に煩雑化することが予想されています。

制度開始後の請求業務を効率化するためにも、デジタルインボイスへの切り替えがおすすめです。

今回ご紹介した情報も参考に、「invoiceAgent 電子取引」でインボイス制度への対応準備およびデジタルインボイスへの切り替えに着手してみてはいかがでしょうか。

【インボイス制度】発行準備だけでは不十分!

インボイス制度の開始に向けて、適格請求書の発行準備は済んでいるという企業も多い一方で、受領や保存についての対応は進んでいますか?
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