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免税事業者とは?必要な届出やインボイス制度による影響を解説!

法対応作成日:2023.04.27 更新日:2024.03.02

消費税はあらゆる事業者に関係する税金であり、原則として国内の事業者は消費税の納税義務を負うことになります。
ただし、一定の要件に当てはまる事業者は「免税事業者」に該当し、消費税の納税義務が免除されるケースがあります。

一方で、
「免税事業者の判定基準は?」
「免税事業者に関係する届出は?」
「インボイス制度開始で免税事業者に影響はある?」
といった疑問をお持ちの方もいらっしゃるのではないでしょうか。

この記事では、免税事業者の概要や判定基準、必要な届出、さらにはインボイス制度による影響を解説していきます。
インボイス制度開始後の業務を効率化するソリューションも紹介しているので、ぜひ参考にしてみてください。

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免税事業者とは?

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免税事業者とは、消費税の納税義務を免除されている事業者のことを指します。
反対に、消費税の納税義務が課されている事業者のことを、課税事業者と呼びます。

では、免税事業者の判定基準や、よくある疑問について確認していきましょう。

免税事業者の判定基準

免税事業者に該当するか否かは、「基準期間の課税売上高」もしくは「特定期間の課税売上高・給与支払額」が判定基準となります。
原則として、「基準期間における課税売上高が1,000万円以下」の事業者は免税事業者に該当します。
この基準期間とは、法人の場合は前々年度、個人事業主の場合は前々年を指します。

ただし、上記に当てはまる場合でも、免税事業者ではなく課税事業者に該当するケースがあるため注意が必要です。
「特定期間における課税売上高が1,000万円超、なおかつ特定期間における給与支払額が1,000万円超」の場合、課税売上高が1,000万円以下でも課税事業者となります。
この特定期間とは、法人であれば前年度の期首から6ヶ月間、個人事業主であれば前年の1月1日~6月30日の6ヶ月間を指します。

免税事業者と判定される基準
  • 基準期間の課税売上高が1,000万円以下
  • 特定期間における課税売上高が1,000万円以下、なおかつ特定期間における給与支払額が1,000万円以下

なお、上記の基準で免税事業者に該当する場合でも、税務署に「消費税課税事業者選択届出書」を提出することで課税事業者に切り替えることが可能です。

新規開業した事業者が課税事業者に該当するケース

先述の通り、免税事業者の判定には「基準期間の課税売上高」もしくは「特定期間の課税売上高・給与支払額」を用います。
そのため、新規開業して1年目の事業者は基準期間・特定期間が存在せず、基本的には免税事業者となります。

ただし、事業年度開始における資本金もしくは出資金額が1,000万円超の新設法人や、相続によって事業を承継し、なおかつ被相続人の基準期間の課税売上金額が1,000万円超の個人事業主については、課税事業者に該当するため注意しましょう。

免税事業者が消費税を請求することは可能?

免税事業者にまつわるよくある疑問に、「免税事業者が消費税を請求することの可否」があります。
結論から述べると、免税事業者であっても取引先に対して消費税を請求することが可能です。

課税事業者の場合、「売上取引で預かった消費税額」から「仕入取引で支払った消費税額」を差し引いた金額を納税します。
一方で免税事業者の場合、消費税の納税義務が免除されるため、「売上取引で預かった消費税」がそのまま利益となり、この利益は「益税」と呼ばれます。

免税事業者の届出について

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課税事業者から免税事業者になる場合、あるいは免税事業者が課税事業者になる場合、所轄税務署にその旨の届出書を提出する必要があります。
では、免税事業者の選択に関する届出について確認していきましょう。

免税事業者を選択する場合の届出

課税事業者に該当していた事業者が、「基準期間および特定期間における課税売上高が1,000万円以下」となった場合には、「消費税の納税義務者でなくなった旨の届出書」を税務署に提出することで、課税事業者から免税事業者へと切り替わります。

この場合、「基準期間および特定期間における課税売上高が1,000万円以下」となった時点で速やかに提出する必要があります。

また、「基準期間および特定期間における課税売上高が1,000万円以下」でありながら自主的に課税事業者を選択していた事業者が、免税事業者へと戻ろうとする場合には、免税事業者に戻ろうとする課税期間が始まる前日までに「消費税課税事業者選択不適用届出書」を税務署に提出する必要があります。

ただし、過去に免税事業者から課税事業者に変更していた場合、2年間は免税事業者に戻ることができないため注意が必要です。

免税事業者が課税事業者になる場合の届出

後述するインボイス制度の開始などの理由から、免税事業者があえて課税事業者になるケースも存在します。
その場合、課税事業者となる課税期間が始まる前日までに「消費税課税事業者選択届出書」を提出する必要があります。
先述の通り、課税事業者選択届出書を提出して課税事業者になった場合、2年間は免税事業者に戻ることができないので注意が必要です。

なお、インボイス制度に関連して、適格請求書発行事業者の登録申請を行うために課税事業者を選択する場合は「消費税課税事業者選択届出書」を提出する必要がなく、適格請求書発行事業者の登録を受けた日から課税事業者になることができます。

以下の記事では、適格請求書発行事業者になるための申請方法など、インボイス制度への対応方法を詳しく解説しています。あわせてご確認ください。

インボイス制度による免税事業者への影響

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免税事業者・課税事業者を問わず、2023年10月開始の「インボイス制度(正式名称:適格請求書等保存方式)」について理解しておく必要があります。

インボイス制度とは、消費税の仕入税額控除に関する新制度のことで、軽減税率制度への対応と益税の排除が主な目的です。

次は、インボイス制度による免税事業者への影響を確認していきましょう。

適格請求書を発行できない

インボイス制度の開始に伴い、仕入税額控除を受けるためには「適格請求書(通称:インボイス)」の適正保存が必要になります。
そして、適格請求書を発行できるのは「適格請求書発行事業者」だけであり、登録事業者になることができるのは課税事業者のみです。

そのため、免税事業者は適格請求書を発行することができず、取引先から適格請求書の発行を要求された際に応じることができません。

取引を見直される可能性がある

適格請求書を発行することができない免税事業者は、顧客から取引を見直される可能性があります。

先述の通り、インボイス制度の開始後、課税事業者は消費税額控除を受けるためには適格請求書を適正保存しなければなりません。
つまり、免税事業者から仕入れを行っている場合、仕入取引で支払った分の消費税額を控除することができず、納税額の負担が大きくなってしまいます。

そのため免税事業者からの仕入取引は敬遠されやすくなり、場合によっては消費税額分の値引きを要求される可能性もあります。

なお、インボイス制度開始後の6年間については、免税事業者からの仕入であっても一定の消費税額控除を認める経過措置が設けられています。

  • 2023年10月1日から2026年9月30日までは仕入税額相当額の80%
  • 2026年10月1日から2029年9月30日までは仕入税額相当額の50%

また、一般消費者や免税事業者向けに売上取引を行っている事業者であれば、取引先が仕入税額控除を行わないため、免税事業者のままでいることの影響は限定的だと言えます。

課税事業者になるか否かの判断

先述した一部の免税事業者を除き、BtoBの売上取引がある多くの免税事業者はインボイス制度開始に向けて課税事業者になるか否かの選択を迫られています。

免税事業者は主に中小事業者や個人事業主であり、課税事業者に切り替えた場合の事務処理負担がネックとなってしまいがちです。
たとえば、免税事業者から課税事業者になる場合、今までは免除されてきた消費税の納税に関する事務処理を行わなければなりません。
また、適格請求書は現行の区分記載請求書よりも記載項目が多く、請求書発行・受領の際の確認工数も増加が予想されます。

納税の事務処理や請求関連業務に割けるリソースが限られている場合には、簡易課税制度の利用も一策です。

簡易課税制度の適用には一定の条件がありますが、仕入税額控除に関連する事務処理負担を軽減することができ、通常の課税事業者のように適格請求書の登録事業者になることもできるため、免税事業者から課税事業者への切り替えを予定している場合には検討してみることをおすすめします。

請求関連業務の効率化なら「invoiceAgent」

先述した通り、免税事業者がインボイス制度を機に課税事業者となる場合、消費税額に関する事務処理負担が増加するだけでなく、請求書発行・受領に関する業務も煩雑化することが予想されます。
そのため、インボイス制度対応と合わせて、請求関連業務の効率化を図るべきだと言えます。

また、インボイス制度による直接的な影響がないBtoCの免税事業者においても、請求関連業務の効率化は取り組むべき課題のひとつと言えるでしょう。

次は、請求関連業務の効率化に役立つ具体的なソリューションとして、ウイングアーク1stが提供する「invoiceAgent 電子取引(インボイスエージェント電子取引)」をご紹介します。

請求書発行・受領を電子化

「invoiceAgent 電子取引」は、請求書をはじめとした企業間取引文書の送受信を電子化するソリューションです。

PDF形式の請求書をアップロードするだけで取引先に配信することができ、取引先から発行される関連書類も「invoiceAgent 電子取引」を介して受け取ることができます。
そのため、既存の請求書フォーマットはそのままに、請求書の発行・受領の電子化を実現可能です。

また、請求書などの帳票を電子化する際には、電子帳簿保存法に対応する必要がありますが、「invoiceAgent 電子取引」は電子帳簿保存法の法的要件を満たす製品の証である「JIIMA認証」を取得しています。
そのため、独自に運用体制を整備する手間を掛けずに、請求書を送る側も受け取る側も電子帳簿保存法に対応することが可能です。

インボイス制度に対応する充実の機能

「invoiceAgent 電子取引」には、インボイス制度に対応する機能が備わっています。

「invoiceAgent 電子取引」は、電子化した適格請求書、いわゆるデジタルインボイスの標準規格である「Peppol」フォーマットへの変換や、Peppolネットワーク経由のデータ送受に対応しています。
また、「invoiceAgent 電子取引」上で適格請求書発行事業者の登録番号を照合するができる機能も搭載予定です。

これらの特徴により、単に請求関連業務を電子化するだけでなく、インボイス制度に最適化された体制を構築することができるでしょう。

まとめ

今回は、消費税の免税事業者に焦点を充てて、その概要や必要な届出、インボイス制度による影響についてご紹介しました。

2023年10月のインボイス制度開始後、免税事業者は適格請求書を発行することができないため、課税事業者に変更するか否かを検討する必要があります。

そして、インボイス制度開始に伴い請求書発行・受領の実務面でも変更が生じ、負担増加が予想されることから、請求関連業務の効率化に着手することをおすすめします。

今回ご紹介した情報も参考に、「invoiceAgent」で請求関連業務の電子化・効率化を検討してみてはいかがでしょうか。

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