テレワークの基礎知識
テレワークの基礎知識として、その概要や種類、リモートワークとの違いについて確認していきましょう。
テレワークとは
テレワークは「Tele(遠隔)」と「Work(働く)」を組み合わせた造語です。
テレワークを簡単に説明すると、インターネットなどのIT技術を使って、普段のオフィスとは違う場所で働くことを指します。
厚生労働省では、テレワークを「情報通信技術(ICT=Information and Communication Technology)を活用した時間や場所を有効に活用できる柔軟な働き方」と定義づけています。
(引用:テレワークとは | テレワーク総合ポータルサイト)
現在、日本では政府主導による働き方改革を推進しています。
働き方改革とは「働く人々が、個々の事情に応じた多様で柔軟な働き方を、自分で選択できるようにするための改革」であり、「時間や場所に縛られない柔軟な働き方」であるテレワークと深く関係していることがわかります。
(引用:働き方改革~一億総活躍社会の実現に向けて|厚生労働省)
そして、テレワークの導入は企業・従業員の双方にメリットをもたらすことから、近年では多くの企業がテレワーク導入に着手し始めています。
テレワークの種類
テレワークと聞くと、在宅勤務をイメージする方も多いのではないでしょうか。
じつは、在宅勤務はテレワークの1形態であり、それ以外にもテレワークに該当する働き方が存在します。
まず、テレワークは大きく以下の2種類に分けることができます。
- 雇用型テレワーク…企業に勤める人(被雇用者)が行うテレワーク
- 自営型テレワーク…個人事業主や小規模事業者などが行うテレワーク
世間一般で用いられているテレワークは前者の雇用型テレワークであり、さらに3つの形態に細分化することができます。
- 在宅勤務…オフィスに出勤せず自宅で就業する勤務形態
- サテライト勤務…サテライトオフィスなど、本拠地以外の遠隔施設で就業する勤務形態
- モバイルワーク…移動中や顧客先、飲食店などで就業する勤務形態
一方の自営型テレワークは、主に個人事業主や小規模事業者などが対象であり、注文者から委託を受け、IT技術などを活用して自宅や自宅に準ずる場所で就労する形態です。
テレワークとリモートワークの違い
テレワークとリモートワークに違いがあるのか気になっている方もいらっしゃるのではないでしょうか。
リモートワークは「Remote(遠隔)」と「Work(働く)」を組み合わせた造語であり、本拠地のオフィスとは離れた遠隔地で働く就労形態を指します。
国や自治体ではテレワークという言葉を用いるのが一般的ではありますが、世間ではテレワーク・リモートワークのどちらも浸透しています。
そのため、テレワークとリモートワークは同じような意味合いという認識で基本的には問題ないでしょう。
テレワーク導入のメリット
先述の通り、テレワークの導入には企業側・従業員側の双方に大きなメリットがあります。
ここでは、テレワーク導入のメリットを企業側・従業員側の視点から解説していきます。
企業側のメリット
テレワークの導入は、企業側に以下のようなメリットをもたらします。
- コスト削減
- 人材獲得・離職防止
- 事業継続性の向上
各メリットについて詳しく見ていきましょう。
コスト削減
テレワーク導入のメリットとして、コスト削減を挙げることができます。
たとえば、テレワークを導入して出社の必要がなくなることで、従業員の交通費を抑えることができるほか、オフィスを縮小して固定費を削減することもできるかもしれません。
また、テレワークの導入は、紙ベースで行われていたアナログ業務をデジタル化するきっかけにもなります。
業務のデジタル化により、紙文書・資料の印刷や郵送、保管スペースのコストを削減できるほか、業務効率化によって人的コストも抑えることが可能です。
テレワーク環境の整備にはシステム導入などの初期コストが発生しますが、中長期的な視点ではコスト削減に大きな成果を期待できるでしょう。
人材獲得・離職防止
テレワークを導入することで、優秀な人材の獲得や、従業員の離職防止に効果が期待できます。
たとえば、オフィスから遠い場所に住んでいる人でも、テレワークの環境さえ整っていれば問題なく採用できるでしょう。
「通勤圏内に住居がある」という条件に縛られなくなるため、獲得できる人材の幅がグッと広がります。
また、テレワークが導入できれば、社員にとって働きやすい環境になり、会社への満足度が高くなります。
結婚・出産・育児・介護といったライフステージの変化にも対応できる会社になり、社員の離職防止が期待できるでしょう。
事業継続性の向上
テレワークの導入によって事業継続性が向上し、BCP対策としても効果を発揮します。
BCPとは、事業継続計画(Business Continutiy Plan)の頭文字を取った言葉で、災害やトラブルなどの緊急事態の際、損害を最小限に抑えつつ中核業務を継続もしくは早期復旧するための計画を指します。
平時からテレワークを実施できる環境を整えておくことで、オフィスの損壊や移動制限などで出社することができない状況でも、業務の完全停止を防ぐことができるでしょう。
従業員側のメリット
テレワーク導入による従業員側の主なメリットとして、以下の3点を挙げることができます。
- ライフワークバランスの実現
- 業務効率・生産性の向上
- 育児や介護、病気療養との両立
従業員側の各メリットについて詳しく見ていきましょう。
ライフワークバランスの実現
テレワークを導入することで、従業員のライフワークバランス実現に効果が期待できます。
たとえば、在宅勤務であれば通勤時間が不要になり、サテライトオフィス勤務の場合も通勤時間を短縮できるでしょう。
モバイルワークであれば、これまでオフィスに戻って行っていた業務を、移動中や外出先のすきま時間で実施できるようになり、直行直帰しやすくなります。
このように、これまで通勤や残業に割かれていた時間を、家族や友人と過ごす時間や趣味、勉強などのプライベート時間に充てることができ、ライフワークバランスの向上につなげることが可能です。
業務効率・生産性の向上
テレワークの導入は、業務効率や生産性の向上にも寄与します。
先述の通り、テレワークの導入は業務のデジタル化を進めるきっかけにもなります。
手作業で行われていたアナログ業務を電子化・自動化することで、業務効率の大幅な改善が見込め、より生産性の高い業務に注力することができます。
また、オフィスで発生しがちな自身に関係のない電話の取り次ぎや来客対応もないため、自分の業務に集中することができるでしょう。
育児や介護、病気療養との両立
育児や介護、病気療養と仕事を両立しやすいという点も、テレワークのメリットだと言えます。
オフィス勤務を基本とした就労形態では、育児や介護、病気療養といった事情を抱えている従業員がフルタイム勤務を行えないケースもあるでしょう。
しかし、働く場所・時間を柔軟に選択できるテレワークであれば、個々の事情にあわせた働き方で仕事を継続しやすくなるでしょう。
テレワークのデメリット
テレワークの導入は多くのメリットが期待できる一方、いくつかのデメリットも存在します。
ただし、これらのデメリット・課題の多くは解消することが可能です。
次は、テレワーク導入によるデメリット・課題を企業側・従業員側の視点に分けて見ていきましょう。
企業側のデメリット
テレワークの導入によって、企業側が感じるデメリットとして以下を挙げることができます。
- 勤怠管理・業務管理の複雑化
- セキュリティリスク
それぞれ詳しく見ていきましょう。
勤怠管理・業務管理の複雑化
テレワークを導入することで、勤怠管理や業務管理が複雑化してしまうという懸念があります。
従来のオフィス勤務では、従業員の出勤状況や業務の進捗などをその場で確認・把握することができますが、テレワークではそれができません。
しかし、工夫次第でテレワーク時の勤怠や業務進捗を管理することは可能です。
たとえば、勤怠管理システムを導入したり、就業時のオンライン朝礼や退勤時の日報提出をルール化したりすることで、テレワークであっても勤怠管理や業務管理を行うことができるでしょう。
セキュリティリスク
テレワーク導入のデメリットとして、セキュリティリスクも挙げることができます。
テレワークを導入することで、従業員はオフィスを離れたさまざまな場所で仕事をすることになります。
そのため、端末を紛失したり、業務中のPC画面を第三者に覗き見されたり、といったリスクが高くなります。また、利用した公共ネットワークから機密情報が漏えいしてしまうリスクも考えられるでしょう。
こうしたリスクを解消するために、適切なセキュリティ対策を行った上で、テレワーク時のガイドラインを策定するなどして、セキュリティ意識を高めることが大切です。
従業員側のデメリット
テレワーク導入による従業員側のデメリット・課題として、以下を挙げることができます。
- コミュニケーション不足
- オンオフの切り替え
それぞれ詳しく見ていきましょう。
コミュニケーション不足
テレワークの課題として、従業員間のコミュニケーション不足を挙げることができます。
対面でのコミュニケーション機会が減少することで、伝達ミスの増加やチームワークの低下、場合によっては従業員のストレス増加を招いてしまう可能性もあります。
しかし、近年ではチャットツールやWeb会議ツールなど、業務上のコミュニケーションをオンライン上で行うためのサービスが数多く存在します。
このようなツール・サービスを有効活用することで、テレワーク中のコミュニケーション不足を解消することは十分に可能だと言えるでしょう。
オンオフの切り替えが難しい
テレワークはオフィスに出社しないため、人によっては「オンオフの切り替えが難しい」と感じるかもしれません。
従来のオフィス勤務では、プライベートな環境から隔離されるため、仕事モードへの切り替えが容易だと言えます。
一方のテレワーク、とくに在宅勤務においては、プライベートと仕事の線引きが曖昧になってしまい、オンオフを上手く切り替えられないケースが考えられます。
オンオフの切り替えが上手くいかずに業務に集中できない、あるいは長時間働き続けてしまうといった状況を防ぐためにも、オフィス勤務以上に自己管理能力が求められるでしょう。
テレワーク導入状況と課題
次に、国内企業におけるテレワークの導入状況や導入目的、導入のハードルとなっている課題について見ていきましょう。
テレワークの導入状況
総務省が公表している「令和2年通信利用動向調査報告書(企業編)」によれば、テレワークを「導入している」と回答した企業は全体の47.4%であり、前回調査時(令和元年)の20.1%から大きく増加しています。
また、「今後導入予定がある」と回答した企業と合わせると全体の58.0%となり、6割弱の企業がテレワークを導入済みもしくは導入を予定していることになります。
また、テレワーク導入企業を対象とした「テレワークの導入目的」についてのアンケートでは、「非常時の事業継続に備えて」が68.3%ともっとも多く、次いで「移動時間の短縮・混雑回避」や「業務の効率性(生産性)の向上」、「勤務者のワークライフバランスの向上」といった回答も上位となっています。
気になるテレワークの効果ですが、「非常に効果があった」「ある程度効果があった」と回答した企業は全体の70%以上で、多くの企業がテレワーク導入の効果を実感していることが示されています。
テレワーク導入の課題
少数派になりつつあるテレワーク未導入企業は、なぜテレワークを導入しないのでしょうか。
先述の令和2年通信利用動向調査報告書(企業編)では、テレワークを導入しない理由として、以下のような点が挙げられています。
- テレワークに適した仕事がない
- 業務の進行が難しい
- 情報漏洩が心配
- 文書の電子化が進んでいない
たしかに、対面での接客を伴うサービス業や運送業などの業界では、全面的なテレワークの導入が難しいケースも少なくないでしょう。
また、オフィス以外の環境では業務の進行が難しい、紙ベースの業務が多く残っている、情報漏洩が心配といった懸念を抱いている企業も多いようです。
テレワーク導入を推進するポイント
テレワークを推進したいと考えているものの、先述したような課題から導入に踏み切れない企業は少なくありません。
しかし、以下に解説するポイントを押さえることで、先述した課題の多くを解消することが可能です。
- ペーパーレス化・デジタル化が不可欠
- 変革を進める文化醸成・意識共有
次は、テレワーク導入を推進するためのポイントについて確認していきましょう。
ペーパーレス化・デジタル化が不可欠
先述した課題を解消し、テレワーク導入を推進していくためには、文書のペーパーレス化や業務のデジタル化がカギとなります。
そして、ペーパーレス化・デジタル化を実現するには、ITシステム・ツールの活用が不可欠です。
たとえば、電子帳票サービスや電子契約サービス、ワークフローシステムなどを導入することで、企業間取引文書や社内文書の電子化を実現可能です。
また、業務上のコミュニケーションやタスク管理、勤怠管理などをオンライン上で行えるシステムも数多く存在するため、業務の進行が難しいという課題も解決できるでしょう。
情報漏洩などのリスクに関しても、適切な対策を取ることで十分に解消可能です。
上記に挙げた文書を電子化するサービスには、証跡管理機能や閲覧権限機能などが備わっているものも多く、アナログな手法による情報管理よりも堅牢なセキュリティを実現することができます。
このようにITシステム・ツールを活用してペーパーレス化・デジタル化を進めることで、テレワークの導入が難しいとされる業界であっても、経理部門や人事部門といったバックオフィス部門を中心にテレワークを推進できる可能性は十分にあると言えるでしょう。
変革を進める文化醸成・意識共有
業務のデジタル化やペーパーレス化を実現するITシステム・ツールの導入がカギとお伝えしましたが、それだけではテレワークの定着は見込めません。
せっかくITシステム・ツールを導入したとしても、従業員に活用されなければ、テレワークの推進・定着はおろか、ペーパーレス化やデジタル化は進まないでしょう。
テレワークを導入する意義やメリット、ペーパーレス化・デジタル化が必要な理由を社内全体で共有し、変革を進める文化を醸成していくことが必要です。
テレワーク導入・推進を実現するシステムは
テレワーク推進のポイントについてご紹介しましたが、具体的に何から着手すべきか迷ってしまう企業も多いことでしょう。
そのような場合、ウイングアーク1stが提供する帳票DXソリューションの導入を検討してみてはいかがでしょうか。
帳票DXソリューションによって、企業が扱うビジネス文書のペーパーレス化を実現し、テレワークの促進・定着を実現します。
次は、帳票DXソリューションの機能や特徴を簡潔にご紹介します。
帳票の電子化・一元管理(invoiceAgent 文書管理)
「invoiceAgent 文書管理」は、企業が扱うビジネス文書を電子化し、ガバナンス強化や業務効率化を実現する文書活用ソリューションです。
従来紙ベースで運用していた帳票を、高精度のOCR(光学文字認識機能)でデータ化し、目視による確認や修正作業の工数を大幅に削減することができます。
また、タイムスタンプ機能や証跡管理機能、検索機能が備わっているため、改ざんなどの不正を防止しつつ、文書管理の負担を軽減します。
JIIMA認証を取得しているソフトウェアなので、電子帳簿保存法への対応も同時に実現可能です。
請求書など電子帳票の送受信(invoiceAgent 電子取引)
「invoiceAgent 電子取引」は、企業間取引文書の送受信を可能にする電子取引プラットフォームです。
専用サイトを介して帳票データの配信・返信を行うことができるので、在宅勤務などのテレワーク時でも業務を円滑に進めることが可能です。
紙の帳票を希望する取引先向けの郵送サービスもあるため、紙帳票と電子帳票のハイブリッド運用も実現できます。
また、電子化した帳票データは取引先ごとに自動で分割されるため、手作業で仕分け作業の負担を軽減することが可能です。
また、簡易承認フロー機能や画像イメージ付加機能が備わっているため、従来の業務フローを大幅に変更することなく導入することができるでしょう。
テレワークの導入・推進の成功事例
次に、「invoiceAgent」を活用してテレワークの導入・推進を実現した企業の事例を見ていきましょう。
テレワーク推進とコスト削減に効果を発揮(三井住友ファイナンス&リース)
国内トップクラスの総合リース会社である三井住友ファイナンス&リース株式会社(以下、SMFL)は、「invoiceAgent」を導入し、テレワークの推進およびコスト削減を実現しています。
SMFLでは、新型コロナウイルス感染症の流行により全社的なテレワーク推進に着手したものの、請求・支払における帳票の発行および郵送業務のために、出社せざるを得ない状況が課題となっていました。
「invoiceAgent」の導入により、取引先の一部から電子配信をスモールスタートし、段階的に適用範囲を拡大。
現在は約1200件の取引先が電子配信へと切り替えられ、テレワーク推進とコスト削減の効果を実感しています。
▼事例詳細はこちら
三井住友ファイナンス&リース株式会社のinvoiceAgent導入事例を見る
テレワーク推進に加えて電帳法対応を実現(JFEスチール)
世界有数の鉄鋼メーカーであるJFEスチール株式会社は、「invoiceAgent」を導入し、テレワーク下での請求業務の効率化およびペーパーレス化を実現しています。
新型コロナウイルス感染症の流行で自社および取引先がテレワークに移行するなか、従来紙で郵送していた請求書の電子化ニーズが高まっていました。
また、全社的に脱ハンコおよびペーパーレス化を推進する計画があり、「invoiceAgent」導入による請求書のWeb配信への切り替えに着手。
請求書のWeb配信の実現により、請求業務の負担が大幅に軽減されたほか、発行から取引先に届くまでのタイムラグも解消されました。
また、電子帳簿保存法に対応するための基盤が整理されるなど、帳票のデジタル化・ペーパーレス化推進に手ごたえを実感しています。
▼事例詳細はこちら
JFEスチール株式会社のinvoiceAgent導入事例を見る
まとめ
今回は、テレワークの基礎知識や導入状況、テレワーク推進のポイントや事例をご紹介しました。
テレワークの導入は企業・従業員の双方に多くのメリットが期待できます。そして、テレワークをスムーズに導入するためにも、ペーパーレス化・デジタル化は不可欠と言えるでしょう。
テレワーク推進を検討している企業は、今回ご紹介した情報を参考にテレワーク導入に向けたペーパーレス化・デジタル化に着手してみてはいかがでしょうか。