帳票ナビ

適格請求書とは?インボイスの記載項目や発行事業者の登録手順などを解説!

法対応作成日:2023.03.17 更新日:2024.02.08

インボイス制度の開始伴い、「適格請求書」というキーワードを耳にする機会が増えてきました。

一方で、
「適格請求書はいままでの請求書と何が違うの?」
「適格請求書を発行するには?」
「適格請求書の運用を効率化する方法は?」
といった疑問をお持ちの方もいらっしゃるのではないでしょうか。

この記事では、適格請求書の概要や発行事業者になるための申請方法、適格請求書の運用を効率化する方法について解説します。

【インボイス制度】発行準備だけでは不十分!

インボイス制度の開始に向けて、適格請求書の発行準備は済んでいるという企業も多い一方で、受領や保存についての対応は進んでいますか?
この資料では、今すぐ取りかかるべき改正電帳法への対応や経理担当者の業務負担増といった課題への解決策をわかりやすくご紹介します!

適格請求書とは?

2211_the-qualified-invoice_02.jpg

適格請求書とは、2023年10月開始予定のインボイス制度に対応する請求書の様式で、「インボイス」とも呼ばれます。

現行の請求書(区分記載請求書)とは記載項目が異なったり、発行するための条件も規定されているため、事業者はその内容について理解しておく必要があります。

ここでは、適格請求書を理解する上で欠かせないインボイス制度と適格請求書発行事業者の概要を確認していきましょう。

インボイス制度の概要

インボイス制度とは仕入税額控除に関する新しい制度で、正式名称を「適格請求書等保存方式」と言います。
益税の排除および複数税率の課題解消を目的に、2023年10月に開始となりました。
インボイス制度の開始後、事業者が仕入税額控除を受けるためには、適格請求書の適正保存が必要になります。

インボイス制度について詳しく知りたい方は、以下の記事もあわせてご確認ください。

適格請求書発行事業者について

インボイス制度の開始後、どの事業者も自由に適格請求書を発行できるわけではありません。
適格請求書を発行できるのは、所轄税務署に事前申請を行い、適格請求書発行事業者として登録を受けた事業者のみです。

また、適格請求書発行事業者として登録できるのは課税事業者のみです。
そのため、免税事業者は「課税事業者になる」もしくは「免税事業者のままでいる」という選択を迫られることになります。

適格請求書発行事業者の登録・申請手順

2211_the-qualified-invoice_03.jpg

前述の通り、適格請求書(インボイス)を発行するには、適格請求書発行事業者として登録を受ける必要があります。
次は、適格請求書発行事業者の登録・申請手順について確認していきましょう。

登録申請書の作成

まず、「適格請求書発行事業者の登録申請書(以下、登録申請書)」を作成します。

登録申請書は国税庁のサイトでダウンロードすることができ、記載例のPDFファイルも参照可能です。
記載事項としては、所在地や名称、代表者氏名などの登記情報のほか、課税・免税の事業者区分や登録要件の確認事項などがあります。
免税事業者の場合、課税事業者としての登録に関する確認事項も回答する必要があります。

また、郵送以外にe-TAXによる電子申請も可能です。
e-TAXを使った電子申請の場合、画面に表示される質問に順番に回答していく形式なので入力漏れの心配がなく、後述する審査期間も短いためおすすめです。

登録申請書の提出

次に、作成した登録申請書を国税庁に提出します。

登録申請書を書面で郵送する場合は、管轄地域の「インボイス登録センター」宛てに送付します。

郵送での申請のほか、e-Taxでの電子申請も可能です。
e-Taxでの申請であれば、画面に表示される質問に回答していくことでスムーズに申請データを作成することができ、登録通知をデータで受け取ることができるため、特別な事情がないのであればe-Taxでの申請をおすすめします。

登録通知書の受け取り

登録申請書の提出後、税務署による審査が行われます。

審査にかかる期間は提出方法によって異なり、郵送での提出の場合は約1ヶ月半、e-TAXでの提出の場合は約3週間が目安となっています。
ただし、記載内容に誤りがある場合などは、上記の目安よりも時間がかかる可能性があります。

無事に審査を終えると、適格請求書発行事業者登録簿に登載されて法廷事項が公表されるほか、登録通知書が交付されます。e-TAXで電子申請を行った場合は、登録通知書を電子データとして受け取ることも可能です。

登録通知書を受け取ったら、取引先に登録番号を通知しておきましょう。

適格請求書(インボイス)の記載項目・書き方

img_point02.png

次に、適格請求書(インボイス)の記載項目について確認していきましょう。
適格請求書には以下の項目を記載する必要があり、太字部分が新たに追加される記載事項です。

(1)書類の交付を受ける事業者の氏名または名称
(2)取引年月日
(3)取引内容(軽減税率の対象品目である場合はその旨)
(4)税率ごとに合計した対価の額および適用税率
(5)税率ごとに区分した消費税額等
(6)適格請求書発行事業者の氏名または名称、および登録番号

では、各記載項目の書き方を確認していきましょう。

(1)書類の交付を受ける事業者の氏名または名称

書類の交付を受ける事業者、つまり取引先の氏名または名称を記載します。
宛名が氏名の場合には「様」、企業名の場合には「御中」を敬称として付けましょう。

(2)取引年月日

取引内容ごとに取引が発生した日付を記載しましょう。

(3)取引内容(軽減税率の対象品目である場合はその旨)

取引内容として品目を記載します。
なお、軽減税率の対象品目が含まれる場合にはその旨を明記する必要があります。
軽減税率の対象品目に「※」を付け、注釈として「※軽減税率対象」などと記載する方法があります。

(4)税率ごとに合計した対価の額および適用税率

標準税率(10%)と軽減税率(8%)を区別して、税率ごとに合計した対価の額および適用税率を記載しましょう。

(5)税率ごとに区分した消費税額等

標準税率(10%)と軽減税率(8%)の消費税額をそれぞれ算出し、税率ごとに区分した消費税額等を記載しましょう。

(6)適格請求書発行事業者の氏名または名称、および登録番号

適格請求書発行事業者の氏名または名称、および登録番号を記載します。
とくに登録番号については、適格請求書で新たに追加される項目なので、忘れないよう注意が必要です。
登録番号は、法人番号を有する事業者の場合は「T+法人番号」、それ以外の事業者の場合は「T+13桁の数字」で、登録通知書で確認できるほか、国税庁の「適格請求書発行事業者公表サイト」でも確認することができます。

適格請求書(インボイス)を電子化すべき理由とは?

2211_the-qualified-invoice_04.jpg

インボイス制度の開始を控え、電子化した適格請求書(インボイス)、いわゆるデジタルインボイスの導入を検討する企業が増えつつあります。
適格請求書の電子化が注目を集めているのには、インボイス制度開始後の請求関連業務の負担が関係しています。
では、適格請求書を電子化するべき理由について確認していきましょう。

インボイス制度によって請求関連業務の負担が増加

インボイス制度の開始後、請求関連業務は今まで以上に煩雑化すると推測されています。

買い手側の企業においては、取引先が適格請求書発行事業者か否かで仕分け作業を行う必要があるほか、適格請求書の要件を満たしているかを確認したり、登録番号を照合したりといった作業も発生します。
また、売り手企業においては従来よりも請求書に記載しなければならない項目が増え、税率ごとの合計額や消費税額を算出しなければなりません。

このように、インボイス制度が始まることで買い手側・売り手側の双方の負担が増加し、請求関連業務がひっ迫してしまうことが懸念されているのです。

電子化で請求関連業務の負担を軽減

インボイス制度によって増加する請求関連業務の負担は、適格請求書の発行や授受、保管という一連の業務を電子化することで軽減可能です。

一連の請求業務を電子化することで、紙ベースの請求関連業務で発生する非効率な手作業や目視による確認の負担を削減することができ、ヒューマンエラーの防止や取引の迅速化につなげることができます。

また、「社会的システム・デジタル化研究会」が発表した「社会的システムのデジタル化による再構築に向けた提言」では、インボイス制度の開始にあたって、当初からデジタルインボイス(電子化された適格請求書)を前提とした業務プロセスを構築すべきと示されてます。

適格請求書の運用を電子化するなら「invoiceAgent」

次は、適格請求書の運用を電子化する具体的なソリューションとして、ウイングアーク1stが提供する「invoiceAgent(インボイスエージェント)」をご紹介します。
「invoiceAgent」は、電子帳簿保存法の法的要件を満たす「JIIMA認証」を取得している製品で、適格請求書の電子化による業務効率化と法対応を同時に実現することが可能です。

では、「invoiceAgent」の特徴を見ていきましょう。

適格請求書の送受信を電子化する「invoiceAgent 電子取引」

「invoiceAgent 電子取引」は、適格請求書の送受信を電子化するソリューションです。

PDF形式の適格請求書をアップロードするだけで、取引先との間で電子的に授受することが可能です。
電子インボイスの標準規格である「Peppol」経由のデータ送受信が可能で、受領した適格請求書のデータ化や適格請求書発行事業者の登録確認も「invoiceAgent 電子取引」上で対応できます。

紙の適格請求書をデータ化する「invoiceAgent AI OCR」

「invoiceAgent AI OCR」は、紙文書のデータ化を実現するソリューションです。

搭載している5つのOCR/AI OCRエンジンと、読み取り画像の歪み・傾きを自動補正する機能によって、活字・手書き文字を問わず高い精度でデータ化することができます。
これにより、取引先から紙媒体で受領した請求書や自社で発行・保存している請求書の写しをデータ化し、検索性の向上や保管コストの削減につなげることが可能です。

適格請求書の管理を電子化する「invoiceAgent 文書管理」

「invoiceAgent 文書管理」は、文書データの一元管理を実現するソリューションです。

「invoiceAgent」で発行した文書データはもちろん、他システムで作成・出力した文書データもまとめて取り込み、自動で仕分け・保存を実行します。
適格請求書はもちろん、取引で発生する帳票データをまとめて管理することができ、高度な検索機能で必要な文書を速やかに参照・出力することができます。
また、保存期間に応じた自動削除機能や証跡管理機能を備えているため、文書のライフサイクルマネジメントを効率化することが可能です。

インボイス制度を見据えた「invoiceAgent」導入事例

最後に、「invoiceAgent」を活用してインボイス制度への対応準備を進めた企業事例をご紹介します。

インボイス制度を視野に請求業務のデジタルシフトを推進(三井住友ファイナンス&リース)

case_smfl.png

総合リース会社の三井住友ファイナンス&リース株式会社は、「invoiceAgent」の導入によってリモートワークの推進とコスト削減を実現しました。

同社では従来、リース契約のお客様への請求業務や、メーカー・販売会社への支払業務を紙ベースで行っており、郵送によるタイムラグや印刷・発送のコストが課題となっていました。
また、コロナ禍に入り全社的にリモートワークへの切り替えが進むなか、請求書の発行・郵送業務のために出社しなければならない状況も発生。

これらの課題を解消して既存の帳票資産を活用すること、そして今後のインボイス制度や電子帳簿保存法への対応を視野に入れ、「invoiceAgent」による請求・支払業務のデジタルシフトに着手しました。

第一弾として支払通知書を、第二弾として請求書の電子化を進めており、一部の請求書については約5万件の取引先への展開を目指しているほか、発送業務委託費と郵送料金のコストを年間1億円削減することを目標としています。

▼事例詳細はこちら
三井住友ファイナンス&リース株式会社のinvoiceAgent導入事例をもっと見る

インボイス制度対応が決め手で「invoiceAgent」を導入(西武ホールディングス)

case_seibu.png

グループ全体でデジタル経営を推進する株式会社西武グループは、「invoiceAgent」で請求書の電子化を実現しました。

同社ではNTTデータ・ビズインテグラルのERPパッケージ「Biz∫」を導入するなど、2019年から会計システムの刷新に取り組んでいましたが、受領した請求書の電子データ保存に関しては先送りとなっていました。
しかし、2020年にコロナ禍に突入し、2022年1月には電子帳簿保存法が改正されたことで、ペーパーレス化は“待ったなし”の状況であると判断。
すでに導入しているERPパッケージ「Biz∫」との連携が可能で、なおかつインボイス制度や電子帳簿保存法に対応可能な点が決め手となり、「invoiceAgent」の導入に至りました。

これにより、取引先がPDF形式で請求書を発行・アップロードするだけで、請求書データを受領できる仕組みを実現。
現在、グループ23社に「invoiceAgent」の展開が進んでおり、最終的にはグループ40社での導入を予定するなど、西武グループ全体としてのデジタル経営推進に役立てられています。

▼事例詳細はこちら
株式会社西武ホールディングスのinvoiceAgent導入事例をもっと見る

まとめ

今回は、適格請求書の概要や記載項目、適格請求書発行事業者の登録・申請方法、電子化するべき理由について紹介してきました。

インボイス制度の開始後、業種業界を問わず多くの企業が適格請求書を扱うことになります。

そして、負担増加が予想される請求関連業務を効率化するためには、適格請求書を電子化することが有効です。

今回ご紹介した情報も参考に、インボイス制度の開始に向けて「invoiceAgent」で請求業務の電子化に着手してみてはいかがでしょうか。

【インボイス制度】発行準備だけでは不十分!

インボイス制度の開始に向けて、適格請求書の発行準備は済んでいるという企業も多い一方で、受領や保存についての対応は進んでいますか?
この資料では、今すぐ取りかかるべき改正電帳法への対応や経理担当者の業務負担増といった課題への解決策をわかりやすくご紹介します!

  • 電子帳票ナビ
  • 適格請求書とは?インボイスの記載項目や発行事業者の登録手順などを解説!

あわせて読む

帳票の電子化に役立つ資料を
無料でダウンロードできます

このページのトップへ