注文書のメール送付でよくある疑問
注文書とは、商品やサービスなどを注文する際に発注者側が交付する文書のことで、発注書とも呼ばれます。
まずは、注文書のメール送付に関するよくある疑問として、以下の5点について回答していきます。
- 注文書をメールで送るのはOK?
- メールに添付する注文書の記載事項は?
- 添付ファイルの形式(フォーマット)は?
- メール送付する場合、押印は必要?
- メールで授受する注文書の保存期間は?
注文書をメールで送るのはOK?
そもそも、注文書をメールで送ることは可能なのでしょうか?
結論から言うと、注文書のメール送付は法的に何も問題ありません。
下請法の対象になる取引を除き、注文書を発行する法的義務はなく、注文書を発行することなく取引が進むケースは少なくありません。
そのため、注文書の送付方法についても特別な決まりは存在せず、メールに添付して送付することも可能なのです。
メールに添付する注文書の記載事項は?
書面で発行する場合も、メールで送る場合も、注文書に記載すべき項目に違いはありません。
注文書の基本的な記載事項は以下の通りです。
- 文書のタイトル
- 発注先(受注者)の名称
- 発注者の情報
- 発注年月日
- 発注内容(取引内容)
- 発注金額(取引金額)
- 納期
各項目の書き方について詳しく知りたい方は、以下の記事もあわせてお読みください。
添付ファイルの形式(フォーマット)は?
注文書に限らず、書類をメールで送付する際には、PDF形式で添付するのが一般的です。
WordやExcelなどで作成した注文書データをそのまま添付・送信してしまうと、記載されている情報を容易に書き換えることができてしまいます。
PDF形式であれば、WordやExcelのデータよりも書き換えが難しいため、文書の原本性をある程度担保することができます。
メール送付する場合、押印は必要?
紙の注文書では、書面に印鑑を押すのが一般的です。
しかし、じつは注文書への押印は必須ではなく、注文書をメール送付する場合も同様です。
ただし、押印は偽造や改ざん防止に一定の効果が期待でき、注文書への押印を社内ルールとしている企業もあります。
PDFなどの注文書データに印影を付けるのであれば、電子印鑑を利用しましょう。
メールで授受する注文書の保存期間は?
書面・メールを問わず、発行・受領した注文書(写し)は、法人の場合は原則7年間、個人事業主の場合は青色申告・白色申告を問わず5年間の保存が必要です。
なお、メールによる注文書の授受は電子帳簿保存法の電子取引に該当するため、電子データのまま保存するには電子取引要件を満たす運用体制が求められます。
注文書を添付するメール本文の書き方
注文書をメールに添付して送る際、本文に何を書けばよいのか迷ってしまう方もいらっしゃるのではないでしょうか。
次は、注文書を送信するメールの例文を見ていきましょう。
本文:
株式会社△△
△△ △△様
お世話になります。
〇〇株式会社〇〇部〇〇です。
先日お見積りいただきました〇〇案件について、ぜひ貴社にお願いしたいと考えております。
つきましては注文書(.pdf形式)を添付いたしましたので、ご査収のほどよろしくお願い申し上げます。
添付ファイル:〇〇注文書_202302.pdf
添付ファイルに関してご不明点がございましたら、下記担当までお問い合わせください。
何卒よろしくお願いいたします。
=========================
〒123-4567
東京都〇〇区1-2-3 〇〇ビル1F
TEL:03-1234-5678
E-mail:〇〇@〇〇.co.jp
〇〇株式会社〇〇部
〇〇 〇〇
=========================
メールでのデータ送付に加えて、原本も郵送するという場合は、
「なお、原本もあわせて郵送させていただきますので、ご査収のほどよろしくお願いいたします。」
などと付け加えておくとよいでしょう。
注文書をメールで送るメリット・デメリット
次は、注文書をメールで送ることのメリット・デメリットについて解説していきます。
注文書をメールで送るメリット
まず、注文書をメールで送ることのメリットについて見ていきましょう。
- 発注業務の迅速化
- トラブル防止
- コスト削減
- テレワーク促進
発注業務の迅速化
注文書の送付方法を郵送からメールに切り替えることで、発注業務の迅速化につながります。
郵送の場合、取引先の手元に注文書が届くまでに数日のタイムラグが生じてしまいます。
注文書の記載内容にミスがあった場合、さらに多くの日数がかかってしまうでしょう。
一方、メールであれば即座に注文書を送付することができ、もしも記載内容にミスがあっても該当箇所を修正して速やかに再送信することができます。
トラブル防止
注文書のメール送付は、トラブル防止の面でも一定の効果が期待できます。
送信したメールの履歴が残るため、発注した事実や注文内容の客観的な証拠となります。
また、誤配達や遅延、配送途中での紛失といった郵便事故のリスクも排除することができます。
コスト削減
注文書をメール送付に切り替えることで、コスト削減にもつながります。
紙代・インク代といった印刷コストや配送コストが不要になるほか、保管しておくための設備・備品コストも抑えることが可能です。
テレワーク促進
注文書を紙ベースで運用している場合、書面の印刷や発送準備のために出社する必要があるかもしれません。
メールでの送付に切り替えれば、ノートPCなどのモバイルデバイス上で作業を完結できるため、在宅勤務などのテレワークでも発注業務を行えるようになるでしょう。
注文書をメールで送るデメリット
メールで注文書を送る方法は、メリットだけでなくデメリットも存在します。
次は、注文書のメール送付のデメリットを確認していきましょう。
- チェック工数の増加
- 電帳法対応の負担
- セキュリティリスク
チェック工数の増加
注文書の送付方法を郵送からメールに切り替えることで、かえって作業工数が増えてしまうケースがあります。
たしかに、注文書のメール送付であれば書面の印刷や封入封緘といった作業が不要になります。
しかし、メールの送信ミスを防ぐためにはメールの宛先や本文、添付ファイルの確認が必須であり、場合によってはダブルチェック、トリプルチェックも必要になります。
また、郵送とメールのどちらにも対応しなければならない場合、作業がさらに煩雑化してしまうでしょう。
電帳法対応の負担
先述の通り、メールでの注文書の授受は、電子帳簿保存法における「電子取引」に該当します。
2022年1月の電帳法改正により「紙の保存に代える措置」が原則廃止となり、一定の救済措置はあるものの、電子取引で授受した取引情報は電子データのまま保存しなければならなくなりました。
要件緩和により電帳法の対応ハードルは低くなってきているものの、専用システムを導入せずに運用体制を整えるのはある程度の労力・時間が必要になるでしょう。
セキュリティリスク
メールでの注文書送付のデメリットとして、セキュリティリスクも挙げることができます。
メールにファイルを添付して送信する方法は、第三者による通信傍受やマルウェア感染などのリスクがあることから、近年はメールによるファイル共有を禁止する企業が増えつつあります。
以下の記事では、パスワード付きのzipファイルをメールに添付して送信し、パスワードを別途メールで伝える方法、いわゆる「PPAP」のリスクや代替策について解説しているので、あわせてお読みください。
注文書にまつわる業務を電子化する「invoiceAgent」
注文書をメールで送ることは、メリットだけでなくデメリットもあることがわかりました。
メール送付のデメリットを解消しつつ、注文書にまつわる業務を電子化するソリューションとして、ウイングアーク1stが提供する「invoiceAgent(インボイスエージェント)」を紹介します。
「invoiceAgent」は、電子帳簿保存法の法的要件を満たす製品に与えられる「JIIMA認証」を取得しており、注文書関連の業務の電子化と電帳法への対応を実現します。
では、「invoiceAgent」の特徴を見ていきましょう。
注文書の送受信を電子化するなら「invoiceAgent 電子取引」
「invoiceAgent 電子取引」は、企業間取引文書の送受信を電子化するソリューションです。
PDFファイルをアップロードするだけで注文書などを配信することができ、取引先から発行される関連文書も「invoiceAgent」を介して受け取ることができます。
使い慣れた注文書フォーマットを変更せずにWeb配信できるため、現場や取引先の混乱を抑えつつ導入できるでしょう。
また、注文書データのCSVファイルを所定のフォルダにアップロードし、PDFファイルを生成することも可能です。
紙で保存している注文書のデータ化なら「invoiceAgent AI OCR」
「invoiceAgent AI OCR」は、紙文書をデータ化するOCR(光学文字認識)ソリューションです。
高精度な5つのOCR/AI OCRエンジンを搭載していて、読み取り文書の特徴に合わせて適切なエンジンを選択したり、1つの読み取り項目に複数のエンジンで処理を実行することもできます。
また、読み取り文書の歪みや傾きを自動で補正する機能も備わっているので、認識率の低下を防ぎつつ文書をデータ化することが可能です。
文書データの一元管理なら「invoiceAgent 文書管理」
「invoiceAgent 文書管理」は、文書データの一元管理を実現するソリューションです。
「invoiceAgent」や他システムで作成・出力したデータをまとめて取り込み、あらかじめ設定してあるルールに基づき自動でファイルの仕分け・保存を実行します。
保存したファイルは高度な検索機能によって速やかに参照できるほか、保存期間に応じた自動削除機能や証跡管理機能も備えています。
これらの機能により、紙ベースの管理よりも効率的かつ安全に文書のライフサイクルを管理できるでしょう。
「invoiceAgent」を使って発注業務をペーパーレス化した事例
最後に、「invoiceAgent」を活用して発注業務のペーパーレス化に成功したCTCビジネスエキスパート株式会社の事例をご紹介します。
同社はCTCグループにおける調達の多くを担っており、紙に印刷された注文書を仕分けて封入封緘し、仕入先各社へと郵送していました。
この紙ベースの発注業務のため、担当者はコロナ禍でも出社しなければならず、発注処理の工数増加も課題となっていました。
そこで同社は、発注業務のペーパーレス化を図り「invoiceAgent」を導入しました。
基幹システムで発注処理を行うと注文書のPDFファイルが生成され、自動的に「invoiceAgent」への仕分けとアップロード、そして仕入先に通知メールが配信される仕組みを構築。
配信件数は月間平均3,000件、年末のピーク時には月間6,000件以上に上り、作業の効率化やリモートワーク促進、BCPの強化に効果を実感しています。
▼事例詳細はこちら
CTCビジネスエキスパート株式会社のinvoiceAgent導入事例をもっと見る
まとめ
今回は、注文書のメール送付に関するよくある疑問やメール本文の書き方などを解説しました。
注文書の送付方法を郵送からメールに切り替えることでメリットが期待できる一方で、チェック工数の増加や電帳法対応の負担、セキュリティリスクなどのデメリットも生じる可能性があります。
注文書にまつわる業務の効率化を図りたいのであれば、今回ご紹介した「invoiceAgent」の利用を検討してみてはいかがでしょうか。