エクセルで見積書のテンプレートを作る方法
見積書は取引内容や金額、納期などの条件が記載される証憑書類ですが、記載項目が明確に定められているわけではありません。
今回は、一般的な見積書の記載項目をカバーしたフォーマットとして、以下の見積書テンプレートを作成する手順を紹介します。
また、正式な契約までに複数回にわたって発行するケースが多々あるため、効率的に入力できるかどうかも重要なポイントとなります。
そこで、今回作成するエクセルの見積書フォーマットでは、見積金額を自動で計算するための関数も設定していきます。
作成手順は以下の通りです。
- 印刷用紙のサイズに設定
- タイトル(表題)を作成
- 宛名・連番・発行日のエリアを作成
- 件名・合計金額のエリアを作成
- 発行者情報のエリアを作成
- 取引内容のエリアを作成
- 内訳のエリアを作成
- 金額(小計・消費税額・合計)のエリアを作成
- 備考エリアを作成
- 関数の設定
では、エクセルによる見積書の作り方を詳しく見ていきましょう。
1.印刷用紙のサイズに設定
見積書フォーマットを作成する下準備として、まずはページレイアウトを設定します。
画面上部の「ページレイアウト」タブの「サイズ」をクリックし、印刷サイズを選択しましょう。
今回は、領収書を印刷する際の一般的なサイズである「A4(210×297㎜)」に設定します。
2.タイトル(表題)を作成
文書のタイトル(表題)として「見積書」と入力していきます。
まず、タイトルを入力するエリアを作成するために、「A1」から「I2」を範囲選択します。
「A1~I2」を範囲選択した状態で、画面上部の「ホーム」タブから「セルを結合して中央揃え」をクリックしてセルを結合します。
結合した「A1~I2」に「見 積 書」と入力し、フォントのサイズとスタイルを設定していきます。
画面上部の「フォント」の設定欄から、フォントサイズを「18」に変更し、「B(Bold)」のマークをクリックして太字に変更します。
3.宛名・連番・発行日のエリアを作成
次に、宛名と連番、発行日を記入するためのエリアを作成していきます。
まず、「A4」のセルに宛名を入力します。ここではサンプルとして「株式会社〇〇〇〇 御中」と入力しています。
次に、「G4」のセルに「No.:」、「G5」のセルに「発行日:」と入力し、「G4」と「G5を選択した状態で「配置」の設定欄から「右揃え」を選択します。
4.見積もりの合計金額エリアを作成
次に、見積もりの合計金額を表示するエリアを作成します。
まず、「A7」に「下記の通り、御見積もり申し上げます。」と入力し、1行空けて「A9」に「御見積金額」、「A10」に「有効期限」と入力します。
見積金額を目立たせるために、「A9」のフォントサイズを「14」に変更します。
さらに、「A9」から「D9」のセルを範囲選択した状態で、「フォント」の設定欄にある「罫線」のマークをクリックし、「下二重罫線」を選択します。
5.発行者情報のエリアを作成
次に、見積書の発行者情報を記載するエリアを作成します。
まず、「F7」から「I13」を範囲選択した状態で「セルの結合」を行います。
結合した「F7~I13」に発行者情報を入力していきます。
見積書の場合、発行者の氏名または名称と所在地、電話番号、メールアドレスを記載するケースが一般的です。
6.取引内容のエリアを作成
次に、取引内容を記載するエリアを作成します。
15行目のA列に「日付」、B列に「項目」、2列空けてE列に「数量」、F列に「単位」、「G列」に単価、H列に税率、I列に「税抜金額」と入力します。
C列とD列の欄は空白のままでOKですので、入力しないよう注意しましょう。
「B15」から「D15」のセルを範囲選択して「セルの結合」を実行します。
続いて、「A15 」から「I15」を範囲選択した状態で、「塗りつぶし(黒)」と「フォントの色(白)」、「フォントのスタイル(太字)」を設定します。
次に、「A16」から「I29」を範囲選択し、罫線のメニューから「格子」を選択・適用します。
「B16」から「D16」を範囲選択して「セルの結合」を行います。
さらに、「B16~D16」の結合したセルの右下端をドラッグしたまま、29行目まで引き下げてドロップすると、29行目まで一気に「セルの結合」を実行することができます。
7.内訳のエリアを作成
見積書の必須項目ではありませんが、標準税率(10%)と軽減税率(8%)が混在する場合には、内訳のエリアを作成することをおすすめします。
「A31」に「内訳」、「B31」に「税抜金額」、「C31」に「消費税額」と入力しましょう。
続いて、「A32」に「10%対象)」、「A33」に「8%対象)」と入力します。
さらに、「A31」から「C31」のセルを範囲選択した状態で、罫線の設定欄から「下罫線」を選択・適用します。
8.金額(小計・消費税額・合計)のエリアを作成
次に、小計・消費税額・合計を表示するエリアを作っていきます。
まず、「E31」と「F31」のセルを結合し、「塗りつぶし(黒)」と「フォントの色(白)」と「フォントのスタイル(太字)」を変更します。
結合した「E31~F31」のセルと同様、「E32~F32」と「E33~F33」にもセルの結合とフォントスタイルの変更を適用しましょう。
続いて、「E31~F31」には「小計」、「E32~F32」には「消費税額」、「E33~F33」には「合計」と入力します。
31行目・32行目・33行目のG列からI列をそれぞれ結合し、罫線の設定欄から「格子」を選択・適用します。
9.備考エリアを作成
次に、見積もりの内容に関する備考を入力するエリアを作成します。
「A35」から「I35」を結合して「備考」と入力し、「A35~I35」に「塗りつぶし(黒)」「フォントの色(白)」「フォントのスタイル(太字)」を設定しましょう。
続いて、「A36」から「I38」を範囲選択して結合し、罫線のメニューから「外枠」を選択して適用します。
10.関数の設定
ここまでで見積書としての形は整いましたが、金額を自動計算できるように関数を設定しましょう。
取引内容のエリア
税抜金額(単価×数量)を自動計算するための関数を設定します。
まず、「I16」のセルに「=E16*G16」と入力します。
「I16」のセルの右下端をドラッグしたまま「I29」のセルまで引き下げてドロップし、17行目から29行目まで同様の関数を適用していきます。
内訳のエリア
税抜金額の内訳を自動計算するため、「B32」と「B33」にそれぞれ以下の関数を設定します。
- 「B32」のセルに「=SUMIF(H16:H29,10%,I16:I29)」と入力
- 「B33」のセルに「=SUMIF(H16:H29,8%,I16:I29)」と入力
続いて、消費税額の内訳を自動計算するため、「C32」と「C33」にそれぞれ以下の関数を設定します。
- 「C32」のセルに「=B32*0.1」と入力
- 「C33」のセルに「=B33*0.08」と入力
金額(小計・消費税額・合計)のエリア
小計、消費税額、合計を自動計算するため、「G31~I31」と「G32~I32」と「G32~I32」にそれぞれ以下の関数を設定します。
- 「G31~I31」のセルに「=SUM(I16:I29)」と入力
- 「G32~I32」のセルに「=SUM(C32:C33)」と入力
- 「G33~I33」のセルに「=SUM(G31:I32)」と入力
ご請求金額
御見積金額の欄に合計額を表示するため、以下の関数を設定します。
- 「D9」のセルに「=l33」と入力
エクセルを使った見積書作成の注意点
次は、エクセルを使った見積書作成でよくある課題や注意点を見ていきましょう。
管理の煩雑化に注意が必要
エクセルの見積書作成は、管理が煩雑化しやすいというデメリットがあります。
エクセルで作成した見積書フォーマットをベースに各担当者が見積書を作成するケースは少なくありませんが、人によっては古いバージョンの見積書フォーマットを使用していたり、誤って関数を削除・変更したりといったことも起こりえます。
このような事態を避けるために、最新版の見積書フォーマットの周知や、見積書作成・運用ルールの徹底などが必要になるでしょう。
データとして送付する場合はPDFに変換
エクセルで作成した見積書を書面に印刷して郵送するのではなく、メールやクラウドサービスを利用して電子データのまま送る場合、PDFファイルに変換してから送付しましょう。
エクセルファイル(Excelファイル)のまま送付してしまうと、見積もりの内容を容易に書き換えることができてしまい、改ざんリスクが高まってしまいます。
PDFファイルに変換してから送付することで、簡単に記載内容を書き換えることができないため、改ざんなどの不正リスクを抑えることができます。
エクセルで作成した見積書をPDF形式で出力する方法は以下の通りです。
- Excelで作成した見積書のファイルを開く
- 画面左上部にある「ファイル」をクリック
- 画面左にある「エクスポート」をクリックし、「PDF/XPSの作成」をクリック
- PDFファイルの保存場所とファイル名を選択し、「発行」をクリック
- 作成した見積書のPDF出力が完了
データとして保存する場合は電帳法対応が必須
エクセルで作成・出力した見積書をデータのまま保存する場合、電子帳簿保存法(略:電帳法)への対応が必要です。
電帳法とは、国税関係帳簿書類の一部または全部を電子データとして保存することを認める法律で、見積書もその対象となります。
以下の記事では、電子帳簿保存法の概要や改正の要点、対応のポイントについて解説しているのであわせてお読みください。
見積書発行を効率化するなら「SVF Cloud」
エクセルを使った見積書の作り方や注意点について解説してきましたが、見積書発行をさらに効率化したいと考えるのであれば、帳票サービスの利用がおすすめです。
次は、見積書発行を効率化する具体的なソリューションとして、ウイングアーク1stが提供する「SVF Cloud」をご紹介します。
「SVF Cloud」は、あらゆる帳票をクラウドで出力する帳票基盤ソリューションです。
専用のレイアウト設計ツールはノンプログラミングで簡単に利用でき、見積書のフォーマットを新たに設計したり、既存の見積書フォーマットを再現したりできます。
PDFなどの電子データでの出力はもちろん、社内プリンターで直接印刷することも可能です。
また、他の業務システムやアプリケーションと連携することで、見積書発行を自動化・効率化することも可能です。
さらに、ウイングアーク1stが提供する「invoiceAgent」と連携すれば、電子帳簿保存法の要件を満たした文書管理や企業間での送受信、取引先から受領した紙帳票のデータ化も実現できます。
「SVF Cloud」で見積書発行を効率化した事例
最後に、「SVF Cloud」で見積書発行業務の効率化に成功した事例を紹介します。
Salesforceデータから見積書を自動発行する仕組みを構築(アスノシステム)
「会議室.COM」をはじめとしたサイト運営事業を展開するアスノシステム株式会社は、SVF Cloudの導入により見積書などの帳票を自動発行する仕組みを構築しました。
2016年にSalesforceを導入して案件管理の効率化を推進していた同社ですが、見積書や請求書の発行業務はエクセルで行っていました。
しかし、エクセルでの見積書発行は手作業が多く、管理が煩雑でミスが発生した際の手間も大きいという課題がありました。
そこで同社は、「SVF Cloud」を導入して、Salesforceのデータから見積書や請求書などの帳票を直接発行できるシステム構築。
エクセルを使った手作業が不要になり、見積書をはじめとした帳票発行業務の大幅な効率化を実現しました。
▼事例詳細はこちら
アスノシステム株式会社のSVF Cloud導入事例をもっと見る
見積書などの作成時間を600分の1に短縮(サポーターズ)
エンジニア職・ビジネス職の採用・転職支援事業を展開する株式会社サポーターズは、「SVF Cloud」の導入により見積書や請求書といった帳票の作成時間を大幅に短縮することに成功しました。
同社では従来、見積書や請求書などの帳票類をエクセルで作成していたため、発行に多くの時間と手間がかかるだけでなく、確認作業の不可も課題となっていました。
そうしたなか、Salesforceの導入をきっかけに、Salesforceに入力したデータをもとに見積書などの帳票を出力する仕組みを検討することに。
そこで同社は、Salesforceと好相性で、なおかつ高品質な帳票をスピーディーに作成することが可能な「SVF Cloud」の導入を決定しました。
導入後、現場担当者が個々にエクセルで作成していた見積書などの帳票をワンクリックで出力することが可能になり、従来10分かかっていた作業が1秒、つまり作業工数を600分の1まで短縮することに成功しました。
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株式会社サポーターズのSVF Cloud導入事例をもっと見る
見積書や注文書の発行工数を大幅削減(toBeマーケティング)
Salesforceや Pardotの導入支援をおこなうtoBeマーケティング株式会社は、SVF Cloudを導入して見積書などの発行工数を大幅削減することに成功しています。
同社では従来、商談を行う社員自身が見積書や注文書を作成しており、Salesforceで利用可能なマークアップ言語Visualforceを使用していました。しかし、Visualforceでは限られた表現での帳票作成しかできず、エクセルでカスタムして作成する機会も少なくありませんでした。
エクセルでの帳票作成は負担が大きく、手作業によるミスやバージョン管理の難しさなども課題となっていました。また、エクセルベースで見積書を運用していると、然るべき承認を経ずに見積もりを発行することができてしまい、上場に向けたガバナンス統制の面でも課題視されていました。
そこで同社は帳票作成のオペレーション刷新に着手。サービス選定では、Sales Cloudとの親和性が高く、サポート体制やドキュメントの充実度が決め手となり「SVF Cloud for Salesforce」の導入を決定。
「SVF Cloud」の運用開始後、見積書などの帳票作成における人的ミスや作業工数を大幅に削減することに成功し、ガバナンス統制の面でも効果を実感されています。
▼事例詳細はこちら
toBeマーケティング株式会社のSVF Cloud導入事例をもっと見る
まとめ
今回は、エクセルを使った見積書の作り方や注意点について解説しました。
見積書は、商取引のなかで最初に提示される証憑書類であり、取引の流れを作る重要な役割を果たします。
そして、見積書発行の効率化に役立つソリューションが「SVF Cloud」です。
見積書発行の効率化・自動化を推進したいと考えている企業は、今回ご紹介した「SVF Cloud」の導入を検討してみてはいかがでしょうか。